確定申告の内容を間違えた!訂正申告・修正申告の方法やポイントを解説
確定申告の内容を間違えても冷静に対処することが大切
前年の所得を申告する確定申告に慣れず苦手意識を抱える人も決して少なくありません.
税金に関わる手続きだから間違えてはならないと緊張する人もいるでしょう。
しかし、確定申告は、間違えても訂正申告・修正申告が可能です。手続きの方法やポイントを知って、間違えても冷静に対処するようにしてください。
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この記事の目次
確定申告を間違えた場合でも修正は可能
確定申告は、間違いや申告漏れが合った場合でも、後から修正することが可能です。
所得税は、納税者が自分で所得や税金を計算して申告と納税を行う申告納税制度が採用されています。
自分で入力して税金を計算するため、申告内容を間違えてしまうケースも少なからずあるでしょう。
確定申告は、自分で収入や所得の計算をして、その根拠となる帳簿や書類を作成して提出します。
しかし、もととなる帳簿を間違えていたり、計算ミスをしていたりといった場合もあるので間違いに気が付いた時にはそのままにせずに、速やかに修正をおこなってください。
確定申告の修正方法は、訂正申告、更正の請求、修正の申告の3つです。修正の時期や内容によって修正の方法が違うので、その時に適した方法で手続きが必要です。
適用されるケース | 期限 | |
訂正申告 | 申告が間違っている場合 | 確定申告の期限まで |
修正申告 | 少なく納税してしまった場合 還付される税金が多すぎた場合 |
税務署による更正が行われるまでの期間 遅れれば遅れるほど追加納税額が増えるため気づいた時点で早めに修正する |
更正の請求 | 納税する税金が多すぎた場合 還付される税金が少なすぎた場合 |
法定申告期限から5年以内 |
訂正申告のやり方&ポイント
訂正申告は、確定申告の提出期限内に間違いに気が付いて手続きする場合に行います。
つまり、確定申告の申告期限である3月15日までに修正の手続きをして再提出する手続きです。
訂正申告は、税務署が申告内容を確認する前なので比較的簡単に訂正が可能です。提出期限内でも何度でも修正の手続きと提出ができます。
税務署では、最後に申告があった確定申告書を受理します。
訂正申告のやり方
訂正申告は、通常の確定申告と基本的には同じです。正しい数字で確定申告書を訂正し直して再提出します。
郵送や窓口の場合は、訂正した確定申告書を提出、電子申告の場合には訂正した確定申告書を送信してください。
電子申告では、新しく申告した内容が自動的に反映されるので訂正した後には必ず確認しましょう。
訂正申告で必要となる書類
訂正申告で必要な書類は以下のものです。
-
- 訂正した確定申告書
- 本人確認書類(書面の場合)
- 新しく必要となった添付書類
訂正申告では、すでに提出したものを部分的に訂正するのではなく、正しい内容反映した確定申告書を提出します。
郵送や窓口で再提出する時には、本人確認書類を再度添付、または再提示します。
すでに生命保険料控除証明書などを添付している場合には、再提出する必要はありません。訂正で新しく添付書類が必要な時に提出します。
訂正申告を行う際のポイント
今まで確定申告してきても訂正申告は初めてという人もいるかもしれません。ここでは、訂正振興を行う際のポイントを簡単に紹介しています。
表題余白に「訂正申告」と赤字で明記する
電子申告で確定申告したものを訂正する場合は、自動的に新しい内容が反映されます。
しかし、郵送や窓口提出では両方の書類が存在するため、どちらが訂正申告なのかすぐにはわかりにくいです。
訂正申告を提出する時には、手違いを防ぐために、表題の余白に赤字で訂正申告と記載しておきます。
前回申告した年月日も記載しておくとわかりやすいため、ミスを予防できるでしょう。
還付金が支払われていたら清算手続きが必要
確定申告内容によっては、払いすぎていた税金が還付されることもあります。そのため、タイミングによっては、還付の処理がすでに行われているかもしれません。
還付の処理がはじまった状態で訂正申告した場合問題が生じる可能性もあるので、還付申告場合には事前に管轄の税務署に問い合わせておくようにおすすめします。
修正申告のやり方&ポイント
本来の納税額よりも少ない金額を納税していた、還付される税金が多すぎた場合に行う手続きです。
修正申告の手続きで正しい納税額になるので、間違いに気が付いた時には、そのままにせず必ず修正申告を行わなければいけません。
修正申告は、自主的に気が付いて行う場合と税務調査で指摘されて行う場合があります。
修正申告せずに少ない納税額のままでいると、過少申告加算税や延滞税といった税金が発生します。
修正申告のやり方
修正申告を行うには、確定申告書の第一表と第二表を作成して提出しなければいけません。
分離課税の所得があれば第三表の提出も必要です。確定申告書自体は、通常の確定申告と同じで、申告書のタイトルを修正申告として該当の年度を記入します。
確定申告書の第一表と第二表は国税庁のホームページからダウンロードして記入するか「確定申告書等作成コーナー」で入力して提出します。
以前の修正申告では第五表を提出していましたが、2022年度分の確定申告から第5表が廃止されました。
第一表では確定申告書の上部に「修正」と記載して「種類」の欄の「修正」に〇をつけておくようにします。
「税金の計算」欄の下にある「修正申告」欄は、修正申告前の税額と税額の増加額の記入が必要です。
第二表も、上部に「修正」と記載して修正申告によって修正する事項・理由を「特例適用条文等」欄に記入してください。
修正申告はe-Taxでもできます。国税庁の「更正の請求書・修正申告書」の作成コーナーから申告を行います。
修正申告で必要となる書類
修正申告に必要な書類は以下のものです。
-
- 確定申告書 第一表・第二表
- 確定申告書 第三表(分離課税の所得がある場合)
- 本人確認書類(書面提出の場合)
修正申告を行う際のポイント
修正申告は、税務署による更正が行われるまでの期間に可能な手続きです。税務署の更正が行わると修正申告できず、追加納税額が加算される可能性も発生します。
修正が必要な場合には速やかに手続きを進めてください。ここでは、修正申告を行う時のポイントを紹介します。
間違いに気付いたら早急に修正申告と納税を行う
修正申告は手続きする時点で、すでに確定申告の法定申告期限を過ぎています。修正する日が遅くなれば遅くなるほど、追加税額が多くかかってしまいます。
修正申告は、そのケースによって延滞税や過少申告加算税、無申告加算税を支払わなければいけません。
さらに隠ぺいがあったと判断されるようなケースではさらに重い重加算税が課せられることもあります。
確定申告での不正は、国税庁の税務調査で発覚します。所得を少なく申告するといった悪質な行為は刑事罰が科されることもあるので絶対に行わないでください。
更正の請求のやり方&ポイント
更正の請求は、本来の納税額より多くの税金を納付していた、もしくは還付される税金が少なすぎる場合に行う手続きです。
更正の請求の手続きが受理されると納めすぎていた税金が税務署から還付されます。
更正の請求手続きができるのは、間違った申告書の申告期限から5年以内です。確定申告は申告した後も、間違いがないか還付額を確認するようにしてください。
更正の請求のやり方
更正の請求は、「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」と、請求の理由の基礎となる事実を証明する書類を税務署に提出します。
窓口や郵送で申告する場合には、国税庁のホームページから、書類をダウンロードして直接記載する方法か、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にある「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で入力して印刷する方法から選択可能です。
「確定申告書等作成コーナー」を使用すると画面の案内通りに入力するだけで税額なども自動計算できます。
e-Taxでも更正の請求は可能です。電子証明書を利用して提出する場合には、税務署から送付される更正通知書も e-Taxで受け取れます。
更正の請求で必要となる書類
更正の請求で必要な書類は、以下のものです。
-
- 所得税及び復興特別所得税の更正の請求書
- 請求の理由の基礎となる事実を証明する書類
- 本人確認書類(書面提出の場合)
請求の理由の基礎となる事実を証明する書類とは、正しい課税内容を証明するための書類をいいます。
具体的には国民年金保険料を記載漏れしていた場合であれば控除証明書のように保険料の支払金額を証明する書類が該当します。
ほかの手続きと同様に窓口や郵送の場合には、本人確認書類が必要です。
更正の請求を行う際のポイント
更正の請求が認められれば、払いすぎた税金が還付されます。更正の請求を行う際のポイントをまとめました。
書類の不備・不足で認められない場合もある
更正の請求は、あくまで所得税を改めて計算するように請求する書類であり、請求したとしても請求が認められるとは限りません。
更正の請求が受理された後、税務署によって調査が行われ請求額が適正かどうか審査されます。審査によって請求額が適正と認められた場合に初めて還付が受けられます。
手続きが可能なのは法定申告期限から5年以内
更正の請求には期限が設けられていて、通常は法定申告期限から5年以内です。
更正の請求期限を過ぎてしまった分は、支払いすぎた所得税をさかのぼって還付請求することはできません。
更正の請求を行う具体的なケースとしては、医療費を計上し忘れていたケースや扶養控除の記載を間違うケースがあります。
特定扶養控除を受けられる親族について、間違って一般の扶養家族として申告すると控除額が違うため納税額が変わり、差額の修正が必要となります。
確定申告で訂正申告・修正申告になりやすい箇所
確定申告での間違いは、訂正などの手続きで正しくできます。しかし、訂正の手間もかかるため、間違えないに越したことはありません。
ここでは訂正申告、修正申告が発生しやすい箇所について紹介しています。事前に間違いやすい箇所を知って、ミスを予防してください。
控除
確定申告で忘れやすい項目のひとつが控除です。社会保険料や生命保険料のように所得から控除できる所得控除や税額控除は、様々な種類があります。
利用できる控除があるのに記入していないと所得から控除できる分が控除されずに、高い所得のまま所得税が計算されてしまいます。
また、医療費控除の対象となる支出や保険料控除の控除対象保険も間違いやすい部分です。医療費控除は申告者と同一生計の親族に支払った医療費が該当します。
もしも別居していても生計を助けていれば同一生計とみなされるので、ひとり暮らしで仕送りをしている大学生の子どもも医療費控除の対象です。
一方で、医療費控除の対象とならない項目として審美目的の歯科矯正や入院時の個室料金、予防接種費用などがあります。
間違えて医療費に計上していないかチェックしてください。
さらに、住宅ローン控除も1年目に申請しなければいけないので忘れないようにしてください。控除は普段は耳にしないものも珍しくありません。
どういった控除があって、どれが適用できるのかを把握するとともに証明書を添付できるように保管しておいてください。
副収入
副業解禁やテレワークの普及から本業以外に副収入を得ている人は増えています。副収入がある時には、必ず確定申告を忘れないようにしてください。
会社員の副業は収入が20万円を超えると確定申告しなければいけません。
例えば、代表的なインターネット副業としてフリマアプリでの売買があります。国税局も監視を強化しているので、フリマアプリで出た利益は必ず確定申告してください。
また、FXや暗号資産など投資の利益も申告漏れしやすい部分なので注意が必要です。
一時所得
イレギュラーな収入があった場合にも申告漏れが発生しやすくなります。例えば保険金や当選した懸賞といった一時所得は、受け取ったものの確定申告を忘れがちです。
競馬や競艇などの公営ギャンブルで受け取ったお金も同様です。生命保険の満期返戻金は、払込金額を差し引いて一時所得となります。
もともと会社員で確定申告をせずに年末調整を利用していた場合、確定申告が必要なことに気が付かないかもしれません。
一時所得に該当するようなものがないか思い返してみてください。
まとめ・確定申告を間違えたら速やかに訂正・修正をしよう
確定申告の間違いは決して珍しくありません。単純な数字の書き間違いや計算ミスは発生しがちです。
しかし、少額の間違いだからと訂正や修正をしないでいると、本来支払うべき税額以上の税金が加算されてしまう可能性もあります。
申告後に間違いに気が付いたら、所定の手続きで速やかに対応してください。確定申告してからもミスがないかチェックするようにおすすめします。
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(編集:創業手帳編集部)