【2026年】人材確保等支援助成金とは?7コースの助成対象・金額・要件などを表でわかりやすく解説
人材確保等支援助成金を利用して魅力ある職場づくりに取り組もう

人材確保等支援助成金は、人材が職場に定着するようにしたい、業務効率化を図りたいといった事業主にとって強い味方になってくれる制度です。
職場の制度改革や設備への投資には、必ず資金が必要になります。助成金制度をうまく活用して、コストを抑えながら従業員が働きやすい環境を整えてください。
こちらの記事では、人材確保等支援助成金の各コースや注意点をまとめました。
この記事の目次
人材確保等支援助成金とは?

人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図り、人材の確保・定着を目的とした助成金です。
サービス業や建設業など、少子高齢化によって人材不足に直面している業種は多くあります。
人材確保等支援助成金は、企業の設備、機器の導入、体制づくりの取組みをサポートしています。
人材確保等支援助成金は、現在7つのコースが設置されている点が大きな特徴です。
コースごとに主な要件や受けられる助成金額が違うので、それぞれを確認して自社の取組みに適したコースを選択してください。
【一覧表】人材確保等支援助成金・7コースの助成額・受給要件など

人材確保等支援助成金には、現在以下の7コースが用意されています。それぞれのコースごとの特徴や助成金額を紹介します。
雇用管理制度・雇用環境整備助成コース
雇用管理制度(賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度)又は業務負担軽減機器等(従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等)の導入を通じて、従業員の離職率低下に取り組む事業主に対して助成する制度です。
| 対象 | 雇用管理制度又は業務負担軽減機器等の導入を通じて従業員の離職率の低下に取り組む事業主 |
| 助成金額 | 【雇用管理制度の導入】 1制度導入につき20万円又は40万円(賃金要件を満たした場合は25万円又は50万円)(上限額80万円または100万円) 【業務負担軽減機器等の導入】 機器等の導入に要した経費の1/2(賃金要件を満たした場合は62.5%又は75%)(上限額150万円、賃金要件を満たした場合は187.5万円又は225万円) |
| 主な要件 | ① 雇用管理制度又は業務負担軽減機器等の導入 ② 離職率目標達成 など |
中小企業団体助成コース
中小企業団体助成コースは、改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合等)が構成中小企業者のために、人材確保や従業員の職場定着を支援するための事業を行った場合に助成されます。
| 対象 | 改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合等) |
| 助成金額 | 中小企業団体が構成中小企業者に労働環境向上事業を実施した場合に、要した費用の2/3を支給(上限額は、団体の規模に応じて600万円~1,000万円) |
| 主な要件 | 事業協同組合などが、構成中小企業の人材確保や職場定着支援の事業を実施すること など |
建設キャリアアップシステム等活用促進コース
建設技能者の能力・経験に応じた適切な処遇を目的として、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した雇用管理改善の取組を行った中小建設事業主や建設事業主団体などを助成しています。
| 対象 | ① 建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した雇用管理改善の取組を行った中小建設事業主 ② 建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録費用の全部又は一部を補助した建設事業主団体 |
| 助成金額 | ①の場合:算定対象となる建設技能者1人あたり16万円 ②の場合:(中小建設事業主団体)支給対象経費の2/3、(中小建設事業主団体以外の建設事業主団体)支給対象経費の1/2 |
| 主な要件 | ①の場合:雇用する全ての建設技能者について建設キャリアアップシステムの技術者登録を完了していること、レベル判定で昇格評定を受けた技能者の賃金を5%以上増加させていること ②の場合:事業推進委員会の設置 |
若年者および女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
若年者および女性に魅力ある職場づくり事業コースは、労働者が働きやすい魅力ある職場づくりの推進を目的としています。
| 対象 | 若年者および女性の入職や定着を図ることを目的とした事業を行った建設事業主または建設事業主団体 | 建設工事における作業についての訓練を推進する活動を行った広域的職業訓練を実施する職業訓練法人 | |
| 助成金額 | 建設事業主 (中小建設事業主)支給対象経費の3/5(3/4) (中小建設事業主以外の建設事業主)支給対象経費の9/20(3/5) ※雇用管理研修などを受講させた場合、1人あたり日額9,500円加算(最長6日間) ()内は賃金要件が認められる場合の額 |
建設事業主団体 (中小建設事業主団体)支給対象経費の2/3 (中小建設事業主団体以外の建設事業主団体)支給対象経費の1/2 |
支給対象経費の2/3 |
| 主な要件 | ①計画届の提出 ②支給申請書の提出 |
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作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
作業員宿舎等設置助成コースでは、女性建設労働者の入職と定着が課題となっている現状を踏まえた女性専用作業員施設等の整備や、能登半島地震の復旧・復興にあたって石川県に所在する作業員宿舎等を賃借した中小建設事業主等への支援が実施されています。
| 対象 | ①自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借した中小元方建設事業主 | ②認定訓練の実施に必要な施設や設備の設置又は整備を行った広域的職業訓練を実施する職業訓練法人 | ③石川県に所在する作業員宿舎、賃貸住宅、作業員施設を賃借した中小建設事業主 |
| 助成金額 | 支給対象経費の3/5(3/4) ()は賃金要件が認められる場合の額 |
支給対象経費の1/2 | (作業員宿舎)建設労働者1人あたり25万円 (賃貸住宅、作業員施設)支給対象費用の2/3 |
| 主な要件 | ①計画届の提出 ②支給申請の実施 |
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外国人労働者就労環境整備助成コース
外国人労働者は、言語の違いや日本の労働法や雇用慣習への知識不足から労働条件、解雇などに関してトラブルが生じるケースがあります。
そこで、外国人労働者就労環境整備助成コースでは、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成します。
| 対象 | 外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主 |
| 助成金額 | 1制度導入につき20万円(上限80万円) |
| 主な要件 | ・就労環境整備措置(雇用労務責任者の選任、就業規則等の多言語化など)の導入・実施 ・離職率目標の達成 など |
テレワークコース
テレワークコースでは、適切な労務管理下におけるテレワークを制度として導入し実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善などの観点から効果をあげた中小企業事業主を支援しています。
| 対象 | テレワークを制度として導入し実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主 |
| 助成金額 | ・制度導入助成:1企業あたり20万円 ・目標達成助成:1企業あたり10万円(賃金要件を満たす場合15万円) |
| 主な要件 | ・制度導入助成:評価期間において、1回以上、テレワーク実施対象労働者全員がテレワークを実施 など ・目標達成助成:制度導入前離職率が、制度導入後離職率以下であること など |
人材確保等支援助成金は「返済義務」がない

人材確保等支援助成金は助成金であるため、金融機関からの融資や借入れのように原則として返済義務はありません。
つまり、後から返済負担に苦しむこともなく事業コストを圧縮できる制度です。
なぜ助成金に返済義務がないのかというと、助成金は主に企業や従業員が支払う雇用保険の一部から拠出されているからです。
雇用保険は、事業として雇用安定事業と能力開発事業を実施しています。
雇用保険の事業では、労働者が安定して長期的に働ける環境整備や人材育成、企業の生産性を高める仕組みづくりなどを、制度設計を通じてサポートしています。
※ただし、虚偽の申請など不正受給を行った場合は、助成金の不支給や全額・一部の返還が必要となります。
人材確保等支援助成金を申請する時の流れ

人材確保等支援助成金は、コースごとに必要な書類や手続きに違いがあります。
雇用管理制度・雇用環境整備助成コースなどを例にすると、基本的には以下の流れで申請します。
①各都道府県労働局へ「雇用管理制度等整備計画」を提出し、認定を受ける
②認定された計画に基づき、制度や機器の導入・実施を行う
③離職率の低下目標などを達成する
④評価時離職率算定期間(計画期間終了後12か月間)の終了後、2カ月以内に各都道府県労働局へ助成金の支給申請書を提出する
詳しい手続きの期限や要件の詳細は、各都道府県労働局の窓口に問い合わせてください。
人材確保等支援助成金を利用する際の注意点

人材確保等支援助成金は、人材確保に悩む企業や経費の圧縮を目指す企業にとって魅力的な制度です。注意点も理解した上で手続きを進めてください。
計画書の提出は計画開始日の1~6ヶ月前まで
計画書の提出は、計画開始日の1〜6カ月前までと一定の期間が設けられています。
例えば2025年1月1日からスタートする計画であれば、申請期限は2024年の7月1日〜11月30日です。
提出が遅れてしまえば、計画自体も後ろにずれ込んでしまいます。
助成金の申請スケジュールを考えて、機器の導入や制度の改善、工事などを計画してください。
事業開始(創業)直後は離職率目標の達成難易度が高い
人材確保等支援助成金は、取組の前後を比較して離職率が低下したかどうかで支給が判断されます。
実施前のデータが存在しない新規創業等の場合は、「評価時離職率を0%にする(誰も離職しない)」ことが目標として設定されます。
つまり、創業して間もない企業でも助成金の受給自体は可能ですが、1人でも離職者が出ると要件を満たせなくなるため、非常に難易度が高くなります。この点に注意して申請を目指してください。
設備を整えるための時間と初期費用が必要
助成金は、事業計画を立てて実施し、計画が完了してから支給申請を行います。
つまり、助成金を受け取れるのは最後の段階で、自己資金を一度は拠出して事業を実施、完了しなければいけません。
加えて、事業を完了するための設備を整える時間も計画する必要があります。
事業完了してすぐに助成金が支給されるわけではないので、助成金が支給されるまでの間、資金不足に陥る可能性もあります。
助成金を受け取るまでに支払うことになる費用やかかる時間、手間などを事前にシミュレーションしておくようにしてください。
賃金引き上げを実施すると助成額が加算される
人材確保等支援助成金には、制度の導入・実施と併せて従業員の賃金引き上げを行った企業に対して、助成額を増額する「賃金要件(加算要件)」が設けられています。
対象労働者の賃金を3%、5%、または7%以上引き上げるなどの要件を満たすことで、助成額や助成率が大きくアップします。
制度を実施することで労働環境を向上させるだけでなく、労働者に賃上げとして還元する取組みが推奨されているため、資金計画を立てる際には、この加算要件を狙えるかどうかもぜひ検討してみてください。
まとめ・人材の確保と離職率低下を図るなら人材確保等支援助成金を活用しよう
人材確保は企業の戦略性が問われる問題です。人材の確保や離職率低下を図るためのアプローチは、いろいろな方法があります。
人材確保等支援助成金は、単に助成金を受け取るためだけではなく、長期的に労働環境を改善し、魅力ある職場をつくるために利用したい制度です。
どのコースが自社に適しているか検討した上で、コースによっては廃止や要件の変更がある可能性もあるので、必ず最新の情報を確認してください。
(編集:創業手帳編集部)
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