創業者におすすめ!日本政策金融公庫の融資の申込のポイント

資金調達手帳

申込の流れや必要な書類を知り、逆算して準備を始めよう!

(2015/12/25更新)

これから起業しようとお考えの方にとって強い味方になってくれるのが、100%政府出資の政策金融機関、日本政策金融公庫。創業時に自己資金でまかなえない分は、この日本政策金融公庫の新創業融資を借りるが一般的です。今回は、日本政策金融公庫で融資を申込む際の手順から必要書類を記入するまでのポイントについて解説します。

創業準備が整ってから、申込までの流れ

融資は申込から実行されるまでに、早くて2週間、遅いと約1ヶ月以上かかるので、資金が必要になる日の2ヶ月前から準備を始めるようにしましょう。

提出する書類(一般的なもの)
  • 創業計画書(日本政策金融公庫専用のもの)
  • 設備資金のお申込の場合は見積書
  • 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
  • 担保を考えている場合は、不動産の登記簿謄本または登記事項証明書
  • 借入申込書

提出する書類のうち、記入しなければならないのが、創業計画書と借入申込書です。

これらの書類は、最寄りの日本政策金融公庫へ取りに行くか、インターネットで日本政策金融公庫のサイトからダウンロードすれば入手できます。

創業計画書を書いてみよう

日本政策金融公庫のサイト内に記入例があるので、それを参考にして書いていきましょう。

記入例は業種ごとに9業種掲載されていますので、自分の業種に近いものを参考にするとよいでしょう。

創業計画書の記入にあたっては、思い描いた事業が成功するという実現可能性について、いかに納得してもらえるかを意識してください。

融資担当者が一番知りたいことは、きちんと返済してくれるか否かです。自分が必ず返済できる事業者であることをアピールしましょう。

記入のポイント

「1.創業の動機」の欄

  • 思いつきの創業ではなく、以前から計画をたて準備をしていたことをアピールしましょう。
  • 自社らしさ、自社の強みを活かし、どのターゲットに対し、どのような商品・サービスを提供することが目的なのかを書きましょう。

「2.経営者の略歴等」の欄

前職等について〇年勤務とだけ書くのではなく、マネージャーをしていた、賞をとったなどアピールできることがあれば書きましょう。

「3.取扱商品・サービス」の欄

  • 商品、サービス内容について、わかりやすく簡潔に書きましょう。
  • 商品の写真や、サービス内容について図やチャートを添付して説明しましょう。
  • 具体的な販売戦略についての資料を添付して説明しましょう

「セールスポイント」の欄

  • 創業動機で書いた内容と重複しても構いませんので、同業他社に比べて優位性があることをなるべく具体的にアピールしましょう。
  • 既に得意先がある、これまでの人脈で優先的に見込客の紹介を受けることができる、設備を安く購入できるなど、創業するにあたり優位にスタートできることがあれば書きましょう。

「4.取引先・取引関係等」

予定の販売先・仕入先・外注先を記入します。
販売先は潜在顧客でもよいので、必ず記入しましょう。顧客リストや、販売先より発注書をもらえるのであれば、それを添付するとよいでしょう。

「7.必要な資金と調達方法」の欄

記載する金額は1万円単位での記載になります。ここでは資金の調達方法と使途を書きます。右側が調達方法で、左側が使途になります。

右側

①自己資金
起業直前期の普通預金の残高を記入します。

②親等からの借入・他の金融機関からの借入
これらがある場合には記入します。

③日本政策金融公庫からの借入
ここには日本政策金融公庫から借りたい金額を記入します。借入申込書の申込金額と必ず一致させてください。

④合計
①+②+③の合計金額を記入します。
合計の金額は左右2ヶ所に同じ金額を記入します。

左側

⑤設備資金
店舗、工場、機械、備品、車両などの購入予定の見積書の金額(合計額)を記入します。
(内訳)には、機械いくら、備品いくらとそれぞれの金額を記入します。

⑥運転資金
④-⑤の金額を記入します。(開業費用と2〜3ヶ月分の経費が必要です)
(内訳)には、想定される運転資金の主要項目を記入します。

「8.事業の見通し」の欄

実現可能な売上高を記入します。

横の欄の「売上、売上原価、経費の計算根拠」は必ず書きましょう。さらに計算式の根拠となる資料や注文請書などがあれば添付しましょう。

人件費の欄については、個人事業の場合、従業員へのお給料だけを記入します。法人の場合は、自分のお給料と従業員のお給料の合計を記入します。

〈売上、売上原価、経費の計算根拠  日本政策金融公庫の記載例〉

〈創業当初〉
①売上高
(日曜定休)
昼(月〜土)900円×25席×0.8回転×26日=46万円
夜(月〜木)3,500円×25席×0.8回転×18日=126万円
 (金、土)3,500円×25席×1.2回転×8日=84万円

②売上原価  
原価率 35%(勤務時の経験から)

③人件費 
従業員1人20万円
専従者1人(妻)10万円
アルバイト4人(1日延べ14時間)
時給800円×14時間/日×26日=30万円

④家賃 20万円

⑤支払利息 700万円×年○.○%÷12カ月=2万円

⑥その他 光熱費、宣伝広告費等 50万円

〈軌道に乗った後〉
①売上高 
創業時の1.3倍は可能(勤務時の経験から)

②売上原価 当初の原価率を採用

③人件費 従業員1人増 18万円増

⑥その他 諸経費 10万円増

これで「創業計画書」の記入が終わります。

「創業計画書」と「借入申込書」、その他提出書類を提出すると、日本政策金融公庫から「お持ちいただく資料」が届きます。

「お持ちいただく資料」は箇条書きになっており、公庫が必要と思われるものが選び出されています。

例えば

  • 勤務時の源泉徴収票
  • 預金通帳
  • 不動産の賃貸契約書
  • 運転免許証

などです。

これらの資料は、面談日までに揃えましょう。

また、この他に、予測損益計算書や資金計画表を用意しておくとよいでしょう。

面談では、多かれ少なかれ緊張します。できるだけ焦らないためにも、事前の準備をしっかりとしておきましょう。

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(監修:ゆう税理士事務所 代表・税理士小林優子(こばやしゆうこ)
(編集:創業手帳編集部)

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