創業計画書の書き方のポイント

資金調達手帳

日本政策金融公庫の創業計画書で注力すべき項目はコレだ!!

(2015/12/14更新)

創業期に資金調達をする場合、多くが金融機関からの創業融資、すなわちお金を借りることを検討するでしょう。この創業融資を受ける場合、事業計画書を作る必要があります。会社としての信用がない創業期の会社は、事業が成功する見通しがあり、きちんと返済ができることを創業計画書で説明しなければならないのです。
今回は、日本政策金融公庫から創業融資を受ける際に作成する創業計画書の書き方のポイントについて解説します。

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この記事の目次

日本政策金融公庫とは?創業計画書とは?

日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している政策金融機関です。

民間の銀行から資金調達を受けにくい中小企業や、これから起業する方などへの融資を行っています。

金利が低く、無担保無保証や保証人不要などの制度もあります。

また、融資の種類も豊富で、創業期に利用できるものだけでも、新創業融資制度、新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金、中小企業経営力強化資金があります。

そして、その全ての制度に共通する事業計画書が、創業計画書です。

この創業計画書は日本政策金融公庫や協力していただける方への説明資料としても必要となりますが、事業が本当に実現可能かをご自身で確認する意味でもとても重要となります。

作成しながらしっかりと確認してみてください。

創業計画書を書き始める前に!!

日本政策金融公庫の創業計画書のフォームに記載されている項目は、以下の8つです。

  • 創業の動機
  • 経営者の略歴等
  • 取扱商品・サービス
  • 取引先・取引関係等
  • 従業員
  • お借入の状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し

創業計画書(PDF)

初めての場合、各項目の空欄を埋めるだけでも大変ですが、創業計画書は単純に空欄を埋めれば良いというものではありません。

創業計画書に記載した内容が融資審査に影響を与えるためです。

そのため審査する側がチェックしているポイントを抑えた創業計画書を作成する必要があります。

日本政策金融公庫の創業融資の審査で重要となるポイントは、一般的には以下の3つです。

  • 創業する事業の経験
  • 自己資金と借入のバランス
  • 借入を無理なく返済できるか

上記ポイントを日本政策金融公庫の創業計画書フォームに当てはめると、以下のようになります。

  • 創業する事業の経験→「2.経営者の略歴等」
  • 自己資金と借入のバランス →「7.必要な資金と調達方法」
  • 借入を無理なく返済できるか →「8.事業の見通し」

創業計画書の全ての項目について記載する必要がありますが、特にこの3つの項目については、審査ポイントを押さえたうえで、きちんとアピールできるように作成していく必要があります。

この3項目について日本政策金融公庫の創業計画書フォームで記載欄のスペース足りない場合は、別紙などを添付してしっかりとアピールすることをお勧めします。

以降は項目ごとに詳しく説明していきます。

創業計画書の書き方とポイント

1創業の動機

創業への想い、本気度を伝える項目です。

日本政策金融公庫の担当者の方を味方にするつもりで、以下の項目に留意しながら、熱意のある創業動機を作成してください。

日本政策金融公庫の創業計画書のフォームでは少し記載欄が少ないので、別紙で記載する方法もお勧めです。

ただ、あまり長すぎると伝わらないため、長くてもA4一枚に以内程度に収めていただいたほうが良いです。

①思いつきの創業ではなく、しっかりと準備をしてきた開業である

その業種を選んだ経緯から、実際に独立を目指し始めた時期、その後独立に向けて準備してきたことなどを具体的に記載してください。

②創業することで、実現したいことがある

→売り上げをあげて利益を出すのはビジネスでは当然ですが、それだけでは続けていくことは難しくなります。

利益だけではなく、どのようなことを実現していきたいのか、どのように社会貢献していくのかなどの経営方針等を記載してください。

③家族や周囲の理解を得ているか

→独立してすぐに軌道に乗ることは不可能ではないですが、多くの場合、初めは苦労される方が多いです。

そんな時に家族の理解を得ていないとビジネスに集中することができません。独立に対する家族の理解、支援を得られるかどうかを記載してください。

④なぜ、このタイミングでの独立か

→お客様や友達から勧められたなど、主体性がないイメージの記載ではなく、勤務先で固定客がついてきたや、計画通り一通りの業務を経験できた等、主体性をもった内容で記載してください。

2経営者の略歴等 【重要ポイント!!】

創業する事業の経験があり、成功する確率が高いということを説明する項目です。

通常の会社などは、今までの実績などから、今後どのようになっていくかは、ある程度は検討することができます。

一方、これから創業する方は、それができません。そのため、創業融資の審査では、創業者が今まで積んできた経験から判断せざるを得ません。

ここは数値計画上の売上や原価、利益などの根拠としても重要な項目となります。

本当にその売上などを達成できるか、原価管理などを行い実際にその利益を出すことができるか。

また、マネージメントや現場のオペレーションを円滑に進めることができるかなどについて、今までの経験から審査を進めます。

しっかりとアピールするために以下の項目に留意しながら説明していく必要があります。

この項目も日本政策金融公庫の創業計画書フォームでは記載欄が少ないので、別紙で記載する方法もお勧めです。

①十分な経験年数があるか

→経験年数が長ければそれだけで良いという訳ではありませんが、業界経験を積むうえでは一定の年数が必要と考えられます。

②経営者に必要な知識、経験はあるか

→経営していくためには、法律、経理、税務、労務など幅広い知識や経験のほか、十分な金銭感覚なども必要になってきます。

これから始められるビジネスに関するこれらの分野の知識・経験があるということについて、任されていた店長や責任者などのポストと一緒に記載してください。

③勤務時代の実績を説明できるか

→業種にもよりますが、勤務時代の実績がそのまま独立後の売り上げに直結しやすい業種は勤務時代の実績を記載すると説得力があります。

また、それ以外の業種でも勤務時代のノウハウにより、創業後に売上を上げることができる根拠となりますので、できるだけ具体的に数値などを使いながら記載してください。

3取扱商品・サービス

創業後に行う事業について、どのような商品・サービスを提供するのか、どのように集客を行っていくか等を説明する項目です。

顧客ターゲットや立地条件などに合わせた商品・サービス内容、集客方法となっていることを説明するとともに、競合との違い(セールスポイント)を分かりやすく説明してください。

言葉で表現しづらい場合には、写真などの添付資料とする方法もお勧めです。

①商品・サービス・接客・その他のセールスポイントは何か

→「○○な雰囲気」等の抽象的な表現は避け、「○○を実施し、○○をすることで、○○な雰囲気を演出する」等、読んだ人が具体的にイメージできるような記載をしてください。

②競合ではなく、あなたを選んでもらえる理由は何か

→競合と同じ商品・サービスを取り扱っている場合、何らかの理由がないと、お客様の多くは値段で判断し、より安い方で購入することが考えられます。

競合ではなく、あなたを選んでもらえる理由を記載してください。

③どのように集客を行っていくか

→集客の方法について、実施する手段であるインターネット広告、紙媒体広告、SNS、DMなどや、お客様にリピートしてもらうための施策などを具体的に記載してください。

4取引先・取引関係等

顧客ターゲットを具体的に説明するとともに、仕入れ先の確保や信頼性を説明する項目です。

商品、サービスがあふれている今の時代には、創業しただけでお客様が集まるということは少ないです。

創業前にあらかじめ顧客ターゲットをしっかりと設定しているということをアピールしてください。

また、取扱商品自体がセールスポイントとなる場合などは特に仕入れ先の確保について関係性や信頼性をしっかりと説明してください。

①顧客ターゲットを明確にしているか

販売先に一般個人などと記載するだけではなく、ターゲットとするお客様を具体的に記載してください。

例えば個人をターゲットとする場合、年齢・性別、趣味・嗜好、仕事・年収、家族構成などを設定して顧客ターゲットを明確化し追記してください。

②そのターゲットを集客できるか

集客について記載する部分はありませんが、例えば、飲食店や美容室などの店舗型のビジネスの場合、立地条件などの周辺環境も追記することをお勧めします。

③仕入先は確保できているか

仕入先との関係構築能力も経営者には必要です。

仕入先との現在の関係性を記載することで、この能力があるという部分をアピールできる項目でもありますので、仕入先の名称や住所とともに、仕入先との現在の関係性を記載してください。

5従業員

従業員が必要な業種の場合、その必要な従業員は何名かを説明する項目です。業務フローなどを考慮して、人数を記載してください。

6お借入の状況

創業者個人の借入の状況を説明する項目です。

住宅ローンや車・バイクなどのローン、またカードローンなどについても記載してください。

借入申込書の裏面にも書かれていますが、日本政策金融公庫は、審査の際に個人信用情報機関で個人情報を確認することがあります。

記載しなければバレないということはありません。ここはもれなくしっかり記載してください。

7必要な資金と調達方法 【重要ポイント!!】

創業にあたり、資金がいくら必要で、その必要な資金をどのように調達するかを説明する項目です。

また、自己資金と借入のバランスや、自己資金の金額などを確認する項目でもあります。

自己資金は特に重要です。自己資金が少ないと借入額が大きくなり、当然返済負担が大きくなることから、創業後の資金繰りが大変になります。

また、自己資金をためてきた過程は、創業の本気度を言葉以外で説明する唯一の項目です。

そのため、「2.経営者の略歴等」と同じく、とても重要な項目となります。

①必要な資金がモレなく、ダブりなく把握できているか

→創業にあたって、必要資金をすべて把握することはとても重要です。

創業後に想定していなかった出費が増えると、赤字を補てんするために用意しているお金が削られることになり、黒字化までの期間に余裕がなくなることになります。

場合によってはスタートの段階でお金が無くなるといったことも考えられますので、同業者で開業されている先輩や、税理士などの専門家に相談し、しっかりと把握して記載してください。

②開業資金の総額に対して自己資金が十分にあるか

日本政策金融公庫総合研究所の2014年度「新規開業実態調査」のデータによると創業に必要な総額に占める自己資金の割合は24%となっており、親族からの援助7%を合計すると31%となっております。

現在、新創業融資制度の自己資金要件は創業に必要な資金総額の10%となっておりますが、以前は33%でした。実態としては以前の要件である33%が目安になると思います。

また、同調査によると、事業が軌道に乗り黒字化されるまでに6か月以上かかるという結果も出ています。

そのため、赤字補てん分を用意せずに、お店の内装などの設備投資ギリギリの資金だけで創業することはお勧めできません。

しっかりと赤字補てん分を準備できる資金が集まらない場合には、創業するタイミングをもう一度検討されることをお勧めします。

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③自己資金を通帳で説明できるか

ご自身で貯めてこられた自己資金について、日本政策金融公庫では、必ず通帳原本の確認を行います。

一時的に他の方から借りて通帳残高を増やすといった、いわゆる見せ金は通用しません。

また、タンス預金も自己資金として認めてもらうのは難しくなります。

ご自身の通帳で創業するためにコツコツと準備してきた過程を説明できる通帳が必要となります。

8事業の見通し 【重要ポイント!!】

創業後の収支の見込みを説明する項目です。

ここでは、軌道に乗った後に、日本政策金融公庫への借り入れの返済が無理なくできるか。

また、創業者の他の借入の状況や、家族構成などから生活するうえで必要な給料を創業者に支払うことができるかの確認も行われます。

他の項目に記載した情報なども参考にして、無理のない売上計画となっているか、原価率となっているかなどを総合的に検討する項目でもあります。

日本政策金融公庫の創業計画書には創業当初と軌道に乗った後のみの記載となっていますが、可能な限り軌道に乗るまでにお金が足りなくなることがないかを資金繰り表などを使用して確認することも必要となります。

エクセル等を使って確認されるか、税理士などの創業支援を行っている専門家を使って確認されることをお勧めします。

①各項目の数値の根拠が示せるか

売上については、例えば美容業の場合、お客様の単価×人数×営業日が売上の根拠となります。

原価率、人件費やその他の項目についても計算過程を記載してください。

②売上計画が同業者等の平均値等と比べ無理のないものとなっているか

日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」※を参考に、ここに記載されている各指標データと大幅にズレがないかを確認してください。

https://www.jfc.go.jp/n/findings/sme_findings2.html

③借入の返済及び創業者の生活費を支払うことはできるか

事業の見通しの一番下の項目である利益の金額は次の3点を加味したものの必要があります。

①日本政策金融公庫への借入金返済額②税金・国保・国民年金の支払い④創業者の生活費。この項目を無理なく支払うことができることを確認してください。

最後に

創業計画書は、一度書いて完成するものではありません。何度も書き直しを繰り返し、ブラッシュアップしていく必要があります。

この繰り返しの中で、より事業の内容や特徴を整理でき、自社の強みや弱みを見つけることができます。

また、欠けていた視点に気付くことも良くあります。

創業計画書の作成は大変な作業ではありますが、創業融資だけでなく開業後のご自身のためにもしっかりと作成されることをお勧めします。

もし、創業計画書を一人で作成する時間がない場合には、税理士などの「創業支援を行っている専門家」にご相談することをお勧めします。

特に、「認定支援機関として登録している専門家」の支援があれば、条件にもよりますが、融資利率が通常より約1%程度低く抑えることが可能です。

専門家を賢く活用して、短い時間で、かつ確実に融資を受けましょう。

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(監修:「理・美容室の創業融資・開業支援に強い税理士事務所」
ライズサポート税理士事務所
武渕将弘 税理士)
(編集:創業手帳編集部)

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