【2026年最新】インボイス未登録の飲食店領収書は経費にできる?経営者が知るべき仕入税額控除の最新情報
会食・接待費で損しないために。2029年まで使える経過措置のスケジュールを紹介

インボイス制度の導入により、会食や接待で利用する飲食店が登録事業者かどうかが、消費税の負担に大きく影響するようになりました。「インボイス未登録の店では経費にならないのでは?」と不安を感じている方も多いかもしれません。
経費計上自体は可能ですが、消費税の仕入税額控除については別の扱いです。さらに、2029年まで段階的に変更される経過措置のスケジュールや、少額特例などの知っておくべき制度も存在します。
この記事では、飲食費の適切な処理方法と、知らずに損をしないための実務ポイントを詳しく解説します。
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この記事の目次
インボイス未登録店でも経費計上は可能

インボイス未登録の飲食店でも、経費計上は可能です。ただし、「経費になること」と「消費税の仕入税額控除が受けられること」は別問題であることを理解する必要があります。
経費計上とは何か
経費計上とは、法人税や所得税の計算において、税務申告で所得から差し引く手続きです。接待交際費や会議費、福利厚生費など、業務に関連する飲食費は経費として認められます。
インボイス制度の有無に関わらず、事業関連性があれば経費として認められます。インボイス未登録の飲食店を利用した場合でも、その支出が業務上必要であれば、法人税や所得税の計算上は経費として扱って問題ありません。
仕入税額控除とは何か
仕入税額控除は、消費税の計算における制度です。課税事業者は、売上に対して受け取った消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて納税額を計算します。この「差し引く」ことができる仕組みが、仕入税額控除です。
例えば、1万円(税込11,000円)の飲食をした場合、消費税1,000円を支払っています。この1,000円を売上の消費税から控除できるかどうかが、インボイス制度によって変わってきます。
- インボイス登録済みの店舗:消費税1,000円を全額控除可能
- インボイス未登録の店舗:原則として控除不可(ただし経過措置あり)
つまり、インボイス対応の有無によって、最終的な税負担が異なることになります。
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飲食店がインボイス登録済みか確認する方法

事業経営において、飲食店で接待や会合を行うこともあるでしょう。消費税の仕入税控除を受けるには、飲食店がインボイス登録済みかを確認する必要があります。インボイス制度に対応しているかを確認するには、いくつか方法があります。
領収書の登録番号をチェック
手軽な確認方法は、実際に発行された領収書やレシートをチェックすることです。インボイス登録済みの事業者は、適格請求書に「T+13桁の数字」で構成される登録番号を記載する義務があります。
例えば「T1234567890123」のような番号が記載されていれば、その飲食店はインボイス登録事業者です。
国税庁サイトで登録状況を検索
国税庁の「適格請求書発行事業者公表システム」を使えば、登録状況を確認できます。店名や法人番号、登録番号などで検索が可能です。ただし、個人事業主の場合は氏名が公表されていないケースもあります。
店舗に直接問い合わせる
事前に飲食店のインボイス対応状況を確認したい場合は、直接店舗に問い合わせる方法が確実です。電話やメール、予約サイトのメッセージ機能などを使って「インボイス制度に対応していますか」「適格請求書の発行は可能ですか」と尋ねれば、対応状況を教えてくれるでしょう。
特に、接待や大人数での会食など高額な支出が予想される場合や定期的に利用を検討している店舗については、事前確認をおすすめします。
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領収書で確認すべき記載内容

インボイス制度における適格請求書(領収書)には、法律で定められた記載事項があります。経費精算や仕入税額控除を受けるために、受け取った領収書が要件を満たしているか確認することが重要です。
適格請求書の6つの必須項目
インボイス制度において仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)として認められる領収書が必要です。適格請求書には以下の6項目がすべて記載されていなければなりません。
- 発行事業者の氏名・名称および登録番号:「T」から始まる13桁の登録番号
- 取引年月日:実際に取引が行われた日付
- 取引内容:購入した商品やサービスの内容。軽減税率(8%)対象品目がある場合は「※」などで区別
- 税率ごとの合計額・適用税率:10%対象と8%対象を分けて、それぞれの税率を明示
- 消費税額等:税率ごとに計算された消費税額を記載
- 交付を受ける事業者の氏名・名称:領収書を受け取る側の宛名
これら6項目のうち1つでも欠けていれば、原則として仕入税額控除を受けることができません。経費精算の際は、これらの記載が漏れなく揃っているか必ず確認しましょう。
飲食店で使える簡易インボイス
飲食店や小売店、タクシーなど不特定多数の顧客と取引する事業者については、記載事項を簡略化した「適格簡易請求書(簡易インボイス)」の発行が認められています。
簡易インボイスの特徴は、宛名(交付を受ける事業者の氏名・名称)の記載が不要である点です。「上様」や宛名なしの領収書・レシートでも、他の5項目が適切に記載されていれば仕入税額控除の対象となります。
レシートと領収書の違い
「領収書の方が正式で、レシートは簡易的なもの」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、インボイス制度下ではレシートでも領収書でも、必要事項が記載されていれば税務上は同等の効力があります。
重要なのは書類の名称や体裁ではなく、適格請求書として求められる項目が正確に記載されているかどうかです。レシートは税率別の金額や消費税額、登録番号などが自動的に印字されるため、記載漏れのリスクが低くなります。
さらに、レシートには購入した商品の明細が詳細に記録されているため、税務調査の際に「何を購入したのか」を客観的に説明しやすいというメリットもあります。
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実務での正しい対応と保管方法

インボイス制度に対応するためには、領収書の取得だけでなく、適切な保管と記録が不可欠です。法律で定められた保存期間を守り、会計処理を正しく行うことで、税務調査にも自信を持って対応できます。
領収書の適切な保管ルール
領収書やレシートは、法律で定められた期間、適切に保管する必要があります。保存期間は事業形態によって異なるため、自社の該当する区分を正確に把握しておきましょう。
なお、電子帳簿保存法の要件を満たせば、領収書を電子データとして保存することも可能です。紙の領収書は経年劣化で印字が薄くなることもあるため、スマートフォンで写真撮影したり、スキャンしてPDFとして保存したりしておくと安心です。
法人の保存期間
法人は、領収書を確定申告の提出期限翌日から7年間保存しなければなりません。たとえば、2024年3月決算法人の場合、2024年5月末に申告書を提出すれば、2024年6月1日から7年間、つまり2031年5月31日まで保存が必要です。
ただし、青色繰越欠損金が生じた事業年度については、10年間の保存が義務付けられています。赤字を翌期以降に繰り越す場合は、通常より3年長く保管しなければならない点に注意が必要です。
個人事業主の保存期間
青色申告を行っている個人事業主は、確定申告期限の翌日から7年間の保存が必要です。たとえば、2024年分(令和6年分)の確定申告は2025年3月17日が期限です。この場合、2025年3月18日から7年間、つまり2032年3月17日まで保存します。
ただし、前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の青色申告事業者、白色申告事業者に関しては保存期間が5年間に短縮されています。自分がどの区分に該当するか、確認しておきましょう。
会計ソフトへの入力方法
インボイス制度下では、取引先がインボイス登録事業者かどうかを区分して記録することが重要です。多くの会計ソフトには、取引先ごとに登録番号を管理する機能が搭載されており、一度登録しておけば自動的に適格請求書として処理されます。
インボイス未登録店舗からの支出については、経過措置による控除割合を適用する必要があります。会計ソフトの設定で、未登録事業者からの仕入れを区別できるようにしておけば、消費税額を自動計算してくれるため便利です。
免税事業者は気にしなくてOK
年間課税売上高が1,000万円以下などの条件により、消費税の納税義務が免除されている免税事業者は、仕入税額控除を意識する必要がありません。そもそも消費税を納める義務がないため、取引先がインボイス登録しているかどうかは、税務上の影響がないためです。
免税事業者は、領収書に登録番号が記載されていなくても、従来通り経費として計上すれば問題ありません。
ただし、将来的に事業が拡大して課税事業者になる可能性がある場合は、領収書の管理体制を整えておくと安心です。免税事業者のうちから適格請求書の有無を記録する習慣をつけておけば、課税事業者に切り替わったときにスムーズに対応できます。
税理士への相談も検討を
インボイス制度は複雑で、業種・事業規模・取引先の状況によって最適な対応方法が異なります。特に飲食費の支出が多い事業者や、消費税の納税額が大きい課税事業者は、専門家である税理士への相談を検討することをおすすめします。
税理士は具体的な状況を踏まえた上で、経過措置の活用方法や少額特例の適用判断など、実務的なアドバイスを提供してくれます。また、税制改正の最新情報にも精通しているため、将来的なリスクを事前に回避することも可能です。
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インボイス未登録店での仕入税額控除はどうなる?

取引先がインボイス登録をしていない場合、仕入税額控除にどのような影響があるのでしょうか。未登録店との取引が多い事業者は、制度の仕組みを正しく理解しておく必要があります。
原則として控除は受けられない
適格請求書発行事業者として登録していない店舗から発行された領収書では、原則として仕入税額控除を受けることができません。
この制度の趣旨は、消費税の「預かった税」と「支払った税」を正確に把握し、適正な納税を実現することにあります。インボイス未登録の事業者の多くは、年間課税売上高が1,000万円以下の免税事業者です。
免税事業者は消費税の納税義務がないため、請求書に記載された「消費税相当額」を実際には国に納めていません。このような取引について仕入税額控除を認めると、税の流れが不透明になってしまうため、適格請求書がない場合は控除対象外となる仕組みです。
経過措置による段階的な控除制限
インボイス制度の導入による急激な税負担増を避けるため、免税事業者等からの仕入れについても、一定割合の控除が認められる経過措置が実施されています。この措置により、段階的に控除割合が縮小していくスケジュールとなっています。
令和8年度税制改正大綱で示されている、新しい経過措置のスケジュールは以下のとおりです。
| 期間 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 2023/10/1〜2026/9/30 | 80% | 80% |
| 2026/10/1〜2028/9/30 | 50% | 70% |
| 2028/10/1〜2029/9/30 | 50% | 50% |
| 2029/10/1〜2030/9/30 | 0% | 50% |
| 2030/10/1〜2031/9/30 | 0% | 30% |
| 2031/10/1〜 | 0% | 0% |
この経過措置を活用することで、当面の税負担を正確に把握し、計画的な経費管理が可能になります。
経過措置の詳細な計算方法や実務上の注意点については、仕入税額控除の経過措置の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
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知っておきたい特例と例外措置

インボイス制度にはいくつかの特例措置が用意されており、すべての取引で適格請求書が必須というわけではありません。特に小規模事業者向けの少額特例や、インボイス交付が困難な取引に関する特例を知っておくことで、実務上の負担を大きく軽減できます。
少額特例(1万円未満)とは
インボイス制度には、小規模事業者の事務負担を軽減するための「少額特例」が設けられています。
この特例は、2023年10月1日から2029年9月30日までの6年間限定で適用される措置です。対象となるのは、以下の事業主です。
- 基準期間(個人事業主は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1億円以下
- 特定期間(個人事業主は前年1月〜6月、法人は前事業年度開始から6ヶ月間)の課税売上高が5,000万円以下
これらの要件を満たす事業者は、税込1万円未満の課税仕入れについて、適格請求書がなくても全額の仕入税額控除が可能です。たとえば、インボイス未登録の飲食店でのランチミーティング(1人8,000円)や、少額の文具購入などは、領収書に登録番号がなくても控除できます。
自動販売機や公共交通機関の特例
インボイスの交付が困難な取引については、恒久的な特例措置が設けられています。具体的には、以下のような取引では、適格請求書がなくても仕入税額控除を受けられます。
- 自動販売機での飲料購入
- 公共交通機関(鉄道、バス、航空機、船舶)の3万円未満の運賃
- 郵便切手による郵便サービス(ポストへの投函に限る)など
営業先への移動で電車やバスを利用した場合、ICカードの利用履歴やきっぷの半券があれば、インボイスがなくても控除可能です。自動販売機で購入した飲料についても、商品名と金額を記録しておけば問題ありません。
ただし、この特例は飲食店での通常の飲食には適用されません。飲食店は、通常インボイスを発行できる環境にあるため対象外です。
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よくある質問と回答

飲食費の経費計上とインボイス制度について、実務でよく寄せられる質問をまとめました。従業員との食事会やクレジットカード利用、割り勘など、具体的なシーンでの対応方法を理解しておきましょう。
従業員との食事会は経費になる?
従業員との食事会は、一定の条件を満たせば福利厚生費または会議費として経費計上が可能です。
| 勘定科目 | 典型シーン | 目的 | 参加者 | 具体例 |
|---|---|---|---|---|
| 福利厚生費 | 忘年会・新年会・歓迎会・送別会・慰安行事 | 慰安・親睦、士気向上(業務打合せが主目的ではない) | 全社員(または部・課など一定単位)を広く対象に案内し、参加機会が公平 | 全社忘年会、部署の歓迎会(当該部署全員対象)、社内レクリエーション後の懇親会 |
| 会議費 | 社内打合せに付随する軽飲食 | 業務上の打合せ・会議の延長 | 社内メンバーのみ(役員・従業員) | ランチミーティングの弁当代、会議室の飲料・菓子、残業時の簡易な食事 |
年末の忘年会や歓送迎会など、全社員が参加できる行事であれば、福利厚生費として計上して問題ありません。一人当たりの金額についても、常識的な範囲内であれば正当な経費として処理できます。
個人事業主の事業用クレカ利用は?
クレジットカードで飲食代を支払った場合でも、インボイス制度の基本的な取り扱いは現金払いと変わりません。重要なのは、クレジットカード会社が発行する利用明細書だけでは適格請求書の要件を満たさないという点です。
クレジット利用明細には店名と金額は記載されていますが、適格請求書発行事業者の登録番号や税率ごとの合計額、消費税額といった必須項目が含まれていません。そのため、カード明細だけを保管していても仕入税額控除を受けることはできません。
支払方法にかかわらず、「適格請求書を取得する」ことが重要だと理解しておきましょう。
割り勘の場合の領収書は?
複数人で飲食費を割り勘にする場合、理想的には各自が自分の支払分について個別に領収書を受け取ることです。それぞれが自社の経費として計上する際に、確実に仕入税額控除を受けられます。
しかし実務上は、代表者が一括で支払いを行い、後から割り勘精算するケースが多いでしょう。この場合、領収書は代表者が受け取ることになります。
代表者は受け取った領収書を保管し、自社の経費として計上できます。一方で、他の参加者は領収書の原本を持っていないため、経費計上の根拠資料が不足する可能性があります。
そこで推奨されるのは、代表者が受け取った領収書またはレシートのコピーを、他の参加者にも共有することです。加えて、割り勘の金額や参加者を記録した支払記録(メモやメールなど)を残しておくことで、税務調査時にも説明がしやすくなります。
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まとめ
インボイス制度下での飲食費は、未登録店でも経費計上できますが、消費税の仕入税額控除には注意が必要です。経過措置は段階的に変更され、少額特例などの活用も重要になります。
領収書には登録番号など6つの必須項目が記載されているか確認し、法定期間中は適切に保管しましょう。適切に会計処理を行い、確定申告の準備を進めましょう。
(編集:創業手帳編集部)







