スタートアップの資金調達で知っておきたい「投資ラウンド」とは?

資金調達手帳

会社の成長段階に応じた、賢い資金調達を

(2018/07/27更新)

スタートアップ企業にとって、どのように資金調達するかは大きな課題ではないでしょうか。資金調達にはいくつもの方法がありますが、その会社の状況によって適している方法が異なります。

起業直後の会社は、事業展開の状況によっていくつかの「会社ステージ」(=創業期・成長期・安定期などといった、企業の成長段階)や「投資ラウンド」(ベンチャー企業に投資をする段階のことで、会社のステージに応じて変わったり繰り返されたりする)に分かれています。これらの言葉は聞いたことがあっても、細かい違いや、自社が今どこに位置しているのかなどの知識や判断が曖昧な方もいるかもしれません。

そこで今回は、スタートアップ企業の経営に欠かせない「投資ラウンド」の考え方について分かりやすく解説します。また、この記事の最後では、スタートアップ企業に適した資金調達方法の1つ「ベンチャーキャピタルからの出資」についても詳しく紹介します。

「投資ラウンド」について正しく理解し、資金調達に役立ててください。

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投資ラウンドとは

そもそも、「投資ラウンド」とはどういうものなのか、概要を解説します。

投資ラウンドとは「投資家が企業に対して投資をする段階」を指す言葉です。スタートアップ企業に投資する代表的な存在がベンチャーキャピタルですが、ベンチャーキャピタルは利益を最大化するため、「自分の投資目的を果たしやすい時期」の会社に投資を行うという特徴があります。

自分の投資の目的とは、例えば投資時よりも値上がりした株価を売却することによって発生する資金が目的だったり、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)などのように、自社の領域で、高いシナジー効果が狙いで出資を決める場合もあります。

そこで、投資家に向けてスタートアップ企業がどのような段階あるかを分かりやすく示すために生まれたのが、「投資ラウンド」という考え方です。主に、IT企業がひしめくアメリカのシリコンバレーで使われている用語ですが、起業意識の高まりも後押しして、日本でもよく耳にするようになりました。

投資側によって、名称に多少の誤差はありますが、一般的に次の5つのステージに分けて説明されることが多いです。

投資ラウンド名 会社ステージ
シード 起業前の段階
アーリー 起業直後の段階。いわゆる「スタートアップ」
シリーズA
(エクスパンション)
事業を本格開始する段階
シリーズB
(グロース)
事業がやや軌道に乗り始めた段階
シリーズC
(レイター)
黒字になり、経営が安定しつつある段階

それぞれのラウンドのことを「フェーズ」とも言います(例:現在の投資フェーズは、シードである)。

ラウンドごとの資金調達のポイント

どのステージに属しているかにより、会社の成長段階がまったく違うということは理解いただけたと思います。会社の経営状況や規模、ビジネスの進捗が違えば、投資家にアピールするポイントも異なります。

それぞれのラウンドごとの資金調達ポイントと、各ラウンドが、どのような規模の会社を対象としているかなど、以下にまとめましたので、参考にしてください。

シード

シードとは起業前の段階を指します。
ビジネスモデルだけが決まっている段階、法人設立前の段階、商品を開発中の段階、などが当てはまります。ですから、投資家の心をつかむためにはビジネスプランを練り、質を高めることが大切です。

また、同じビジョンを持つ投資家に出会うことができれば、人柄で投資を受けられる可能性もあるので、人脈を広げることも重要です。

実際のビジネスがスタートしているわけでないので、具体的に資金が必要となる場面はまだ少ないかもしれませんが、設立費用や調査・研究費を捻出することが必要になる場合もあります。

このステージでは、まだビジネスプランの準備段階でもあるので、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資が多いです。投資の規模としてはあまり大きくなく、数百万円程度となります。

アーリー

アーリーは、起業直後の段階を指します。
創業融資などで設立費用を賄うことが多いので、この段階では赤字経営の企業も多いです。また、ビジネスに着手している分、投資家から見ると投資のリスクが高い状態です。ですから、投資家の納得感を得るためにも、ビジネスプランの実現可能性を強くアピールすることが、良い資金調達につながります。

ベンチャーキャピタルからの出資などに頼ることもできますが、金融機関からの借り入れや補助金・助成金などを活用できる時期でもあります。国や金融機関、自治体の創業支援を活用して効率的に資金調達を行いましょう。

シリーズA(エクスパンション)

シリーズAと言われる段階では、サービスや商品のリリースを開始し、マーケティングも本格的にスタートします。

シリーズA以降は、ベンチャーキャピタルからの出資が得られやすい企業ステージです。ベンチャーキャピタルからは、資金だけではなく、経営に対するアドバイスや、社会的信用を得ることができます。それらを得るためには、自社にあったベンチャーキャピタルを見つけるのが最大のポイントです。ベンチャーキャピタルによって重視するポイントや、アドバイスしてくれる内容も違うので、それまでの投資先の状況なども調査し、選ぶようにしましょう。

ビジネスの方向性がある程度分かる時期でもあるので、ベンチャーキャピタルからの出資が得られやすくなります。資金調達の規模は、数千万円から2億円程度が多いです。

シリーズB(グロース)

シリーズBは、商品やサービスが軌道に乗りはじめ、会社をより大きくするための資金が必要となる段階です。
日本では、この段階で会社の売却や株式上場を行う企業もあります。会社規模もある程度大きくなってきて、複数のチームが並行して活動できる状況です。

ここでも、ベンチャーキャピタルからの出資が大半を締めます。投資額としては、数億円が目安となります。エグジット(※1)間近の段階なので、黒字化が一層求められます。ベンチャーキャピタルの最終目的は、エグジットを実現させて投資金額を回収することなので、それが実現可能というビジネスプランを強く示す必要があります。

資金調達額も大きくなるので、1社のベンチャーキャピタルですべてを獲得しようとするのではなく、複数のベンチャーキャピタルからの出資を検討するのもひとつの方法です。

※1
エグジット:「EXIT(出口)」のことを指し、スタートアップの創業者やベンチャーキャピタルが投資した資金を回収する方法。

シリーズC(レイター)

スタートアップの目標のひとつでもあるエグジットをするために、十分な利益や売上げの確保が求められている段階です。全国展開や海外進出、買収など、大きな変化を取り入れるために多額の資金を必要としています。

そのため、調達資金の額も一番多く、10億円を超えるケースがあります。

ベンチャーキャピタルからの出資は有力な資金調達方法

ここまで、「投資ラウンド」ごとの資金調達方法についてまとめましたが、スタートアップ企業の資金調達方法として、有力な手段になり得るのが「ベンチャーキャピタルからの出資」です。アメリカでは一般的な方法ですが、日本でもようやく近年選択肢として広がってきました。

ベンチャーキャピタルとは、株式上場前の成長企業に投資する会社。資金と引き換えに株式などを受け取り、投資先が株式上場を行った際に株式を売却して投資を回収することを目指します。あるいは、投資先企業が他の企業に買収されることでも、投資金額を回収することができます。

スタートアップ企業の大きな課題が資金調達ですが、金融機関からの融資とは違い、ベンチャーキャピタルからの出資は返済する必要がありません。これはベンチャーキャピタルを活用する大きなメリットです。

ベンチャーキャピタルでの仕組みなど、より詳しいことについては以下の記事で解説しています。

ベンチャーキャピタルから出資を受けると、次のメリットが得られます。

  • 金融機関からの融資とは違い、出資金を返済する必要がない
  • 資金調達額が大きいので、短期間で会社の成長が見込める
  • 経営サポートが受けられる(シェアオフィス、顧客や提携先の紹介、イベントでの人脈づくりなど)
  • ベンチャーキャピタルからの出資で信用度が高まり、他の出資が得られやすくなる

一方、次のデメリットもあるので、理解した上で活用を検討してください。

  • ベンチャーキャピタルが経営について口出しをしてくる可能性がある
  • 確実に結果を出すことが求められる

ベンチャーキャピタルからの出資を得られると、会社の資本自体が増えるので、経営者としては非常に心強いです。しかし、出資金を回収するのがベンチャーキャピタルの目的でもあるので、出資に際しては厳しい審査が行われます。ベンチャーキャピタルごとの特徴を比較し、自社にあったところを見つけましょう。

まとめ

スタートアップ企業にとって、どうやって資金調達を行うかというのは大きな課題です。やみくもに金融機関に相談したり、投資を呼びかけたりするのではなく、会社のステージに合った方法を選ぶことで、資金調達がスムーズに進むかもしれません。

今回の記事で、投資ラウンドという考え方を理解していただき、資金調達に役立てていただければと思います。そして、シードから始まった会社が大きく成長し、レイターのフェーズに近づくことを願っています。

(執筆:創業手帳編集部)

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