自宅も家庭も仕組み化!女性起業家から見た効率化のポイント
在宅秘書サービス代表 保田由香さんインタビュー
(2015/11/30更新)
航空会社、VC、人事、起業と異色のキャリアを持つ保田さんが行き着いたのは、在宅勤務で仕事と家庭を両立していく働き方でした。子育てと家庭、そして仕事を両立するための効率化のポイントと、本業である在宅秘書サービスで蓄積した電話対応のノウハウを伺いました。
大学卒業後、国内航空会社に入社し、主に国際線の客室乗務員として勤務。その後国内VCのアシスタントとして、エンジェル投資家のサポート業務を行う。その後、国内外に30店舗以上を展開する高級料理店の人事部に入社。退職後、一般社団法人シェア・ブレイン・ビジネス・スクール(旧アントレプレナーコーチング株式会社)のカスタマー・サポートリーダーを経て、同社の新規事業である「在宅秘書サービス」の分社化を機に、NPO法人ウーマン・キャリア・デザインの副理事に就任。現在は、在宅秘書サービスの代表となっている。
時間の制約があるほど燃える
保田:そうですね。
結婚は30歳の時だったんですけど、その時は航空会社に勤めていたので、家を空ける仕事ずっと続けるのはキツイなと感じていました。
転職するなら1日でも1歳でも早いほうがいいと思い、辞めたんです。しかし、転職した先もサービス業だったので、結構夜遅くて土日も出勤していました。
産休に入り復職したら大変だなと考えていたところ、たまたまアントレプレナーコーチングという会社が在宅スタッフを初めて募集するということで、応募しました。
募集のコンセプトが「起業したい人大歓迎」だったんです。起業も視野に入れていたので、色々なことを学べる機会だと思ったのも大きいです。
幸い、採用してもらえました。
保田:生後半年くらいでした。
時間があって自由だと何もしないタイプで、制約があるほうが動きたくなるんです。
息子に追われて時間がこれだけしかないとかそういう制約があるほうが色々やりたくなっちゃうんです。
保田:家事・育児は、ちゃんとはやってないんです(笑)
全部完璧にやろうと思わず、今やるべきこと、後でもいいこと、やらなくてもいいことをより意識するようになりました。
ビジネスに割く時間の確保という点では、クライアント様から「御社のサービスに興味があるので、説明に来てください」というお話を頂いたとしても、「申し訳ありません、弊社は在宅勤務の推進支援をする会社です。
在宅勤務でどのようなことができるかを企業様にも体感していただきたいので」とお願いをして、打ち合わせなどはオンラインで全部やらせていただいています。
保田:相手の方にはご負担をおかけしたり、ご協力をお願いすることもありますが、既成概念を覆すと言いますが、「〜〜でないとダメだよね」と思われていることを、本当にそうなのかな?それ以外の方法はないのかな?という視点を持って、仕事をするようにはしています。
起業している方だけでなく、会社に勤めている人も、家事や育児は女性が担当することが多くなると思います。
どうしても仕事だけに集中するのが難しいので、上手く効率化する事には余念がありません(笑)
仕組み化して、同じことは2度やらない
保田:本当にそうだと思います。
家事育児の手間や時間を削るのも大切なんですが、そうしてしまうとコンディションも悪くなってしまうので、仕事をいかに効率よくするかということが大切です。
仕事では、大きなものをガッツリというよりも細かいものを削りました。
仕組みを時間をかけてやって、次からは手間をかけません。お問い合わせもパターン化できてくるので、「この一言をあらかじめ伝えておけばこういう問い合わせがグッと減る」みたいなことは、常に意識して社内共有しています。
保田:結局、家事・育児をするのは、たぶん8割女性です。
弊社は、起業家に出産や育児、ご主人の転勤などで仕事を辞めざるを得なかった優秀な女性をご紹介しているんですね。
その紹介させて頂いた女性を見ていてつくづく思うんですが、今まで専業主婦だった人が仕事し始めると旦那さんがいい顔しないっていうのは絶対あります(笑)
「働いて世帯収入が増えるのはいいけど、俺の家事負担を増やさない程度にしてくれよ」というのが男性の本音です(笑)
弊社は在宅勤務をご紹介しているので、そこまでの負担が増えないような形ですが、男性はたぶんそういう事を考えるだろうなっていう意識を持って色々な事を準備していくことが大事です。
保田:うちの主人は、好きな事を好きにしていいって言ってくれるので、ちょっと特殊です。
ただ、主人の家事のクオリティが低いことに対して、文句を言うと不機嫌になるので、あまり頼まず私がやる形で落ち着いてます(笑)。
パートナーのタイプを見極める必要があります。
育てて変わるタイプの人を変えていくのか、それを嫌がる人の場合は、頼まずに自分で完結していくような仕組みにしていったほうがいいのか。
保田:弊社がご紹介している秘書さんも、家で働くからご主人も働く姿を見てる場合が多いんです。
そうすると、すごく露骨に不機嫌になる人もいらっしゃるそうなんですね。
仕事が面白くなってくると、旦那さんがどんどん不機嫌になってくるケースもあるので、周囲をうまくうまく巻き込んでいくのは大事かなと思います。
電話対応は最強のビジネスパートナー
保田:メリットとしては、
- 信頼関係の構築
- スピード
- 非言語コミュニケーション
の3点があります。
全て、Webで完結するようにすれば効率的ですが、一度でも話した方が親近感や信頼感が増します。また、スピード感を持ちチャンスを逃さないことにも繋がります。
非言語コミュニケーションというのは、メールなどの文字では感じる取ることのできない
「相手のニュアンス」を理解する時や、文字に残ると好ましくないお詫びなどの際にも、電話が適しています。
保田:ポイントは、
- 迅速に
- 正確に
- 感じよく
行うという3点です。
電話はコストがかかるもの、また、相手の時間をいただくものなので、迅速に行うのがベターです。
特に、自分からかける場合は、要点を整理してからかけましょう。そして、内容は正確にメモをし、復唱確認をします。
特に、相手の社名・名前、数字、日時に関することについては、必須です。1と7など紛らわしい数字は「いち」、「なな」など言い換えると誤解がありません。
保田:その通りです。3つ目のポイントである「感じよく」対応するためには、電話をとる前に口角をあげて笑顔を作ると良いです。
そして、普段より、ゆっくり少し高めのトーンで話すと効果的です。もちろん電話を切るときも、相手が切ってからです。
その時も受話器をそのまま置いて電話を切るのではななく、手で切ってから受話器を置くと、相手に「ガチャン!」という耳障りな音を聞かせてしまうことがありません。
保田:あります。
ポイントは、
- クッション言葉の活用する
- 最後はプラスの言葉で締める
- 相手の言葉に合わせる、
の3点です。
クッション言葉とは、「恐れ入りますが」「お手数をおかけいたしますが」などの表現です。
そして会話の最後にはポジティブな内容を持ってきて、良い印象で締めくくります。
若者や高齢者など、相手の理解力に合わせた表現方法を選ぶのも良い印象を与えるポイントです。特にカタカナ英語には注意が必要です。
妹の就活にもビジネスチャンスが
保田:本当にそうだと思います。
以前、同居していた妹が転職活動をしていた時のエピソードがあります。
妹の就活状況は理解していませんでしたが、ある日、自宅の電話に1本の電話がかかってきました。
最初は「○○さん(妹の名前)はいらっしゃいますか?」というだけだったのですが、「これはもしや応募している会社?!」と思い、妹は外出していること、何時くらいなら戻ること、帰宅したら電話を差し上げるように伝えることなど、いわゆる一般的な電話応対をしました。
やはり、妹が応募している会社で、後日、無事に採用していただきました。
保田:しかもそれだけではなく、その時の対応が素晴らしかったと評価いただき、今もずっと「お姉さんの電話、すごく良かったな〜」とおっしゃってくださっているそうです。
そして、それが功を奏したのかどうかわかりませんが、その妹の勤務先企業からビジネスマナー研修のご依頼をいただくことになりました!
保田:当時は、当然ながらそんなことまで思わず、「とにかく妹に悪い印象を持たれないように」という思いだけでしたが、こうしてご縁が巡り巡って、お仕事に繋がりました。
まさに、一本の電話がチャンスにつながったという出来事でした。
このエピソードからも言えますが、電話対応一つで印象が変わり、ビジネスに繋がることも実際にあります。
そのため、是非皆さんにもポイントを取り入れて頂きたいですね。
(編集:創業手帳編集部)
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