一般社団法人の設立はどう進める?費用・流れ・手続きをわかりやすく解説

創業手帳

一般社団法人設立の費用や流れをわかりやすく解説します!

一般社団法人設立サムネイル

この記事でわかること!

●一般社団法人の設立の流れ(5ステップ)
●一般社団法人の設立にかかる費用
●一般社団法人の設立にかかる期間
●一般社団法人は自分で設立できるかどうか

一般社団法人は、期間は最短1~2週間、費用は最小11万円から設立できる法人格です。資本金は不要で、NPOより自由に活動できます。

一般社団法人 株式会社 NPO
費用 11万円~ 約20万円以上 数千円~数万円
期間 最短約1~2週間 約2~3週間 約2~4か月
自由度 非常に高い 高い NPO法の範囲内

本記事では、一般社団法人設立の5ステップを、費用や期間と共にわかりやすく解説します。

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この記事の目次

資本金ゼロでもOK!一般社団法人の仕組みを解説

集団のイメージ

一般社団法人は、基本的に非営利法人の一種です。

法人には大きく分けて、「営利法人(株式会社、合同会社など)」と「非営利法人(学校法人、宗教法人、組合など)」があり、一般社団法人は後者にあたります。

営利を目的としないため、一般社団法人の設立では株式会社のような資本金は必要ありません。人(社員)が2名以上集まれば、資本金ゼロでも設立は可能です。実際に法人を運営するためには経費や活動資金が必要なため、必要に応じて「基金」を設けることもできます(基金は任意です)。

一般社団法人の設立は、以下の領域に向いています。

  • 芸術や地域振興関連事業
  • 観光振興業
  • 福祉・介護、医療系
  • 学会・資格認定ビジネス

さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

一般社団法人とは?財団法人や一般企業との違いや特徴を徹底解説!

最小11万円!一般社団法人の設立費用

 
一般社団法人の設立手続きの費用は、最低、下記の計11万円が必要です。

  • 定款認証費用:5万円(公証人の定款認証を受けるための手数料)
  • 登録免許税:6万円(主たる事務所の設立登記)

紙の定款の場合は手数料4万円分の印紙代が別途かかりますが、電子定款の場合はこちらの費用が不要です。

財産の拠出は必要ありません。資本金、出資金なども不要です。

専門家を依頼した場合は、一般的に5~15万円程度が追加で必要になります。

税法はとても複雑なので、ハードルが高ければ専門家に頼みましょう。

5ステップでわかる一般社団法人設立の流れ

流れのイメージ
実際に一般社団法人を設立する際の流れは、下記の5ステップです。

STEP1 社員確保・理事選任(1日~3日) 社員は2名以上、理事は1名以上
STEP2 定款作成(1日~3日) 目的や名称など必要な7項目を作成。
STEP3 定款認証(1日~3日) 公証役場で認証を受ける。手数料5万円が必要。
STEP4 登記書類作成(2~3週間) 理事会を置かない場合は6種類、置く場合は9種類の書類を作成。
STEP5 登記申請(即日) 書類を法務局に提出。登録免許税6万円が必要。

一般社団法人の設立期間は、書類の準備が順調に進めば最短1~2週間、一般的には2~3週間程度が目安です。

株式会社の設立期間とほぼ同じですが、NPO法人の2~4か月よりは大幅に短いです。

期間の長さは、登記書類の作成作業で変わります。スムーズに設立したい場合は、作成を専門家に頼むのもいいでしょう。

それぞれのステップについて、具体的にわかりやすくご紹介します。

STEP1:社員2名・理事1名を確保!(1~3日)

設立時には、2名以上の社員を確保し、1名以上の理事を選任します。

理事会設置一般社団法人を設立する場合は、理事3名以上が必要です。

監事設置一般社団法人、会計監査人設置一般社団法人を設立する場合は、それぞれ監事・会計監査人の選任が必要です(理事と監事、会計監査人を同一人物が兼ねることはできません)。

これらの設立時の理事・監事、会計監査人は定款に定める(指名する)こともできますし、定めなかった場合は後述の定款認証後に選任しなくてはなりません。

また、法人は社員になることはできますが、理事になることはできません。

STEP2:定款を作成!目的・名称・事務所を決める(1~3日)

法律上、一般社団法人の定款に必要とされている項目は以下の7つです。

定款に必要とされている項目
  • (1) 目的
  • (2) 名称
  • (3) 主たる事務所の所在地
  • (4) 設立時社員の氏名又は名称及び住所
  • (5) 社員の資格の得喪に関する規定
  • (6) 公告方法
  • (7) 事業年度

上記のほか、必要な事項を定款に定めることができます。ただし、法令で定款に定めることができないとされている事項もありますので、注意が必要です。

次の3つの項目は、定款で定めていたとしても無効になります。

無効になる項目
  • (1) 社員に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を与えること
  • (2) 法令で社員総会の決議が必要とされている事項を社員総会以外の機関が決定できるとすること
  • (3) 社員総会で社員が議決権をまったく行使することができないと規定すること

定款は設立時に社員になる人全員が「共同で」作成し、全員の署名または記名押印が必要です。

STEP3:公証人による定款認証(1~3日)

定款の作成が完了したら、公証役場にて定款の認証を受けます。

定款認証とは、定款が正当な手続きによって作成されたことを証明するものです。

定款認証は、必ず主たる事務所所在地を管轄する法務局等に所属する公証人に依頼する必要があります。

定款認証には、公証人の手数料5万円がかかります。紙に印刷した定款の場合は、3通ほど用意しておきましょう。

電子定款の場合は、電子署名した定款のオンラインのやりとりが中心になります。

そのとき、電子署名のためのソフトウェアや法務省の「登記・供託オンライン申請システム」のID取得など、いくつかの準備が必要です。

STEP4:登記書類をまとめて作成!(2~3週間)

法人登記には認証を受けた定款に加えて、下記いくつかの書類を作成する必要があります。

理事会を設置しない場合に必要となる書類は6つです。

理事会を設置しない一般社団法人の場合
  • (1)一般社団法人設立登記申請書
  • (2)※登記すべき事項を記録したCD-R(オンラインで提出することもできます。)
  • (3)設立時社員の決議書(設立時社員が設立時理事を選任した場合や事務所の所在地等を定めた場合)
  • (4)設立時代表理事の互選に関する書面(互選した場合)
  • (5)設立時理事及び設立時代表理事の就任承諾書
  • (6)設立時理事の印鑑証明書

※「登記すべき事項」とは名称、主たる事務所、目的等、役員に関する事項などをテキスト形式のファイルに記録したものです。

理事会及び監事を設置する一般社団法人の場合は、定款と上記(1)(2)(3)に加えて下記の書類を作成します。

理事会及び監事を設置する一般社団法人の場合
  • (4)設立時理事及び設立時監事の就任承諾書
  • (5)代表理事以外の設立時理事及び設立時監事の本人確認証明書(住民票記載事項証明書、運転免許証のコピー等に原本と相違ないと記載して署名または記名押印したもの、など)
  • (6)設立時代表理事の選定に関する書面
  • (7)設立時代表理事の就任承諾書
  • (8)設立時代表理事の印鑑証明書

登記申請書に押印する代表者の印については、あらかじめ(または登記申請と同時に)「印鑑届書」を提出する必要があります。

また、代理人に申請を委任する場合は委任状も必要です。

STEP5:法務局で登記申請し、設立完了(即日)

書類は、事務所所在地を管轄する法務局の法人登記窓口に提出します。

その際、登録免許税6万円を収入印紙などで納付します(オンラインで登記申請する場合も、印鑑届書など紙で提出が必要なものもあります)。

登記完了までには1~2週間程度かかりますが、法人の設立日は申請書類を提出した日付となります。

ここまでの5ステップを終えて、一般社団法人設立は無事完了です。

株式会社の会社設立について、詳しくはこちらの記事を>>
【2026年最新版】会社設立の流れがわかる!やることリスト完全版 失敗しない手順まとめ

一般社団法人設立後に必要な手続きと書類


一般社団法人設立後には、税金や雇用、社会保険などの手続きを行わなければなりません。

手続きによっては、登記簿謄本や定款などの添付を求められますので、必要部数をまとめて用意しておくと便利です。

税金関係

税務署に提出する書類
  • 法人設立届出書(設立から2か月以内)
  • 収益事業開始届出書(設立から2か月以内)
  • 棚卸資産の評価方法の届出書(初年度年度末まで)
  • 減価償却資産の償却方法の届出書(初年度年度末まで)

上記のほか、青色申告をする場合は青色申告の承認申請書などが必要です。

都道府県税事務所と市町村役所に提出する書類
  • 法人設立届出書(提出期限は自治体により異なります)

収益事業を行わない非営利型一般社団法人で確定申告しない場合も、年間の収入が8,000万円を超えるときは、年度ごとに損益計算書などを税務署へ提出する必要があります。

また、税金については法人設立直後の手続きだけでなく、決算期などにも納付の手続きなどが必要です。

雇用関係

公共職業安定所に提出する書類
  • 雇用保険適用事業所設置届(雇用してから10日以内)
  • 雇用保険被保険者資格取得届(雇用した月の翌月10日まで)
労働基準監督署
  • 保険関係成立届(雇用してから10日以内)
  • 概算保険料申告書(雇用してから50日以内)
  • 適用事業報告書
  • 就業規則(常時10人以上を雇用する場合)
  • 36協定届(残業がある場合)
税務署に提出する書類
  • 給与支払事務所等の開設届出書(設立から1か月以内)

そのほか、源泉所得税の納期の特例を申請する場合はその承認申請書などが必要です。

社会保険関係

年金事務所に提出する書類
  • 新規適用届(雇用してから5日以内)
  • 被保険者資格取得届(雇用してから5日以内)
  • 健康保険被扶養者届(雇用した従業員に扶養される配偶者、子などがいる場合)

理事の重任・変更手続き

法務局に提出する書類
  • 変更登記申請書
  • 社員総会議事録(理事の重任決議)
  • 理事会議事録(理事会設置法人で、代表理事を互選する場合)
  • 重任承諾書(就任承諾書)※
  • 辞任届(退任者がいる場合のみ)※
  • 理事の本人確認証明書(新規就任者がいる場合のみ)※
  • 印鑑証明書(代表理事が新しくなる場合など)※
  • 委任状(司法書士など代理申請の場合)※
  • ※場合により提出書類が異なる

一般社団法人の理事には原則2年以内の任期があり、満了した場合には自動で退任となります。

そのため、理事が引き続き職務を行う場合は「重任」手続きまたは、変更手続きが必要です。

理事の選任には社員総会での意思決定が必要なため、2年ごとに理事の任命についても社員総会で議決を行いましょう。
 

一般社団法人は自分でも設立できる?

 
一般社団法人の設立は、基本的に自分で進められます。司法書士や行政書士などの専門家に頼む義務はありません。

ただ、手続きによっては「簡単なこと」と「つまずきやすいこと」に分かれるのも事実です。

一般社団法人の設立で比較的簡単なこと

【社員・理事の確保】
信頼できる知人や家族に声をかければOK。

【定款の作成】
テンプレートを使えば、目的や事業内容の基本的な記載は作れます。

【法務局への登記申請】
窓口に持参するだけです。郵送や電子申請も可能です。

一般社団法人の設立でつまずきやすいこと

【設立日や会計処理の調整】
開業日・契約日と設立日を合わせたい場合、専門家の助言があると安心です。

【非営利型かどうかの判断】
税制上の優遇を受けたい場合は、慎重な記載が必要です。

【定款内容の詳細調整】
将来的な事業拡大を考えている場合、記載が曖昧だと後で修正や変更が増えます。

専門家に頼む価値があるのはどんな場合?

一般社団法人を設立する際、次のような場合は専門家に依頼する価値があります。

  • 設立日を期首や契約日に合わせたい
  • 非営利型法人として税の優遇措置を受けたい
  • 書類作成に十分な時間を割けない
  • 書類の内容に不安がある

専門家の費用は、依頼内容や事務所次第ですが、おおむね5~15万円程度です。よりスムーズに設立したい場合は、専門家に頼みましょう。

一般社団法人設立で得られる8つのメリット

メリット・デメリットを提示するビジネスマン
次に、一般社団法人を設立するメリットを見ていきましょう。

メリット
・法人名で契約や不動産登記などが可能になる
・他の法人に比べて設立が簡単で費用も少ない
・事業内容に制限がない
・所轄庁への定期報告義務がない
・公益性・信頼性の高いイメージを持たれる
・税制上の優遇がある
・小規模での運営が可能
・社会的信用が獲得できる

メリット1:法人名で契約や不動産登記などが可能になる

これは一般社団法人に限らず、法人格を取得するときの共通のメリットです。

行政機関等の委託事業や企業との契約でも、法人格であることが必須条件となっている場合があります。

とくに、オフィスを借りるときなどの不動産登記は任意団体名義ではできません。

メリット2:他の法人に比べ設立が簡単で費用も少ない

前述したように、一般社団法人の設立にあたって財産の拠出(資本金)は必要ありません

登記に必要な費用も、株式会社と比べて少額で済みます。

お金がなくても事業をやりたい人が、一般社団法人を設立するケースは多いです。しかし、事業運営のためにはある程度の自己資金が必要となります。

自己資金などの準備はきちんとしておきましょう。

また、設立時に必要な社員数も2名以上となっており、少人数で設立することが可能です。

登記にかかる時間も、株式会社などと同様に2~3週間でできるため、法人設立のハードルはそこまで高くないといえるでしょう。

メリット3:事業内容に制限がない

一般社団法人には、NPO法人のような事業分野の規制がありません。

営利を目的としないのであれば、収益事業も自由に行うことができます。

民間企業に近い事業も可能ということです。

メリット4:所轄庁への定期報告義務がない

確定申告など税金関係の手続きは必要ですが、NPO法人のように事業報告などの提出義務はありません

メリット5:公益性・信頼性の高いイメージを持たれる

一般社団法人制度の旧制度である「社団法人」は、公益法人のような位置づけでした。

そのため、幅広い世代に公益的なイメージを持たれやすいです。

メリット6:税制上の優遇がある

一般社団法人は、「非営利型法人」と「非営利型法人に該当しない法人」の2種類があります。税制上優遇されるのは非営利型法人の場合のため、まずは非営利型法人として設立するといいでしょう。

非営利型法人に該当する一般社団法人は、税制上では「公益法人等」に分類されます。収益事業による所得に課税されますが、寄付金や会費などの非収益事業には課税されません。また、非営利型法人に該当しない一般社団法人は、税制上「普通法人」の扱いです。株式会社と同じようにすべての所得に対して課税されるため、税制上での優遇はありません。

メリット7:小規模での運営が可能

一般社団法人は、最低2人から設立が可能な法人で小規模での運営が可能です。

具体的には、社員2名以上かつ理事1名以上ですが、社員と理事は兼任できるため、最低2人から設立が可能になっています。

設立に人数がかからないことに加え、事業内容に制限がないため、小規模からビジネスを始めたいという場合にもおすすめの法人形態です。

最初は小規模から始め、規模の拡大が見込めるようになったタイミングで、少しずつ大きくしていくといいでしょう。

メリット8:社会的信用が獲得できる

一般社団法人は法人格のため、個人事業主などに比べ社会的な信用が獲得できます。

口座名義や契約の際にも法人名が利用できるため、取引先としても個人名より安心感が得られるでしょう。

たとえ行っている事業は同じだったとしても、外からの見え方は大きく異なりますので、この点は一般社団法人の大きなメリットです。

知っておきたい!一般社団法人を設立する5つのデメリット

 
続いて、一般社団法人を設立する5つのデメリットを見ていきましょう。

デメリット
・利益の分配ができない
・社員(会員)が増えると合意形成などが大変
・法人税等の課税対象となる
・個人事業に比べ会計管理が煩雑
・「上場企業」にはなれない

デメリット1:利益の分配ができない

一般社団法人は、利益を株主や社員に分配することはできません。利益を分配できるのは株式会社の場合です。株式会社なら事業利益が余ったら分配できるため、社員には利益分配をモチベーションに日頃の業務を頑張ってもらうことができるでしょう。

ただし、一般社団法人は利益の分配ができない点に注意が必要です。利益の分配ができないと、社員はどれだけ頑張って業務をこなしても収入は変わりません。一般社団法人では利益分配を動機付けとして活用できないため、社員への報酬や評価制度で工夫が必要になります。

一般社団法人の利益についてさらに理解を深めたいときは、次の記事でご確認ください。利益を得てはいけないわけではありませんが、分配はできません。また、一般社団法人は普通型と非営利型に分かれるため、それぞれの利益についても理解を深めておくといいでしょう。
一般社団法人が利益を得るのはNG?非営利法人の本当の意味とは

デメリット2:社員(会員)が増えると合意形成などが大変

一般社団法人は定款で定めた場合を除いて、社員が平等に議決権を持つことができます。

そのため、年1回は必ず社員総会を開く必要があります。人数が多いと、総会の招集・開催が大がかりになってしまうことも。

デメリット3:法人税等の課税対象となる

株式会社と同様に、法人税や法人住民税などは課税対象となります

※ただし、非営利型法人の場合は収益事業のみ法人税課税対象です。

デメリット4:個人事業に比べ会計管理が煩雑

法人化するとなると、個人事業に比べて会計などの管理を適切に行わなければなりません。

とくに、非営利型一般社団法人の場合は注意が必要です。

収益事業(課税対象)とそれ以外を区分する会計処理や、補助金収入などが多い場合は消費税の例外的な処理が必要になるなど、通常の企業会計と異なる要素があります。

法人化にすると個人事業より会計処理が複雑になるため、会計ソフトの導入など効率化が重要になります。

デメリット5:「上場企業」にはなれない

一般社団法人に株式はないので、どんなに成長しても株式上場という「エグジット」はありません。

また、社員総会の決議によって事業の譲渡は可能ですが、一般社団法人や一般財団法人以外の法人(株式会社やNPO法人など)と合併することはできません。

会社を大きくすることを目指すのであれば、営利法人の設立をおすすめします。

設立前に必読!一般社団法人設立の人数・要件まとめ

 
一般社団法人を設立するには、人数や所在地、名称、運営上の義務などの要件を満たす必要があります。ここでは基本的な条件を整理します。

社員2名以上・理事1名以上

一般社団法人を設立する際には、最低2名以上の社員・1名以上の理事が必要です。この人的要件を満たさない場合には、一般社団法人は設立できませんので注意しましょう。

社員は個人・法人どちらでもいいですが、理事は個人しか担当できない点にも注意が必要です。しかし、社員と理事を兼ねることは可能なことに加え、社員には親族を指定しても問題ありません。

事務所所在地を登記

一般社団法人を設立する際には「主たる事務所の所在地」を必ず登記しなければなりません。
株式会社での「本店所在地」が必須となります。

名称ルール

一般社団法人の名称には「一般社団法人」を必ず含める必要があり、同一住所での同一名称は認められません。
使用できる文字は、ひらがな・カタカナ・漢字・数字・アルファベットに加え、一部の記号(「&」「’」「,」「?」「.」「・」)です。

重複や誤認を避け、適切な名称を設定しましょう。

社員総会開催義務・社会保険加入

一般社団法人では、事業年度ごとに少なくとも1回の社員総会を開催しなければなりません。総会では決算の承認や方針共有などが行われ、定款によっては年2回以上の開催が義務づけられる場合もあります。

また、理事や従業員が報酬を受け取る場合は、社会保険の対象になる場合があります。

このように、社員総会の開催と社会保険の加入は、一般社団法人の運営における基本的なルールとして押さえておきましょう。

一般社団法人の構成機関

一般社団法人は、下記5つの機関から構成される法人です。

すべての機関を設置する必要はないため、それぞれの役割とともに設置義務についてもみていきましょう。

機関 役割 設置義務
社員総会 役員の選任や解任など重要事項を決定する意思決定機関
社員で構成され、社員1名につき議決権を1つ有する
必須
理事 役員
法人運営において職務執行権を有する
必須
1人以上
理事会 理事全員で構成される機関
理事の職務執行の監督
業務執行の決定
代表理事の選任や解任を行う
任意
監事 理事の職務執行を監査する
報告の催促や業務内容調査が可能
任意
理事会を置く場合は必須
会計監査人 貸借対照表や損益計算書など会計関係の監査を行う 任意
貸借対照表の負債額が
200億円以上の場合は必須

機関によってそれぞれ行うことが異なり、社員総会と理事以外の機関の設置は任意とされています。

しかし、理事会を設置する場合には監事を、大規模な一般社団法人の場合には会計監査人を置くことが必須です。

一般社団法人の「基金」と「社員」の関係

株式会社では「資金を出した人=株主=議決権を持つ人」といった関係があります。しかし、一般社団法人にこのような仕組みはありません。

一般社団法人の「社員」と呼ばれる人は、会社の従業員とは少し違い、議決権を持つ「正会員」のような位置づけです。株式会社における株主に近い存在といえます。

しかし、一般社団法人の基金に拠出する(資金を出す)ことと一般社団法人の社員(会員)になることは別です。

一般社団法人において、基金を持つか否かは法人ごとに決めることができます。つまり、基金を拠出しなくても一般社団法人の社員になることができるのです。

もちろん、両方を兼ねることも可能ですが、基金を拠出していても定款に定めない限り、社員(会員)の議決権は原則平等となります。

【比較】株式会社・NPO・一般財団との違い

違いを表す矢印

法人格には、一般社団法人以外にも様々な形態があります。一般社団法人とそれぞれの法人格との違いを、まとめてみました。

株式会社との違いは?利益分配の仕組み

まずは、株式会社との違いを見ていきましょう。

一般社団法人 株式会社
配当目的の営利活動 ×

株式会社と一般社団法人の大きな違いは、「営利を目的とするか?」です。営利を目的とする場合は株式会社を選択しますが、営利を目的としないなら一般社団法人が選択肢となります。

「営利」とは「利益を出してはいけない」という意味ではなく、「事業利益を株主に配当してはいけない」という意味です。

一般社団法人も有料サービスを提供し、利益を出して構いません。その利益で社員へ給与や報酬を支払うことも可能です。

NPO法人や一般財団法人などとの違いは?

非営利団体は、一般社団法人のほかにもあります。それぞれの特徴を確認しましょう。

一般社団法人 NPO法人 一般財団法人 公益社団法人
目的 余剰資金の分配が目的ではない 20種類の特定非営利活動にあてはまる 個人・企業の財産を維持運営する 公益目的事業
所轄庁の認可や決算書類の提出 不要 必要 不要 必要

一般社団法人と一般財団法人は、登記だけで設立できます。事業年度終了後に所轄庁へ決算書類を提出する必要もありません。

一般社団法人と一般財団法人は、維持と設立がしやすい形態といえます。

NPO法人との違い

NPO法人は「特定非営利活動促進法」にもとづく法人で、一般社団法人とは根拠となる法律が異なります。

NPO法人には20分野の特定非営利活動が法律で定められているのに対して、一般社団法人の事業内容については定めがありません。一般社団法人の方が、NPO法人よりも活動の自由度は高いといえます。

設立に必要な社員数も、NPO法人は10人以上が必要です。年度ごとに事業報告書や活動計算書なども所轄庁(都道府県・市町村など)に提出しなければなりません。

一方、社会性や公益性が高いことから、多くの公的な優遇措置が受けられます。寄付金に対する優遇制度も充実しています。

一般財団法人との違い

一般財団法人は「財産の集まり」を持つことができる法人格です。一般社団法人は資金がなくても設立できますが、一般財団法人の設立には300万円以上の拠出が必要です。

また、役員(理事)や評議員(役員の選任などを行う)などが必要になります。

公益社団法人との違い

公益社団法人とは、一般社団法人のうち旧制度である「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」にもとづいて公益認定を受けた法人です。

公益目的事業の所得に法人税等が課税されないなど税制優遇措置があり、寄付金への優遇制度も設定されています。

しかし、公益法人としての剰余金や残余財産の分配について厳しく制約され、公益法人として透明性の確保が求められるといったデメリットもあります。

法人の種類で迷うなら、次の記事も参考にしてください。法人の基本的な意味から、営利法人と非営利法人の種類を複数まとめてあります。また、設立期間の違いや資金調達に向く法人の種類も紹介していますので、確認しておくといいでしょう。
法人の種類・特徴まとめ|本当に株式会社でいい?設立する前に知っておくべき法人の種類

一般社団法人の設立事例

手を組むビジネスマン
実際に一般社団法人は、どのように設立されるのでしょうか。事例を見ていきましょう。

観光や医療、自治体との連携に強い一般社団法人

一般社団法人の設立事例と、実現したメリットをご紹介します。

【一般社団法人まつうら党交流公社】
農漁業体験型の観光振興団体です。地域の個人や小規模事業者が、観光協会的な役割を担えるようになりました。

【一般社団法人日本医療安全調査機構】
医療事故の原因究明と再発防止を担う団体です。行政や専門機関をまたいだ中立的な調査・分析を実現しています。

【一般社団法人シングルマザー支援協会】
シングルマザーが働きやすい社会を作るため活動している団体です。自治体とのスムーズな連携を可能にしました。

「協会ビジネス」を行うなら一般社団法人

 
近年注目されている「協会ビジネス」は、協会を設立して会員を集め、理念や知識、ノウハウなどの普及を通じて社会に貢献しつつ、収益を確保しようとするビジネスモデルです。

一般に「協会」というと業界団体や職能団体、地域団体(観光協会等)などがあります。

また2008年の公益法人制度改定以降は急増し、資格講座やカルチャースクール、検定試験を行うもの、同業種の個人や事業主などを集める業界団体的なもの、同好会的なものなど、様々な形態のものが現れました。

辞書で「協会」と引いてみると「ある目的のために集まった会員が協力して組織し、維持していく団体」(三省堂 大辞林第三版)と出てきます。

これは、人の集まりである「社団」の類語といってもよいくらい親和性の高い言葉です。

協会ビジネスで起業する方が法人化を考えるなら「一般社団法人」は最良の選択肢といえます。

協会設立が“おいしい”理由

協会を設立するメリットは「知識や考えなどが形になる」ことや「ブランド力がつく」ことです。

理念や知識、ノウハウなどは、名前もない無形のもの。それを「〇〇協会」という形にすることで、目に見えるものとなり、第三者に伝わりやすくなります。

また、たとえばAさん個人のノウハウは「Aさんの〇〇についてのノウハウ」でしかありません。しかし、〇〇協会となれば一個人を離れて社会的な存在となり「〇〇協会は〇〇についての専門家」としての地位に立つことができます。

Aさん自身も「〇〇協会 代表理事」などの肩書を持つことができるため、協会の組織に仲間が集まれば、ネットワークが広がる拠点となります。

組織運営の手間やリスクは増えますが、メリットに魅力を感じるのであれば、一般社団法人として協会を設立してみるのもいいでしょう。

一般社団法人の設立に関するQ&A


最後に一般社団法人設立について、よく寄せられる質問と回答をご紹介します。

Q.一般社団法人は2名以上でなければ設立できない?

はい、一般社団法人設立には最低2名の社員が必要です。

一般社団法人では、一個人だけでなく、法人が社員(会員)になることもできます。

すでに株式会社などの法人を経営している方が、新たに一般社団法人を設立する際には、法人を社員とすることによって、実質1人で一般社団法人を設立することも可能です。

Q.一般社団法人の設立にかかる期間は?

一般社団法人の登記手続きは、一般的な営利企業の設立登記とほぼ同様です。書類などが整えば、最短2~3週間程度で設立できます。

Q.一般社団法人の「非営利型」と「営利型」の違いは?

非営利型一般社団法人には、法人税法上の収益事業のみが法人税の課税対象とされるなど、一定の税制優遇が用意されています。

非営利型法人になるためには、定款作成を慎重に行わなければなりません。不明点があるときには、専門家に相談することをおすすめします。

要件を満たしていなければ、営利型の一般社団法人となります。非営利型法人に該当しない場合、すべての所得が法人税等の課税対象となります。

設立後に非営利型法人になった場合や、収益事業を行っている非営利型法人が上記の要件から外れて営利型法人となった場合は、税務署に「異動届出書」を提出する必要があります
一般社団法人が利益を得るのはNG?非営利法人の本当の意味とは

Q.一般社団法人の収入源は?

一般社団法人の収入源は、株式会社と同様に事業による収入です。何らかのサービスを有料で提供して、その利益を収入源とすることができます。一般社団法人であっても、様々な事業を行うことが可能です。

また、一般社団法人ならではの収入源もあります。寄付金をもらう、会員サービスを提供して会費や入会金をもらう収入源です。ほかにも講演会や研修を行い、その参加費用を収入源とすることもできます。

Q.一般社団法人の「理事会」ってなに?

理事会を設置すると、対外的な信用を得やすくなります。一般社団法人の場合、理事会を置くかどうかの選択が可能です。必ず置かなければいけないものではないので、3名以上理事がいながら設置していないところもあります。

理事会設置の有無は、登記の段階で決めておく必要があります。一度理事会を置いてしまうと、変更するときにもお金がかかりますし、理事と監事の人数も常に確保しておかなければなりません。

社員数が多くなる可能性があれば設置しておくのもよいと思いますが、後々の変更は手間やコストがかかるため、設立時に慎重な判断が求められます。

まとめ:一般社団法人の設立はプロに相談しながら進めよう

 
一般社団法人の設立では、まず、事業内容をしっかり固めることが大切です。

定款や登記書類を作成するために、あらかじめ決めなければならないことが多くあります。間違いや後々変更しなければならなくなった場合などには追加で費用がかかってしまうので、設立するときはスケジュールに余裕を持って、慎重に進めていってください。

筆者 大久保幸世
創業手帳 株式会社 ファウンダー
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら
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(執筆:創業手帳編集部)

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