創業補助金(平成26年度補正予算分)専門家に聞く募集要項のポイント
平成26年補正予算分「創業促進補助金」「第二創業促進補助金」申請ガイド
新たに創業する起業家、あるいは第二創業する法人や個人に対し、事業にかかる経費の一部を補助する「創業・第二創業促進補助金」の募集が3月2日に始まった。締切は3月31日まで。
今回の募集におけるポイントについて、創業補助金申請サポートのプロであり、これまで採択件数約50件、採択率約70%、起業・創業支援関連で著書も多いV-Spritsグループ代表の中野裕哲税理士に話を伺った。
この記事の目次
創業・第二創業促進補助金とは?
中野:創業経費の一部を国がサポ―トすることで、起業や雇用促進することが創業補助金の目的です。安倍内閣が押し進める成長戦略として、日本経済を活性化する動きのひとつでもあります。補助金ですので基本的に返済不要で、うまく活用できれば、とても有利に起業できる制度と言えるでしょう。
創業補助金の資格対象者は?
中野:よく勘違いされるのですが、一般的に補助金は2種類あります。新たに創業を行う起業家を対象にした創業促進補助金のほか、第二創業を行う人を対象にした第二創業促進補助金が用意されています。
中野:第二創業を行う人とは、個人事業主あるいは法人で、平成26年9月3日~平成27年9月1日までの間に事業承継を行う人を指します。補助金を受ける場合は、事業継承したのち、既存事業以外の新事業を開始することも必要です。まとめると以下のようになります。
- 新たに創業する人
- 第二創業を行う人
- 新たに創業する人:平成27年3月2日以降に創業(個人で開業または法人を設立)し、その代表となる人で、創業補助金の支援対象。
- 第二創業を行う人:個人事業主、会社などで、平成26年9月3日から平成27年9月1日までの間に事業承継を行う(行った)人で、その後既存事業以外の新事業を開始した人で、第二創業補助金の支援対象。代表者の承継は親族に限らない。
補助額と補助率
中野:そうですね。一番大事なところです(笑)。創業補助金の補助額と補助率は以下の通りです。
- 創業促進補助金:100万円~200万円
- 第二創業促進補助金:100万円~200万円(既存事業を廃止する場合は、廃止費用として800万円を上限として加算なので、最大1,000万円)
中野:創業で使った経費の2/3を国が後で補助してくれるということです。補助額は最大で200万円、最低でも100万円。例えば、創業で300万円の経費を使うと、国が後で200万円(300万円 × 2/3 = 200万円)の補助をしてくれるというイメージです。
中野:経費が120万円だった場合は、120万円の2/3は80万円になりますが、最低額100万円が後で補助されますし、経費が450万円だった場合は、450万円の2/3は300万円になりますが、上限200万円が後で補助されます。
中野:そうです。よく勘違いされる方が多いのですが、創業補助金は審査が通ったら現金が口座に振り込まれるといったものではありません。分かりやすく言うと、使った経費の一部が後で戻ってくるイメージです。「先に現金が貰えると勘違いしたまま創業補助金を当てにしていて、資金繰りに困った・・・」という笑えない話もよく聞きますので、注意が必要です。目安としては、対象年度が終わってから受給申請書を出して2~3ヶ月くらいかかると考えておくとよいでしょう。
創業補助金の対象となる経費
中野:『創業・第二創業促進補助金』募集要項にも詳しく載ってありますが、対象経費についても、もちろん細かく規定されています。
- 起業・創業に必要な官公庁への申請書類作成等に係る経費
- 店舗等借入費
- 設備費
- 原材料費
- 人件費
- 謝金
- 旅費
- 知的財産権等関連経費
- 委託費
- マーケティング調査費
- 広報費
- 外注費
- 在庫処分費
- 修繕費
- 解体及び処分費
- 原状回復費など
創業補助金の対象となる事業
中野:また、対象経費だけでなく、対象となる事業にも細かい要件があります。補助金の対象となる事業は以下を全て満たす事業です。
- 既存技術の転用、隠れた価値の発掘(新技術、設計・デザイン、アイデアの活用等を含む)を行う新たなビジネスモデルにより、需要や雇用を創出する事業であること。
- 認定支援機関である金融機関または金融機関と連携した認定支援機関により事業計画の策定から実行までの支援を受けること。
- 金融機関から外部資金による調達が十分に見込める事業であること。
- 以下に概ね合致していること
- 創業促進補助金の場合:地域の需要や雇用を支える事業や海外需要の獲得を念頭とした事業を、日本国内で興すもの
- 第二創業促進補助金の場合:既に事業を営んでいる中小企業等で、後継者が先代から事業を引き継いだ場合に、業態転換をしたり、新事業・新分野への進出を行うもの。
- 以下のいずれにも合致しないこと
- 公序良俗に問題のある事業
- 風俗営業等に該当しないこと
- 国の他の補助金、助成金を活用していないこと
申請には認定支援機関の支援が必須
中野:今回の創業補助金を申請するには、認定支援機関による事業計画の策定から実行まで、認定支援機関のサポートが必須要件です。 認定支援機関は、税務、財務などに関する専門的知識や中小企業支援の実務経験が一定レベル以上の個人・法人・中小企業支援機関などを、国が認定したものです。現段階で全国に20,000以上。この場を借りてついでにお伝えさせていただくと、もちろん、私の事務所も認定支援機関に認定されています(笑)。認定支援機関は、中小企業庁のWebページでも探すことができます。
プロから見た今回の注目ポイントは?
中野:今回の募集で特に注目すべきポイントは2点です。1つは募集期間の短さ。3月2日~3月31日で約1ヶ月しかありません。募集期間が非常に短いので、注意が必要です。
平成27年3月2日(月)~ 3月31日(火)17時(必着)
※電子申請の場合は、平成27年4月3日(金)まで
中野:どこの市区町村で創業するかによって、審査に有利不利があるという点です。創業支援に力を入れている自治体は、国から「産業競争力強化法に基づく認定市区町村」の認定を受けています。認定市区町村で起業すると、補助金申請の審査上、有利に働きます。開業・会社設立する場所も検討材料のひとつとなりそうです。
早めに認定支援機関に相談を
中野:そうですね。募集締切直前に認定支援機関にサポートを依頼しても、間に合わない場合が多い。補助金申請の要件として必ずサポートを受ける必要があるわけですから、色々と迷うくらいなら認定支援機関に相談することから始めると良いと思います。私の事務所のように無料相談を実施している認定支援機関も多いので、まずは気軽に相談してみるとよいと思います。
【関連記事】返済不要!補助金・助成金制度 利用のいろは
【関連記事】起業するなら知っておきたい助成金・補助金10のポイント
(取材協力:起業コンサルタント(R)・税理士・社労士・行政書士 中野裕哲
(まるごと起業支援.com|無料相談受付中)」)
(インタビュー・編集:A-Bizgami, 創業手帳編集部)