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ビジネスが軌道に乗ってきたら、社内にNO.2を置き業務効率を高めよう

(2019/12/20更新)

創業して最初のうちは、得意先や仕入れ先との折衝も、銀行への融資要請も、バックヤードも創業者1人で飛び回ることが多いでしょう。1年ほどが経ち、事業が軌道に乗ってくるとだんだんと創業者1人では手が回らなくなってきます。現状のままでは経営・業務効率が低下し、さらなるステップアップも望めません。

ひとりじゃ仕事を回せないと感じてきたら、社内に片腕となるべきNO.2を置く時期なのかもしれません。営業・資金調達・経理といったパーツを担当するスタッフではなく、業務執行全般をマネジメントし、さらには重要な経営判断に関し相談相手になってくれる、懐刀的な存在です。

この記事では、スタートアップ企業のNO.2が経営にもたらすメリット、NO.2に業務を任せる範囲、NO.2の業務執行をモニタリングする仕組みについて解説します。

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NO.2を置くこと、育てることのメリットとは

映画「ソーシャルネットワーク」が話題を呼ぶ頃まで、変わり者マーク・ザッカーバーグ氏が率いるフェイスブックは、圧倒的なメンバーを集めたSNSとして注目を集めていたものの、まだまだトップカンパニーと呼べる存在ではありませんでした。

ザッカーバーグ氏を中心とした個人企業の色彩が強く、組織の役割・業務フロー・意思決定プロセスも確立していない状態で、効率的な経営がなされているとはいいがたかったのです。

2008年、マッキンゼー・国務省やグーグルで経験を積んだMBAホルダー、シェリル・サンドバーグ氏がフェイスブックCOO(最高業務執行責任者)に就任、組織に大ナタを振るいました。

サンドバーグ氏はデータマイニング・広告・マーケティングといった金喰い部分の業務効率化を徹底、さらにはSNSを収益獲得機会と巧みに結び付けました。その甲斐あって就任3年目には黒字転換を実現、以来フェイスブックは収益プラスを維持し続けます。

今やフェイスブックの時価総額は5000億ドルを超え、世界ランキングでも常にベスト10圏内に入っています。ビジネスモデルとして同社が成功できたのも、サンドバーグ氏の「内助の功」があったからこそです。

本田技研工業の創業者・本田宗一郎氏も、天才肌のカリスマ技術者としてその名が世界に知られていますが、何度も経営危機に陥ったホンダを救ってきたのはNO.2の藤沢武夫氏です。

創業者が立ち上げた「会社」を組織の論理で動かす「企業」に育てるには、NO.2の存在が欠かせないのです。NO.2を育てることにより経営効率化を図り、会社の成長にドライブをかけましょう。

業務執行全般をNO.2に任せよう

一般的にNO.2を会社に置くときは、「業務執行はNO.2に任せ、NO.1は経営に専念」と役割分担することで、効率的な運営が実現します。

業務執行の範囲を明確にするのは難しい

ただし、実際に業務執行の範囲を切り分けるのは簡単ではありません。

経営とはつまり意思決定ですが、例えば販促のためにチラシを入れるのは「意思決定」でしょうか。いちいち経営者にお伺いを立てるのも非効率的です。日常の業務運営に必要な支出に関してはNO.2に任せておきたいところですが、経費支出を全て自由にさせるのも危険です。

投資(営業車・オフィス・倉庫)や取引先との契約も、通常の範囲ならNO.2にゆだねるべきです。では、「通常の範囲」とはどこまでを指すのでしょうか。曖昧にしておくと、NO.2の暴走を許したり、逆に細かい投資・契約に経営者が口を挟んだりといった事態を招きかねません。

業務執行をゆだねる前に最低限の約束事を決めておく

創業者が1人で切り盛りしているうちは、業務執行のルールなど必要ありません。しかしながらNO.2を置く以上、「俺がルールだ」では立ち行きません。大げさに言えば「組織のガバナンス」を構築しなければならないのです。

経営者のビジョン・強み・フィロソフィーを共有する

「不平・不満・不安など世の中の「不」を無くしていく」

雑貨屋の軒先で無添加化粧品の販売を始めてから、黒字経営を続けて大企業に成長したファンケルがずっと掲げ続けているビジョンです。

ファンケルの創業者のインタビューはこちら
「10年間、業界から見向きもされず」に大企業へ成長 ファンケル創業者・池森賢二氏の常識を覆す創業ストーリー(前編)
成長の極意は創業の理念に宿る。原点回帰がキーワード。 ファンケル創業者・池森賢二氏の経営哲学(後編)

あなたは何をめざして創業したのでしょうか?そこには少なからず想いやビジョンが込められているはずです。経営者とNO.2がうまくやっていくには、実務的な取り決めだけでは不足です。ビジョンが共有できていないと、ものごとがギスギスしがちです。

同様に、会社が何を強みと考えているのか、極力具体的に共有しておきましょう。この先、会社が何に集中すべきかがはっきり認識できます。といっても、「強みとは何か」は当事者でも見出すのが難しいのも事実です。当社の強みが何か、経営者・NO.2や従業員で議論しておくのも効果的です。

3つ目のフィロソフィーとは、組織として大切にしている精神(成功を喜び合う・チャレンジを奨励する・現場第一主義等)です。

この3つに関し両者がベクトルを合わせることにより、円滑な組織運営が実現できるのです。

ただし意思決定はNO.2に相談した上で、経営者が決めよう

日ごろから現場に係わっているのはNO.2ですが、戦略・業績目標・予算は経営者が自ら決めるべきです。独断専行に陥ることは避け、NO.2と相談し現場の声に耳を傾けましょう。NO.2の「経営関与意識」を醸成するためにも欠かせないコミュニケーションです。

経営者が業務執行をモニタリングする仕組み

NO.2に業務執行は委ねるにしても、モニタリングは必要です。かといって、頻繁に報告させて指示を出すのは効率的ではありません。そこで要となるのが、戦略・業績目標・予算の統制による業務執行のモニタリングです。

戦略による範囲設定

戦略とは、会社が競争相手に打ち勝ち、顧客を獲得するために何のビジネスに力を入れるか(逆にどのビジネスをあきらめるのか)を決めることです。全体の経営戦略に基づき、営業・購買・生産・マーケティングなどの方針を立案します。

NO.2は、戦略を逸脱しない範囲なら自由裁量で業務を執行できます。たとえば活動地域を都内に集中させる戦略なら、NO.2はエリアの範囲内で営業活動を展開できます。

業績目標による管理

売上・利益といった業績目標をNO.2に課し、同時に報酬とも連動させます。売上目標は、商品別・顧客別に設定する場合もあります。事業会社の場合は売上-仕入原価-経費=利益ですから、売上・利益目標が達成できるなら、NO.2は仕入れや経費支出を自らの裁量で行うことができます。

予算の統制

仕入・経費の支出はNO.2の裁量としても、特定の支出については一定の縛りが必要です。たとえば得意先への贈答、飲食・ゴルフ、得意先要請による協賛金など、収益への貢献が不透明な支出に関しては、一定の年間予算額を決めて、その範囲に抑えるのが理想的です。

まとめ

サイバーエージェントの藤田晋氏、メルカリの山田進太郎氏…成功したスタートアップ企業でメディアの注目を集めるのは、常にNO.1です。しかしながら、NO.1だけで組織を効率的に回すことはできません。

「創業者」として創業期を乗り切れたなら、今度は「経営者」として組織の安定・事業の成長をめざす時期です。そこでは、「任せる勇気」こそが求められます。

自分の大切な会社を他人に委ねるのは勇気がいることですが、事業を飛躍させるためにはくぐるべき関門です。ここを乗り切れば、きっと経営者としての「器」も育まれることでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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