業務委託の税金はいくら?税金の計算方法や確定申告について解説

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業務委託の人でも報酬に対して税金がかかる


会社員として働いていると、給与所得に対する税金の計算や納付を自身でする機会は少ないかもしれません。
雇用契約と業務委託契約のいずれの場合でも、報酬に対しては税金が発生します。
すでに業務委託として働いている人も給与を受け取っている人も、どのような税金の支払いや手続きが必要になるかを知っておいてください。

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税金カレンダー

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業務委託の人が支払う税金の種類と計算方法


一般的に、雇用契約で働いている会社員の給与に対して、会社は税金の徴収と納付を代行しています。
一方、雇用関係にない業務委託で働く人は、自身で税金を計算して支払わなければいけません。
また、雇用契約で会社員として働いていたとしても副業で一定額以上収入があれば確定申告をして納税する必要があります。

業務委託として働いた時の報酬に対する税金は、これから説明する以下の4種類です。それぞれの計算や納付方法について紹介します。

所得税

所得税は、対象となる年の1月から12月の間に得た個人の所得に対して課せられる税金。会社員であれば、給与所得に対して所得税が課税されます。
業務委託で受け取った報酬は事業所得や雑所得として所得税が課税される仕組みです。

給与所得であれば会社が所得税を計算して納付してくれますが、業務委託の場合には所得税額を計算して確定申告しなければいけません。
なお、所得税額は、1年間の所得の合計から所得控除を差し引いた課税所得に所得税率をかけて算出します。

また、所得控除には、社会保険料控除や医療費控除、配偶者控除、扶養控除などがあります。自身がどの控除を利用できるか、国税庁のホームページで確認してみてください。

所得税率は以下の表の通りです。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

計算方法や必要経費として算入できる範囲は、その所得が事業所得か雑所得かによって異なります。業務委託の報酬がどちらに当たるか調べてみてください。

住民税

住民税は都道府県や市区町村に納める税金で、地域の公共施設や上下水道などの行政サービスを維持するために使われる税金です。
対象年の1月1日の住所で決まる均等割と所得割で構成されます。
なお、均等割りの金額は、都道府県と市区町村によって異なります。一方、所得割は前年所得をもとにして金額が決まります。

住民税は、会社員であれば毎月の給与から天引きされるため、自身で手続きすることはありません。
しかし、業務委託の場合には自身で住民税の支払いを行う必要があります。ただし、住民税額は確定申告をもとにして決まるため、別途申告する必要はありません。
また、住民税は年4回の分割払いが基本で、自治体によって金額や納付期限が異なります。6月頃に届く納付書を確認してください。

個人事業税

個人事業税は、個人事業主が都道府県に支払う税金です。事業に対する税金なので、居住地ではなく、事務所などの所在地の都道府県に納税します。

個人事業税は、事業内容によって3~5%と異なる税率が適用されます。なお、個人事業税は、条件に該当した場合にのみ課税される税金です。

個人事業税が課税される条件は、以下のものです。

  • 法律で定められた業種に当てはまる
  • 前年度の所得が290万円以上

法定業種と税率は以下の通りです。

区分 税率 事業の種類
第1種事業
(37業種)
5% 物品販売業 運送取扱業 料理店業 遊覧所業
保険業 船舶定係場業 飲食店業 商品取引業
金銭貸付業 倉庫業 周旋業 不動産売買業
物品貸付業 駐車場業 代理業 広告業
不動産貸付業 請負業 仲立業 興信所業
製造業 印刷業 問屋業 案内業
電気供給業 出版業 両替業 冠婚葬祭業
土石採取業 写真業 公衆浴場業(むし風呂等)
電気通信事業 席貸業 演劇興行業
運送業 旅館業 遊技場業
第2種事業
(3業種)
4% 畜産業 水産業 薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5% 医業 公証人業 設計監督者業 公衆浴場業(銭湯)
歯科医業 弁理士業 不動産鑑定業 歯科衛生士業
薬剤師業 税理士業 デザイン業 歯科技工士業
獣医業 公認会計士業 諸芸師匠業 測量士業
弁護士業 計理士業 理容業 土地家屋調査士業
司法書士業 社会保険労務士業 美容業 海事代理士業
行政書士業 コンサルタント業 クリーニング業 印刷製版業
3% あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復
その他の医業に類する事業 装蹄師業

個人事業税は確定申告によって納税額が決まるため、計算は不要です。

なお、個人事業税が課税されない業種については、以下の記事を確認してください。

詳細はこちらもお読みください
個人事業税がかからない業種は?勘違いしやすいケースや課税対象の業種も紹介

消費税

消費税は、商品のサービスの消費にかかる税金です。事業主として商品を販売した場合は、顧客から消費税を預かって納税することになります。
受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて納税額を計算します。

ただし、消費税が課税されるのは、以下の条件のいずれかを満たした場合のみです。

  • 課税期間より前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円超(法人の場合には前々事業年度)
  • 個人事業主の場合は前年の1月1日~6月30日の課税売上高(課税売上高に代えて給与支払額を使うことも可能)1,000万円超
    法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6カ月の期間に課税売上高1,000万円超
  • 消費税課税事業者選択届出書を提出している

インボイス制度が施行されたことをきっかけに、消費税の免税事業者から課税事業者となりインボイスを発行する事業者もいます。
消費税の課税事業者になった場合には消費税の申告と納税が必要です。

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業務委託で確定申告が必要な人とは


業務委託で働く場合、確定申告や納税が必要かどうかは所得の区分や金額によって異なります。
また、個人事業主やフリーランスとして業務委託で働くケースと、副業として業務委託で働くケースでも異なるため、それぞれ確認してください。

個人事業主やフリーランスの人

個人事業主やフリーランスが本業として業務委託で働く場合には、1年間の所得が48万円を超えれば確定申告が必要です。
ただし、48万は収入や売上げではありません。発生した必要経費を差し引いた金額が48万円を超えた時に確定申告が求められます。

個人事業主やフリーランスの業務委託は、多くが事業所得に分類されます。事前に青色申告を選択しておくと税制の優遇が受けられるので、忘れずに手続きを行ってください。

業務委託を副業として行っている人

会社員などの給与所得者が副業として業務委託する時には、副業の所得が20万円を超えた場合に確定申告が求められます
売上げや収入ではなく所得で計算するため、必要経費は差し引いてください。

副業で業務委託する時には、雑所得と判断されるケースと事業所得とされるケースがあります。雑所得は他の所得に該当しない所得であり、青色申告は選択できません。

業務委託では青色申告と白色申告どちらがおすすめ?


業務委託で確定申告を行う時に問題となるのが、青色申告と白色申告のどちらを選択するかです。それぞれの特徴を理解して、確定申告時の参考にしてください。

青色申告のメリット

青色申告は青色申告承認申請書を提出して条件を満たした場合に選択できる確定申告する方法で、税制上の優遇を受けられる点がメリットです。

青色申告で受けられるメリットは以下のとおりです。

・最大で65万円の控除が受けられる
青色申告で複式簿記による記帳など要件を満たせば55万円の控除を受けられます。
また、e-Taxでの申告か電子帳簿保存を行えば、控除額が10万円増えて最大で65万円の控除を受けられます。
控除を受けることで課税所得が少なくなるため、税額も軽減されます。単式簿記で記帳や、貸借対照表を添付しなかった場合には、青色申告特別控除は10万円です。

・赤字の繰越しや繰戻しができる
事業で赤字を出した場合には、赤字を翌年以降3年間繰越して黒字と相殺可能です。また、前年の黒字と相殺して還付を受けられます。

・30万円未満の固定資産が全額経費
30万円未満の固定資産を減価償却せず、一度に経費計上できる少額減価償却の特例を利用できます。

・家族への給料を経費に計上できる
事業規模が拡大するにつれ、家族に仕事を手伝ってもらうケースもあります。青色申告で手続きすれば、生計を共にする家族への給料を経費にできます。

・家賃や電気代を経費にしやすくなる
自宅とオフィスを兼用している場合、青色申告であれば事業部分を按分して経費計上できます。ただし、白色申告は、50%以上を事業に使用していなければ経費にできません。

・貸倒引当金を経費計上可能
将来の貸し倒れリスクに備えて用意する貸倒引当金を経費計上できます。

青色申告のデメリット

青色申告には多くの節税メリットがあり、納税額は大きく変わります。ただし、青色申告にもデメリットはあります。

まず、青色申告を選ぶにためには、青色申告承認申請書を税務署に提出しなければいけません
申告する年の3月15日までに提出してください。期限内に提出できなければ、翌年以降になります。

青色申告は提出しなければならない書類の種類が多く、やや複雑な処理が必要です。複式簿記での記帳になるため、簿記の知識がなければ難しく感じるかもしれません。
青色申告に対応している会計ソフトを利用することも検討してください。

白色申告のメリット

青色申告を行う手続きをしなかった場合には、白色申告で確定申告を行います。白色申告のメリットは、決算の手続きがシンプルで書類が少ない点です。
また、白色申告するための特別な手続きも必要ありません。

白色申告の記帳は単式簿記で、記載内容はシンプルです。会計ソフトを利用するのであれば、青色申告に対応した会計ソフトを選び、青色申告することも考えてみてください。

白色申告のデメリット

白色申告を選ぶことで、書類の手続きは少なくなるものの、青色申告で受けられるような税制優遇は利用できません
青色申告にはいろいろな優遇措置がありますが、青色申告特別控除は税負担を軽くできる制度です。
ただし、赤字の繰越しはできないため、納税額には違いが出るかもしれません。

白色申告は手続きが簡単といわれますが、収入金額や必要経費をまとめた収支内訳書は必要です。
収支内訳書も計算などの手間がかかります。白色申告であれば手間がかからないわけではありません。
青色申告にした時に発生する手間と、青色申告で受けられる税制優遇を比較して、白色申告にするか青色申告にするかを決めてください。

業務委託の人が税金を支払わないとどうなる?


会社員は納税の手続きを会社に任せられるため、税金についてあまり気にしていないケースもあるでしょう。
しかし、業務委託で働く場合には、自身で税金の手続きをしなければペナルティを課せられることがあります。

業務委託で働いて納めるべき税金を期限内に納めなかった時には、ペナルティとして別に税金が課されます
課せられる税金は、延滞税と無申告加算税・過少申告加算税、重加算税です。それぞれについて紹介します。

無申告加算税が発生する

無申告加算税は、申告期限を過ぎても無申告だった時に課せられる税金です。
所得税法では、1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得に対して、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行って納税することになっています。

しかし、確定申告しない場合には、無申告加算税として税額に対して、50万円までの部分に15%、50万円を超えて300万円まで部分は20%、300万円を超える部分については30%の無申告加算税がそれぞれ課せられます。
申告期限を過ぎたあとでも無申告加算税が課されないケースもありますが、できるだけ早く手続きしてください。

過少申告加算税が発生する

過少申告加算税は、本来納税すべき金額よりも納める税金が少なすぎた時に課税される税金です。
税務署から調査を受けてから修正申告したり、税務署から申告税額の更正を受けたりした場合には、足りない税金とは別に過少申告加算税が発生します。

過少申告加算税の金額は、新たに納めることになった税金の10%相当額です。
新しく納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合には、その超えている部分に対して15%で計算されます。

重加算税が発生する

重加算税は、確定申告の未遂行や所得の隠蔽、仮装するなどの脱税行為があった時に課される税金です。重加算税の税率は、本来納入すべき税額の35〜40%となります。

5年以内に重加算税が課される行為を繰り返した時には、通常の重加算税に10%が加算され、税率は45〜50%まで上がります。
重加算税には支払い猶予がなく、即納付が求められ、期限を過ぎれば差し押さえられることもあります。
重加算税が課せられれば社会的信用の失墜につながるので、正しく確定申告を行ってください。

延滞税が発生する

延滞税は、法定期限までに納税しない時などに発生する税金で法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算した金額を支払います

期限の翌日から2カ月を経過する日までは原則として年7.3%。期限の翌日から2カ月を経過した日以後は、14.6%です。
支払いが遅れると延滞税が発生するため、払い忘れに気が付いた時にはできるだけ早く申告するようにしてください。

やむを得ない理由がある場合は期限を延長できる

納税をしたくても経済的に難しい時には、納税の猶予制度を利用できることがあります。また、災害などの理由で納税できない時にも納税期限が延長されます。
納税するための資金がないからとそのままにしておいては、さらに税金が課せられてしまいます。
やむを得ない理由で納税できない時には、延滞金が一部もしくは全額免除されることもあるので、管轄の税務署に相談するようにしてください。

まとめ・業務委託が支払う税金を把握しきちんと納税しよう

会社員は税金が先に徴収される源泉徴収を受けられるため、税金に関する手続きはほとんど発生しません。
しかし、フリーランスとして業務委託で働く時には、自身で税金の手続きを行う必要があります。
確定申告には、税務署に出向く方法もありますが、e-Taxであれば自宅から好きな時間に確定申告ができます。
税金の手続きに不安がある場合には税理士に依頼し、ペナルティが課されることがないように適切な申告と納税を行ってください。


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(編集:創業手帳編集部)

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