壮絶な経験から結びついた健康食品ビジネス。株式会社GMC 早川恵さんインタビュー

創業手帳

患者に向き合うビジネスをやる上で必要なこと

gmc

(2018/03/19更新)

起業前は薬剤師として医薬品業界の業種全てを経験し、薬学生の国家試験対策に従事していた株式会社GMCの代表取締役 早川恵さん。実は2型糖尿病患者であり、今でもその症状に悩まされています。
患者としての経験と、薬剤師としての経験。そのどちらも持っている早川さんがビジネスの分野に選んだのは、健康食品でした。今回は健康食品ビジネスを選んだ理由や、起業して印象に残った出来事について、お話を伺いました。

本文を読む

早川 恵
奈良県生まれ。1996年京都薬科大学薬学部生物薬学科卒業。
1998年同大学大学院薬学研究科修士課程修了。
医薬品卸企業の管理薬剤師、製薬企業の研究開発部門、安全管理部門、大手ドラッグストアの勤務薬剤師と、医薬品業界の業種をすべて経験。機能性研究、製剤研究に加えて数々の健康食品を開発した。製薬企業に従事していた時、当時の直属の上司からMBA取得を勧められ、2011年英国国立ウェールズ大学経営大学院入学、2013年同大学院修了、MBAホルダーとなる。その後同志社女子大学薬学部国家試験対策室にて、薬学生の国家試験対策に従事。2015年3月、株式会社GMCを創業、代表取締役に就任。

世の中にないのであれば、私が開発してやる

ーまずは起業の経緯について、教えてください。

早川:私は、「自分が経験した病気や薬の副作用の経験を、他の誰にもしてほしくない」と常々思っています。また、薬剤師なので薬の危険性についての知識もあります。
「私のような嫌な経験をすることなく、みんなが笑顔で元気に過ごすことができる社会を作っていきたい」と考えて起業しました。

私は遺伝性の2型糖尿病患者です。20代の頃、働き出して約3か月後に右脇が腫れてきたので、病院に行った時のことでした。検査したところ、血糖値が400以上(正常値は空腹時110以下)という異常な数値が出ていました。もちろん、即入院です。

糖尿病は糖分の代謝異常が原因ですが、糖分だけではなく脂肪分、水分、塩分の代謝異常も引き連れてきます。私の体は糖尿病だけではなく、脂質異常症、高血圧といった他の病気も合併してきました。また、糖尿病は加齢とともに進行しますので、処方された薬は強いものになり、また他の病気も合併したことで薬も増えていきました。

案の定、日常生活に支障をきたすほどの副作用も出てきました。そこで、副作用が出ない健康食品に着目し、効果・実感を得られるものを探して試しましたが、納得できるものは全くありませんでした。

「効果・実感を得られる健康食品が世の中にないのであれば、私が開発する。」
これまで製薬企業の研究を経験していること、薬剤師としての知識、さらに患者としての体験や思いをすべて投入した製品を開発することをモットーに、起業しました。

知らなかったことを知ることで、新たな世界が見えてくる

ー起業する際に一番大変だったことは何でしたか?また、それをどのように乗り越えていきましたか?

早川会社をどうやって登記するのか、どうやって資金調達を行うのかが一番の課題でした。

資金調達では、起業する前に、国の補助金について、中小企業庁奈良県よろず支援拠点様よりアドバイスを頂き、初年度に経済産業省ものづくり・革新的サービス補助金を受給することができました。また地元の銀行でもプレゼンを行い、共感いただくことができました。

登記についても全くの素人でしたが、いろんな方々のアドバイスを頂戴し、自分自身ですべて書類作成を行い進めることができました。

ーでは、起業して嬉しかったことは何でしょうか?

早川:嬉しかったことは、たくさんあります。

私が開発した製品を食していただいた方々から、「効果・実感がありました」、「体が楽になりました」、「美味しく食べられるので、続けることができます」といった感想を頂いていることは、開発者としての冥利に尽きます。

また、私は「我々医療関係者は患者さん自身が病気を治そうとする気持ちを強く持っていただくために、自身の知識や技術を提供するもの」だと考えています。現在病気で苦しんでおられる方から「早川さんの考え方に共感します。これからも頑張ってください」等のお声を頂くことが、すごく嬉しいです。

一方で、いろんな方々とお知り合いになれて、いろんなことをご教示いただくことも、嬉しいことの一つです。
もともと好奇心旺盛ですので、勉強することが大好きです。勉強といっても、学生時代の勉強のイメージではなく、私は「勉強とは、自分の知らなかったことを知ること」と解釈しています。

「知らなかったことを知る」ことで、新たな世界が見えてきます。これを自身の糧とすることで、自分自身の考え方を強化することができます。得た知識を社会に還元することで、皆さんが元気に笑って過ごすことができるようになればいいなと思っています。

販路拡大のカギは「思いの共感」

ー科学的な裏付けが必要な事業だと思いますが、どのような調査をしましたか?

早川:国内だけでなく、海外も含めた論文を徹底的に調査しました。

論文で発表される食品原料は、大抵エキス化や濃縮しているものが多いため、食品といえども普通に食する場合と比較し、圧倒的に大量を摂取することになります。その上で重視するのは、その原料にどんな成分が濃縮されているのか、その成分はどれだけの効果があるのか、一方で安全性は必ず担保しているか、という点です。

また、最終製品のモニター試験や臨床試験を行うこともあります。実際に試験を行って、最終製品の効能を確認しています。

ー健康食品は規制などが厳しい印象があります。どういったところに気を付ける必要がありますか?

早川:医薬品医療機器等法(薬機法)や食品表示法等で厳しく規制されていますが、健康食品はあくまでも食品ですので、効能効果を謳うことができません。パッケージデザイン、キャッチコピーや法的記載内容に関して、薬機法に抵触しない内容にする必要があります。

また、製品に関する臨床試験を行う際にも、患者さんではなく健常者を対象に行う必要があります。試験デザインをきちんと決め、試験機関の倫理委員会で承認され、結果分析をする。たとえ食品の臨床試験といえども、安全性を担保することは必須です。

ー販路を広げていくために、意識していることはありますか?

早川:私は自分自身が体験している病気や、薬の副作用のような経験を、他の誰にもしてほしくないという思いから、起業しました。そのため、私の思いに共感いただける方とたくさんお知り合いになることが大切だと考えています。

そのうえで、BtoBでは、ワクワク・ドキドキ感満載で、両社ともwin-winになれるような関係性を築きながら進めています。一方BtoCでは、いろんな施設で講演会等を催していただき、皆さんが元気に生きることができるようにとお話しさせていただく等、少しずつですが地道に前進しております。

ー広報活動については、どんなことをやっていますか?

早川:弊社から宣伝活動を行うことは少ないのですが、お世話になっている周りの方々のお力添えを頂いて、発表させていただく機会をもらうことが多いです。「こんなビジネスコンテストがあるから出してみては?」、「学会で発表してみては?」といった具合です。

実際に、地元南都銀行様のビジネスコンテスト、「第2回<ナント>サクセスロード」や「ビジコン奈良2017」にて受賞させていただいたこともあり、私が所属している日本交渉学会での基調講演や、弊社製品のモニター結果を日本薬学会食品薬学シンポジウムでも発表の機会をいただくことができました。また、経済産業省関東経済産業局主催の「地方発ベンチャー企業ミートアップ」でも弊社や製品について発表させていただきました。

本当に周りの皆様方にお世話になっているからこそ、チャンスをいただけているのだと思います。少しずつですが私なりに、お世話になっている方々に恩返しをしていきます。

「なぜ?を最低5回は繰り返しなさい」

ー最後に、起業家に向けてメッセージをお願い致します。

早川:自分自身の利益や目先のことにとらわれるのではなく、時には包括的に物事を考え、日々内省しながら、自身が社会に対してどのように役に立つ人材となるかを見極めて進むことが大切だと思います。

私のMBA時代の恩師から、「起業はワクワク感もある反面、この先やって行けるんだろうか?という不安もあります。ワクワク感と不安感が五分五分になった時に走りなさい」という言葉をもらいました。

また、元上司から、「なぜ?を最低5回は繰り返しなさい」と言われました。私もなぜ起業なのか、なぜこの業態なのかといったことを自分自身に「なぜ?」を繰り返し尋ねることで、自身の起業に対する気持ちを強く持つことができ、自分自身が進むべき場所が明確になりました。

病気になったり、体調を崩したり、気持ちがヘコむことは起業しても多々あります。ですが、自分自身に問いかけることで自身の「軸」をしっかり持つことができれば、少々の困難では折れることはありません。

(取材協力:株式会社GMC/早川 恵
(編集:創業手帳編集部)

この記事に関連するタグ

創業時に役立つツール特集

リアルタイムPVランキングトップ3

カテゴリーから記事を探す