ファイナンシャルプランナーとして独立するには?方法や必要な資格を解説
FPとして独立開業を目指す準備を進めよう
お金に関する幅広い知識を有するファイナンシャルプランナー(FP)は、様々な人たちの資金計画を立てる仕事で、副業や独立を検討している人に注目されています。
しかし、「どういった方法で独立すべきなのか」「取得しておくべき資格はあるのか」など、様々な悩みもあるでしょう。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーとして独立する方法をはじめ、役立つ資格や成功するためのポイントなどを解説していきます。
FPとして独立を考えている人や失敗をしたくない人は、ぜひ参考にしてみてください。
独立したいけれど、開業準備や資金繰り、集客方法など分からないことも多いのではないでしょうか。
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この記事の目次
ファイナンシャルプランナーとして独立する方法
まずは、FPとして独立する方法を解説していきます。下記の手順に沿って独立を目指してみてください。
1.収入源を選ぶ
ファイナンシャルプランナーが独立する際、最初に決めることは収入源です。主な収入源は、相談料・手数料・その他に分けられます。それぞれを具体的に解説していきます。
・相談料
個別の相談に応じて得られる収入が相談料です。
相談時間や相談内容によって料金が設定される仕組みで、独立系のファイナンシャルプランナーが得る収入源の多くを占めています。
なお、相談内容は顧客によって異なります。
個人であれば、住宅ローンや資産運用、保険や教育資金などがあり、法人であれば経営戦略や福利厚生、法人で保有している資産の運用など様々です。
・手数料
投資信託や保険商品など、金融商品を販売した際に得られる収入が手数料です。
保険は商品の数が非常に多く、生命保険だけでも積立や貯蓄型、掛け捨て型といった種類があります。
どれを選択すれば良いのかわからない人は多く、これらの相談を受けて販売した保険商品に対して手数料が支払われる仕組みです。
・その他
ファイナンシャルプランナーの知識を活かして、セミナーや執筆活動を通じて収入を得る人もいます。
セミナーであれば講演料で収入を確保し、執筆活動であれば印税や原稿料で収入を得る仕組みです。
また、不動産業者に顧客を紹介することで紹介料を得て働くFPも存在します。
2.事業計画を立てる
独立して成功を目指すためには、しっかりとした事業計画を立てる必要があります。
事業計画に含める内容は以下の通りです。
-
- 事業名
- 事業内容
- 市場の状況
- 競合に対する優位性
- 市場アクセス
- 経営プラン
- リスクや解決策
- 資金計画
具体的に計画を立てることで、実際の運営に役立つだけではなく資金調達でも有利になります。
3.資金を調達する
FPとして独立するためには資金も必要です。事務所開設費や設備費、広告宣伝費や運転資金といった費用を用意しなければいけません。
運転資金は、最低6カ月分を確保しておくと安心です。
事業開始後にすぐに軌道に乗る人は少数だとされているため、ある程度の運転資金が手元になければすぐに廃業してしまう可能性があります。
余裕を持った資金を用意しておいてください。
4.開業準備をする
次に、事務所を探したりホームページを作成して集客したりするなど、開業準備を進めていきます。
オフィスビル内や駅近など、アクセスが便利な場所に事務所を構えると集客しやすくなるでしょう。
なお、集客方法には複数あります。
ホームページをはじめ、リスティング広告やGoogleビジネスプロフィール、SNSやダイレクトメールなどを通じて集客を検討してみてください。
5.開業する
ファイナンシャルプランナーが独立開業する場合、個人事業主と法人の2つの選択肢があります。
個人事業主であれば、管轄の税務署に開業届を提出して開業します。一方、法人は定款を作成して管轄の法務局で登記して開業しなければなりません。
また、個人事業主の場合は資本金は不要です。
煩雑な手続きはほとんどなく、開業に必要な初期費用も抑えられるので、多くのFPが個人事業主を選択しています。
しかし、法人には個人事業主よりも社会的信用力があり、節税を図れるといったメリットがあります。
それぞれのメリット・デメリットを把握してどちらで開業するべきか選択してください。
ファイナンシャルプランナーとして独立するのに役立つ資格
ファイナンシャルプランナーとして活躍するためには、金融や税金、年金や投資など、あらゆる知識が必要です。
また、コンサルティングスキルやコミュニケーションスキルも不可欠となります。
独立して顧客を確保するためには資格を持っているほうが有利です。
ファイナンシャル・プランニング技能士やAFP資格、CFP資格など、様々な資格があるので、それぞれの特徴を理解して取得を検討してみてください。
ほかにも、顧客のニーズに合わせたサービスを提供するためには専門的な知識も必要です。
住宅ローンアドバイザーや介護福祉士、相続診断士などの資格取得を検討することで、安定した顧客や収入確保につながります。
ここでは、取得しておくと有利とされる、ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格、CFP資格の3つの資格について解説していきます。
ファイナンシャル・プランニング技能士
NPO法人日本FP協会または一般社団法人 金融財政事情研究会を試験実施団体とした国家資格がファイナンシャル・プランニング技能士です。
3級は入門レベル、2級は実務レベル、1級は高度な専門知識や実務経験が求められています。
なお、試験は学科と実技の2種類が用意されており、両方に合格しなければいけません。
学科もしくは実技のいずれか一方に合格した場合は一部合格となり、合格した試験を実施した翌々年度末までに限り、合格している試験を免除できます。
AFP資格
ファイナンシャルプランナーとしての十分な基礎知識と、相談者に対する適切なアドバイスや手案ができる技能を習得したことを証明する資格がAFP資格です。
日本FP協会が認定している民間資格で、資格を取得するためには協会が認定している教育機関で実施されるAFP認定研修を受けなければなりません。
基本課程・技能士課程・税理士課程の3つのコースから選択します。
認定研修では6つの専門分野にわたる知識を体系的に学習していき、学習の総仕上げとして課題に基づいて提案書を作成していきます。
なお、AFP資格の認定を受けるためには、2級FP技能検定に合格しなければなりません。
2年ごとに資格更新が義務付けられており、その要件として継続教育を受ける必要があります。知識やスキルを常に高められる魅力を持つ資格です。
CFP資格
CFP資格は、日本FP協会が認定している民間資格です。
FP資格の最高位に位置付けられている資格となり、日本だけではなくヨーロッパやオセアニア、北米、アジアなど、世界中で導入されています。
CFP資格を受験するためには、AFP認定者になる必要があります。
ほかにも、CFP資格審査試験の合格、CFPエントリー研修の修了、一定の実務経験が必要となり、そのすべてを満たさなければなりません。
実務経験に関しては、試験合格前10年からCFP資格認定日の間に通算で3年以上働いていた実績が求められます。
また、AFPと同じように2年ごとに継続教育を受けることが義務付けられ、費用は自己負担です。
ファイナンシャルプランナーとして成功するためのポイント
知識やスキルを習得するだけではファイナンシャルプランナーとして成功できない可能性があります。
実務経験を積んで差別化を図るほか、新たな知識を習得することや人脈づくり、傾聴力を磨く(みがく)ことも意識しなければいけません。
ここでは、ファイナンシャルプランナーとして成功するためのポイントを解説していきます。
金融機関やFP事務所で実績を積む
ファイナンシャルプランナーとして独立開業するためには実務経験を積むことが不可欠です。
様々な実務経験を積んだ人に依頼するほうが「問題は早期に解決するのではないか」と考える人が多いためです。
まずは金融機関や保険代理店などに勤務して、FPの実績を積むことを検討してみてください。保険や住宅ローンなど、専門的な実績を得ることができます。
また、FP事務所であれば実力向上に役立つだけではなく、事務所運営のノウハウも得られるでしょう。
実務経験を積んでいけば信頼が得やすくなり、より多くの案件獲得を期待できる可能性が高まります。
初めから独立開業を目指すのではなく、実務経験を積むことから始めてみてください。
他のFPとの差別化を意識する
独立開業したからといって、すぐに安定した利益を確保できるとは限りません。
ファイナンシャルプランナーの資格を取得する人は年々増えており、近年は競争が激化しています。
顧客が集まらない可能性があるため、他のFPとの違いを明確化させる必要があります。
そのためには、キャリアの棚卸や他に取得している資格から、専門分野を見極めてみてください。
例えば、ペットショップに勤めていた人がファイナンシャルプランナーとして独立したとなれば、「ペットショップのお金に関する悩みを解決」できます。
多くのペットショップから注目を一気に集めることができ、依頼件数が増える可能性もあります。
過去の経験に差別化できる要素がない場合には、持っている知識をより深く学んだり、新しい分野について勉強したりするのもおすすめです。
常に新しい知識を習得する
ファイナンシャルプランナーに関する知識を習得し、資格を取得しただけでは安定した利益の確保は難しいです。
お金に関する制度や法律、税制や金融商品は常に変化し続けていることが理由です。
古い情報のみ持っていても、顧客のニーズに合った提案はできないため、新しい情報を学び続ける必要があります。
新聞やニュースを常に確認したり専門書の購読やセミナーなどに積極的に参加したりすると、業界の動向や新しい知識を把握でき、顧客からの信頼を得られます。
知識や資格を取得して終わりではなく、常に学び続ける姿勢を持つことが大切です。
人脈づくりも必須
FPとしての仕事を確保するためには人脈づくりが大切です。
人脈があれば、新しい顧客と巡り合う可能性があるだけではなく、事業運営に関するアドバイスをもらえたり、困った時に助けてもらえたりする可能性もあります。
富裕層や経営者、医者といった人たちとのつながりが必要と考える人もいますが、地域の活動や趣味の活動で知り合った人が事業に影響を与える人物になる可能性は十分に考えられます。
知人から紹介してもらったり、交流会やイベントには積極的に参加したりすることが大切です。
同業種交流会や異業種交流会、セミナーへの参加など、あらゆるイベントが開催されています。
事業に関連のない趣味や興味のある内容のイベントに参加するのもおすすめです。一歩踏み出すことで新たな人脈ができるかもしれません。
傾聴力を磨く
相手の話を聞き、言葉だけではなく感情や意図を理解しようとする能力を傾聴力といいます。
ファイナンシャルプランナーの業務では、顧客の声を聞く必要があります。
問題を解決したり的確なアドバイスをしたりするためには相手の気持ちを掴まなければならず、傾聴力はFPにとって必要なスキルのひとつです。
信頼を得るためには、顧客の話に注意深く耳を傾け、言葉だけではなく声のトーンや身振り手振り、感情にも注目してみてください。
そして、質問を通じて相手の意見や要望を掘り下げましょう。
顧客の話を遮ることは避けて、最後まで話を聞く姿勢を見せることも重要です。話を聞く際には目を合わせ、体を少し前に傾かせることで関心を示すことができます。
オウム返しや大きく頷くといったような傾聴する姿勢を見せるのもポイントです。
「話を聞いてくれる」「話を理解しようとしている」と感じられるので、より深い話を聞き出すことにもつながります。
まとめ・ファイナンシャルプランナーとして独立成功を目指そう
ファイナンシャルプランナーとして独立するためには、資格を有するだけではなく、実績や差別化を図ることが重要です。
常に新しい知識を習得することで信頼獲得を目指せます。
人脈づくりや傾聴力を磨くことも重要で、独立成功を目指すためには様々な努力が不可欠です。今回紹介した方法を参考に独立開業を目指してみてください。
ファイナンシャルプランナーは専門知識を活かせる一方、独立後は「経営者」として事業運営全般を担う必要があります。
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(編集:創業手帳編集部)