起業リスクとは?起こりえるトラブルと回避するための対策

創業手帳

起業にともなうリスクの種類と対策を紹介。負担を抑えて起業成功へ


起業したいと考えている人の中には、漠然としたリスクを恐れて踏み切れない人もいるのではないでしょうか。
実際に、起業するためにはいくつものリスクが存在します。
今回は具体的に生じるリスクと対策や不安の解消方法を紹介していきます。

起業する方法について、詳しくはこちらの記事を>>
普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳の大久保が解説!

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起業には必ずリスクがある


前提として、起業にはリスクが付きものです。起業する際のリスクとは、どういったものがあるのでしょう。
起業に関するリスクと心構えについて見ていきます。

リスクを恐れる必要はない

起業は資金面やプライベートとのバランスなど、会社員として勤務することと比べて大きなリスクをともないます。
しかし、会社員であっても倒産や仕事による体調不良などリスクはゼロではありません。
リスクを恐れるのではなく、必ず発生するものだと認識し、対策することが大切です。

リスクを怖がっていては起業などできない

リスクを恐れてはいけないとしても、リスクを正しく理解していなければ怖いと感じてしまいます。
リスクを感じて怖がり、ためらっていてはいつまでも起業できません。

まずは、どのようなリスクがあるかを理解することが重要です。
理解できれば、リスクを課題として考えられ、起業に向けて克服する行動につなげられます。

起業するには正しいリスク対策が必要

起業には多くのリスクがともないますが、それぞれに正しい対策があります。
そして、リスク対策はトラブルが発生してからでは手遅れになってしまう場合があります。
起こりえるトラブルを事前に考え、計画を立て、リスクマネジメントをすることが成功のポイントです。

起業で起こりえるリスク


正しいリスク対策をするためには、どのようなリスクが発生するかを知ることが必要です。起業に際しては、これから紹介する4点のリスクが想定されます。

ここからは、各分野で起こりえるリスクを考えていきます。

資金面のリスク

最初に、資金面のリスクを3点紹介します。

起業の準備に費用がかかる

起業には必ず事前段階で費用がかかります。
事前の想定が甘く、準備費用がかかりすぎたために起業を断念するケースもあるかもしれません。

例えば、ホームページ作成や名刺作成費用だけでなく、そのほかの備品を準備する必要があります。
また、株式会社を設立する場合は、法人登録にかかる手数料や、手続きのために必要な会社実印・会社印などを作成する費用も発生します。
成功の可能性があるビジネスモデルを用意していても、準備費用がないと起業は不可能です。

ランニングコストがかかる

事業を維持するため、常に発生するものがランニングコストです。

店舗を構えていればテナント料や光熱費が、Web関係であればインターネットの通信費など、売上額の変動に関係なく一定額がかかります。
さらに、金融機関から融資を受けている場合は元本や金利の返済、従業員を雇用していれば給与や各種保険料、福利厚生費の支払いも必要です。

起業後しばらくは赤字となる場合は、資金繰りが立ち行かなくなり閉業を余儀なくされるケースもあります。

資金調達がうまくいかない

起業前の準備費用が足りない、もしくは、起業しても途中で資金が底に尽き、調達することができなくなるケースもあります。
融資を受ける手段や、資金調達の方法を事前に知っておくことが大切です。

資金調達について詳しくはこちらの記事を>>
起業したばかりでお金がない法人や個人事業主の資金調達手段まとめ!裏技も紹介

事業面のリスク

次に、事業面のリスクに関して、収益・売掛金・災害の3点を詳しく見ていきます。

収益が出ない

事業をスタートさせても、売上げが伸びない場合があります。
想定した通りに集客ができず、見込み客が獲得できないことなどに起因します。

収益を出せなければ、準備費用の回収やランニングコストを支払うこともできません。
事業を開始してからでは常に一定のコストがかかるため、収益が出せない限り、手持ち資金が底を尽けば閉業となってしまいます。

売掛金の回収がうまくいかない

商品代金を後払いで回収する場合、売掛金の回収に難航するケースがあるため、取引先の選定には注意が必要です。

起業して間もない時期は、取引先を増やしたいという気持ちが先行するかもしれません。
しかし、取引先によっては、資金回収の際に資金不足を理由に延滞や踏み倒しを行ってくる場合もあります。

売掛金を確実に回収しなければ、自社の資金がなくなり、融資先から信用を失う恐れがあるため、取引契約を結ぶ際には一定の基準を持つことが大切です。

天候や災害による影響

リスクを考える際に見落としがちなものが、天災に関する内容です。

地震大国である日本では、いつ大地震が起こってもおかしくありません。
また、近年では新型コロナウイルス拡大による営業自粛など、感染症によるリスクも発生しています。
このような災害による影響は、中小企業ほど打撃を受けやすく、閉業に追い込まれるケースもあります。

災害により営業が停止になる、従業員が出勤できない、データが消えるなど様々な側面からリスクを想定することが重要です。

プライベート面のリスク

起業においては、会社員として勤務することとはプライベートでも違いが生じます。
プライベート面のリスクを3点紹介します。

健康管理がおろそかになる

起業してすぐは、ひとりでこなさなければならない仕事が多く、業務過多になりがちです。
そのため、寝不足や運動不足、座り仕事による負担などで健康を害する恐れがあります。

また、起業は精神的に多大なストレスがかかることも少なくありません。
経営者としての責任や先行きの不安により、精神面に害が生じることがあるため、心と身体の両方をケアすることが必要です。

仕事とプライベートの境界がなくなる

起業して間もない時期は、収益確保のために無理をしてでも仕事を引き受けてしまう場合があります。
業務が増え、仕事が気になって不安になり、24時間仕事のことを考えて休日もメールや電話を確認してしまう場面もあるでしょう。

これは、仕事とプライベートを区別できていない状況です。
プライベートの時間がなくなるだけでなく、ストレスがかかり健康を害する恐れもあるため、注意が必要です。

家族の理解が得られない

起業に際しては、一時的に収入が減る、休日返上で働かなければならないなどの場合もあります。そして、それらを家族が理解してくれないこともあるかもしれません。

家族の理解が得られなければ、家族関係に影響が出ることはもちろん、精神的な負担となり、仕事に集中できない場合があります。

法律に関するリスク

最後に、法律に関するリスクを2点見ていきます。

業務上の過失

従業員の事故による怪我や飲食店での食中毒、物品の破損など業務上の過失もリスクにつながります。
このような場合、訴訟や賠償金、業務停止処分など事業継続が困難となる事態に陥ることも想定されます。
ひとつの過失から、業務停止や閉業まで追い込まれる恐れもあるという認識が必要です。

許認可、資格の更新、法改正への対応の遅れ

事業を行う上で、国からの許認可や国家資格を必須とする場合があります。
こうした認可や資格は変更・改正されることがあり、随時対応しなければなりません。

対応を怠ったり、対応していても解釈に間違いがあったりすると、ルール違反となって法律に抵触する恐れがあります。
その場合、事業継続が困難になったり、取引先からの信用を失ったりするケースも懸念されます。

起業のリスク対策に必要なことは?


起業のリスクについて紹介しましたが、正しく対策することが大切です。
ここからは、リスクマネジメントの方法を紹介します。

事業計画・資金計画をきちんと立てる

資金面のリスクは、閉業につながる危険性が高い事案です。そのため、事前に緻密な資金計画を立てる必要があります。
場合によっては、日本政策金融公庫からの融資や都道府県からの助成金を受けることが可能です。計画をきちんと練り、事業開始に備えることが大切です。

また、成功につながりそうなビジネスアイディアがあっても、適切に運用できなければ軌道には乗りません。
災害や法律上のリスクなど多面的にリスクを想定して、事業計画を立案することが重要です。

基本的な防災対策も

BCP(事業継続計画)に基づき、被害を受ける前の防災と、被災後における事業継続の観点から対策を行います。

防災の観点からは、被害を最小限に抑えるように想定される被害を事前に洗い出し、避難場所の確認や家具の転倒防止対策、定期的な避難訓練の実施などが必要です。

被災後に事業を継続するためには、事前にテレワーク環境の整備と導入、安否確認システムの導入を実施しておきます。
被災によって、通常通りの事業運営ができないことも想定されるため、最低限行うべき業務を洗い出し、優先順位を決めておく必要もあります。

また、データが消える状況も考えられるため、バックアップシステムを構築しておき、バックアップをとっておくことも大切です。

情報管理のルール・業務マニュアルなども

事業計画だけでなく、情報管理のルールや業務マニュアルも事前に作成しておく必要があります。
ルールやマニュアルを作成すれば、リスクを確認することにつながり、同時に回避する方法も検討できます。

また、情報管理に関しては情報漏えいがないよう、注意が必要です。情報漏えいは顧客からの信頼喪失や、訴訟に発展するケースもあります。
SNSやクレジットカードへの不正アクセスなど、情報漏えいの危険性は複数あるため、管理の徹底が必要です。

事前に家族に説明する

計画を立てたら、現状と今後の見通しを含めて家族に説明することが不可欠です。
起業に関するプランとプライベートについて話し、理解を得られたら、家族関係を良好に保てるでしょう。

また、理解してもらえるように歩み寄る姿勢も大切です。仕事とプライベートの区別をして家族と過ごす時間を多く設けるなど、些細なことがカギになります。

初期投資を最小限に抑える

収益がない状態で生じる初期投資は、できるだけ少なく抑えることがポイントです。
そのためには、小規模なサービスから始め、段階的にビジネスを大きくしていくことで、初期投資を抑えられます。
最初から大規模にビジネスを開始すると、多額の初期投資もかかり、失敗した際のリスクも大きくなってしまいます。

長期的な成長を想定してビジネスをスタートさせることが、準備費用を抑えるポイントです。

副業で試してから独立起業する

起業に向けて会社を退職したにもかかわらず、軌道に乗らず撤退となるのは最も避けたいケースです。
そのため、まずは副業で試してうまくいったあとに独立すると、リスク軽減につながります。
副業からスタートすれば、ゼロからのスタートに比べて起業する際の見通しも立てやすくなります。

また、本業があるからこそ失敗を恐れずチャレンジできる点もメリットです。
副業として小規模で始めれば、少ないリスクで自分のアイディアをビジネスにできます。

起業後のスケジュールも作成しておく

事業拡大のスケジュールと収益見込みを立てると同時に、手続き関連の対策も立てておくことが必要です。
起業にあたっては、行政への申請など複数の手続きを要します。
申請する時期には規定があり、申請に不備があると法律に抵触する恐れもあるため、事前に漏れがないようにスケジュールを立てることが大切です。

ある程度のリスクは避けられないと割り切る

事前にリスクを想定して対策しても、ある程度のトラブルが発生することは避けられません。
また、プライベートとの切り分けは大事ですが、起業当初は非常に多忙であり、一定期間はプライベートの時間が大きく減ることも想定されます。

リスクをゼロにした状態で起業することは難しいと割り切って、恐れずに起業する姿勢も大切です。

まとめ

起業するにあたってリスクは付きものですが、具体的にリスクを想定し、対策を講じることは可能です。
資金面や事業面などから起こりえるケースを、事前に考えることも大切です。
周到な準備によって回避できるリスクもあるため、リスクを怖がって起業をためらうのではなく、課題として解決することが成功へのポイントになるでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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