実業家とは?起業家や事業家などほかの言葉との違いを解説

創業手帳

実業家として成功するコツや職業として実業家になるポイントもあわせて紹介


経営者といっても、実業家や起業家など様々な呼び方があります。これらはすべて意味の異なる言葉ですが、違いがわからないという人もいるかもしれません。

今回は、実業家の意味について、他の似ている言葉の意味とあわせて解説します。また、実業家になる方法や成功するポイントについても紹介していきます。

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実業家とは?


まずは国語辞書で示される実業家の意味を確認します。

商業・工業・金融業など、経済的事業を営む人。
出典:goo辞書

現代において、実業家は肉体労働をともなわない業務で事業を営んでいる人や複数の事業を成功させた人といった文脈で使用されることがありますが、実際には異なります。
そもそも実業とは、goo辞書によると「農業・商業・工業・水産業など、生産・販売に関わる事業」といった意味です。
つまり、実業家とは生産や販売といった経済的な事業を営む人を指します。

実業家を意味する英語には「businessman」や「industrialist」があります。
日本語でビジネスマンというと社会人として用いられることがありますが、本来は実業家を意味する言葉です。

起業家など似ている言葉との違い


実業家と似た言葉は複数あり、混同して使用されているケースもあります。
似ている言葉として起業家・企業家・事業家・社長・経営者の意味を紹介し、最後にそれぞれの言葉と実業家の違いをまとめます。

起業家

起業家とは、英語では「entrepreneur」といい、新たな事業をおこして運営する人、それを専門的に行う人を指します。
1970年頃の第一次ベンチャーブームのあたりから注目を集めた言葉です。

スモールビジネスでも起業する人や新たなビジネスを起業しては売却する人、何度も起業を繰り返す人に使われることがあります。
一般的なイメージが拡大しつつありますが、起業家は自らのアイデアをもとにゼロから市場にない事業をスタートさせた人に使用します。

そのため、会社を受け継いで経営している人や既存の事業で新たに会社を設立する人と同じ意味ではありません。
また、スタートさせる事業の範囲に決まりもなく、世の中にないビジネスを新しく始めた人が起業家となります。

企業家

企業家は、起業家と同じく英語では「entrepreneur」を使います。しかし、日本語としては、企業をおこしたり企業経営に取り組んだりする人に使用する言葉です。

起業家と言葉も意味も似ていますが、起業家が事業を対象としているのに対して、企業家は企業を対象としています。
起業家は新しいビジネスを立ち上げることを意味し、それと同時に経営者となっていることが基本ですが、必ずしも経営を意味するものではありません。

それに対して、企業家は企業の経営に主軸を置いている人を指します。
新製品や新技術を作り出す、新たな生産方式を考案するなど、企業経営に対してアクティブに動いている人が企業家です。

なお、企業の代表を指すだけでなく、会社員であっても自らが企業経営に向けて能動的に取り組んでいれば企業家と言えます。

事業家

実業家は起業家・企業家と同じく英語では「entrepreneur」といいますが、日本語の意味は異なります。
事業を企て経営を実施する人や、事業経営に巧みな人を指す言葉です。

単純に事業を行う人を意味すると同時に、事業を行う能力の高く、事業規模を拡大していくことができる人に使います。
つまり、起業家がゼロから事業を作る人であり、それを大きくしていくことが事業家です。そのため、起業家が事業を拡大し、のちに事業家になると言えます。

実業家の具体的な内容としては、事業計画を立て、それを管理・遂行する役割です。例えば、M&Aや買収などなど巧みに実施し、事業規模を拡大する人も事業家にあたります。

社長

社長の英訳は「president」です。日本語においては、会社の業務執行における最高責任者であり、会社の代表権限を持つ人を意味します。

実業家が生産や販売など経済的な事業を行う人を指し、起業家は企業を継いでいる2代目以降には使用しないのに対し、社長にはこういった制限はありません。
社長は企業の大きさや事業内容に関係なく、その会社で業務を執行する最高責任者を指します。つまり、会社内での役割を指す言葉です。

なお、社長の肩書として「代表取締役」を使用することがあります。代表取締役は会社法で定められている呼称です。
対して社長は法律で定められた呼び方ではなく、商習慣上の呼称にあたります。

経営者

経営者は英語で「executive」といいます。企業を経営している人を意味し、経営方針・経営計画を決め、全般的な管理を担当する経営管理者の総称です。

つまり、言葉の通り、企業を経営する者が経営者と言えます。
実業家には対象とする事業に制限がありますが、経営者はあらゆる事業を意味するため、幅広い意味を持つことが特徴です。

社長と同じく、事業の内容や自ら立ち上げたかどうかなどは問われません。
ただし、社長が企業内での肩書であるのに対して、経営者は実務として企業経営をする権限を持っている人を指します。

実業家と各言葉の違い

実業家と似た言葉の意味をそれぞれ確認してきましたが、最後に各言葉との違いをまとめます。

・実業家
経済的な事業を営む経営者

・起業家
新たな事業をおこした人

・企業家
企業をおこし、経営に対して積極的に取り組む経営者

・事業家
事業を巧みに運営すし、規模を拡大する経営者

・社長
企業の最高責任者であり代表権を持つ人の呼称

・経営者
経営方針や計画を決めて企業を経営する人

実業家は生産や販売など経済的な事業を営む場合に使用するため、経営者よりも狭い意味になります。
それぞれに違いがあるため、会話などで使う際は意味を意識することがポイントです。

国内外の著名な実業家


実業家の意味を解説してきましたが、実際に活躍している実業家を知ることで実業家に対してより理解を深めることができます。
ここからは、国内外の著名な実業家を4名紹介します。

柳井正

カジュアル衣料の製造・販売を行うユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長です。

山口県で父親が経営する紳士服店を継ぎ、その後広島県にユニクロ1号店を出店します。
現在はユニクロだけでなく、GUやセオリーといったファストファッションブランドを展開し、世界的に有名な企業へと成長させました。

柳井氏は、当時の日本では浸透していなかったSPA(製造小売業)のビジネスモデルを取り入れました。
SPAとは企画・製造・販売までを自社で統合するシステムです。これがアパレル業界に衝撃を与え、世界的な巨大チェーンとなったポイントとなりました。

生産・販売における分野において、挑戦を続けながら経営を行う点は実業家であると言えます。

本田宗一郎

輸送用機器メーカー本田技研工業株式会社(通称ホンダ)の創業者です。

東京の自動車修理工場で働き、22歳の時に地元である静岡県に戻り自動車修理工場の事業を拡大していきます。
その後、1946年に本田技研工業株式会社の前身となる本田技術研究所を設立し、以降は自動車部品、二輪車製造、四輪事業への参入とステップアップしていきました。

本田氏は一代でホンダを世界的なメーカーに成長させた起業家であり、実業家です。

三木谷浩史

インターネットサービス事業を幅広く展開する楽天グループ株式会社の代表取締役会長兼社長であり、創業者です。1996年に31歳で起業し、1997年に現在の楽天グループを設立しました。

世の中にどういった価値を提供できるかを考え、目標を設定することが実業家として成長したポイントです。
楽天グループは、日本最大級のECサイトである楽天市場の運営をはじめ、Eコマース・金融・通信・不動産・スポーツなど様々な企業を傘下に有しています。
幅広い分野で経済的な事業を営んでおり、日本を代表する実業家です。

スティーブ・ジョブズ

Appleの共同創業者のひとりで、世界的に知られているアメリカの起業家であり実業家です。

販売不振の影響から一時期はAppleを追放されますが、復帰後にはiMac、iPod、iPhoneなどの製品を次々と発表します。
これによって、危機的な状態にあったAppleの経営が改善され、アメリカ初の時価総額1兆ドル企業へと成長させました。

躍進のポイントは常識に捉われない発想です。例えば、iPhoneやiPadは従来のキーボードが付いている形とは異なり、タッチパネルとホームボタンのみの形となっています。
従来の常識とは離れ、徹底的に無駄を省いた設計が成功につながりました。

起業家として新たな事業にチャレンジし成功を収めたと同時に、経済面に大きな影響を与えた実業家でもあります。

実業家になるためには?


実業家になるために事業を始めるには、いくつかのステップを踏むことが必要です。

まずは、事業内容や事業規模を決定します。
事業内容を決める際は闇雲に考えるのではなく、ニーズや収益があるのか、世の中に役立つかといった視点で検討することが大切です。
事業規模を決めるにあたっても、世論や市場をリサーチすることがポイントとなります。

次に、具体的なビジネスプランの作成です。ビジネスプランを作る際は、アイデアを書き出しそれを細かく作り込んでいきます。
この時、5W2Hの考え方を用いることが有効です。ターゲットが明確化され、コンセプトや流通経路などを効率良くまとめることができます。

最後に、事業資金の準備が不可欠です。自己資金だけでなく、金融機関から融資を受けたり出資者を募ったりといった方法で資金調達を行います。
また、条件によっては国や自治体から補助金を受け取ることもできます。ビジネスプランの段階で正確な資金を算出し、準備しておくことがスムーズに進むポイントです。

実業家として成功するポイント


事業家を目指す場合、事前に成功するポイントをおさえておくことが重要です。主に3点のポイントを紹介します。

人脈を広げる

事業を展開していくためには、人脈が欠かせません。

新しいアイデアは人との交流から生まれることがあります。
また、人脈を広げることにより顧客を紹介してもらえる、新たな商品やサービスを提供できるといった利点があり、事業を大きくすることにもつながります。

ただし、事業の目的だけのために浅く広く人脈を広げてもうまくはいきません。
信頼関係を築きにくい恐れがあるため、深く付き合い信頼できる人間関係を構築することが大切です。

人脈を広げるためにはコミュニケーション能力を磨く(みがく)ことがポイントとなります。
誰にでも親しみやすく接し、人格面の魅力も高めることが重要です。

失敗を恐れずチャレンジする

失敗を恐れずに挑戦することも成功のポイントです。

実業家として成功するためには、新たなアイデアが生まれれば柔軟に取り組んでみることが必要となります。しかし、新しいチャレンジはリスクを背負うものでもあります。
リスクや失敗を恐れて人と同じことばかり行っていては、大きな成功にはつながりません。
失敗を恐れずにチャレンジすること、そして失敗することがあってもそれを乗り越える強い精神力が求められます。
失敗しても簡単に挫折せず、努力を続けることが大切です。

ただし、失敗を恐れず何であっても挑戦すれば良いわけではありません。新しく生まれたアイデアに対して、市場データなどから成功するかを冷静に分析することが必要です。

流行に敏感

世間のニーズを捉えて新たなサービスを提供するためには、流行をキャッチしていることが不可欠です。
世間のニーズを的確に捉えるにあたり、自分の感性に頼るだけではアイデアに限界があります。
流行を敏感に捉えることが、常識に捉われない斬新な事業を生み出すポイントです。

ニュースや新聞だけでなく、家族や社員との会話、SNSなどから様々な情報を収集し、ニーズを見出さなければなりません。
メディアの情報だけでは偏りがある可能性も考えられるため、街を散策したり多くの人と交流を持ったりして、世間の困りごとや不足していることに気付くことが重要となります。
フィールドワークも行いアンテナを広く張ることで、新たな情報を集める習慣を身に付けることで、流行に対して敏感になれるでしょう。

まとめ

実業家とは、生産や販売といった経済的な事業を営む人を指します。
起業家や経営者など似ている言葉は複数ありますが、それぞれに違いがあるため、意味を理解して使用することが大切です。

実業家として成功するためには、人脈を広げる、失敗を恐れずチャレンジするといったことが重要です。
成功するためのポイントや、実業家になるまでの流れを事前に確認しておくことが、成功への鍵となるでしょう。

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