コスト削減を目指したい!効率的に行うための手順や具体的な方法を解説!

資金調達手帳

生産性の向上にはコスト削減が効果的!


企業を成長させるためには、何かとコストがかかるものです。
しかし、限られた資源をうまく配分しなければいけないため、とにかくコストをかければいいというわけでもありません。
利益を確保するためには、コスト削減を意識的に行わなければいけない場合もあります。

今回は、コスト削減の目的や事業を行うためにかかる費用の種類、コスト削減の手順、実現するための具体的な方法について解説します。

コスト削減の目的とは?


企業にとってコストは、営利活動を行う上で必要な経費です。人件費や家賃、水道光熱費、通信費などが含まれます。
企業が得る利益に関する考え方は多種多様ですが、売上げからコストを差し引いたものを表すケースが多いです。

人件費やオフィスコストなどが削減できれば、売上げが上がらなかったとしても利益を増やせます。
どのような方法で利益アップを目指すかは企業の考え方によって異なるため、一概に「このようなやり方がベストだ」と言い切れません。

コスト削減の方法は企業にもよりますが、最終的な目標は利益を増やすことになるでしょう。
売上げにつながるコストを削らないように、無駄を見極める必要があります。

事業を行う上でかかる4つのコスト


事業を行うためには、人件費、採用コスト、IT機器関連コスト、オフィスコストといった様々なコストがかかります。
続いては、これらコストについて解説していきます。

1.人件費

人件費は、企業におけるコストの中でも大きな割合を占めています。
毎月支払う基本給はもちろんですが、通勤手当や残業代、退職金、法定福利費、法定外福利費なども人件費に含まれるものです。
売上げに対する人件費の割合を示す人件費率は、業種によって違います。

人材採用費や教育研修費、賞与、法定外福利費は、企業側がコントロールしやすい人件費だとされています。
しかし、法定福利費(社会保険料や労働保険料の事業主負担分)は法律で定められている利率に合わせた金額を支払わなければいけないので、企業側でコントロールできません。
所定時間内賃金や所定時間外賃金、退職金に関しては企業が決められるため、制度設計次第でコントロールできます。

2.採用コスト

採用コストは、採用活動を行う上で発生した費用です。
主に内部コスト(採用担当者の人件費や候補者の交通費、リファラル採用時のインセンティブなど)と外部コスト(求人広告掲載料や人材紹介会社に支払う成功報酬、スカウト媒体の利用料など)の2種類があります。

金額は、企業の規模や新卒・中途採用など条件によって異なります。
採用にもコストがかかるため、ミスマッチを防ぐためのカジュアル面談を取り入れる企業も増えているのが現状です。
ダイレクトリクルーティングを採用したり、採用広報に力を入れたりするケースもあります。

新たな人材を採用して風通しを良くすることは企業の成長に欠かせません。そのため、必要なコストだと言えます。

3.IT機器関連コスト

PCやタブレット、スマートフォンなどのIT関連機器は常に進化しています。そのため、IT機器の普及が課題だと感じる企業も少なくありません。
企業によっては、1年ごとに買い替えなければいけないケースも考えられます。

買い替えの度に新機種にしていたらコストはかさむばかりです。コストを少しでも削減したいのであれば、月額料金で利用できるリースやレンタルといった方法もあります。
リースであれば、コストを抑えながら最新の機器を利用できるのでメリットは大きいです。

また、外注によってランニングコストの削減も期待できます。自社だけで賄えないと感じる場合は、サーバーのクラウド化などを積極的に外注するのがおすすめです。

4.オフィスコスト

オフィスコストにはOA機器などのリース費用や家賃、事務用品代などが含まれます。社員数が多ければ多いほど減らした時の効果は大きいです。
毎月発生する家賃などの固定費は、削減できれば中長期的に効果を得られるでしょう。

新型コロナウイルス感染所の影響で、テレワークを認める企業も増えました。
徐々に従来どおりの働き方に戻っている企業もありますが、テレワークを継続しているところもあります。
オフィスに出社する社員が少なければ、電気代やコピー代も削減できるのでテレワークは魅力的な働き方です。

総務省の試算では、テレワークなどの導入でオフィスの電力はひとりあたり43%も削減できるという結果が出ています。
家庭での電力消費を加味しても、全体の消費量は14%削減できると試算されているので、メリットが大きいことは明白です。

コスト削減の手順


コスト削減を目指すのであれば、やみくもに取り組むのではなく、しっかりと分析する必要があります。
分析を怠ると効果が出ないことはもちろん、時間や労力の無駄遣いにつながりかねません。そのような事態を防ぐためには、コスト削減の手順を把握することが重要です。

1.支出を洗い出して現状を把握する

現状で何にどのくらいコストを使っているのかわからなければ、コスト削減は難しいです。
業務を行ったり、会社を経営したりする中で発生するコストもあります。そのため、すべての支出を洗い出すところからはじめましょう。

実際にかかっているコストをリストアップすると可視化できるので、なんとなく使っていたムダに気付けます。
ムダな部分を省くことができれば、それだけでコスト削減につながります。
大幅に削減できる部分があるケースも考えられることから、支出を洗い出して現状を把握する作業は重要です。

しっかりと支出の洗い出しができれば、コスト削減を実現しやすくなり、利益向上にもつながります。

2.コスト削減でどのような効果が期待できるか考える

削減すべき部分が明確になったら、コスト削減によってどのような効果が期待できるか考えましょう。
しかし、どのような項目を削減するにしても、時間や労力がかかるものです。
それを踏まえた上で、取組みにかかるコストと費用対効果を比較し、時間や労力をかけてまで削減すべきことなのか見極めてください。

シミュレーションをすると、リスクが見えてくる場合もあります。
例えば、広告宣伝費を削減した場合、CMを放送しなくなったことで認知度が低下したり、販売機会の損失が生まれたりするといったリスクが懸念されます。
メリットだけではなくデメリットがあることも理解した上で、コスト削減について考えなければいけません。

3.プランや目標を設定する

コスト削減のシミュレーションで削減する項目が決定したら、具体的なプランや目標を設定します。
いつまでに、どの項目を削減するのかを決めておけば、タイムリミットがあることでより現実的なプランや目標を立てることにつながります。
どのような方法で行うのか、社員に周知を徹底させることもポイントです。

周知させるには、理解してもらえるように説明することと明確な目標・具体的なプランが必要です。社員にもしっかりと伝わっていれば、全員が迷わずに済みます。
一丸となってコスト削減という目標に向かえるので、効率的なコスト削減を実現しやすくなるでしょう。

コスト削減は、企業のトップだけが努力すれば解決できる問題ではありません。多くの人の協力が必要だという事を忘れないようにしてください。

4.プランの実行と改善を繰り返す

プランを実行したら、実際に生まれた効果と最初に考えた目標を照らし合わせてみてください。
目標をクリアできなかったり芳しい効果が出ない項目があったりした時は、原因を探る必要があります。
原因を分析することで、より効果的にコスト削減を目指せる方法が見つかる可能性も高いです。

コスト削減は、たった一度のプラン実行で完了するわけではありません。分析と改善を繰り返すことがポイントになります。
何度も繰り返すことで、当初の目標よりも大きなコスト削減を実現できる可能性もあります。

本来の目的を達成するまでに時間がかかってしまうかもしれません。コスト削減はすぐに結果が出るとは言い切れないため、長く取組むことも視野に入れておきましょう。

コスト削減を実現するための具体的な方法


コスト削減をするなら、実現に向けた具体的な方法も知っておいて損はありません。
最後に、具体的にどのような方法があるのかご紹介します。コスト削減を目指す際の参考にしてみてください。

家賃の値下げ交渉を行う

家賃が相場よりも高いと感じているなら、家賃の値下げ交渉がおすすめです。新型コロナウイルス感染症の影響で、法人オフィスの需要も落ち込んでいます。
徐々に回復しているとはいえ、テレワークメインのまま業務を行う企業もあるので以前と同じ水準まで需要が高まるのは難しいと考えられます。

そのため、家賃相場が下がっている可能性も高いです。現在の相場をチェックし、乖離(かいり)があるようなら交渉の余地があります。
ただし、必ずしもうまく交渉できるとは限らないので、強く交渉したり家賃を下げてもらう前提で話を進めたりするのは止めましょう。

家賃交渉が成功しやすいのは、そこまで人気が高くない物件です。大手のビルだと、下限家賃が設定されている場合もあります。

テレワークに移行する

業種によっては出社の必要性が低い場合もあります。そのようなケースでは、テレワークに移行するのが効果的です。
オフィスを持たない業態を確立することにより、毎月かかる家賃をカットできます。また、新型コロナウイルス感染症などの対策にもつながるので一石二鳥です。

しかし、完全なテレワークに移行すると組織が機能不全を起こしてしまったり、予期せぬアクシデントが発生したりするリスクもあります。
リスクを回避するには、特定の部署から試験的にスタートする、段階的に移行するといった工夫が必要です。

テレワークの導入で通勤手当の削減もできます。
ひとりあたりだとそこまで大きな金額ではないと感じるかもしれませんが、社員数が多ければそれに比例して大きなコストになります。
通勤が必要なくなれば社員はプライベートな時間を確保しやすくなるため、双方にとってメリットとなるでしょう。

さらに、育児や介護で仕事を辞めなければいけない人も自宅なら継続できる場合があります。したがって、新規採用のコストも削減できます。

電力会社の見直しを行う

2016年から電力の小売り全面自由化がスタートしました。それにともない、各電力会社も自由化サービスを提供しています。
法人やオフィスでの利用だと電気代は高額になりがちなので、使うほど安くなるプランへの切り替えや見直しをすることもコスト削減に効果的です。

電力会社の見直しを行う際は、いくつかのプランを比較してから契約するのがおすすめです。
電力会社やプランによって、トータルでいくら支払うのかなどが異なります。
そのため、あらかじめリサーチし、どのプランが適しているのかある程度絞っておく必要があります。

インターネット回線を切り替える

インターネット回線を切り替えることにより、大幅なコスト削減を見込める場合もあります。携帯キャリアとのセット割りを行っているサービスもあります。
フレッツ光とのコラボサービスもあるため、固定回線のコストを見直すことも重要です。
プランの見直しはもちろんですが、プロバイダの見直しや固定電話会社の見直しもおすすめです。
また、オフィスに置かれている固定電話の数を見直すという方法もあります。

さらに、加入しているプランのほかにオプション機能を契約しているかどうかもチェックすべきポイントです。
利用していないオプションはムダなので、解約してコスト削減につなげてください。

ペーパーレス化する

ペーパーレス化を推進することにより、コピー用紙や印刷費用の削減につながります。
電子契約サービスを利用すれば、紙媒体で保存していた契約書などを保管するスペースを減らせます。
電子書類として運用すれば、コストダウンを見込めるので効果が期待できる方法です。

クラウド上で確認できるため、全社員に対してタイムリーな情報共有ができます。営業スタッフもすぐに取り入れられるので、営業サポートとしても効果的です。
行政も電子申請化が進んでいるため、オンラインで簡潔に手続きできるようになるというメリットも生まれます。

さらに、紙資料の持ち出しによる紛失リスクも軽減できます。災害時に減失するリスクも回避可能です。

まとめ

コスト削減により、企業の利益や生産性が向上します。事業を行う中で、人件費や採用コスト、IT関連機器コスト、オフィスコストなどがかかりますが、これらは削減可能です。
業種にもよりますが、少しの工夫で大幅なコスト削減を実現できるかもしれません。

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(編集:創業手帳編集部)

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