ChatGPTの「Canvas」とは?主な機能や用途などを解説

創業手帳

ChatGPTの新機能「Canvas」が2024年12月から無料ユーザーも利用可能に!


OpenAIによって開発されたChatGPTは、対話型の生成AIサービスとして文章作成や記事の要約、プログラミングなどに活用されています。
そのようなChatGPTに、新機能として「Canvas」が追加されました。
Canvasは2024年10月から有料版を利用するユーザーのみ利用できていましたが、同年12月に無料ユーザーも使えるようになりました。

そこで今回は、ChatGPTのCanvasの機能や用途について解説します。
ChatGPTをより便利に活用したい人や、Canvasがどのような機能なのか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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Canvasとほかの類似ツールとの違い


ChatGPTのCanvasは、ChatGPTと対話中に生成されたコンテンツをリアルタイムで編集できる機能です。
ChatGPT以外の文章生成ツールでも似たような機能がありますが、異なる点もあります。ほかの類似ツールとの違いについて解説します。

Microsoft Word CopilotとCanvasの違い

Microsoft Word Copilotは、Microsoftのエコシステムに統合されているAIツールです。Wordの既存機能を活用しつつ、AIによる編集や改善の提案を行ってくれます。
Microsoft Word Copilotは主にWordを使用するユーザーや、Microsoft365の環境を利用するユーザーには使いやすいと感じる部分も多いです。
しかし、複数人が同時に編集作業を行ったり、コード生成・文章生成を並行したりする場合は、Canvasのほうが適しています。

Google Docs GeminiとCanvasの違い

Google Docs Geminiは、Googleが提供する文章生成をサポートするAIツールです。
はGoogle Docsに統合されていることから、Googleドキュメントユーザーには馴染みのあるインターフェースで利用することが可能です。
Google Docs Geminiは、文章を作成する際にリアルタイムで校正してくれたり、用途に合わせた文章の生成をサポートしたりしてくれます。
シンプルな文章生成やスプレッドシートも活用した作業には適しているものの、複雑な文章・コードを扱う場合は、Canvasが適しています。

Claude ArtifactsとCanvasの違い

Claude Artifactsは、Anthropicによって開発されたAIツールです。
ChatGPTやGeminiと同様に対話型の生成AIとなりますが、Canvasと同様に専用ウィンドウからインライン編集を行えるようになっています。
特にClaude Artifactsは、AIによるフィードバックの精度を重視しているのが特徴です。

一方のCanvasは、バージョン管理を含めたプロジェクトの進捗管理からリアルタイムでの編集作業など、多種多様なビジネスシーンに向いています。

Canvasの主な機能


ChatGPTのCanvasには様々な機能が搭載されています。ここで、Canvasの主な機能を解説します。

テキストの直接修正

Canvasの大きな特徴は、ChatGPTによって生成されたテキストを別ウィンドウから直接修正できる点です。
例えば、生成されたテキストにある単語をより詳しく説明したい場合、その単語に対して「○○についてより詳しい説明を追加します」と指定すれば、ChatGPTがその指示に従って該当する文章を即座に修正してくれます。
わざわざタブの切り替えなどを行う必要もなく、ChatGPTと会話しながらテキストを完成させられます。

特定のトリガーワードに反応

通常のChatGPTからCanvasを活用したい場合、特定のトリガーワードによって起動させることが可能です。
例えば「○○をテーマに500文字程度の文章を書いて」とChatGPTに入力すると、「書いて」がトリガーワードになっているため、Canvasが起動します。

ただし、「○○について教えて」「○○に関するキーワードを列挙して」などはトリガーワードではないためCanvasは起動せず、ChatGPTが反応します。
特定のトリガーワードによって起動することで、Canvasを起動させるための操作が不要となるため、必要な場面で素早く使用することが可能です。

コメント機能

Canvasにはテキストやコードに対して改善案を提案するためのコメント機能も備わっています。
アウトプット全体を確認した上で正確なコメントを添えられるため、文章やコードの品質向上にも役立ちます。

OpenAIは、コメントの品質を改善するためにOpenAI o1による合成データを学習データとして活用しました。
その結果、素のGPT-4oと比較してコメントの正確性を30%、品質を16%向上させることに成功しています。

プロジェクト管理機能

Canvasにはプロジェクト管理機能も実装されています。プロジェクト管理機能には、バージョン管理機能とプロジェクト継続機能の2つがあります。
バージョン管理機能は、ひとつのバージョンを保存したり、ほかのバージョンと比較したりできる機能です。
もうひとつのプロジェクト継続機能は、セッション間でプロジェクトを保存できます。

このプロジェクト管理機能を活用することで、利用する度に最初から質問する手間が省けて、素早くプロジェクトに取り組めるようになります。

ショートカットボタン

Canvasにはショートカットボタンが用意されており、プロンプトを入力しなくても簡易的に修正・追加などができるようになっています。
ショートカットボタンは、文章生成とソースコード生成でそれぞれ異なるボタンが用意されています。

文章生成のショートカット

文章生成時のショートカットボタンは、以下の5種類です。

ショートカットボタン 内容
絵文字を追加する 文章に合わせて適宜絵文字を追加する
編集を提案する 文章に黄色マーカーを引いて、提案やフィードバックを提供する
読解レベルの調整 読解レベルを調整する
長さを調整する 文章の長さを短縮または延長する
最終仕上げを追加する 文法やわかりやすさ、一貫性を確認する

読解レベルは、読み手のレベルに合わせて文章を調整できるショートカット機能です。
レベルは幼稚園・中学生・高校生・大学生・大学院生で調整でき、専門的な文章を一般向けに簡単な表現へ修正したい場合に役立ちます。

コード生成のショートカット

コード生成のショートカットボタンは、以下の5種類です。

ショートカットボタン 内容
言語に移植する 既存コードを別言語に変換できる
バグを修正する コード内にあるバグ・問題点を検出し、正しいコードに修正する
コメントを追加する コードを理解するためのインラインコメントを追加する
ログを追加する ログを追加し、デバッグや読解をサポートする
コードレビュー コードの品質・効率性を確認し、改善点を提案してくれる

「言語に移植する」機能は、JavaScriptやTypeScript、Python、Java、C++、PHPの中から選んで、別言語に移植できます。
また、「コメントを追加する」は、コードにコメントを追加することで可読性を高められることから、チームでの開発に役立ちます。

生成コードの実行

Canvasで生成したコードは、そのままCanvas上で実行できます。コードを実行する場合には、Canvasの画面右上に表示されている「Run」をクリックすることで行えます。
最初は実行するための同意が求められますが、「Always run」を選択しておけば、その後は確認なしでコードの実行が可能です。
この機能を活用すれば、Canvasでコード生成からデバッグまでが可能です。

なお、コードの実行機能はPythonのみの対応となります。

エラーメッセージからのバグ修正

Canvasから生成したコードを実行すると、エラーメッセージが表示される場合があります。
通常であればエラーメッセージの内容に従って、自ら修正作業を行う必要がありますが、Canvasならエラーメッセージから直接バグ修正まで行うことも可能です。

表示されたエラーメッセージをクリックすると「バグを修正する」ボタンが現れるため、クリックします。すると、エラーの原因となっていた部分が自動的に修正されます。
生成AIによって自動的にコードを作れるのは大きなメリットですが、修正に時間がかかってしまっては意味がありません。
しかし、Canvasならエラーメッセージから直接バグ修正が行えるため、時間をかけずに修正作業を行えます。

Canvasの具体的な用途例


Canvasは様々な用途に活用できますが、ここで具体的な用途例を4つ紹介します。

企画書の作成

Canvasは複雑なテキストの生成も可能であることから、企画書を作成することもできます。
ChatGPTは入力されたプロンプトの内容に従って企画書の作成を行ってくれますが、Canvasを活用すればリアルタイムでテキストを編集でき、効率的に作成できます。

また、企画書の説得力を高める文言に改善したり、読解レベルの調整によってわかりやすい企画書を作成したりすることも可能です。
思いついたアイデアをすぐに企画書へ起こしたい場合などにも、Canvasが役立ちます。

ソフトウェア開発

コード生成も行えるCanvasなら、ソフトウェアを開発することも可能です。
ブラウザ上で遊べる簡単なミニゲームを作成したい場合、その旨をプロンプトで入力すると、ブラウザゲームの内容とコードを作成してくれます。
そこからCanvasを活用して、デザインの変更や機能追加などを行うこともできます。

Pythonコードで作成する場合は生成したコードをそのまま実行することもできるため、デバッグ作業も容易です。
Python以外のコードはその場で実行することはできないものの、コードレビュー機能によりプログラムの品質を向上させられます。

FAQの生成

商品・サービスに対してFAQを作成することで、問い合わせ件数を削減できたり、サービス品質の向上につながったりするなど、様々なメリットが得られます。
通常であれば問い合わせ内容をまとめ、その中からよくある質問を抜粋して適切な回答を作成していく必要がありますが、Canvasを活用すれば素早くFAQの生成が可能です。

また、リアルタイムで修正が可能となるため、自社の商品・サービスに合わせて適切な回答も作成できます。
Canvasを活用して素早くFAQを作成できるようになれば、新商品やサービスが登場した場合にも迅速にコンテンツのアップデートを図ることが可能です。

小説の執筆

Canvasの活用によって小説を執筆することも可能になります。小説を執筆する際にはまずプロットの作成が必要です。
特にプロットがない場合は、「SF小説のプロットを作成して」などとプロンプトを入力することで、Canvasが小説のプロットを作成してくれます。
アイデアを追加したい場合はその都度入力することで、プロットの内容も調整されていきます。

また、世界観や登場人物の名前などを変更することで、より具体的なプロットを構築できます。
さらに、ショートカットボタンにある読解レベルの調整や長さ調整を行うことで、誰にでも伝わりやすい表現になったり、プロットの量を増やして具体性を持たせたりすることも可能です。
なお、プロットに合わせて文章を作成していけば、小説も執筆できます。

「ChatGPT Canvas」を使うには?


Canvasは特定のトリガーワードを入力することで起動できますが、手動で機能を使えるようにしたい場合はどうすれば良いのでしょうか。
まずは画面左上に表示されている「ChatGPT 4o」もしくは「ChatGPT o1」をクリックします。次に、通常のチャットと同じようにプロンプトを入力するところに、「/canvas」とコマンドを打てば活用することが可能です。

ChatGPTのCanvasを活用する際の注意点


ChatGPTのCanvasは非常に便利な機能である一方、使用する際にいくつか注意すべきポイントもあります。

1回の編集は2,000語程度までにする

Canvasを使って編集できる文字の量は、約5,000トークン(約4,000語)となっています。
5,000トークンに近づくと徐々にうまく編集できなくなってしまうことから、1回あたりに行う編集は2,000語程度までに留めておいたほうがうまく編集できます。

上限に達しないようにするために、プロンプトであらかじめ文字数を指定することもおすすめです。
「500文字以内にまとめてください」や「英語で、200単語程度で出力してください」などと指定します。
ただし、ChatGPTはトークン単位で文章を生成しているため、日本語と英語が混じっていたりズレが生じたりすることに注意してください。

すべての業務に適しているわけではない

Canvasを使用すれば、リアルタイムでの編集やショートカットの追加などの機能により効率的に作業を行えますが、すべての業務に適しているとはいえません。
シンプルなタスク管理は、通常のテキストベースでリストを作成するほうが効率良く作業を進められるケースもあります。
Canvasにはどのような使い方が適しているかを確認した上で活用してください。

まとめ・ChatGPTのCanvasの機能を最大限活用しよう

Canvasは、ライティングとコーディングを強力にサポートする機能です。
Canvasをうまく活用することで、クリエイティブな作業も効率化できたり、フィードバックや提案によってコンテンツの質を高めたりすることもできます。
Canvasは無料ユーザーも活用できるため、機能を最大限活用して業務効率化を図ってください。

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(編集:創業手帳編集部)

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