「家賃支援給付金」の申請開始 新型コロナで売上減の法人に最大600万円を一括支給
家賃支援給付金の概要とポイントを解説します
(2020/07/15更新)
「家賃支援給付金」の申請が2020年7月14日に始まりました。新型コロナで事業にマイナスが生じている事業者が増えていることを受けて、事業のための物件や土地の地代・家賃(賃料)負担を軽減するために設けられた給付金です。
給付の概要、申請方法、注意点などを解説します。
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この記事の目次
家賃支援給付金の概要
「家賃支援給付金」の概要は以下のとおりです。
家賃支援給付金 | |
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対象 | 資本金10億円未満※の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者 ※資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が 2,000人以下の事業者が対象 |
給付額 | 法人:最大600万円 個人事業主:最大300万円 |
要件 | 2020年5月~12月の売上高について、新型コロナの影響などで、以下のいずれかの状況にある。 ・1ヵ月の売上高が、前年同月と比べて50%以上減っている ・連続する3ヵ月の合計で前年同期比で30%以上減っている |
使途 | 事業のために占有する土地・建物の賃料 |
家賃支援給付金は、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も幅広く対象となります。給付を受けるためには、以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。
- 2020年3月31日の時点で、有効な賃貸借契約があること。
- 申請日時点で、有効な賃貸借契約があること。
- 申請日より直前3か月間の賃料の支払いの実績があること。
現状は2019年12月31日以前から事業収入を得ている事業者が対象(2020年以降に設立された法人は対象外)となっていますが、今後2020年1月~2020年3月の間に設立した事業者も給付の対象になる見通しです。詳細は、準備が整い次第公開されます。
申請に必要な書類
2020年7月15日時点で、家賃支援給付金の申請に必要な書類は以下の通りです。
- 賃貸借契約の存在を証明する書類(賃貸借契約書など)
- 申請時の直近3ヵ月分の賃料支払実績を証明する書類(銀行通帳の写し、振込明細書など)
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 売上減少を証明する書類(確定申告書、売上台帳など)
必要な書類については、今後追加・変更になる可能性があるとされています。申請するタイミングで、最新情報をしっかり確認しましょう。
申請期間
申請期間は、2021年1月15日までです。売上が減少した月の翌月から期限までの間、いつでも申請できます。
給付額の算出方法
給付額は、申請時の直近1ヵ月における支払賃料を基準に算定されます。給付総額は、算出された1か月分の賃料の6倍です。
法人は月額賃料75万円、個人事業主の場合は月額賃料37.5万円を基準に、これを超えているかどうかで給付額の算出方法と上限額が変わります。表でまとめました。
給付率1/3の上乗せ分の適用を受けた事業者は、月額の給付額上限が、法人の場合100万円、個人事業主は50万円にアップします。支払い賃料が高額な事業者や、複数店舗を持つ事業者などが対象になります。
地方公共団体からすでに支援を受けている場合、減額になる可能性もある
申請者が、所属している地方公共団体から、賃料にあてるための支援金(中小企業等家賃支援給付金、中小企業等賃料補助金など)を受けていたり、これから受けることが確定している場合は、家賃支援給付金が減額される可能性があります。具体的には、家賃支援給付金の給付予定額と、その他の支援金の支給額を合計した額が、月額の6倍を超えた場合、超過分が減額されます。
申請の流れ
家賃支援給付金の申請は、原則ネット申請です。申請から給付までの大まかな流れは以下の通り。
- 家賃支援給付金ホームページでIDを登録する
- 登録後に作成されるマイページから申請に必要な書類を添付し、申請フォームより申請
- 家賃支援給付金事務局で、申請内容を確認する(経営者は待機期間)
- 申請が通れば、ご登録の口座に振り込みされる
振り込みが完了すると、申請者本人と、賃貸人(かしぬし)または管理業者宛てに給付通知書が届きます。
その他ポイント
自己保有の土地や建物でローンを支払っている場合は、家賃支援給付金の支給の対象になりません。個人の自宅を事業所として使っている場合は、確定申告書における損金計上額など、自らの事業に用する部分に限って給付の対象となります。
借地の賃料も対象になります。借地上に、賃借している建物があるかどうかは問わないため、例えば駐車場や資材置き場として事業に使っている土地の賃料などにも適応されます。
賃貸借契約で賃料と一体的に取り扱われているなど、一定の場合には管理費や共益費も賃料の範囲に含まれます。
問い合わせ先
0120-653-930
8:30~19:00
まとめ
新型コロナの影響で家賃の支払いが困難になった事業者が増える一方で、賃借人に対しての家賃交渉を受け入れてもらえないなど、独自で負担軽減に取り組むことが難しいという声も多く出ています。家賃支援給付金は、そんな経営者にとってぜひ活用したい支援です。
申請は期間中であればいつでも行うことができますが、賃貸借契約書など、場合によっては必要書類を揃えるのに時間がかかる可能性があります。申請を考えている事業主は早めに書類の手配に着手すると良いでしょう。
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(編集:創業手帳編集部)