6月5日から電子申請再開! 「雇用調整助成金」の概要と最新情報をおさらいしよう

創業手帳

改善・更新が続く「雇用調整助成金」の最新情報をまとめました

(2020/06/04更新)

雇用調整助成金の電子申請が、2020年6月5日に始まります。システムの不具合から一時的に受付を停止されていたのが、再開される形です。

受付の開始から、支給額の増加や申請方法の簡略化など、情報がめまぐるしくアップデートされている雇用調整助成金。概要と最新情報(2020年6月4日時点)を解説します。

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雇用調整助成金とは

雇用調整助成金は、景気の変動や産業構造の変化によって、事業活動を縮小せざるを得なくなった事業主向けの助成金です。従業員に対して一時的に休業や職業訓練、出向(以下、休業など)などの対応を行った場合、休業手当や賃金の一部が助成されます。

一言でいうと、外的要因で経営が悪化した際に、従業員の雇用を維持するための助成金です。

今回、新型コロナウィルス感染症(以下、新型コロナ)によって、2020年4月1日から同年6月30日まで※を「緊急対応期間」と定め、通常の雇用調整助成金とは別枠で特别措置が実施されています。

※緊急対応期間を3か月伸ばす調整が行われているという報道もあり、今後、緊急対応期間が2020年9月末までに延長される可能性が高いです。

特別措置のポイント

特別措置の主なポイントは下記の5つです。

  • 対象となる労働者の拡大
  • 助成率UP+上乗せ助成
  • 教育訓練を実施した場合の加算額UP
  • 緊急対応期間中の支給日数は別カウント
  • 申請の要件を大幅に緩和

それぞれの項目について、内容を詳しくみていきましょう。

対象となる労働者の拡大

-通常の支給対象-
支給対象事業主:雇用保険適用事業所
支給対象労働者:雇用保険被保険者

―特别措置の支給対象―
支給対象事業主:新型コロナの影響を受けている事業主(全業種)
支給対象労働者:雇用保険を受けていない労働者も対象

通常、従業員が支給の対象となるためには「雇用保険の被保険者として6ヵ月以上雇用されている」必要があります。特别措置では、雇用保険被保険者ではない従業員も受給の対象となっています。また、6ヵ月以上の雇用期間の要件もなくなっています

つまり、4月に入社した新卒社員や、パート・アルバイト※が休業する場合も、助成を受けられるのです。

※パート・アルバイトについては、「緊急雇用安定助成金」という新たな枠組みで支給されています。受けるためには、雇用調整助成金とは別途で申請を行う必要があります。

助成率UP+上乗せ助成

雇用調整助成金は、下記に対して支給されます。

  • 休業を実施した場合の休業手当、教育訓練を実施した場合の賃金相当額
  • 出向を行った場合の出向元事業主の負担額

特别措置によって、助成率も大幅に変わります。

-通常の助成率-
中小企業2/3、大企業1/2

―特别措置の助成率―
中小企業4/5、大企業2/3に拡充

ベースとなる助成率が増えただけではなく、上乗せ要件も設けられました。解雇などを行わない場合、助成率は中小企業で10/10、大企業で3/4となります。

助成上限は、従業員1人1日あたり8,330円※です(2020年6月3日時点)。

※5月27日に、第2次補正予算案で1日あたりの助成上限を15000円に引き上げることが閣議決定されました。これからさらに支援が厚くなる可能性が高いです。

教育実習の加算額UP

雇用調整助成金には、従業員に対して教育実習を実施した際の加点があり、こちらも拡充されています。

―通常の加点―
従業員1人1日あたり1,200円

-特別措置の加点-
中小企業2,400円、大企業1,800円

さらに、インターネットなどを使って「自宅で行った教育研修」も加点対象として認められるようになりました。

特別措置は、支給限度日数と別枠

通常、雇用調整補助金の支給限度日数は1年間で100日、3年で150日分です。

特别措置では、緊急対応期間(2020年4月1日から同年6月30日まで)に発生した休業について、100日とは別枠で支給されます

申請の要件緩和

申請のための要件について、緩和されたポイントを解説します。

生産指標の緩和

雇用調整助成金の申請には、生産指標(売上高や生産量などの指標)を示す書類の提出が求められます。特别措置では、生産指標の減少率と、確認期間の条件が緩和されています。

―通常の要件―
減少率 :生産指標を提出した月の前月と、対前年同月比で10%の減少が必要
確認期間:3ヵ月

―特别措置の要件―
減少率 :緊急対応期間は、通常の要件と同じ比率について5%の減少でOK
確認期間:1ヵ月に短縮

クーリング期間の撤廃

雇用調整助成金の連続使用を制限する「クーリング期間」が撤廃されました。これまで、雇用調整助成金を使ったことがある事業主が、新たな助成を申請するためには、「前回の受給から1年以上経過している」必要がありました。特别措置では、1年以上経過していなくても申請可能となります。

事業所設置年数の緩和

これまで、受給申請のためには、事業所設置(雇用保険適用事業所として登録したタイミング)から1年以上経過していることが必要でした。特别措置では、1年未満の事業所も助成対象となります。

休業規模の要件を緩和

休業等の延べ日数について、通常は対象となる従業員の所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上となっている必要がありました。しかし、特别措置では1/40(中小企業)、1/30(大企業)以上となっています。これにより、通常より短い期間の休業でも助成金を受けられるようになっています。

短期間休業の要件を緩和

短時間休業については、通常「事業所等の労働者が一斉に休業」する必要がありましたが、 特别措置では「事業所内の部門、店舗等施設ごとの休業」も対象になります。

これにより、例えば

  • 客数の落ち込んだ店舗のみ短時間休業する
  • ホテルで、施設管理者以外の従業員が短時間休業する
  • 8時間3交代制のシフト業務を6時間4交代制に変更し、2時間分を短時間休業とする

といった柔軟な休業対応を行った法人も助成を受けることができます。

残業相殺の廃止

特别措置により、残業相殺制度(支給対象の休業などから、時間外勤務で発生した時間を相殺して支給すること)が当面停止されます。つまり、残業や休日労働をした場合も、助成対象になります。

申請の手間も大幅に手間が減った


雇用調整補助金の申請フローも大幅にコストカットされています。申請書類の記載事項は約半分になり、必要な添付書類も一部カット・簡易化され、用意しやすくなりました。

また、制度開始当初提出が必要だった「雇用調整計画(いつどれくらいの規模の休業などを行うかの計画)」について、提出する必要がなくなりました

小規模事業者はさらに手続きが簡易に!

助成額についてはこれまで、従業員1人当たりの平均賃金額を用いて算出していました。

これが、小規模の事業主(概ね従業員 20 人以下)については、「実際に支払った休業手当額」から簡易に助成額を算定(※)できるようになりました。休業についての申請様式も簡略化されます。

※ 助成額 =「実際に支払った休業手当額」×「助成率」

申請マニュアルも公開されており、申請がよりスムーズになるようにサポート体制も整えています。

まとめ

雇用調整助成金の概要を解説しました。特別措置が発表された当初は、「手続きが煩雑で、事業主にとっては申請のハードルが高い」と言われていましたが、申請の簡略化によって改善されています。各自治体で申請のための個別相談会が実施されたり、全国社会保険労務士会連合会が申請のための解説動画を公開したりするなど、活用を支援する取り組みも広がっています。申請に不安がある経営者の方は、外部への相談やサポートを上手く活用してみるのも手です。

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(編集:創業手帳編集部)

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