アプリ開発を依頼すると費用はいくら?相場や注意点を解説します

創業手帳

アプリ開発費用を見積もるためには要件やニーズを固めておこう


スマートフォンの普及が進み、アプリへのニーズは高まっています。
ECサイトやゲームに限定せず、モバイルカタログやメッセージアプリ、写真アプリと学習系といったアプリを日常的に使用する人も多いでしょう。

企業のアプリを用意したい時に、自社で開発環境がなければ外部に依頼することになります。
開発費用以外にも費用がかかるので、アプリをリリースした後の運用まで見越して予算を組んでください。

アプリ開発にかかる費用を見積もるために、アプリ開発の要件について紹介します。

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アプリ開発費用の相場はどのくらい?


自社のアプリをビジネスに活用したいと考えているものの、予算についてわからないという事業者は多いはずです。ここでは、開発手法ごとに分けてアプリ開発にかかる費用の相場を紹介します。

①スクラッチでアプリ開発するケース

アプリの開発手法は、フルスクラッチとパッケージ、クラウド型に分類されます。この3種類の中で最も費用が大きくなりやすいのがフルスクラッチです。

フルスクラッチは、既存のプラットフォームを使うことなくゼロからアプリ開発をする方法です。独自性の高いアプリを開発できる、フルオーダーメイドとなります。
ニーズに合わせて開発するため、ユーザー数や反応に対応して機能拡張や改善に柔軟に対応できる点や、他社と差別化できる点が魅力です。

ただし、ゼロから開発するため開発期間が長くなったり、開発費用が高額になったりするところが難点といえます。
フルスクラッチの場合は、500万円〜2,000万円が相場の目安です。
費用と時間がかさむ上、仕上がりの品質は開発企業に大きく左右されます。
想定したデザインと機能を備えたアプリになるように、お互いのコミュニケーションが重要です。

②パッケージでアプリ開発するケース

パッケージ開発は、すでに存在しているシステムを組み合わせて開発する手法です。すでに存在するシステムなので、開発に必要なコストを抑制できる点がメリットです。
ある程度カスタマイズができる上、短期間で開発でき、安定して機能します。
ただし、パッケージ開発でも用意できない機能もあるため、イメージしたアプリが作れなかったり、他社と差別化しにくかったりする可能性があります。

パッケージ開発の相場は機能によりますが、200万円~400万円程度です。
利用できる機能が限定されたとしても予算を抑えたいといった場合には、パッケージ開発が適しています。

③クラウドでアプリ開発するケース

クラウド型開発は、すでにあるツールやプラットフォームを活用してアプリ開発する手法です。3種類ある開発手法の中で最も安く、短期間でアプリ開発ができます。
ただし、既存のツールを使うためカスタマイズ性が低い点や、機能に制約が多い点がデメリットです。
同じツールを使ったほかのアプリと、機能やデザイン面で類似してしまいます。

さらに、ツールを提供している開発企業が提供を終了した場合、アプリがアップデートできなくなるかもしれません。
クラウド開発は、安価な場合は数十万円程度から可能です。
低コストでアプリ開発に気軽にチャレンジしたいといった場合には、クラウド開発が適しています。

アプリ開発費用の算出方法について


では、アプリを開発する際の費用は、どのようにして決められるのでしょうか。

アプリ開発費用は「人月」で算出する

アプリの開発費用は、開発手法や様々な要素で決まります。アプリの開発にかかる費用は、「人月」という作業量をあらわす単位で見積もられるのが一般的です。
つまり、開発費用は「作業人数(人件費)× 期間」による計算で得られます。

アプリ開発は、要件の定義や設計からスタートして、プログラミング、テスト、納品の順番です。
工程ごとにプログラマーやシステムエンジニアが関わり、工数が増えれば作業する技術者の人件費も大きくなります。
つまり、多くの技術者が長期間かけてアプリ開発すればするほど開発費用は膨らむということです。
開発するアプリに必要な機能や要素が多くなるほど工数が増え費用も高くなるため、本当に必要な機能はや要件を考える必要があります。

なぜアプリ開発の金額にばらつきが生まれるのか?

アプリ開発費用の相場を見て、費用の幅の大きさに驚いたかもしれません。
また、アプリ開発の見積もりを取ったものの、ばらつきが多くていくらかかるのか算定しにくいと感じた経験を持つ人もいるでしょう。

なぜ費用にばらつきがあるかというと、要件が抽象的でどの機能にどれだけの工数がかかるのかがわかりにくいからです。
例えば、アプリで店舗を検索できるようにしたいといったニーズでも、地図で表示するのかリストを使うか、GPSを使うのかと多くの選択肢があります。

厳密に要件が定義されていない場合、細かい要件設定自体に時間がかかって費用がかさむことがあります。
さらに、途中で機能の変更が発生して追加の見積もりが必要になるかもしれません。

アプリ開発費用は何で構成されている?


アプリ開発にかかる費用は100万円程度から2,000万円以上まで幅があり、工数に応じて大きく変動します。
ここでは、アプリ開発にかかる費用が何で構成されているのかそれぞれを解説します。

開発期間・開発工数

アプリ開発の要件が決定すると、受託開発期間を設定して開発工数を決めていきます。
シンプルなアプリであれば標準的な開発工数よりも作業を削ったり、時間を短くしたりすることもあります。

人件費

アプリ開発費用のメインを占めるのは技術者の人件費です。
アプリ開発は、プロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャー(PM)と、プログラムの仕様書を作成するシステムエンジニア(SE)、仕様書にそってコードを書くプログラマー(PG)といった技術者がチームで開発します。

エンジニアのレベルによっても必要な額が違いますが、一カ月要する依頼した場合は個人の技術者でも50万円以上、上級のエンジニアでは200万円ほどはかかります。

デザイン費用

アプリ開発を依頼する場合、アプリのデザインは制作会社に依頼するケースがあります。
どういった場所にボタンを設置するのか、どのデザインがユーザー満足度につながるのかUI/UXを考慮しなければいけません。
デザイナーの人件費と制作期間で費用が決まります。

サーバーサイド費用

アプリ開発費用以外に、サーバー側の費用がかかることも考えておく必要があります。
サービスや機能を提供するコンピューター側の費用であり、スタンドアローンのアプリであれば上記の費用となりますが、データベースを活用した情報を掲載する場合には、サーバーサイドの開発も必要です。
サーバーサイド費用は、アプリ開発費用の2~3倍以上が相場になります。

保守費用

アプリ開発が終了してアプリを公開したあとも、メンテナンス費用が生じます。アプリに関係するサーバーやモバイル決済、APIに対するメンテナンスが必要です。
メンテナンスにかかる費用の相場は、年間で開発コストの20%程度といわれています。

アップデート費用

AndroidやiOSも、OSのアップデートが定期的に行われます。
アップデートの影響で互換性を失ってしまう可能性があるため、OSの仕様変更によってどのような影響を受けるか把握してアップデートに対応しなければいけません。
場合によっては、修正開発費が必要です。

不具合修正

アプリに不具合やバグが見つかった場合には、修正対応しなければいけません
アプリリリース前のテスト工程で不具合をなくすことができればよいですが、リリースしてから細かい不具合が見つかることがあります。
アプリストアのレビューで指摘されて気が付くケースもあるかもしれません。不具合修正の費用は修正規模によって変わります。

最初の見積もりに修正費用が含まれていることもありますが、重大な修正となった場合には、見積もりとは別に費用が生じる可能性があることに注意してください。

アプリ開発の費用を抑えるポイント


アプリを作成したくても、費用面に不安がある事業者もいるでしょう。アプリ開発費用は、安く抑えることが重要ではありません。
アプリ開発において、より効果的に行うためのポイントをまとめました。

必要な機能や要件を理解する

アプリ開発のコストが大きくなりすぎるケースとして、要件や必要な定義が曖昧な場合があります。
開発の依頼内容が固まっていない状態で見積もりをとっても、開発してから要件を追加した結果、開発費が膨らんでしまうのです。

開発費用を最適にするには、アプリの使用目的やターゲット、機能といった要件を突き詰めて考えなければいけません
完成後のイメージが明確であれば、委託された企業も作業期間や人件費の見通しも立てやすくなります。

アプリ開発に関わる全行程の中で、依頼する作業と自社で対応する作業も明確にすることが可能です。自社で対応することで費用削減できます。
技術的な知識がないと難しい部分であるため、依頼する時には自社が作りたいアプリに似たものを見つけて、開発会社にイメージとして伝えることがおすすめです。
より具体的に理解しやすく、イメージと実際のギャップを埋められます。

「アプリ開発費見積もりシミュレーター」を使ってみる

初めてのアプリ開発では、見積もりをとっても高いのか安いのか判断できないかもしれません。同じ開発要件を提示しても企業によって見積額が変わるケースもあります。
開発会社が過去に開発した実績や、似たような機能を実装したケースがあるかどうかによって開発期間の算出に違いがあるため、見積もりに差が生じることがあります。

初めての見積もりの時は、金額が適正なのか判断するのが困難です。アプリ開発の費用をシミュレーションできるサービスもあるので利用してください。

クリーク・アンド・リバー社が提供する「アプリ開発費見積もりシミュレーター」では、機能や対応するOSなど細かく開発条件を指定して見積もりを取れます。
参考価格を知りたい時には利用してみてください。

レベニューシェアを検討する

レベニューシェアとは、もともと成功報酬型の契約形態を意味する言葉で、依頼者と開発会社が開発、運営にかかる費用を分担して収益も分け合うことを意味する言葉です。

近年注目されている方法で、従来の形式ではアプリ開発のコストは依頼者が全面的に負担していました。
レベニューシェアを採用することで制作費用を2社で分担して、依頼者と制作会社で収益の配分率を決めて収益を分けるので、通常よりも大規模なプロジェクトを実施しやすくなります。

収益が少ない時でも各々の損失を少なくできる点もメリットです。
相手やアプリの内容によっても向き不向きはありますが、費用捻出が難しい場合にはレベニューシェアも検討してみてください。

運用・保守費用についても確認する

アプリ開発で見逃しなのが運用・保守費用です。ユーザーにとって使いやすい環境を整えたり、OSのバージョンに対応したりと様々な作業が行われます。
運用・保守費用は余りかけたくないと考えるかもしれませんが、更新の必要がないアプリでも使い勝手が悪いものは使われなくなってしまいます。
運用・保守費用は欠かせない工程なので、毎月いくらかかるのか必ず事前に確認して予算に組み込んでください。

フリーランスの活用も考える

費用面で悩む時には、開発会社ではなくフリーランスで請け負っている個人に依頼することも考えてみてください。
個人のほうが企業よりも安価に発注できることが多く、個人であっても実績や技術があれば十分なアプリを開発してくれます

ただし、個人に依頼する場合ほとんどアプリ開発に携わったことがないような人もいるので、依頼先は慎重に選ぶ必要があります。
開発難度が高いアプリの場合や、依頼先の技量が測れない場合には企業に依頼したするほうが良いかもしれません。

個人のエンジニアの多くは自分が作ったものや実績をWebサイトやSNSに掲載しています。今までの制作物や実績を見て、技量や得意分野を判断してください。

クラウドでのアプリ開発を検討する

アプリの開発はコードが必須でしたが、近年はツールを使ったクラウドのアプリ開発も登場しました。
フルスクラッチの開発のように求める機能をすべて実装するのは難しいものの、要件が適していれば費用を抑えた開発が可能です。

クラウド開発は、すでにほかのアプリで搭載されている機能を使えるため、不具合やトラブルが少ない点もメリットです。
ユーザーが見てもクラウド開発なのか、フルスクラッチなのか見分けがつかないこともあります。

まとめ

アプリ開発の費用は、アプリに実装する機能や開発要件をまとめて、プロジェクトに必要な技術者の人数や作業日数から開発コストの見積もりを算出します。
アプリは機能を追加すれば、それだけ工数が増えて開発費用も大きくなります。

見積もりの誤差を少なくするために、必要な機能や目的を明確に定義してください。

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(編集:創業手帳編集部)

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