エグゼクティブコーチが教える「不安を消す」プロの技術5ステップ・不安に向き合い不安を消す起業家向けの使える方法
不安と上手につきあうコツをエグゼクティブコーチがアドバイス
経営や起業には不安がつきものですが、不安があると行動がぶれたり、自信のなさが社員やお客様、投資家に伝わってしまうことで、余計に上手くいかなくなることがあります。
一方で、「不安」を無視するというのも危険です。不安は心のアラートだからというのがその理由です。不安に向き合い、処理し、覚悟につなげることがパフォーマンスを上げることにつながります。
『不安が覚悟に変わる 心を鍛える技術』の著者で、著名人の指導も多く行っているエグゼクティブコーチの秋山ジョー賢司さんに、起業家が不安と向き合う技術をうかがいました。
エグゼクティブ・コーチ
経営者を中心に、元プロアスリート、能楽師など、業界の第一線で活躍するエグゼクティブらに向けて、ハイパフォーマンスを発揮するためのマインドセットを指導する。行動心理学、解剖生理学、生態学、マーケティング、コーチング、NLPなどを習得し、20年の歳月を費やし開発した「コアマインドプログラム」は、劇的な変化をもたらした受講者の強い支持を受け、クチコミで希望者が後を絶たない。
また、同氏の人気番組Podcast『経営者のマインドサプリ』は、累計500万ダウンロードを突破している。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
プロが教える不安を消すステップ
不安を消すプロのコーチは、不安とどのように対処しているのでしょうか?
一定のステップで不安に向き合うことで、不安に対処しやすくなるそうです。
ステップ1・不安から逃げず直視する
人は不安を感じていることを恥じたり、意識しないようにしがちですが、まず不安を見つめることから解決が始まります。
まずは不安に向き合ってみましょう。逃げると不安は大きくなります。向き合うだけでも不安は小さくなり、かつ解決へのステップが始まるのです。
ステップ2・気持ちを書く
不安や緊張など感情をペンで紙に書き出してみましょう。パソコンでも大丈夫です。
「私は不安を感じている」「私は心配を感じている」と最初に書いてしまいます。不安は悪いことと思いがちですが、不安に向き合うことで逆に処理しやすくなるのです。
「私が不安」と漠然と書くのではなく、「私は不安を感じている」というように主語や述語を明瞭に書くことがコツです。不安の解像度が上がることにより、不安の処理がしやすくなります。
ステップ3・事実と感情を分けて書き出す
事実と感情を仕分けることが重要です。例えば、「明日大きなクライアントさんと商談があって不安だ」ということは「年商10億円の商談があり、先方の社長にAと商品の説明をしに行く」という事実と「失敗したらどうしようと考えている」という感情に分けることができます。
ここで大切なのが「具体的に分解して書き出していくこと」と「考えている」と入れることです。
人の心理の習性として、「どうしよう・・・」という言葉を口にすると、考えや感情が固くなり、スムーズに分析を進めにくくなってしまいます。「考えている」と仮定の事実として仮置きすることで、リラックスしてスムーズに分析することができるのです。
ステップ4・目的をクリアにする
何かを達成するためには目的があるはずです。ゴールの前に、本当の目的は何なのだろうか?と考えてみましょう。「何のために」こういう商品を提供したい、相手に安心感を与えたい。という真の目的があるはずです。
本来の目的を書くことで、ゴールのイメージの裏づけや、不安に負けない芯ができます。
ステップ5・どんな自分で望みたいのか
例えばプレゼンであれば、どんなプレゼンをしたいのかなどを書き出しましょう。いきなりこの目的に飛ぼうとしがちですが、少し我慢しましょう。
不安の処理がされていないと、後で感情的に崩れたりすることもあるので、しっかり不安の処理をして、そこから目的を明確化するとイメージが強固かつクリアになります。
不安とはそもそも一体何なのか?不安の正体とは
多くの人は不安を知っているようでいて知りません。不安があることでパフォーマンスが発揮できなかったり、過剰に防衛的、保身的になることもあります。どちらも起業家としてはマイナスです。では、不安とはなんでしょうか。
不安とは「自分が作り出したマイナスのイメージ(妄想)から来る身体への影響」とも言いかえることができます。
人間は、まだ起きていないことをイメージして、その状態を作ってしまうということが起こるのです。
動物は危ないと察知します。人間は、イメージを「怖い」に変換してしまったり、「危ない」と「怖い」を混同してしまいます。「危ない」は対応できますが、「怖い」だと行動できなくなってしまうのです。ダイビングのインストラクターをしていたときに「危ない」と「怖い」は分けろと教えられていました。「危ない」という事実と、「怖い」という感情を混同しないことで適切に対処できるようになります。
何かに失敗すると、原始時代は命を落としたかもしれませんが、今では命まで取られることはありません。しかし、人間の脳はあたかも命の危険があるかのように錯覚し、心拍数が上がりドキドキします。イメージすることで現実にできるという能力が人間にはあります。逆に悪いシュミレーションをすると、パフォーマンスが低下したり、よりよい選択肢が目に見えなくなることで自分にダメージを与えてしまうんです。
「この考え方をしていることが不安を作っている」と自覚して向き合うことが大事になります。
不安を消すスイッチ
不安を打ち消すために、ルーティーンを作るアスリートもいますね。イチロー選手や五郎丸選手などです。一定のポーズをすることで、スイッチが入る状態になります。良い状態にスイッチを発動させることで、心が安定しパフォーマンスを発揮しやすくなるのです。コスプレによって人格が変わる人もいるし、選手のユニフォームもそうです。創業手帳の大久保社長は毎日、創業手帳Tシャツを着ていると聞きましたが、これもスイッチを入れるということだと思います。
不安を消してあげるには?
起業家自身は不安に打ち勝てても、社員や後輩はそうではないケースも多いので、部下を率いる起業家は、自分が不安を消すだけでなく、他人の不安を消してあげるスキルも必要になってきます。
どのようにしたら不安を消してあげることができるのでしょうか。
「はじめての仕事で不安です」という時には、「はじめての仕事は不安で当然だよね」と承認してあげます。「緊張してもっともだよね」と言ってあげることで安心する、これを妥当性承認と言います。私たちは「不安があることはいけないことだ」と教わっていますが、不安を受け入れることで処理しやすくなります。社員や部下にも、不安を受け入れられるように仕向けることです。
自分自身でも「これこれだから怒って当然だよな」と考えると怒りが収まるということもあります。これも妥当性承認の例といえます。「新しいことに取り組む際には不安があって当然だよね」と自分で自分に言ってあげることも、不安を抑える手法のひとつです。自分を甘やかす、あるいは不安のままで良いというわけではなく、不安な状態を認めることで処理するということです。
起業家・経営者が不安に向き合うには
例えば、人がスポーツを見に行くのはなぜでしょうか。勇気を持って闘う姿を見て、勇気づけられたいという思いがあります。勇気がある人は前に向かっていく人です。起業家とは困難に立ち向かっていく人達なので、顧客に勇気を与えているはずです。起業家や経営者が多くの人を勇気づけられているということを知ってほしいですね。
自己前進。次々に問題が起こるのが起業ですが、「それは私が前に進んでいる証拠」と認識してみましょう。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ秋山さんの著書『不安が覚悟に変わる 心を鍛える技術』を読んでみてください。
『不安が覚悟に変わる 心を鍛える技術』 秋山 ジョー賢司 ディスカヴァー・トゥエンティワン
先行き不透明な時代。多くの人が不安感に苛まれる中、生き生きと輝いている人たちは、何が違うんだろう。
キーワードは「本当の自分」。 本当の自分だからこそ、能力を余すところなく発揮することができる。
でも、本当の自分って何?今よりももっとできる自分になりたい。
そんなあなたを、経営者や元プロアスリートに向けて年間500回以上のセッションを行っているエグゼクティブ・コーチがサポートします。
(取材協力:
エグゼクティブ・コーチ 秋山 ジョー賢司)
(編集: 創業手帳編集部)