「アポの5原則」著者・藤島幸恵さんが語る、アポを取る前にやっておきたい準備(インタビュー前編)
まずは「自分がどうなりたいか」を明確にしよう
(2017/12/13更新)
起業すると色々な人に想いを伝える、提案をしていくケースが多く出てきます。ですが、一方で会社の信頼や看板、商品力が無い分、アポが取りにくいということが起こりやすいのも現状。話を聞いてもらえそうな状況でアポを取り逃がす、商談が上手くいかない、となると、もったいないです。
そこで、起業家が確実に商談のアポを決めるためのノウハウについて、「誰も教えてくれなかった営業の超基本! アポの5原則」著書である藤島幸恵さんにインタビューを敢行。前編では、アポを取る前に行っておきたい準備について、お話を伺いました。
1990年住友生命保険相互会社に入社。
26年間、個人・中小法人営業に従事。プレーヤーとして在籍中は常にトップクラスの成績を上げ続け社内表彰多数・MDRT複数回入賞。飛び込み・職域活動が嫌で、入社後すぐにお客様が待っていて下さる「アポイント」の探究を始める。
3年目には「紹介メソッド」を開発した後、「アポの5原則®メソッド」などのメソッドや教材を開発。一切の営業をせず口コミのみで広がり、「アポの5原則®」「紹介ノウハウ」を約3,000名に伝える。
2016年に「Cocoro Sales LAB.」を立ち上げ、自身も生損保営業に携わりながら“営業現場に一番近い講師”として、保険会社を中心に、企業研修・オープンセミナー・少人数グループコンサル等を展開。
起業や営業で大事なのは「まず決める」こと
私は、20歳で住友生命に営業職として入社しました。その後、研修、教育担当などを経て、2016年に起業しました。今は経験を生かして、営業研修の仕事やコンサルティング、コーチング、カウンセリングのほか、営業やコミュニケーションに関わる本やコラムを書いています。
独立開業してまだ1年ちょっとですので、起業について私が何か語る資格はありません。私自身が、まだ太平洋に小さなヨットで漕ぎ出したばかりの状態なのです。ただ、起業したときに大事になる「営業の仕方」や「アポイントの取り方」、そして、コーチングで学んだ考え方などについては、これから起業される方に向けて多少はお話しできるかもしれません。
まず、生保営業についてお話しすると、私は入社して3年でトップセールスになることができました。生保の営業職というのは、個人事業主です。会社の看板や場所、福利厚生は使えるものの、保険が売れなければ給与の保証が基本的に無い、厳しい世界です。残念ながら、入社しても多くの人が辞めていきます。
そんな中で、人脈もコネもなかった20歳の女の子が、なぜトップセールスになれたのか? これはよく聞かれる質問なのですが、敢えて一つ挙げるなら、「トップセールスになる」と自分で決めたからです。周りの人たちは皆「無理だ」と言いましたが、私はそう決めてしまったのです。
仕事に限らず、人生で大切なことは「自分で目標を決めること」だと私は思っています。起業する、社長になることも実は同じだと思うのですが、営業職においては、「なりたい自分の姿」という目標をまず決めることが成功の条件になります。
というのも、目標がなければ、これからお話しする、あらゆる方法、テクニック、そして、努力は無意味になってしまうからです。
当時の私は右も左もわからない新人だったので、お給料と売り上げを目標にするしかありませんでした。でも、無いよりはあった方が良いです。
また、「なりたい自分」とは実はそういうことだけではありません。収入も大事なモチベーションですが、そうした目標だけでは営業という仕事を高いレベルで続けることはできません。
経営者の場合は、お客さまだけではなく、従業員やその家族、取引先に対しても大きな責任を負います。
そのため、「どんな自分になりたい(なっていたい)かを決めること」が絶対に必要だと思います。
目標を決める、というと、「なんだ、そんな簡単なこと?」と思われる方もいらっしゃると思います。はい。とても簡単です。決めるだけですから。ですが、生意気を言わせていただくと、それができていない人が多いと思うのです。
まず、目標自体を明確に立てていない人が意外とたくさんいます。「今年の目標」ではなく、5年後、10年後の目標をすぐに言葉にできる人、もしくは、オフィスの壁にでも張ってある人はどれだけいらっしゃるでしょうか。
次に、目標を立ててもすぐに忘れて(あきらめて)しまう人もたくさんいます。厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、困難があると諦めてしまう、決めた数をこなせないというのは、「決めていない」と同じです。
営業は、良いお客さまとの関係ができて、実績を積み上げるまでは課題だらけです。「思い通りにいかなかった」、「お客さまから厳しいことを言われる」ことなどは当たり前に起こります。だからこそ、目標を立てたら、何が何でもやるのです。いろいろな方法を考えるという意思を持って仕事をしていると、その中で見えてくるものがあります。精神論のようですが、実はとても大事なことです。
プロセスを軽視しない。必ず結果になる
とはいえ、私も「トップセールスになる」と決めたものの、まだ入ったばかりの新人ですから、自分にはノウハウが全くありません。なので、先輩から教わったり、研修で聞いたことを愚直に実行していました。例えば、「アンケートを100人に取る」といったことです。
これは、やればできることなのですが、普通の人は適当なところで諦めてしまいます。ですが、こういう基本的なことは、成功するまでやっていくことが大事で、数をこなしていく中で、だんだん質が上がってきます。
よく、「今の人は考える力がない」なんていう人がいますが、私はそうは思いません。人は誰でも考え力を持っています。でも、ただ考えていてもダメです。インプット、経験がないところで、いくら考えてみても意味はないのです。それを「机上の空論」と言います。
私の場合は、圧倒的に断られ(=圧倒的な経験)、経験の絶対数が多かった(=知識の引き出しが多い)ことが、後に、考える力(=経験を知恵に変え、法則化していく力)になっていったと思います。
得意な土俵で勝負する!と決めると、向こうから話が来る
アポの話の前に、もう一つ前提をお話しします。
仕事が上手い、下手以前の問題として、まず「自分は何者なのか?」を決めることが大事です。この部分がブレているとどうにもなりません。
具体的には、「自分は何をやれるのか? 何が得意なのか?」、「本当にやりたいことは何なのか?」といったことを探求し、「自分はどうしたいのか」を決めるのです。
私の場合は、スキルも経験も人脈もあり、何よりも自分の想いがある保険業界にまず届ける!と決めて起業しました。
自分の得意な土俵でやると決めたら、不思議なことに、良い話が向こうから来るようになります。いろいろできるけれど、何をやっているか分からない人に仕事は来ないと思います。だから、「この土俵では誰にも負けない」という自分自身の定義が本当は一番大切なのです。「アポが取れなくて悩んでいる」という方がいらっしゃったら、その前に、まずここを見直してみていただきたいと思います。
そして、もう一つ大事なのが「何のためにこの仕事をやるのか?」ということです。「ミッション」と言い換えてもいいと思いますが、ここがブレないようにすると、「自分が何者なのか?」もハッキリしてきます。
例えば、私には「保険業界を元気にする」という目的、ゴールがあります。そういう気持ちがあると、多少つらいことがあっても、へこたれることがありません。
ちなみに、ビジネスでは、外部のパートナーと組む(協力する)ケースもあると思います。その際に、私は「想いがある人と組む」と決めています。もし研修会をすることになったら、主催者の方と一緒に「場」を創ったり、研修内容を良くしていくことになりますが、想いがない人とはそうならないのです。
そうなるとリピートにもつながりにくいし、何より満足いかないものをお客さまに提供するのは嫌です。仕事をする以上、自分が納得できる商品・サービスをご提供することが大事だと思います。
藤島幸恵さんの著書・詳細はこちらから!
藤島幸恵さんの著書「誰も教えてくれなかった営業の超基本! アポの5原則」の詳細は、こちらからどうぞ!
また、2月16日(金)には、大阪梅田 蔦屋書店にて、出版トークセミナーが開催されます。
詳しくは、大阪梅田 蔦屋書店のホームページからご覧ください。
(取材協力:Cocoro Sales LAB./藤島幸恵)
(編集:創業手帳編集部)