AI導入って難しい?小さく始めて成果を出す3ステップ|中小企業向けスモールスタートのコツ

創業手帳

AI導入は中小企業でも現実的な選択肢


多くの業界、企業でAIの導入がすすめられています。しかし、中小企業の中には一部の大企業だけの話だと感じている人もいるかもしれません。
実は、AIの導入は中小企業でも現実的な選択肢になってきているのです。
中小企業が「うちには関係ない」と思いがちなものの、AIを導入した多くの中小企業ではスモールスタートで生産性向上やコストカットといった成果を出し始めています。

本記事では、誰でもできる3ステップの導入法をわかりやすく紹介し、実践的なコツを解説します。

AI導入を検討する前に、まずは生成AIの代表格である「ChatGPT」の特徴や使い方を知っておくことが大切です。
創業手帳がまとめた 「ChatGPT生成AIガイド」 では、ビジネス活用の基本から実践例まで整理しています。ぜひ導入検討の前にご活用ください。



※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

なぜ今、中小企業にこそAI導入が必要なのか?


中小企業の多くが人手不足・属人化・長時間労働という構造的な課題に直面しています。これらをすぐに解決できる特効薬のような策はそう簡単には見つかりません。
そこで、少人数でも成果を出すために求められるのが「業務の仕組み化」です。

業務を仕組化する時にAIがその手段として役立ちます。AIを使えば新しくコストが発生するのではと感じるかもしれません。
しかし、AIは「コスト」ではなく「時間と成果の投資」として捉え直すことで導入価値が明確になります。

中小企業は、人材確保が難しい傾向があり、大企業よりも人材不足の影響を受けてしまう懸念があります。
業務効率化や生産性向上によって中小企業の持続可能性を高めるためにAIの活躍が期待されているのです。

導入前に確認しておきたい社内の”AI向き業務”とは?


AIを導入する際には、必ず「どの仕事をAIに任せるか」を考えておかなければいけません。
一般的には「AIが得意な仕事」は文字処理や分析が中心で、「人にしかできない仕事」は創造性や判断が必要な業務です。

その中でも、ルーティン・繰り返し・文字中心の業務はAI導入効果が高く、はっきりと成果が期待できます。
例えば、ルーティンでしていた報告業務に30分かかっている場合、それをAIに任せてチェックだけを人がするといった形にすれば作業時間5分程度で終わるため、25分間の業務時間短縮になります。

次のチェックリストで、AI導入できる業務がないか確認してみてください。

【AI導入チェックリスト】




以下では、それぞれの業務についてどのように導入するのか解説しています。

メール作成業務

毎回同じような文章を何度も書いているメール作成業務は、AIによる自動化効果が最も高い分野です。
挨拶文やお礼文、案内文などはテンプレート化できるので、定型メールにすれば時間短縮が実現可能です。

取引先への連絡や社内報告メールなど、パターン化しやすい文章作成がある職場では積極的にAIの導入を検討してみてください。

文書作成業務

社内文書や提案書のたたき台作成は時間がかかる業務ですが、AIの文章生成機能を活用できます。文章の作成には人の手が必要と感じるかもしれません。
しかし、部分的にAIの力を借りるだけでも、効率性が向上します。

例えば、基本的な構成や見出し案の作成、参考資料の整理など、初期段階の作業を効率化して仕上げやチェック段階で人の手を使うといった方法です。
過去の成功事例を参考にした企画書のフォーマット作成や、アイデア出しの支援も可能なので新しい視点が欲しい時にもAIが役立つでしょう。

議事録作成業務

会議やミーティングは実施している間だけではなく、議事録の作成も重要です。発言の備忘録や決定事項の共有のために使われる議事録作成は正確さと丁寧さが求められます。

もしも会議のメモや議事録の整理に手間がかかっている場合には、AIによる要約機能が効果的です。
AIを使えば音声データからのテキスト化や、長い会議内容の要点整理が自動化可能です。
決定事項の抽出や、次回への持ち越し事項の整理なども、AIが得意とする作業なので、多くの情報をわかりやすくまとめたい時に利用してみてください。

FAQ対応業務

問い合わせや質問への対応は、手間や時間がかかりやすい業務です。
よくある質問に毎回手動で答えている業務は、AIによる自動応答システムで解決できるケースがあります。
事前にAIに顧客からの問い合わせパターンを学習させておけば、的確な回答を自動生成でき、対応の品質も安定します。

AIを使えば24時間対応が可能となり、対応する人手が足りない時でも顧客を待たせません。担当者の負担軽減と顧客満足度向上の両立が実現できます。

顧客対応業務

顧客対応業務は人手不足の影響が大きい業務です。人手をかけられなくても顧客対応は大事にしたい場合には、AIチャットボットが有効な解決策となります。
初回対応を自動化しておけば、重要な案件に対応する時間を確保しやすくなります。
顧客情報の整理や対応履歴の管理なども手間がかかるため、AIによって効率化が期待できる業務のひとつです。

中小企業がAIを導入する手順


中小企業のAI導入は多くの効果が見込まれており、導入手順も複雑ではありません。中小企業がAIを導入する時の手順をまとめました。

ステップ1|”外注AI”を使って業務を一部自動化してみる

AIを導入する際には、実際に使った時のイメージを明確にすることが大切です。外注のAIを使って業務の一部を自動化してみてください。

例えば、ChatGPTでメール文作成、議事録要約、SNS投稿案作成など、手元で簡単に試せる業務から始めます。
業務の一部に限定すれば社内稟議なしでも導入しやすく、オンラインの無料ツールやAPI活用で初期コストを抑えられます

AIを実際に使ってみるとAI活用の感覚を掴めるようになるので、次の段階への道筋がより明確になるでしょう。
AIで自動化できそうな仕事のリストを作成して優先順位を付けておくと次のステップで役立ちます。

ステップ2|SaaS型ツールで”実務に組み込む”

AIの利便性や効果の測定ができたら、ここからは実務に組み込みます。
文章・議事録支援であればNotion AI、チャット対応はKARAKURI、メルマガ配信にはMailchimpなどSaaS(Software as a Service)型ツールを活用してみてください。

これらのツールの多くは月額数千円からの導入が可能で、費用対効果を確認しながら段階的に拡大できます。
これらのツールを業務フローに組み込むことで、継続的な業務改善効果が生まれ、日常業務の一部として定着します。

ステップ3|自社課題に合ったAIサービスを選定・内製検討へ

企業の仕事は、定型業務や一般的な業務だけではありません。ここからはCRM連携、スコアリング、受注予測といった高度な活用を実行して専門的な業務改善を実現します。

専門的な内容や自社特有の課題解決にAIは導入できないと思われがちです。
必要に応じて外部パートナー(ベンダー・フリーランス)を活用し、AIシステムを内製化して技術的な壁を乗り越えます。
AIを本格導入するかどうかの判断材料が揃えるには、「まず使ってみて」課題を具体化することが重要です。

AI導入でよくある失敗パターンと回避方法


AI導入で失敗する中小企業には共通のパターンがあります。事前にリスクを把握して、適切な対策を講じるようにすれば、成功確率を大幅に上げることが可能です。
ここからは、AI導入のよくある失敗パターンとその回避方法を紹介します。

高額なシステムを最初から導入してしまう

最初から高額なAIシステムを導入すると、期待した効果が得られず投資回収が困難になるリスクが高くなってしまいます。
まずは、無料や低コストのツールで小さく始めて、効果を確認してから本格導入を検討するようにしてください。

残念ながら高額なシステムであっても自社業務に適合しなければ役には立ちません。
製造業であれば生産ラインデータの分析ができるAI、小売業であれば顧客の購買データの分析、在庫管理の効率化が得意なAIが適しているというような、それぞれの相性があります。

AIは段階的に投資して自社に最適なソリューションを見極めてから、予算を拡大していく方法が良いでしょう。

社内の反対意見を無視して進める

AI導入によって生産性向上が見込めるものの、経営層の独断でAI導入を進めると、現場の協力が得られず活用が進まないケースがあります。
AIを導入する前に現場スタッフの意見を聞き、不安や懸念を解消する説明会や研修を実施することが重要です。

まずは小さな部分からAIを導入して、成功事例を積み重ねてください。徐々に社内の理解を深め、全社的な協力体制を構築してから業務範囲を拡大するようにします。
AIのスキルを持つ従業員を育成するとともに、スキルを身につけた社員が周りに教えられるような体制作りも進めておくようにしてください。

効果測定をせずに放置してしまう

AIは導入するだけでなく、そこからの効果測定も必須です。AI導入後の効果測定を怠ると、投資対効果が不明確になり継続的な改善ができなくなってしまいます。
投資に対してどの程度のリターンがあったのか、より効果を高めるにはどうしたらの良いのかを定期的に見直していくようにします。

さらに、導入前には、明確な目標設定を行い、定期的に効果を数値で評価する仕組みを作ることが必要です。
月次レビューを実施して、効果が出ていない場合は使い方の見直しや別ツールへの変更を検討するようにしてください。

AI導入を成功させるためのポイント


AI導入の成功には、技術的な側面と運用面の両方での準備が欠かせません。以下のポイントを押さえることで、失敗リスクを最小限に抑えながら効果的な導入を実現できます。

適切な期待値を設定する

AIは何でもできるようなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。
導入する時には、AIは「万能ではない」前提で使いどころを見極め、適切な期待値を設定することが重要です。

AIが得意な業務(文字処理、分析、パターン認識)と苦手な業務(創造性、複雑な判断)の両方を理解して、どのような業務であればAIが効果的かを精査します。
AIに対して、過度な期待を避けて、現在の業務の一部を効率化する補助ツールとして活用するようにしてください。

使い方を工夫する

AIは、データの入力内容やプロンプト設計で成果が大きく変わります。うまく活用するには、指示の出し方などの工夫が必要です。
基本的には、具体的で明確な指示を出すことで、より精度の高い結果を得られます。
実際に使ってみなければわからない部分も多いので、試行錯誤を繰り返しながら、自社に最適な使い方のパターンを見つけることが必要です。

AIを導入するときには、早急に効果を上げようとするのではなく、使い方に慣れる時間もスケジュールに組み込むようにしてください。

社内ルールを整備する

AIはセキュリティ面でのリスクもあります。社内のルールづくりや情報管理ポリシーも整備して、セキュリティリスクを事前に回避するようにしてください。
AIが入力されたデータを学習してしまったり、不正アクセスによって機密情報が流出してしまったりと多くのリスクがあります。

AI導入時には、どこまでの情報であればAIにアクセスさせていいのか機密情報の取り扱いルールを明確化し、従業員が安心してAIツールを使える環境を整えてください。
従業員向けには、AIのリスクや実際に起こった情報漏洩事例を紹介する研修会を開催しておくと良いかもしれません。

AIを導入してからも定期的に利用状況をチェックしてトラブルが発生していないか調べます。問題が発生した時に備えて対応手順を事前に決めておいてください。

まとめ|小さく試して、気づけば”AIが当たり前”に

AIの得意分野は、規模が大きく派手なこととは限りません。むしろ、定型的で規模が小さい領域でAIの能力が活きます。
導入して最初は「1つの業務」で十分であり、完璧を求めずに小さく始めることが成功の鍵です。
使えば使うほど「もっとこうしたい」が見えてくるため、継続的な改善サイクルが生まれます。
AI導入を特別な”プロジェクト”として扱うのではなく、日常業務の延長として始めるのがAIを使いこなすためのポイントです。

せっかくAIを導入するなら、ただ「使ってみた」で終わらず、成果につなげたいもの。
まずは生成AIの特徴や活用事例を整理した 「ChatGPT生成AIガイド」 で理解を深め、スモールスタートの成功確率を高めましょう。無料でダウンロードできます。


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(編集:創業手帳編集部)

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