独立後に後悔しないために|資格で開業する前に知っておくべきこと
「資格を取れば安心」は間違い?失敗しないための現実と準備術を解説
「資格を取れば将来安心だと思っていたのに…」「開業したけれど、うまくいかない…」
そのような後悔をしないために、資格で独立を目指す人が事前に知っておくべき現実や準備のポイントをまとめました。
理想と現実のギャップを埋めて、失敗のリスクを減らしましょう。
「起業したい」「独立を考えている」という方の中には、「何をどう進めたらいいかわからないから先に進めない」という方も多いのでは。そんな方はぜひ『創業手帳』をお読みください。起業に必要な最低限のノウハウをこの一冊にまとめています。無料でお届けしますので、ぜひご活用ください。
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この記事の目次
なぜ「資格を取っただけ」では成功できないのか
将来のため、スキルアップのためなど、あらゆる目的で資格を取得すると考えられます。
しかし、「資格を取っただけ」では成功できません。なぜ成功できないのか、その理由を解説していきます。
集客・営業ができないと仕事にならない
資格を取得すれば、その分野や情報について深く知識を持っていることや技術があることを証明できます。
しかし、事業をスタートするのであれば集客や営業に関する知識を持っていなければ経営は難しくなってしまいます。
特に、顧客を獲得するためには営業力が必要です。
そして会社の運営を効率的に行うためのマネジメントスキルが不足していると収益も安定しません。
集客を疎かにしてしまえば、思うように顧客を取り込めないので売上アップは望めないでしょう。
集客方法といっても、SEO対策やオンライン広告、SNSの活用など、幅広い手法が存在します。
これらの知識を有しておらず、十分に活用せずに従来の営業手法に頼り過ぎれば集客が伸び悩んでしまい事業の成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。
事業を成功に導くためにも、営業スキルやマーケティングスキルなどの知識を高めることが大切です。
実務経験ゼロでは信頼されにくい
取引先や顧客の中には、資格よりも実務経験を重要視している人もいます。そのため、資格を取得しているからといって「信頼できる」とは感じられません。
確かに実務経験は信頼を勝ち取る上で重要となります。
例えば、同じ事業を営んでいる経営者がいたとして、1人は「資格は持っているけど実務経験はなし」もう1人は「資格に加えて実務経験も持っている」とすれば後者が有利であるのは一目瞭然です。
特に資格が必要ない事業であれば、実務経験は資格以上に重要だと考えても過言ではありません。
事業をスタートするのであれば実務経験を積むことから始めるのもおすすめです。
収益化までに時間がかかるケースが多い
独立したばかりの頃は知名度が低いです。そのため、顧客を獲得するにも時間がかかり、収入が不安定になりがちです。
加えてリピーターを獲得できなければ、さらに安定した収入の確保が難しくなってしまいます。
事業が軌道に乗るまでには時間がかかるので、新規顧客やリピーターを獲得するためにも、様々な策を練る必要があるでしょう。
広告の発信やホームページの運用など、マーケティング施策には豊富な種類があります。
しかし、これらには資金も必要なので計画的に管理をしないと資金が底をつく恐れもあります。
開業直後は売上げが伸び悩んでしまうため、事業が軌道に乗るまでは資金計画をしっかりと立てるようにしてください。
資格を必要としない仕事もある
事業の中には、資格を必要としないものも多くあります。
例えば、ネイリストやエステティシャンといった美容系の職種や整体師、ライターや記者、コールセンタースタッフや事務職などです。
そのほかにも、ITエンジニアも資格を持っていなくても働けます。
ITに関するスキルを図る資格はありますが、システム開発をする際に必要なのはプログラミングスキルなので、資格を有していなくても働くことは可能です。
これらの業種に就きたい、事業を始めたいのであれば、資格の取得ではなくスキルを伸ばすことから始めるのが賢明です。
よくある「資格独立」の後悔と失敗パターン
資格を取得して独立し、開業をしてから後悔や失敗する人には、共通するパターンがあります。
実際に開業してから後悔しないためにも、よくあるパターンを理解しておいてください。
開業したが顧客が集まらず収入が不安定
事業を展開する分野に関する高い知識を持っている、資格を豊富に持っていれば優秀な人だと予想できます。
そのため、「資格を取得していれば知識やスキルを持っているから安心」だと考える人もいますが、前述したように集客力や営業力を持っていないと顧客を集められません。
その結果、資金不足に陥れば事業継続は難しくなります。
例え十分な資金を用意してから事業をスタートさせたとしても、顧客がいなければ売上げがないので資金がすぐに底をついてしまいます。
赤字の状態が続けば事業が回らなくなる可能性が高まるので注意してください。
コンセプトが曖昧
事業を開始する際のコンセプトが曖昧だと継続が難しくなります。
「競合と比較した時の強み」「顧客が自社を選ぶ理由」に答えられなければコンセプトを練り直すことから始めてください。
コンセプトを考える際には「誰に」「何を」「どのように」といった視点でまとめると端的に表現できます。
顧客に対して事業の魅力が伝わるように、コンセプトを考えてみてください。
人脈がなく孤立してしまう
経営を安定させるためにも人脈づくりは欠かせません。人脈が多ければ、顧客の獲得にも良い影響を与えるだけではなく、他社や他業界との連携も可能です。
独立をする前、独立した後に人脈を築けなければ、紹介による顧客の獲得が難しくなるので売上にも直結します。
また、何らかの影響によって経営危機に陥る可能性があるかもしれません。
その際に豊富な人脈を築いていれば、思わぬところから助け船を出してくれる可能性があります。
資格を取得して知識を高めることも大切ですが、人脈作りも忘れないようにしてください。
業務量が想像より多く体調を崩す
資格を取得し、独立をしてから後悔や失敗を招く理由として「業務量が想像以上に多い」という点も挙げられます。
特に個人事業であれば、日常的な経理業務や電話対応、メールのチェックや発送物の処理など、雑務も多くあるので本業に取り組む作業もすべて自分で行わなければいけません。
その結果、体調を崩す可能性があるため、事業継続にも影響を与えてしまいます。
事業が成長すれば、本業に割く時間も多くなるため、雑務を処理する時間がより少なくなってしまいます。
その場合は、効率的・計画的に作業を進めないとプライベートの時間を確保することが難しくなるでしょう。
雑務を他人に任せることも視野に入れて事業を継続していくと、精神的にも肉体的にも余裕ができるはずです。
お金の管理ができない
事業を経営するためにはお金の管理が欠かせません。
事業のお金、プライベートのお金を分けることが何よりも大切になり、事業に関する収支はすべて記録し、管理していく必要があります。
経理業務を任せる人材を雇うとしても、自分でも把握していなければミスに気が付かないだけではなく、騙されたとしても気付けません。
事業に関する資格を持つことは知識を身に付けるためには大切ですが、経理に関する知識を身に付けることも忘れないようにしてください。
独立することが目的になっている
独立することが目的になっていると、後悔や失敗を招きやすいです。
将来の展望が曖昧なままだと、目指すべき目標がないので事業経営が安定しない要因となります。
起業後のモチベーションが続かないケースもあるため、事業が軌道に乗る前に挫折してしまう人もいます。
「何のために起業するのか」「どのような目標を達成したいのか」起業した後の目的やビジョンを明確にすることが大切です。
社会の変化やトレンドについていけない
起業時のビジネスモデルに固執していると、社会の変化に対応できずに取り残されてしまいます。
トレンドはいつまでも一定ではなく変化していくため、社会の変化やトレンドについていけないと、顧客離れを引き起こす可能性があります。
最初に決めた方向性を変えず、頑固に突き進むタイプは失敗しやすいので、変化に対応しながら柔軟に変えられる頭の柔らかさが経営者には必要です。
独立前に準備すべきこと
ここからは、資格を取得して独立をする前に準備をしておくべきポイントをまとめていきます。
小さく副業で試してみる
失敗によるリスクを最小限に抑えるためにも、副業から試してみるのもおすすめです。
小さな副業からスタートすれば、万が一うまくいかなくてもリスクを最小限に抑えられます。
そのため、資格を取得した後にすぐに独立するのではなく、まずは副業やモニターから始めてフィードバックを得てみてください。
自信がつくだけではなく実績も増やせます。副業がある程度軌道に乗ったところで独立を目指せば、安定した収入が得やすくなるでしょう。
ターゲットとメニューを明確にする
独立開業を目指すためにも、まずはコンセプトを作成する必要があります。お店の方向性やイメージを決めるもので、開業後の成功に直結する要素の1つです。
中でも、ターゲットやメニューの明確化は欠かせません。
自社の強みや魅力を明確にするためにも、「誰に・何を・いくらで」提供するのかを具体化してください。想定顧客像を描くのがポイントです。
集客チャネルを整えておく
集客をする際に必要となる媒体や経路を集客チャネルといいます。
テレビCMや新聞広告、雑誌といった方法以外にも、インターネット広告やSNS広告など、Webを活用した媒体もあります。
開業時に「見つけてもらえる状態」を作るためにも、ホームページやSNSの活用は欠かせません。
SNSでは広告を出稿する以外にもお店や企業のアカウントを作って、情報を発信することができます。
投稿した内容が拡散されれば多くの人たちに認知してもらえるので、XやInstagramなど、SNSの活用を検討してみてください。
また、口コミの導線づくりも忘れてはいけません。顧客が簡単に口コミを投稿できるよう、QRコードやポップの設置をして口コミの投稿を促す工夫を施してください。
良い口コミが増えれば、ビジネスの発展の手助けをしてくれます。
お金の知識をつける
企業に勤めていれば、商品の価格設定をはじめ、売上目標や収支の管理、税金の納付などは会社がすべて行ってくれます。
しかし、独立すればすべてを自分で行わなくてはいけません。
そのため、お金に関する知識を身に付ける必要があります。
特に税理士といった士業とは異なり、ネイリストやマッサージなどの資格はお金に関する知識が浅く独立後に困るケースも多いため注意が必要です。
書籍やネットで情報を集めるほか、セミナーや相談会に参加するなど、あらゆる方法で知識を増やせるので活用を検討してみてください。
開業後半年の生活資金を確保する
開業するためにも、できるだけ多くの自己資金を用意しておく必要があります。
目安としては、開業後半年の生活資金の確保です。そのほかにも、事業用のお金も必要になります。
運転資金となるので、黒字倒産のリスクを抑えるためにも有効です。
融資の活用だけではなく、補助金の活用やパートの併用も検討してみてください。
独立で成功している人に共通するポイント
最後に独立開業をして成功を収めている人に共通するポイントをみていきます。成功できるか不安のある人はぜひ参考にしてみてください。
・明確な目標やコンセプトがある
独立の目的が明確になっていると、目的に向けて行動を起こせるので成功しやすいです。高いモチベーションも維持しやすくなります。
・事前にテストを繰り返している
いきなり大きな事業を始めれば失敗を招きやすいです。
後悔もしやすくなるので、まずはモニター募集やSNSでの小さな販売など、「試す」ことを繰り返して改善することから始めてみてください。
改善を繰り返すことで、より良いものが生まれます。
・情報発信や口コミなど、自分の見せ方を磨いている
自分の価値や会社やお店の価値を理解し、自分の見せ方を知っている人は成功しやすいです。
SNSやnote、ブログなどを通じて、考え方や実績を「伝える」ことに力を注ぐと、信頼感が生まれるので、様々なツールを活用して情報発信をしてみてください。
・ひとりで抱え込まず、相談や連携を活用している
起業すると様々な問題に直面します。壁にぶつかった時、乗り越えるためには自分の努力も必要ですが、人とのつながりによって解決できる可能性もあります。
コミュニティや専門家とのネットワークを活用し、壁にぶつかったときは早めに相談することで早期解決を目指せるでしょう。
まとめ|「資格を取ったら終わり」ではなく「資格を使って何をするか」が鍵
資格取得は、独立の“スタートライン”にすぎません。後悔しないためには、現実を知って準備し、段階を踏んで進めることが大切です。
「資格で食べていく」ための道のりを、正しく設計していきましょう。
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(編集:創業手帳編集部)