地域を活性化!企業×自治体のアイデア9選。自治体による企業誘致の事例も紹介
地域活性化に向けた取組みが企業や自治体で実施されている
地域活性化とは、地域の経済や文化、産業などの動きを活発にさせたり、地域住民の活動意欲を高めたりして、地域を発展させることです。
地域創生は地域の人口にフォーカスしていますが、地域活性化は魅力的なまちづくりに対する取組みです。
各地域では、地域資源を活かしたイベントやワークシップの開催や、特産品の販路拡大などが行われています。
今回は、地域活性化を目指す企業のアイデアや自治体による企業誘致の事例を紹介します。
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この記事の目次
【観光】地域活性化の企業アイデア3選
地域には魅力的な観光資源が多数存在します。まずは、観光分野で地域活性化に貢献している企業アイデアを3つ紹介します。
観光商品の販売管理推進で地域活性化をサポート:アソビュー株式会社
アソビュー株式会社は、観光やアウトドアスポットの予約サイトや、全国のアウトドアレジャーの体験予約サイトなどを展開している会社です。
地方自治体・観光支援事業として、地域活性化ソリューションや観光商品販売管理システムの「AREA GATE(エリアゲート)」を提供しています。
AREA GATEは、DMO(観光地域づくり法人)や観光協会の公式サイトを介して、地域コンテンツの管理や販売の一元管理を可能とするクラウドシステムです。
具体的には、宿泊施設の予約や体験プランなどの観光関連商品の情報を、提携サービスによって提供できます。
また、サイトを訪れたユーザーは、旅行先の情報収集をしながら、宿泊施設や体験プランなどの予約・購入ができます。
さらに、公式サイトにコンテンツを増やせると同時に、予約機能によって予約販売の新しい流通チャネルを追加することが可能です。
旅行者にとって便利なサイトにできれば、興味を持った人に予約してもらえる可能性が高まります。
アートで地域活性化に貢献:株式会社MeltingPot
株式会社MeltingPotは、若手アーティストによるレンタルサービスや委託制作サービスなど、様々なアートサービスを展開している企業です。
これまで、地域芸術祭の運営や自治体の課題に合わせたアートツアーなど、アートを通して地域活性化に貢献してきました。
茨城県大子市では、自治体と共同で空き家をスタジオとして運営し、芸術祭を開催しました。
スタジオでは、作品制作・発表以外にもワークショップなどを開催し、アートを通じて地域住民との交流を生み出し、地域活性化に貢献しています。
テーマのある旅行で地域観光業の促進:株式会社trippiece
株式会社trippieceは、旅行企画SNSの「trippiece(2023年10月31日にサービス終了)」を立ち上げた会社です。
trippieceは、自分の体験を活かし、旅のプランナーとして参加者を募ってツアーを作るという今までにないソーシャル旅行サービスです。
テーマ性のある旅行を売りにしており、共通の趣味・興味を持つ人々を集めることで、旅行を満喫することできます。
また、サービスを通じて多くの人々に、地域の魅力を知るきっかけを与えました。
ファンコミュニティを形成するための交流イベントの開催や、国内最大級の旅行・おでかけメディアの「RETRIPe」を運営しています。
これらのサービスを通じて地域の魅力の発掘と発信を行い、インターネット上での情報の充実性と話題性の向上を務めています。
【雇用】地域活性化の企業アイデア3選
若者を中心に都市部への流入や少子高齢化の影響で、雇用に悩む地域は少なくありません。
ここで、雇用創出に関する地域活性化の企業アイデアを3つ紹介します。
地方の雇用創出に大きく貢献:株式会社マイナビ
株式会社マイナビは、大手求人情報サイトの運営で知られている会社です。地域ごとの求人情報を多数掲載することで、地域の雇用創出を支援しています。
求人情報を掲載するのみではなく、地方自治体や地元企業と連携して、地域の雇用課題の解消に取り組んでいます。
これまでに、地域イベントやキャリアセミナーの開催をはじめ、地域資源を用いた職業訓練プログラムの提供などを行ってきました。
これらの取組みによって地域住民との交流を測り、地域の雇用促進につなげています。
フリーランスの仕事創出で地域活性化を目指す:ランサーズ株式会社
ランサーズ株式会社は、国内最大級のクラウドソーシングサービスを運営する企業です。クラウドソーシングサービスは、フリーランスで働く人に利用されています。
企業に雇用されて働くことは一般的ですが、企業に属さず自分の得意分野を仕事にできるフリーランスも働き方のひとつです。
また、フリーランスはインターネット上で仕事の受発注ができ、場所を問わず仕事ができます。
ランサーズは、地方で生活しながら働きたいフリーランスと仕事を受注したい企業の架け橋となり、各地域の仕事創出に貢献しているのです。
地域のエリアパートナーと提携し、新しい働き方の創出をサポートするエリアパートナープログラムも展開しています。
地方に住むクリエイター支援の実施:株式会社Creema
株式会社Creemaは、ハンドメイドマーケットプレイスの「Creema(クリーマ)」を運営する企業です。
Creemaは、ハンドメイド作品を制作するクリエイターと消費者をつなぐプラットフォームです。
地方在住のクリエイターは、Creemaを通じて全国の消費者に向いて自分の作品を販売できます。
また、ハンドメイドインジャパンフェスというクリエイターの祭典を運営しています。
数千名のクリエイターの作品を楽しめるビックイベントとなっており、クリエイターと消費者が直接交流しながら作品を販売できる機会になっています。
オンラインとリアルの両面から地方で活躍するクリエイターを支援し、仕事創出や地域活性化に貢献している企業です。
【まちづくり】地域活性化の企業アイデア3選
地域住民がより住みやすく、魅力的な地域にするためにまちづくりに貢献する企業も多く存在します。
続いては、まちづくりに貢献する地域活性化の企業アイデアを3つ紹介します。
不動産再生を通じて魅力の創出:リノベる株式会社
リノベる株式会社は、主に中古物件のリノベーションを手掛ける企業です。
不動産の再生・リノベーションを通して地域の魅力を再発見し、まちづくりに貢献しています。
都市創造事業を展開しており、不動産再生事業のプロジェクトの企画からデザイン・設計、施工運営までワンストップでマネジメントしていることが特徴です。
住宅や複合施設、宿泊施設商業、オフィスなどの幅広い物件を再生したり、課題の解決と同時に新しい体験価値を付与したりすることで、持続可能なまちづくりを推進しています。
デザインから機能性まで優れたリノベーション物件は、地域活性化やコミュニティの形成につながっています。
空き家再生で地方創生をリード:株式会社LIFULL
株式会社LIFULLは、不動産情報サイトの運営をはじめ、不動産仲介サービスや地域情報メディアの運営などを手掛ける企業です。
空き家の放置に危機を感じ、空き家を活用して地域活性化に貢献している企業で、「LIFULL HOME’S 空き家バンク」によって、各地域にある空き家情報を提供しています。
また、空き家データをもとに、空き家活用の資金調達支援や不動産再生のプロデュースを行ったり、空き家を活用する人材とマッチングを行ったりして、空き家問題の解消と地域創生を目指しています。
これまでに、各自治体の空き家活用サポートや、地方移住マッチングなど、地方創生・活発化のつながる取組みに務め、各地域に貢献しています。
エリアマネジメントで地域活性化を目指す:株式会社クオル
株式会社クオルは、エリアマネジメントを展開している会社です。
エリアマネジメントとは、住民や事業主などの民間の自主的な取組みによって、地域における良好な環境や価値の維持・向上を図ることを意味します。
クオルは、不動産ディベロッパーや鉄道会社と共同し、まちづくりによって地域の賑わいを創出してきました。
対象地域の魅力を発掘し、その地域が目指すべき姿を描くところからはじまり、地域に愛着を持ってもらえるような計画策定や活動を行っています。
自治体による企業誘致の事例と起業支援
企業誘致とは、地方が企業を誘致するための取組みです。
現代では、人口や産業、経済などが東京圏に集中している背景から、多くの地方の自治体が企業誘致に取り組んでいます。
ここで、自治体による企業誘致の事例・起業支援を5つ紹介します。
三重県亀山市
三重県亀山市には、大手電機メーカーシャープの工場があります。
以前は液晶テレビの製造を行っており、「世界の亀山モデル」というキャッチコピーで商品を売り出し、世界中に亀山の名が知れ渡りました。
シャープは、三重県と亀山市が補助金の交付をしたことをきっかけに、工場の新設を決めました。
また、亀山市では「カメヤマ創業アシスト」という創業支援ネットワークを運営しています。
商工会議所内の窓口で創業に関する相談に応じてもらえたり、各分野の専門支援を受けたりすることが可能です。
ほかにも、創業資金融資にかかる保証料や利子を補給するための制度、空き店舗などを活用するための補助金制度が用意されています。
兵庫県淡路市
兵庫県淡路市では、2008年頃から積極的に起業誘致に取り組んでいます。
神戸市へのアクセスが良好な立地であることから、テーマパークや劇場などのエンターテインメント施設が続々とオープンしました。
また、2014年4月には明石海峡大橋の高速料金の値下げにより観光客を増やすことに成功しました。
淡路市に参入した企業として挙げられるのが、人材派遣会社のパソナグループです。
パソナグループは淡路島に本社機能の一部を移転し、人材誘致によって淡路島の地域活性化事業に取り組んでいます。
なお、淡路市では小規模事業者の販路開拓を支援するために提供しているのが、小規模事業者持続化補助金です。
補助金を活用することで、持続的な経営に向けた販路拡大や生産性向上に取り組めます。
岩手県北上市
岩手県北上市は、1950年代から企業誘致に取り組んできました。2016年時点で246社中188社は誘致企業という実績があります。
市長が率先して企業訪問を行ったり、従業員の住宅や生活環境などの要望をヒアリングしてフォローアップしたりしてきました。
企業からの要望を整理してランキング化したり対応策を公表したりするなど、市の施策に取り入れています。
ほかにも、企業誘致の専門スタッフの配置や手続きなど企業立地に関するワンストップサービスを推進しています。
これらの取組みにより、企業から信頼を得られ誘致につながりました。
なお、北上市では、相談窓口の設置や創業資金の融資制度、経営指導などの創業支援も行っています。
沖縄県うるま市
沖縄県うるま市では、2025年2月時点で269社を誘致しています。うるま市は那覇空港から車で約50分という好立地な場所にあり、中城湾港や高速ICを利用することも可能です。
そのため、製造業や物流業が多く集まっています。
また、うるま市は、国際物流拠点産業集積地域などの特区・地域制度を活用した税制優遇や、人材育成支援メニューなどを整備しています。
さらに、創業支援プログラムを開催しているのも特徴です。
創業に関する基本知識を学べるスクールや、起業に興味がある人が集まるサロン、事業について相談できる相談窓口などを利用できます。
神奈川県横浜市
神奈川県横浜市では、1859年に横浜港を開港し、首都圏の生活と産業を支えてきました。
大規模な競技場やコンサートホール・アリーナなどがあり、利便性の高い商店街や自然豊かなスポットも豊富で、多数の魅力が詰まったブランド力の高い都市です。
このブランド力を活かし、国内だけではなく、海外企業の誘致も積極的に行っています。
特定の地域での事業計画において、助成金や法人市民税の減額などを実施し、企業を誘い込んでいます。
創業セミナーやワンストップ経営相談窓口、起業に役立つ情報を提供する「スタートアップポートヨコハマ」の運営など、創業を支援する制度が充実していることも魅力です。
まとめ・地域活性化のアイディアでビジネスチャンスを掴もう!
地方では人口減少や過疎化が進んでことから、地域を盛り上げようと努力する企業が増えています。
また、自治体側も地域を活性化させるために企業誘致に力を入れています。
地域の課題を解決し、社会に貢献できるビジネスを展開することで、ビッグチャンスを得られるかもしれません。
各地域で企業誘致や創業支援が行われているため、十分にリサーチし、自分がやりたいビジネスにマッチした地域を選ぶことが大切です。
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(編集:創業手帳編集部)