プレフリーランスとは?フリーランスとの違いやメリットを解説
お試しでフリーランス活動を行う「プレフリーランス」
働き方が多様化する中で、フリーランスとして独立・開業をする人が増えています。
統計局が実施した令和4年就業構造基本調査によると、本業でフリーランスをしている人は約209万人、副業でフリーランスをしている人は約48万人で、合計約257万人がフリーランスとして活動していることがわかります。
そのような状況の中、近年はお試しでフリーランス活動を行う「プレフリーランス」と呼ばれる人が登場しました。
今回は、プレフリーランスの特徴やフリーランスとの違い、プレフリーランスになる場合の注意点などを解説します。
フリーランスの働き方に興味があるものの、不安を感じている人はぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
プレフリーランスとは?どのような人?
プレフリーランスとは、収入を目的とせず、疑似的にフリーランス活動を行っている人を指します。
フリー株式会社が実施した調査では、未開業・未起業者のうち本業以外の収入がある人は12.3%を占めており、そのうち収入や開業・起業(独立)を目的としていない人は、約21.2%に上ることがわかっています。
具体的には以下に該当する人が、プレフリーランスとなります。
フリーランスに興味がある人
フリーランスは会社勤めとは異なり、働く時間や働く場所を自由に決められ、働いた分だけ収入を得られる働き方です。
会社勤めをしている人の中には、まだ一歩が踏み出せないでいるものの、フリーランスの働き方に興味を持っている人もいるでしょう。
プレフリーランスに該当する人の中には、お試しで活動しながら、実際にやっていけるか模索する人も少なくありません。
独立の準備をしている人(フリーランスの準備中の人)
近い将来フリーランスとして独立の準備を進めている人もプレフリーランスに該当します。
フリーランスとして活動する準備をしておけば、実際に独立した際の失敗を回避しやすくなります。
収入以外の目的で副業している人
副業をする目的として「収入を増やすこと」を挙げる人は多くいますが、収入以外の目的で取り組んでいる人もいます。
本業に関連する副業を行うことで、スキルアップを図ったり経験・実績を増やしたりできます。
また、副業で得たスキルを活用すれば、独立するだけでなく、本業でのキャリアアップを目指すことも可能です。
フリー株式会社の調査では、開業・起業できていない・したくない人にその理由を尋ねたところ、「スキル不足」と回答した人が44.5%、「時間的な余裕がない」と回答した人が39.8%、「やりたいことが決まっていない」と回答した人が31.3%でした。
プレフリーランスに当てはまる人の多くは、スキル不足によって開業・起業に踏み出せないことがわかります。
趣味にしている人
フリーランスの仕事を趣味にしている人もいます。
キャンプが趣味であればアウトドア系ライターとして活動したり、フリマアプリやWebサイトなどでハンドメイド作品を販売して稼いだりするケースもあります。
趣味を副業にして稼げる場合も少なくありません。
プレフリーランスとフリーランスの違い
プレフリーランスとフリーランスは、活動内容に違いはありません。
ただし、「お試し」としている場合や、スキルアップや趣味などを目的としている場合は、プレフリーランスに該当することになります。
プレフリーランスは副業とも似ています。ただし、副業は収入を目的に行われる点がプレフリーランスとは異なります。
また、プレフリーランスは組織や団体には所属しない働き方であることも、副業と異なる点です。
プレフリーランスになるメリット
プレフリーランスになることで、様々なメリットが得られます。ここでは、プレフリーランスになるメリットを4つ紹介します。
お試しで活動できる
プレフリーランスの大きなメリットとして挙げられるのが、お試しで活動できるという点です。
フリーランスになるためには、活動したい分野のスキルや知識、経験を積んでおかなければ、案件がもらえなかったり、もらえる報酬が少なかったりします。
一方、プレフリーランスとしてお試しで活動すれば、案件をこなしながらスキルや知識、経験の積み重ねができ、フリーランスとして開業したばかりでもある程度報酬の高い案件からスタートできる可能性があります。
特に、本業とは異なる業界・職種で活動する場合には、まずはお試しで活動したほうが失敗しにくいかもしれません。
好きなこと・趣味で活動できる
プレフリーランスは、収入を目的とせず、好きなことや趣味の一環として活動できることも大きな強みです。
自分の好きなことを仕事にすれば、勉強して知識を深めたいという気持ちになり、長期的に取り組んで成果につながることもあります。
また、組織や団体には属さないことから、会社からの制限を受けたり、やりたくない仕事を任されたりすることもありません。
本業のスキルアップにつながる
プレフリーランスの活動が本業と関連していれば、本業のスキルアップにつながる場合もあります。
本業のスキルアップにつながれば、昇給や昇進につながる可能性が高まったり、業務効率が上がることで生産性が向上したりするなど、幅広い仕事を任せてもらえる場合もあります。
また、高度なスキルが身に付けば、顧客や周囲からの評価も上がることに期待できるかもしれません。
本業からの独立を考えていない人も、プレフリーランスとして活動することで恩恵を得られるでしょう。
将来的に開業を目指せる
プレフリーランスとフリーランスの活動内容にほとんど違いはないことから、将来的に開業を目指したい人にとってプレフリーランスになることはメリットといえます。
初めて開業するとなると不安に感じる部分が多いかもしれません。
しかし、プレフリーランスでどのようなことをするべきか、案件をどのように進めればいいかなどを知っておくことで、開業後の不安も減らせます。
また、収入面だけでなく、生活のリズムや活動時のメンタル、健康面などを把握しやすいこともメリットです。
フリーランスの活動に不安を持っている人は、まずはプレフリーランスとして活動してみることがおすすめです。
プレフリーランスになる場合の注意点
プレフリーランスでは様々なメリットを得られますが、一方で注意しなくてはならないポイントもあります。続いては、プレフリーランスになる場合の注意点を解説します。
好きなこと・趣味を嫌いになってしまう可能性がある
プレフリーランスは好きなこと・趣味として活動できますが、反対に仕事にすることで嫌いになってしまう可能性があります。
いくら好きなことや趣味でも、毎日ひたすら同じことを繰り返していると、途中で飽きてしまうケースもあります。
反対に、嫌いなことでも期待以上の成果が出れば、徐々にやりがいを感じてくることもあります。
趣味が頻繁に変わる人は、飽きてくると投げ出すこともあるので注意が必要です。
理想と現実のギャップが激しい場合もある
プレフリーランスはお試しとしての活動ではあるものの、クライアントからの案件に対しては仕事として取り組むことになります。
仕事は完璧にこなすことが重要ですが、納品物やサービスの品質と得られる報酬のバランスを考え、仕事として成立させなくてはなりません。
納品物のクオリティを求めて時間をかけすぎてしまい、報酬と見合わなくなるケースもあります。
「これだけ頑張って仕上げたのに、報酬はこれだけしかもらえない」という現実にギャップを感じてしまい、やる気を失ってしまう可能性もあるかもしれません。
また、自分が表現したいこととクライアントが求めていることに相違がある場合にもギャップを感じてしまいやすくなります。
生活習慣が不規則になりやすい
プレフリーランスは会社勤めと異なり、自分の好きな時間・場所を設定して仕事に取り組めます。
しかし、生活習慣が不規則になりやすいというデメリットもあります。
起床時間・就寝時間などを決めておかなければ生活習慣が不規則になってしまい、結果的に体調不良に陥る可能性があるかもしれません。
将来的に開業を目指す人は、プレフリーランスのうちに自己管理能力を身に付けておくことが大切です。
プレフリーランスのQ&A
ここからは、プレフリーランスに関してよくある質問に答えていきます。
プレフリーランスのまま仕事を続けてもいいか?
プレフリーランスとして報酬を得ることに対して、「開業届を提出しなくてもいいのか」と不安に感じる人がいるでしょう。
開業届は、税法上では提出が義務付けられているものの、提出しなくても罰金などのペナルティは課されません。
そのため、プレフリーランスは開業届を提出せずに活動しても問題ないです。
ただし、開業届を提出することで特別控除や赤字の繰り越しなどのメリットも得られるため、可能であれば開業届の提出を検討してください。
プレフリーランスではない似たような選択肢はある?
プレフリーランスに似た選択肢として、副業が挙げられます。
副業は、本業以外の仕事で収入を得ることを指し、収入の増加だけでなくスキルアップを図ったり好きなこと・趣味を仕事にしたりできます。
政府による副業推進の流れを受けて、副業を解禁する企業も増えていることから、プレフリーランスであれば挑戦しやすいかもしれません。
プレフリーランスを選んだほうがいい状況とはどのような時?
すぐにフリーランスとして活動するよりも、プレフリーランスを選んだほうが良い状況もあります。
例えば、これまで会社勤めだった人がフリーランスとして独立を考えている場合です。
最初からフリーランスとして活動するよりも、プレフリーランスを挟んだほうが失敗するリスクも回避しやすくなります。
また、開業・起業するためのスキルを身に付けたい人や、フリーランスの働き方に興味がある人にもおすすめです。
プレフリーランスの認知度や人口は?
フリー株式会社による調査で、未開業・未起業者のうち、本業以外の収入がある人は12.3%を占めており、そのうち収入や開業・起業(独立)を目的としていないプレフリーランスに該当する人が約21.2%を占めていることがわかっています。
具体的な人口は約202人(母数957人×21.2%)です。
プレフリーランスに当てはまる人はいるものの、プレフリーランスに対する認知度は高くないため、自分がプレフリーランスと自覚している人は少ないかもしれません。
プレフリーランスからフリーランスとして開業するためのポイント
フリーランスとして開業を目指す場合に押さえておきたいポイントがあります。開業時には以下のポイントにも注目してみてください。
自己管理能力を身に付ける
フリーランスとして開業する前に、自己管理能力を身に付けておくことが大切です。
企画の提案から納品・請求まで、スケジュールどおりにこなすことでクライアントからの信頼も得られ、次の仕事につながる可能性が高まります。
スケジュールどおりに仕事を進めるためには、自己管理能力が必要です。
「いつまでに何を仕上げればいいのか」「どこまで進めておけばいいのか」などを把握しつつ、無理のないスケジュールで仕事を進めましょう。
また、基本的にはひとりで案件をこなしていくことになるため、健康面での自己管理も行うようにしてください。
専門的なスキルや営業力なども習得する
フリーランスとして開業するなら、専門的なスキルや営業力などを習得しておくことも重要となってきます。
例えば、コーディングのスキルを身に付ければ、プログラミング関連の案件を取得できるようになります。
ただし、特定の分野で稼げるほどの専門的なスキルを持っておかなければ、収入面が厳しくなってしまうことに注意が必要です。
また、専門的なスキルを持っていても、自分を売り込む力を持ち合わせていなければ案件を取得できない可能性があります。
プレフリーランスのうちに自分を売り込むための営業スキルを身に付けておくと安心です。
経理・会計に関する知識も身に付ける
フリーランスになった場合、日々の経理や会計処理は自分で行うことになります。
近年はクラウド会計システムなどもあるため、簿記の資格がなくても問題ないことも多いです。
しかし、経理・会計に関する知識を身に付けておくほうがスムーズな会計処理につながります。
簿記3級程度の知識は習得しておけば、確定申告の際に悩むことも少なくなります。
生活防衛資金を確保しておく
生活防衛資金とは、収入が減少した場合に備えて確保しておく資金を指します。
本業で仕事をしながらプレフリーランスとして活動している時は、プレフリーランスとしての収入がほとんどなくても生活に支障をきたすことはありません。
しかし、フリーランスを本業にする場合は、生活費を稼げない可能性があります。
特に、フリーランスを始めたばかりであれば、収入が案件の有無や報酬に影響されやすいため、生活防衛資金を確保しておいてください。
最低でも生活費の3カ月~半年程度は確保しておくと安心です。
まとめ・フリーランスに興味がある人はプレフリーランスでお試ししてみよう
プレフリーランスは疑似的にフリーランス活動を行うことで、お試しのような感覚で取り組めることが特徴です。
フリーランスとして開業・起業したいものの、一歩が踏み出せない人や、収入以外の目的で活動している人が該当します。
プレフリーランスになることで、好きなことや趣味で活動できたり、本業のスキルアップにつながったりするため、将来的に開業を目指せます。
フリーランスに興味がある人は、まずはプレフリーランスとしてお試しで活動してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)