生成AIを企業で利用・活用している割合は?業務効率化の事例などもまとめてご紹介

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生成AIを企業で利用・活用している割合は多い!企業の面白い生成AI利用・活用事例・方法もご紹介

生成AIが社会に広まって久しいですが、実際に業務に導入・活用できている企業はまだまだ少ないのが現状でしょう。「どうやって使ったら良いのか」「どんな風に使えば効果的なのか」など、悩まれている方も少なくありません。

そこで本記事では、すでに生成AIを業務に導入している企業の割合や、企業の導入事例などをまとめてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

創業手帳では、ChatGPTをはじめとした生成AIのビジネス活用を推進するべく、様々な生成AIの機能の違いや活用方法などをまとめた「ChatGPT生成AIガイド」を無料でお配りしています。生成AIは用途により使い分けをする時代です。どのような生成AIがあるのかをまずは知り、自社でどう活用すればいいのかのヒントになればと思い、このガイドブックを作成致しました。ぜひあわせてご覧ください。



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生成AIを企業で利用・活用している割合は?

国内企業983社のIT戦略策定・情報セキュリティ施策の従事者を対象に、JIPDECとITRが調査した「企業IT利活用動向調査2024」によると、「会社で構築・契約した生成AIを使用している」が15.9%、「各自で契約・登録した生成AIを使用している」が19.1%、「会社が生成AIの導入を進めている」が34.5%、「業務使用は禁止されており、使用できない」が9.3%、「禁止されていないが、従業員が使っているかはわからない」が16.8%、「生成AIが何か知らない」が4.5%でした。

この結果をみると、まだ生成AIを活用している会社はそこまで多くないようです。そのため、今のうちに生成AIを活用すれば、競合他社と差をつけることができるでしょう。

生成AIの企業での利用事例・活用方法・業務効率化事例

それでは、実際に企業ではどのように生成AIが利用・活用されているのでしょうか。以下でご紹介します。

LINEヤフー

LINEヤフー株式会社では2023年より、OpenAIのAPIを利用した独自の対話型AIアシスタントを全従業員に提供しています。この施策は、業務効率の向上と品質改善を目的として、生成AIの積極的な活用を推進するものです。

担当者によると、生成AIは通常の調査では得られない幅広い情報を提供し、新たなアイデアの創出や更なる探究へのきっかけとなっているとのことです。

現在、約70%の従業員がこのAIアシスタントを利用しており、そのうち約25%は日常的に活用しています。
具体的な使用例としては、以下のようなものがあります

・全社集会後の従業員アンケート結果の分析と集計
・新規企画のアイデア創出

特に企画立案においては、AIに特定の役割(例:「20代の都心在住女性」)を設定してから質問することで、その視点からの回答を得ることができます。これにより、アイデアのブレインストーミングパートナーとしてAIを効果的に活用しているそうです。

伊藤忠商事

伊藤忠商事株式会社では、2023年7月、「社内版ChatGPT」を導入し、約4200人の社内アカウント保有者全員に利用を開放しました。この生成AI導入の主な目的について、担当者は「総合商社として、ChatGPTが業務効率の向上に寄与するかを検証するため」と説明しています。

導入を担当したのは社内の「生成AI研究ラボ」です。このラボは社内各部門の知見やノウハウの集約、システム開発、伊藤忠社内での生成AI活用の検証、利用状況の分析、そしてシステムの継続的改善を行っています。

生成AI研究ラボの最終目標は、「生成AIのビジネス利用に向けた実証研究の推進」です。これらの取り組みを通じて、伊藤忠商事は生成AI技術の実用化と業務への効果的な統合を目指しています。

パナソニックコネクト

パナソニックコネクト株式会社は、OpenAIの大規模言語モデルを基に開発した自社向けAIアシスタントサービス「ConnectAI」の2023年6月から2024年5月までの導入実績を公表しました。

社員への調査によると、生成AIの活用により、1回あたり平均約20分の時間削減が実現されたことが明らかになりました。

活用ケースによって削減時間に差があり、検索エンジン代わりの単純な質問では比較的短い時間削減となる一方、戦略策定の基礎データ作成などではより長い時間の削減につながっています。

これらのデータを踏まえ、生成AI導入の目標として掲げた3点の達成結果が報告されました。

まず、業務生産性の向上については、1年間で全社員の労働時間を18.6万時間削減し、12ヶ月間のアクセス回数は1,39万6,639回、直近3か月の利用回数は前年同期比41%増となりました。

次に、社員のAIスキル向上に関しては、単純な検索用途から戦略策定や商品企画など、より高度な利用へと進化し、1時間以上の生産性向上につながる活用が増加しました。

さらに、製造業ならではの素材や製造工程に関する質問も増えています。

最後に、シャドーAI利用リスクの軽減については、16か月の期間中、情報漏洩や著作権侵害などの問題は発生しませんでした。

これらの結果は、ConnectAIの導入が企業の効率性向上とAI活用の安全な推進に貢献していることを示しています。

エン・ジャパン

エン・ジャパン株式会社は、転職サイトにおける職務経歴書の要約にAIを導入し、顕著な成果を上げました。具体的には、入力文字数が約6倍に増加し、スカウトの受信数も約1.6倍に伸びました。この成功体験を踏まえ、全社員がAIを活用できるように、同社はサイバーエージェントが提供する生成AIリスキリング支援の研修を受講することを決定しました。

研修の効果は顕著で、「生成AIを毎日活用できる」と回答した社員の割合が、受講前の4.5%から受講後には59%へと劇的に増加しました。参加者からは、「生成AIに対する難しいという印象が、日常的に使うべき当たり前のツールという認識に変わった」や「従来は自分で作業したほうが早いと考えていたが、業務改善にはAIが不可欠だと理解した」といった前向きな感想が寄せられました。

この研修を通じて、エン・ジャパンでは社員一人ひとりが生成AIを実践的に活用できる基盤が整いました。これにより、今後の業務効率化や革新的なサービス開発につながることが期待されています。

サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、インターネット広告事業に携わる全社員に向けて、AIアシスタントを提供し、広告オペレーション業務の効率化を実現する社内向けアプリケーション「シーエーアシスタント」を開発・導入しました。この取り組みは、生成AIを活用して業務プロセスを再構築し、AIと人間の協業により広告運用の生産性と品質の向上を目指すものです。

「シーエーアシスタント」は、生成AIを利用してインターネット広告に関連する様々な業務をサポートする社内向けアプリケーションです。広告分析、アカウント開設時の進行管理、効果計測、顧客への初期対応などをAIがサポートすることで、業務の効率化と品質向上を図ります。

このアプリケーションには5つの主要機能があります。第一に、広告分析機能では、同社独自の広告運用BIツール「CA Dashboard」のデータを基に、AIが広告実績の分析と簡易コメントを生成します。第二に、グラフ作成機能では、AIとの対話を通じて適切なグラフを作成できます。第三に、初期構築管理機能では、主要広告媒体における広告配信開始までのタスク生成と進行管理、さらにFAQへの回答などをAIが行います。第四に、テクニカルサポート機能では、社内システムや広告運用に関連する計測についての質問にAIが回答し、双方の作業負担を軽減します。最後に、一次回答生成機能では、顧客とのSlackやメールでのコミュニケーションにおける初期対応をAIが作成し、メッセージの管理から送信までをワンストップで行えるようにしています。

これらの機能を通じて、サイバーエージェントは広告事業におけるAIと人間の効果的な協業を実現し、業務効率と品質の向上を目指しています。

TOPPANホールディングス

TOPPANホールディングス株式会社は、社内システムのプログラム開発業務に特化した生成AIの導入を開始し、その効果検証を行いました。その結果、導入前と比較して業務時間が最大約70%短縮されたことが確認されました。

この実証実験では、プログラマーがLLMを活用した生成AIを使用し、社内システムのプログラミング要約とコード作成などを実施しました。検証は2023年8月1日から10月31日までの期間、TOPPANホールディングスのデジタルイノベーション本部で行われました。

具体的には、社内システム開発におけるコード生成とプログラミング要約を対象とし、OSS-LLMの生成AIを活用しました。その結果、プログラマーがシステムの稼働を確認するまでに要した時間が、導入前と比較して最大約70%短縮されたことが明らかになりました。

この成果は、生成AIが開発プロセスの効率化に大きく貢献できることを示しており、今後のさらなる業務改善や生産性向上につながる可能性を示唆しています。

NTTドコモ

NTTドコモ、インテージ、台信商店(ダイノブ)、今村商事の4社は、2024年5月8日から6月28日にかけて「生成AIを活用した店舗内サイネージ向け広告配信に関する実証実験」を実施しました。この実験は、サイネージ向け広告コンテンツを効率的に作成・配信する仕組みを導入し、小売業における売り場作りの支援を目指すものでした。

実験はスーパーダイノブ城南店で行われ、ダイノブが販売強化を希望する商品の広告コンテンツをドコモが生成AIを活用して作成しました。これらの広告は、店内3ヵ所に設置されたインテージのサイネージ端末およびデジタルサイネージ配信システムを通じて表示され、消費者の購買意欲の促進と販売増加を図りました。販売結果の効果検証は、今村商事がダイノブから取得したID-POSデータを分析することで行われました。

実験の結果、生成AIの活用により広告コンテンツ作成手順の最大3分の2の工程を半自動化することができました。これにより、通常外注で1週間程度かかる作成時間を、画像・動画を含めて最短1時間以内に短縮することが可能となりました。さらに、作成した広告の表示期間(1商品あたり7日間)中の売上は、平均で1.2倍、最大で3.3倍の増加を記録し、広告の効果が顕著に表れました。

この実証実験は、生成AIを活用した広告作成と配信が小売業の売り場作りと販売促進に大きな可能性を持つことを示しており、今後の小売業におけるデジタル技術の活用に新たな展望を開いています。

SMBCグループ

SMBCグループは2023年7月、大手銀行グループの先駆けとして、従業員専用AIアシスタントツール「SMBC-GAI」を開発し、業務に導入しました。このツールは専用環境上でのみ動作し、情報セキュリティを重視して設計されています。

新技術の導入にはリスクコントロールが不可欠であるという認識のもと、SMBCグループはSMBC-GAIの利用に関するガイドラインを整備しました。このツールはSMBCグループの専用環境内で動作するチャットツールとして構築され、情報の社外流出を防ぐプロトタイプとして、社内従業員のみが利用できる形で運用されています。

SMBC-GAIの特徴的な点は、Microsoft Teamsに統合されていることです。これにより、従業員は日常的に使用するコミュニケーションツール内でAIアシスタントにアクセスでき、調査、翻訳、音声データの文字起こしなどの作業を効率的に行えます。

また、SMBC-GAIは回答の信頼性を確保するため、参照したWebサイトのURLを表示する機能を備えています。これにより、利用者は回答の正確性を自ら確認することができます。AIの回答に対する判断の重要性は、社内ルールに明記されており、通達、研修動画、マニュアルを通じて従業員に周知徹底されています。

SMBC-GAIは、専門用語の検索、メール作成の補助、文章の要約や翻訳、プログラミング言語のソースコード生成など、幅広い業務で活用されており、グループ全体の生産性向上に大きく貢献しています。この取り組みは、金融業界におけるAI技術の安全かつ効果的な導入の先進的な事例として注目されています。

生成AIの企業での導入時におさえておきたいポイント

生成AIを企業で導入する際におさえておきたいポイントについてご紹介します。

明確な目標設定

生成AIを企業に導入する際の明確な目標設定は、プロジェクトの成功に不可欠な要素です。

まず、組織が直面している具体的な課題を特定し、それに対する数値化可能な目標を設定します。この目標は、会社の長期的なビジョンと整合性がとれており、期待される成果を明確に定義する必要があります。

目標設定のプロセスには関連するステークホルダーを巻き込み、全員の合意を得ることが重要です。

複数の目標がある場合は優先順位をつけ、短期・中期・長期の段階的な目標を設定します。

明確な目標設定により、AI導入プロジェクトの方向性が定まり、リソースの適切な配分が可能になり、組織全体のコミットメントを得ることができます。

データの準備と品質管理

生成AIの企業導入におけるデータの準備と品質管理は、AIの性能と信頼性を左右する重要な要素です。

まず、目的に適した十分な量のデータを収集し、整理することから始まります。次に、データのクレンジングを行い、誤り、重複、欠損値を除去し、一貫性を確保します。データの標準化やラベリングも重要で、AIモデルが効果的に学習できるよう整備します。

プライバシーとセキュリティの観点から、個人情報の匿名化や機密情報の保護にも注意を払う必要があります。また、データの更新と管理のプロセスを確立し、常に最新かつ高品質なデータを維持することが重要です。

最後に、データの品質を定期的に評価し、必要に応じて改善する体制を整えることで、AIモデルの継続的な性能向上が可能になります。

適切な技術選択

生成AIを企業で導入する際の適切な技術選択は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。

まず、企業の具体的なニーズと目標に合致した技術を選ぶことが重要です。これには、テキスト生成、画像生成、音声合成など、どの分野の生成AIが必要かを見極める必要があります。

次に、オープンソース、商用ソリューション、カスタム開発などの選択肢を検討します。各オプションのコスト、カスタマイズ性、サポート体制、スケーラビリティを比較評価します。

また、既存のITインフラとの互換性や統合のしやすさも重要な判断基準です。セキュリティやプライバシーへの配慮も欠かせません

最後に、小規模な実証実験(PoC)を通じて、複数の技術オプションを実際に試してみることも有効です。これにより、理論上だけでなく実践的な観点からも最適な技術を選択できます。

人材の育成・確保

生成AIの企業導入における人材の育成・確保は、技術の効果的な活用と長期的な成功に不可欠です。

まず、現状の社内スキルを評価し、必要なAI関連スキルのギャップを特定します。これには、データサイエンス、機械学習、プログラミング、そしてAIの倫理的側面への理解などが含まれます。

次に、既存の従業員向けトレーニングプログラムを開発・実施します。これには、オンラインコース、ワークショップ、実践的なプロジェクト参加などが含まれます。特に、AIリテラシーを全社的に向上させることが重要です。

同時に、即戦力となるAI専門家の採用も検討します。データサイエンティスト、機械学習エンジニアなどの専門家を戦略的に採用し、チームの能力を補強します。

さらに、AIプロジェクトを通じた実践的な学習機会を創出し、社内でのAI人材の育成を継続的に行います。

最後に、AI人材の定着を図るため、キャリアパスの明確化や、チャレンジングな業務機会の提供など、魅力的な就労環境を整備することも重要です。

段階的な導入と継続的な改善

企業に生成AIを導入する際、段階的な導入と継続的な改善が重要です。それは、リスク管理とリソースの効率的な配分を可能にするためです。

小規模な実験から始めることで、大きな失敗を避けつつ、学んだ教訓を次のステップに活かせます。また、組織全体がAI技術に適応する時間を確保し、従業員の学習曲線に対応できます。各段階で得られたフィードバックを反映させることで、AIシステムの精度と有用性を向上させ、ユーザーのニーズに合わせて調整できます。

さらに、急速に進化するAI技術や変化する法規制に柔軟に対応することが可能になります。このアプローチは、組織文化の段階的な変革を促し、長期的な投資対効果を最適化します。結果として、企業は生成AIの潜在的な利点を最大限に活用しつつ、リスクを最小限に抑え、持続可能なAI導入を実現できる可能性が高まります。

企業事例を参考に生成AI利用・活用を進めましょう

以上、企業の生成AI利用・活用事例などをご紹介しました。

ぜひあなたも、生成AIを利用・活用して業務効率化してみてください。




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(編集:創業手帳編集部)

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