生成AIを活用し業務効率化に成功した企業事例10選!コールセンターの自動化やマーケ活用など

創業手帳

生成AIを業務効率化に利用した事例は続々と増えてきている!ビジネスへの活用方法に困っている人必見

ChatGPTブームを皮切りに、企業各社が自社業務に生成AIを導入し、業務の質を高めたり、効率化を図ったりする事例が徐々に増えてきています。しかしながら、いまだに「自社業務に生成AIをどのように活用したら良いかわからない」というビジネスパーソンの方も少なくないのではないでしょうか。

そこで本記事では、実際に生成AIを業務に導入している企業を10社、ご紹介します。それぞれの事例を参考にしてみてください。

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LINEヤフー|GitHub Copilot for Businessを使用してエンジニアの作業効率をUP

LINEヤフー株式会社では、2023年10月13日より、約7,000名のエンジニアを対象にGitHubが提供するAIペアプログラミングツール「GitHub Copilot for Business」の導入を開始。このツールはプログラミング作業を支援し、コード記述の提案やエラー検出、最適化のアドバイスをAIが行うことで、エンジニアの作業効率を大幅に向上させることができるといいます。

また、導入にあたり、全従業員に対して生成コードの著作権侵害防止とリスク意識の向上を目的としたeラーニング講習が義務付けられました。さらに、コードの信頼性を確保するために複数のレビュープロセスが設定されています。

導入前の試験期間中、LINE株式会社およびヤフー株式会社の約550名のエンジニアによるテスト運用が行われ、その結果、コーディングにかかる時間が日に1~2時間削減され、その他の指標でも10~30%のパフォーマンス向上が見られました。これを受けて、正式な導入が決定されました。

本田技研工業|Copilot for Microsoft 365で会議を効果的に

ホンダは生成AIの導入を積極的に進めており、現在は三つの主要な方向でこの技術を活用しています。

ウェブ用AIチャット「Copilot」の活用:以前「Bing Chat Enterprise」として知られていたこのツールは、商用データ保護機能を備えており、ウェブ環境での利用が可能です。

「Copilot for Microsoft 365」の導入:日常業務で頻繁に使われるメールや「Office」「Teams」の効率を高めることが目的です。

社内プロセスのAI化:ホンダは自社内の知見をAI化し、API、マルチエージェント、マルチモーダル技術を使用して、より専門的かつ特化した応用を目指しています。

「Copilot for Microsoft 365」の中でも特に「Teams」の利用が効果的であるとされています。ミーティング中の要約作成や、その後のフォローアップの感情的ケアにも利用できる点が評価されています。さらに、この技術による生産性の向上や会議の効果的な終結方法にも寄与しています。

日本航空|生成AIチャットボットで社員からの質問対応コストを削減

日本航空株式会社(JAL)は、生成AIチャットボットを社内の問い合わせシステムに導入し、社員からの質問に対する対応コストを削減しました。

このAIチャットボットは、従来の問い合わせシステムと比較して、ユーザーの問い合わせ内容をより効率的に処理することが可能になったといいます。チャットボットを通じてユーザーがどのような経路で情報にたどり着いたのか、どのキーワードを使用したのかといったデータも収集できるようになりました。このデータは、社内情報の整理や改善に役立てられ、問い合わせの頻度を減少させる一因となりました。

さらに、オンライン相談会の受付業務においても、AIチャットボットの導入により待ち時間が削減され、スタッフが本来の業務に集中できるようになったとの声もあります。このように、生成AIチャットボットの導入は、JALにおける業務効率の向上に大きく寄与しています。

従来、社員は必要な情報を得るために会社のイントラサイトを利用していましたが、情報が縦割りに並べられており、目的の情報を見つけるまでに時間がかかっていました。この問題を解決するために、JALは生成AIを活用したチャットボットを導入し、ユーザーが直感的に質問をして情報にアクセスできるようにシステムを再構築したそうです。

中外製薬|新薬創出などに生成AIを活用

「Googleが開発したドメイン特化型モデル」の一つに、2023年3月に発表された「Med-PaLM 2」があります。このモデルは、医療分野に特化しており、患者の幸福を守るために安全性、公平性の確保、そしてバイアスの排除に特に注意が払われています。「Med-PaLM 2」は、「PaLM-E(Pathways Language Model with Embodied)」を基にして開発され、医療専門用語だけでなく、放射線医学画像や病理学、皮膚学、網膜の画像など、多様な医療画像を理解する能力を持っています。

中外製薬は「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」のもと、2019年からデジタル変革(DX)に取り組んでいます。中外製薬の戦略は、バリューチェーンの効率化、デジタル基盤の強化、そしてデジタルを活用した革新的な新薬創出の三つが柱となっており、「Med-PaLM 2」は特に新薬創出の効率化に貢献しています。具体的には、臨床試験計画の策定を助け、膨大な医療文書の迅速な検索・処理能力を利用して、臨床試験計画の作成時間を短縮することが期待されています。

このAIツールの導入によって、臨床試験の効率が大幅に向上することに同社は期待を寄せています。

日立製作所|「Generative AIセンター」を設立し業務効率化を図る

株式会社日立製作所は、生成AI(Generative AI)の安全かつ効果的な利用を目指し、「Generative AIセンター」を設立しました。この新たなセンターは、Lumada事業を通じて顧客に更なる価値を提供し、生産性の向上を図ることで企業成長を加速させることを目指しています。

さらに、日立はAzure OpenAI Serviceを活用した「Generative AIアシスタントツール」を整備し、利用を開始しました。このツールは、「Generative AIセンター」によってサポートされ、議事録の自動生成やシステム実装のローコード化・ノーコード化を推進することで、業務効率化と生産性向上を図ります。得られたプロセスや成果は内部ガイドラインや問い合わせ対応に活かされるとともに、顧客やパートナーとの連携にもフィードバックされる予定です。

「Generative AIセンター」では、データサイエンティストやAI研究者、そして社内のIT、セキュリティ、法務、品質保証、知的財産のスペシャリストが一堂に会し、生成AIの導入と利用をリスクマネジメントしながら推進するCoE(Center of Excellence)組織として機能します。この組織は、日立グループ全体のさまざまな業務における生成AIの応用を推進し、文章作成、要約、翻訳、ソースコード生成などを通じて生産性を高めるノウハウを蓄積し、顧客に安全で安心な利用環境を提供しています。

アサヒビール|Azure OpenAI Serviceを活用した社内情報検索システムで情報収集を効率化

アサヒビール株式会社は、2023年9月上旬より日本マイクロソフト株式会社のAzure OpenAI Serviceを活用した社内情報検索システムの試験導入を開始しました。

このシステムの主な特徴は、Azure Cognitive SearchやCosmos DBを利用して、PowerPoint、Wordファイル、PDFなどさまざまな形式のドキュメントから、ファイル名だけでなく内容や画像を含む複合的な検索を可能にする点です。検索結果には、サムネイルやドキュメントの概要とともに、Azure OpenAI Serviceによって生成された約100文字の要約が表示され、資料の内容が検索目的に合致しているかをすぐに確認できます。さらに、Azureを使用することで、情報の外部漏洩を防ぐ安全な環境が構築されています。

主に研究開発部門の社員が最初の対象となり、将来的にはアサヒグループ内の散在する技術情報を一元化し、効率的な情報収集が可能となることで、商品開発の強化や業務の効率化を図る計画です。

KDDI|独自の生成AIチャットで社員の文書作成などを支援

KDDIは2023年5月24日から、1万人の社員を対象に、「KDDI AI-Chat」という生系AIを活用したAIチャットサービスの業務利用を開始しました。このサービスを通じて、社員はクリエイティブ支援、企画業務のリサーチ、アイデア生成、文書作成など、多岐にわたる業務でAIを安全に利用することが可能です。KDDIは、今後、社員のAI利用ケースを広げ、AIスキルの向上、業務効率の最大化、および生成系AIを用いた新しいビジネスの展開を図る予定だといいます。

パナソニックホールディングス|社員の質問回答、プログラミング業務などに生成AIを活用

パナソニック ホールディングス株式会社は、パナソニック コネクト株式会社で利用されていたAIアシスタントサービス「ConnectGPT」をベースに、グループ全体で利用する「PX-GPT」というシステムを構築し、国内の全社員に向けて展開しました。

「PX-GPT」の導入により、パナソニックHDは、技術職のみならず製造業や営業部門など多岐にわたる領域で社員の生産性を向上させ、業務プロセスの持続的な進化を促すことができます。また、この環境は社員が自らのアイデアや夢を形にし、新たなビジネス機会を探求するための支援も行います。

「ConnectGPT」の稼働から3ヶ月後に調査したところによると、このシステムの累計利用回数は約26万回、1日あたりの利用回数は5000回を超えていたといいます。利用状況によると、「質問」が最も多く、全利用の約59.7%を占めていたそうです。次いで「プログラミング」(21.4%)、「文書生成」(10.1%)、そして「翻訳」(4.9%)が続きました。

サイバーエージェント|生成AIによって広告向けの商品画像を自動生成

株式会社サイバーエージェントは、生成AIを活用して広告に効果的な商品画像を自動生成する「極予測AI」機能を開発し、2024年1月から本格的に運用を開始しました。

この新機能により、従来の商品撮影で必要だった機材やセット、ロケーションが不要となり、さまざまなシチュエーションに合わせた商品画像を大量に自動生成することが可能となりました。さらに、生成された商品画像は効果予測AIと連携し、どの画像が広告として最も効果的かを予測しながら最適な画像を提供します。

また、背景だけでなく、商品画像自体もAIが学習することにより、実際に撮影したかのようなリアリティのある画像を自動で生成できるようになりました。この技術は、透明なガラス瓶や複雑な光の効果など、通常は生成が難しい商材の画像生成にも対応しています。

明治安田生命保険|コールセンターでの問い合わせ対応に生成AIを活用

明治安田生命保険相互会社は、データ作成業務の効率化を目指して生成AIの導入を開始しました。特に、手動で行われていたデータ作成を生成AIにより自動化することで、作業時間を削減しています。具体的な適用例として、コールセンターでの顧客対応メモの自動生成や、社内用Q&Aシステムのデータを自動生成しています。

同社のコールセンターでは、年間約55万件の顧客からの問い合わせに対応しており、これまで顧客との応対後に手作業で作成していたメモを、日本語対応生成AIを用いて自動生成するようにしました。このAIは、過去の応対メモを基に学習を進め、通話内容から要約メモを自動で作成します。このシステム導入により、メモ作成にかかる時間が約30%削減され、さらに作成者による表現のばらつきも統一されました。

生成AIを業務効率化などに活用した事例を参考に

以上、生成AIを活用し、業務効率化を図っている企業の事例をご紹介しました。

ぜひあなたも、生成AIを自社業務に活用してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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