飲食店の集客アップにつながるマーケティング施策とは?必要性や成功事例なども解説
飲食店の集客をアップさせるにはマーケティング戦略も必要
飲食店は、美味しいもの、魅力的な商品を作れば成功すると思われがちですが、それだけでは足りません。
飲食店の集客は、顧客に「あのお店で食べたい」と思ってもらうためのマーケティング戦略が不可欠です。
効果的なマーケティングであれば、自社の商品を知ってもらうとともに来店、利用を促進できます。
ここでは、飲食店のマーケティング施策や成功例をまとめました。
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この記事の目次
飲食店でマーケティング戦略が必要な理由
マーケティングと聞いて、専門的な業種や大企業だけで取り組まれているものというイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、個人事業主や飲食店でもマーケティングの重要性が増しています。ここでは、飲食店でマーケティング戦略が必要な理由について解説します。
競合が多い
飲食店は、需要が高い一方でライバルや競合店が多い業界です。
和食やラーメン、カフェといった業態別にみても、出店エリアにライバルがまったくいないケースは少ないでしょう。
出店時にライバルや競合店がいないエリアを選んだとしても、後からライバルが開店することもあります。
ライバルの中で勝負することになる飲食店は入れ替わりも大きく、いかに競合店よりも多くの顧客に来店してもらうかどうかが重要です。
ライバルよりも多くの顧客を引き込むかを考えるためにマーケティングは欠かせません。
顧客の獲得・維持に効果が出やすい
飲食店は、出店エリアやターゲットによって戦略が大きく違います。観光客向けの飲食店とリピーターを増やしていく飲食店では違ったアプローチが必要です。
また、SNS映えや健康志向、地産地消など顧客が求める価値は多様化しているため、飲食店も柔軟に対応しなければいけません。
マーケティングは、新しい顧客を獲得するためにも、顧客を維持してリピーターにするにも効果的な手段です。
顧客のニーズに合わせたキャンペーンやサービスを展開して来店してもらえるように働きかけることもマーケティングの領域にあたります。
顧客とコミュニケーションを取る方法が多様化している
顧客と飲食店がコミュニケーションをとれる場所は、従来であれば店舗や電話に限られていました。
しかし、現代では消費者の情報収集や購買行動はデジタル化が進んでいます。
外出先でもスマートフォンを使って、口コミサイトや動画などからお店の情報を収集できます。
飲食店が顧客とコミュニケーション取る場所を店舗に限定せずに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めなければなりません。
デジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術を利用してビジネスプロセスや文化、顧客体験を変革する取り込みを指す言葉です。
顧客のニーズや期待が変化する中で、対応する飲食店もDX化を推進してすることでさらなる成長が期待できます。
顧客のニーズに対して柔軟に対応できるようになる
顧客のニーズや市場のトレンドは、常に変化し続けています。飲食店のSNSやオンラインショップも瞬く間に当たり前のものになりました。
SNSやオンラインショップはスピーディーに顧客のニーズに対応できる点が魅力です。
市場の変化を観察し商品が売れる仕組みを作るためのマーケティングが効果を発揮する機会は増えています。
企業や飲食店が市場の変化に柔軟に対応できなければ、売れる商品は作れません。
顧客の需要や要求の変化を汲み取って商品、サービスに活かすためにマーケティングが絶大な効果を発揮します。
飲食店がマーケティングを行う際の戦略の立て方とポイント
今までマーケティングに取り組んできた経験がないと、どのように戦略を立てればいいのかわからない人が多いかもしれません。
ここでは、マーケティング戦略の立て方とポイントをまとめました。
ターゲットに合わせてマーケティング施策を選ぶ
マーケティングの戦略を立てるときにまず考えておきたいのが、マーケティングの目的やターゲットです。
同じカフェだとしても、オフィス街なのか観光地なのか、どのような人をターゲットにすればいいのかによってマーケティングの戦略が変わります。
飲食店の方向性によって、必要なマーケティング施策は違うため、マーケティングの目的とターゲットを明確にしてから戦略を立ててください。
誰をターゲットにしたいのか、そのターゲットがどういった店舗やサービスを求めているかを書き出してみると明確になります。
よく見かける失敗例として、主観的な判断で顧客が欲しがっているものを決めつけてしまう例があります。この顧客はきっとこれが好きであると思い込んで、結果としてマッチせずに失敗してしまうケースです。
顧客に実際にヒアリングするなど、マッチしているかどうかを確認してから施策として進めるようにしましょう。
店舗の状態把握
マーケティングには、自社、つまり店舗の状態も重要なファクターです。すでに出店している場合には、立地や客層、メニューやリピーター率から店舗の特徴を分析します。
出店エリアや近くにある施設がヒントになって新しい商品に結び付くケースも少なくありません。
また、地元の野菜を使用しているといった独自性がある特徴があれば、それをアピールして地産地消に取り組むカフェといった戦略が可能です。
自社の強みや特徴、それを可能にしているファクターがなんなのかを整理して、顧客のニーズに答えているかどうかを判断します。
その上で、自社の強みを活用したマーケティング戦略を構築しましょう。
分析結果をもとにマーケティング戦略を立てる
ターゲットや店舗について分析したうえで、いよいよ売上を伸ばすためのマーケティング戦略を立てましょう。
リピーターを増やすためのクーポンやキャンペーンのほか、近隣施設を意識したメニュー開発といった戦略があります。
また、観光客向けのチラシに広告を出したり、SNSで新メニューを発信したりといった広告戦略も検討します。
戦略を立てるときのポイントは、できるだけ顧客層を絞り込んだ施策を打ち出すことです。
幅広い層を対象にしてしまうと中途半端になって、結果として誰にも刺さらないといったこともあり得ます。
どういったニーズに応える戦略なのか、戦略とターゲットを一本の線でつなげられるようなものにしてください。
中長期的な視点で取り組む
マーケティングは一時的な施策ではありません。時間や労力がかかるからと一度集客に成功して満足してしまう事業者もいますが、中長期的に取り組むことが基本です。
顧客のニーズや市場のトレンドは一定ではありません。
新しい情報を取り入れたり、商品をアップデートしたりしなくなると、すぐにライバルに追い抜かれてしまいます。
施策は必ず一定期間で、その効果や顧客の反応を検証、分析してください。分析から改善につなげてPDCAサイクルを回すことによって、経営が強固になっていきます。
飲食店におすすめのマーケティング施策
マーケティング施策と簡単に言っても、さまざまな種類があります。
ここでは、どのようなマーケティング施策があるのか紹介します。自社に適したマーケティング施策がどれか検討してください。
アナログマーケティング
SNSのようにデジタルを活用したマーケティング施策は、利便性が高くて低コストで導入しやすい点が魅力です。
しかし、飲食店ではアナログマーケティングのほうが効果的な場合もあります。どのようなアナログマーケティングがあるのか、紹介します。
チラシ
幅広いターゲットにアプローチできるアナログマーケティングのひとつがチラシです。
最寄り駅前のように人通りが多い場所でチラシを配ることで、多くの人に店舗を知ってもらうことができます。
チラシは受け取られやすく、クーポンなどをつければ受けっとった人もお得感もあります。チラシを受け取った人がお店に行きたくなるようなPRやキャンペーンが有効です。
ポスティング
チラシを配るほかに、近隣の会社や住宅へのポスティングもよく使われる手法です。
ただし、よく読まれずに捨てられてしまうことも多いので、たくさん配布しなければ効果は限定的です。
同じデザインだと見慣れてしまうので、忘年会やクリスマスといったイベントに関係する広告やクーポンも用意してみましょう。
クーポンの有効期限を短くして、次の来店までに間隔が開かないようにする工夫も効果的です。
ダイレクトメール
ダイレクトメールは、昔から使われてきた手法で顧客リストがある場合に有効な手段です。
顧客一人ひとりに適した内容のダイレクトメールを送ることで、リピーターを育てることができます。
特に手書きでメッセージを書いたはがきなどのダイレクトメールは、顧客も愛着を感じやすく親しみを持ってもらうために効果的です。
美容院のようにアフターフォローや次のヘアカットのタイミングを知らせるダイレクトメールも顧客満足度につながります。
看板やのぼり
飲食店が存在を知ってもらうには、看板やのぼりといったアイテムも活用してください。飲食店が立ち並ぶエリアでは、いかにして差別化するかが大切です。
メニューを書いた黒板やボードを設置するだけでも、道行く人へのアピールになります。
ただし、看板やのぼりは飲食店を探している人にしか効果がなく、意外と印象に残らないケースも多々あります。
また、そもそも人が少ないエリアでは目につかないので集客が困難です。
デジタルマーケティング
インターネットの普及によって、積極的にデジタルマーケティングが取り入れられるようになりました。
デジタルマーケティングは、低コストで顧客にアプローチしやす移転が魅力。アナログマーケティングと組み合わせることでより多様なアピールが可能になります。
SNS
InstagramやX(旧twitter)、TikTokといったSNSは店舗事業には欠かせない宣伝ツールです。SNSで影響力がある人に紹介されたり、人気メニューが話題になることでバズって集客アップした飲食店は数多くあります。
視覚的なアプローチは文字だけのものよりも情報量が多く、動画による発信をおこなう店舗も増えています。SNSごとに特色や利用している年齢層が違います。
ターゲットにアプローチしやすいSNSを選ぶようにしましょう。
ホームページ
お店の強みや特色、メニューを訴求するのであればホームページを用意してください。
メニューの詳細やアレルギー情報、営業時間を掲載しておくと、お店の信頼度アップにつながります。
ただし、ホームページは単独で用意してもなかなか流入数は増えません。
チラシやショップカードにホームページのQRコードを掲載しておくことで、流入数を増やすことができます。
また、SNSと連動させるなど、ほかの施策と組み合わせて活用しましょう。
MEO
MEO(Map Engine Optimization)は、マーケティング戦略最適化を意味する言葉です。Googleマップで特定のエリアを調べたときに近隣の店舗情報が表示されます。
自分のお店の情報を上位表示にさせることで、顧客からの認知度を向上させ集客アップにつなげられます。
MEO施策としてまずは店舗の場所や業態、営業時間といった情報を充実させてください。
新規顧客獲得に有効な手段なので、まずはGoogleビジネスプロフィールに登録してみましょう。
グルメサイト
食べログやぐるなび、ホットペッパーグルメといったグルメサイトは、即効性が高い新規顧客獲得手段です。
お店の情報を掲載できるほか、お店のページからそのまま予約や注文可能なグルメサイトもあります。
ただし、グルメサイトで上位表示させるために費用が発生するので、コスト面の負担は大きくなりがちです。集客コストが適正かどうかを考えて利用するようにおすすめします。
動画配信
スマートフォンの性能向上や編集アプリの登場によって、個人や小規模の飲食店でも気軽に動画配信が可能になりました。
お店やメニューの紹介のほか、調理工程の動画が配信されています。
近年は、長い動画よりも数十秒から数分のショート動画が気軽に視聴できて人気です。できるだけ頻繁に更新して多くの人に視聴してもらうようにしましょう。
マーケティング施策に成功した飲食店の事例
飲食店のマーケティング施策で成功した事例を紹介します。自社で導入できる者がないか検討してください。
メニューアレンジをSNSで紹介
SNSを使ったマーケティング戦略は気軽に取り組めるものの、頻繁に投稿し続けなければ意味がありません。そのため、何を投稿するのか、コンテンツの問題が発生します。
ある焼き肉店では、お店で提供しているメニューのアレンジをSNSで紹介し始めました。
組み合わせて美味しいデザートメニューや人気のまかないといったコンテンツは人気があります。
マネしてみたくなるものを投稿することで、集客アップにつなげる試みです。
SMSでテイクアウトの告知を送って成功した事例
顧客情報を集めても十分に活用できていない飲食店は多くあります。ある飲食店では、緊急事態宣言下にSMSでテイクアウトメニューの情報を発信しました。
その結果、SMSを送信した顧客のうち3割が利用し、売上アップにつながりました。
この事例では、用件を絞ったシンプルな文面で記載して、すぐに電話注文できるようにしたことで成功につながりました。
また、事前にお得な情報があったときに告知してもよいかどうか許可を取っていた点もポイントです。その後、テイクアウト事業も順調に運営されています。
リピーター獲得のために遊び心があるポイントカード制度を導入した
再来店を促すためにポイントカードを導入している飲食店は多くあります。しかし、ポイントカードを導入した後に効果測定をしているでしょうか。
ある居酒屋チェーンでは、ポイントカードを来店すると役職が上がるシステムを導入しました。
来店すればするほど、主任から課長、部長と昇進でき、昇進祝いとしてプレゼントをもらえます。
ただのポイント制度にとどまらず、遊び心やポイントを貯めたいと思わせる工夫を付加価値としてプラスした事例です。
飲食店のマーケティングを強化して集客アップを狙おう!
飲食店は、顧客ニーズの変化や競合店の増加のように外部的な要因が変化しやすい業界です。
昔よりも顧客は気軽に店舗情報を入手しやすくなっていて、口コミやクーポンといった施策やデリバリーのような便利なサービスを導入している飲食店は増えています。
ライバルが多くいる中で自社の顧客を増やして生き残るためには、マーケティングが欠かせません。
商品やサービスをどのように売るのかは事業における永遠の課題。事例も参考にして集客アップの方法を探りましょう。
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(編集:創業手帳編集部)