フリーランスから法人化するメリット・デメリットは?設立のタイミングや費用を解説

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フリーランスから法人化することで節税効果や繰越控除期間などのメリットが得られる


フリーランスとして仕事をしている方が法人化することで、節税効果や繰越控除期間といったメリットがあります。
そのため、前向きに考えたいと思う方も少なくありません。
しかし、メリットだけではなくデメリットもあるので、双方を加味した上で法人化するかを決める必要があります。

今回は、フリーランスから法人化するメリットやデメリット、法人化に適したタイミング、法人化にかかる費用、手続きの流れについて解説していきます。
法人成りを検討しているフリーランサーはぜひ目を通してみてください。

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フリーランスから法人化するメリット


フリーランスから法人化するメリットは大きいです。まずは、具体的にどのようなメリットがあるのかみていきましょう。

1.節税効果が期待できる

ひとつ目のメリットは、節税効果が期待できることです。課税所得が多いほど節税効果は高くなります。
また、起業後2年間は消費税が免除される場合もあるため魅力的です。

課税所得が多いほど節税効果が高い

フリーランスは、課税所得が900万円以下だと所得税が23%、900万円を超えると33%です。
さらに1,800万円以上は40%、4,000万円以上だと45%といったように課税率は右肩上がりになります。
しかし、法人化すると支払う税金は法人税になり、固定税率(比例税率)が適用されます。そのため、資本金の金額に関係なく税率は23.2%に抑えられるのです。
また、資本金1億円以下の中小法人であれば、課税所得800万円以下の税率を15%に提げられる優遇措置も受けられます。

役員報酬を経費として計上できる

フリーランスが法人化すると、役員報酬を経費計上できるようになるのです。また、自分や家族の報酬に給与所得控除を適用できるため、控除額分だけ所得が減ります。
それは、税負担の軽減にもつながるので、大きなメリットです。課税所得が0円であれば、法人税はかかりません。さらに住民税の負担も軽減できます。

役員への退職金も経費計上できる

役員への退職金に関しても経費計上が可能です。フリーランスだと退職金を必要経費にできないので、税金の負担が大きくなってしまいます。
しかし法人化すれば、役員に支払う退職金も経費計上ができるので、損金計上で全体的な所得を減らせます。

法外に高い退職金だと認められませんが、適切な金額なら大きな節税効果が期待できるので、メリットも大きいです。
これは、フリーランスから法人化するからこそ得られる恩恵です。

起業後2年間は消費税が免除される場合もある

法人化すると、最初の2年間は資本金1,000万円未満だと消費税の納税義務が免除となります。
課税売上高が1,000万円を超えている場合でも、法人化する前の2年間は課税売上高が0円とみなされるので、消費税の支払い義務免除の対象になります。
収益を上げていても支出が抑えられるのは大きなメリットです。

ただし、インボイス制度が始まった今、免税事業者のままだとデメリットが生じる可能性もあります。
免税事業者は適格請求書を交付できないので、取引き金額を下げられたり、取引き自体を打ち切られたりするリスクが生まれるでしょう。

経費にできる項目が増える

フリーランスよりも法人のほうが経費にできる項目が増えるのも、メリットのひとつとして挙げられます。
フリーランスの場合、家庭用と事業用の経費を切り離しにくいことから、経費計上できる項目が限られてしまいがちです。
自宅や自家用車を仕事でも使っている場合、家庭用とみなされるケースが多いので事業所得の控除対象にはならないケースが大半を占めます。

一方法人化すると、事業活動による支出はすべて経費として計上できます。
具体的には、自宅兼事務所の水道光熱費や自動車のガソリン代、メンテナンス費用、生命保険料などです。

欠損金の繰越控除期間が長い

欠損金の繰越控除期間が長いことも、メリットのひとつです。事業を行っていると赤字になってしまう場合もあります。
そのような時、赤字を繰り越して翌年以降の所得と相殺することになります。

しかし、フリーランスだと、欠損金の繰越期間が翌年以降3年間だけしか認められていません。
一方、法人は欠損金の繰越控除可能期間が翌年以降10年間と長くなっています。
事業年度によりますが、最大9年間にわたる欠損金の繰越控除が受けられるのはフリーランスとの大きな違いです。

2.社会保険に加入できる

法人化することで、厚生年金などの社会保険に加入できるようになります。フリーランスが加入できる国民年金と比べて、将来受け取れる年金額が多くなることもメリットです。
法人化して保険料を半額負担すれば、所得が練るので法人税の節税効果も期待できます。
労災保険に関しては、2024年秋から全業種に広げる方向で議論が進められています。そのため、フリーランスでも働きやすい環境になっていくことが想定できます。
しかしながら、社会保険への加入は法人化しなければいけません。そのため、法人化するメリットのほうが大きいと感じる場合もあります。

3.事業の負債を有限責任にできる

事業を行うことで生じた負債を有限責任にできることも、法人化するからこそ得られるメリットです。
フリーランスだと、業績が悪化などを理由に返済できない借入れや滞納している税金があると、個人の資産から返済しなければいけません。
しかし法人であれば、経営が難しかったとしても、経営者個人としての返済義務は発生しません。

ただし、金融機関から借入れを行う時に経営者自身が連帯保証人になる場合は異なります。
そのようなケースでは、フリーランスと同じように返済義務が発生するので注意が必要です。

4.決算期を調整できる

法人化することで、決算期を任意で決められるようになります。
フリーランスの場合だと、法律で事業年度が1月~12月と決められているので、決算月を12月以外に変えることはできません。
しかし法人の場合は、事業年度の決算月を自由に設定できます。
決算月と繁忙期が重なってしまう場合などは忙しくなるので、比較的落ち着いている時期を決算期にできるのは大きなメリットです。

5.社会的信用度が高まる

法人化によって、フリーランスの時より社会的信用度も高まります。
銀行から融資を受けたり、助成金を受けたりする際も法人化していると有利になったりするケースもあります。
場合によっては、いくら商品やサービスが良くてもフリーランスだからという理由で断られてしまうこともあるため、法人化は前向きに検討すべきです。

また、事業規模を拡大したい場合に人材を集めやすくなるメリットもあります。
取引き先を増やして事業の継続的な拡大を目指しているのであれば、法人化による恩恵は大きいといえます。

フリーランスから法人化するデメリット


フリーランスから法人化することで得られるメリットもありますが、デメリットも忘れてはいけません。続いては、どのようなデメリットがあるのかご紹介します。

赤字でも税金を納めなくてはいけない

フリーランスは赤字になると所得税や住民税の負担がなくなります。
しかし、法人に課される法人住民税は均等割と法人税割で構成されていて、均等割は法人の規模によって納める納税額が決定するものです。
そのため、事業利益が赤字だったとしても納税しなければいけません。

納めなければいけない法人住民税は事業所がある自治体によって異なります。
例えば、東京都の場合だと資本金1,000万円以下で従業員が50人以下の小規模法人には、7万円の法人住民税が課せられます。

法人設立までに時間と手間がかかる

法人を設立するには、法務局に設立登記申請をしなければいけません。株式会社の場合は、登記代や印紙代などで20万円以上かかります。
書類を揃えたり、出資金を準備したりするための時間がかかってしまうのもデメリットだと感じる要素です。

煩雑な手続きに関しては、行政書士や司法書士、税理士などの専門家に依頼することも可能です。
その場合、依頼するためのコストもかかります。依頼する際の費用相場は10万円前後とされています。

登記のために事務所を借りなくてはいけない

法人登記するには事務所も必要となります。なぜなら、設立登記する際に所在地を記載しなければいけないためです。
事務所を借りるには家賃の支払いや物件を借りるための初期費用も発生するので、負担が大きいと感じる方もいるでしょう。

所在地は自宅でも問題ありません。しかし、不特定多数に知られるリスクがあるので注意が必要です。
また、事務所として使える物件でなければいけないので、法人の所在地にできない場合もあります。

交際費が全額経費計上できなくなる

フリーランスの場合、交際費は全額損金扱いになります。しかし法人はそうとは限らないので、混同しないように気を付けなければいけません。
法人は交際費のうち飲食代50%まで、または800万円までなら損金扱いにできます。資本金が1億円を超える企業の場合は経費として計上できません。

また、交際費の上限額はひとりあたり5,000円以下とされていますが、1万円以下に引き上げる方針が決定されました。
法人の飲食需要が高まっていることが引き上げの理由となっています。

フリーランスが法人化するのに最適なタイミング


フリーランスが法人化を考えた時、どのタイミングがベストなのか迷ってしまうケースも少なくありません。
続いては、フリーランスが法人化するのに最適なタイミングについてご紹介します。

フリーランスの所得が800~900万円程度ある場合

フリーランスとして仕事をしている方の中で所得が800~900万円程度ある方は、法人化をするのがおすすめです。
所得800万円の場合、フリーランスにかかる税率は23%ですが、法人税の税率は15%になるからです。
控除分を差し引いて考えたとしても、フリーランスの納税額が高くなってしまうことが大きな理由として挙げられます。

フリーランス 法人
税金の種類 所属税 法人税
税制度 累進課税率 比例税率
税率 195万円以下…5%
195万円~330万円以下…10%
330万円~695万円以下…20%
695万円~900万円以下…23%
900万円~1,800万円以下…33%
1,800万円~4,000万円以下…40%
4,000万円~…45%
所得額
800万円以下…15%(適用除外事業者は19%)
800万円超…23.20%
※資本金1億円以下の普通法人の場合

ただし、所得控除や事業以外の所得の有無、法人化した場合の報酬額などによって大きく変動する可能性もないとはいい切れません。
そのため、事業所得が700万円を超えるようになったら、専門家に相談して法人化すべきか吟味してみてください。

事業所得の売上高が1,000万円以上ある場合

フリーランスの事業所得が1,000万円を超えている場合は、法人に切り替えるのが望ましいです。売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税が発生することになります。
しかし法人化することによって、最長2年間にわたって免税される場合があります。
法人化にかかる費用と直近2年間で支払う消費税を比較すると、前者のほうがコストを抑えられるので、節税効果が大きいです。
ただし、資本金が1,000万円以下の法人は初年度から消費税を支払わなければいけません。

事業の拡大や新規事業を立ち上げたい場合

事業の拡大や新規事業の立ち上げを考えていて、資金調達が必要となる場合にも法人化を検討すべきといえます。
法人化すると前述したように社会的信用が高まるので、資金調達のための融資などを受けやすくなるためです。
フリーランスとしてより手広くビジネスを行いたいと考えるようになったら、法人化も前向きに検討してみてください。

法人化にかかる費用と手続きの流れ


法人化には手続きが必要です。最後に、会社設立にかかる費用の目安と必要な手続きについて解説していきます。

会社設立にかかる費用の目安

会社設立にかかる費用は、株式会社と合同会社で異なります。
【株式会社の場合】

実費(法定費用)
22万2,000円~
定款用の収入印紙代:4万円
定款の認定手数料:3万円
定款の謄本手数料:約2,000円
登録免許税:15万円~
その他の費用
約1万円~
実印作成代:5,000円~
印鑑証明取得費:1枚あたり450円
登記簿謄本発行費:1枚あたり600円
資本金
1円~
1円以上であれば問題ない

【合同会社の場合】
合同会社の場合は、法定費用(定款の収入印紙代、登録免許税)、実印や印鑑証明書、資本金が必要です。
登録免許税は資本金×0.7%または6万円のいずれか高いほうになります。費用相場は約7万円です。
株式会社と合同会社の設立費用の違いは、定款の認証料とそれにともなう経費や登録免許税です。それらがかからないため、合同会社のほうがコストを抑えて設立できます。

法人化するために必要な手続き

法人するためには、以下の手続きをする必要があります。

  • 基本事項(商号や役員報酬額など)の決定
  • 定款の作成
  • 資本金の払い込み
  • 登記書類の作成
  • 法務局への会社設立登記申請
詳しい手続きに関しては、以下の記事も参考にしてください。
【保存版】株式会社設立の流れや手順などを創業手帳の創業者・大久保がわかりやすく解説!

まとめ・フリーランスから法人化する時はタイミングを見極めよう

フリーランスから法人化することで得られるメリットはいくつもあります。
しかし、デメリットだと感じてしまう部分もあるので、タイミングを見極めて後悔のないようにしなければいけません。
そのためには、どのようなタイミングが適切なのかも把握しておくことが重要です。


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(編集:創業手帳編集部)

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