個人事業主の車購入は経費にして節税できる?仕訳や節税ポイントなどもおさえよう

創業手帳

個人事業主は車購入費用を節税に活用しよう

この記事のAI要約!


●個人事業主の車購入が節税にどう役立つか
●車購入費用を経費に計上する方法
●減価償却とその計算方法
●経費として計上できる車関連の費用
●車購入時の仕訳と勘定科目の具体例

個人事業主には、様々な節税手段があります。その中でも効果が高いのが、車購入です。
どういった場合に車購入費用を経費計上できるのかや、どれだけの額を経費にできるのかを知っておくとよいかもしれません。

個人事業主が車を購入して節税する時のポイントをまとめました。

個人での会社経営においては税金のことで多くの方が悩まれています。なぜなら、税金は制度を有効に使えるかどうかで支払額が変わってきてしまうにも関わらず、制度そのものが分かりにくいからです。

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個人事業主の車購入は節税に利用できる


個人事業主として車が必要になる場面は少なくありません。また、事業の規模が大きくなって車を導入したいと考える事業主もいるでしょう。

個人事業主の車の購入は、利便性を高めるだけでなく会計上大きな意味があります。個人事業主の車の購入について紹介します。

個人事業主が仕事で使う車は経費で計上できる

個人事業主が事業で使う予定で車を購入した時、経費に計上できるかどうか気になるかもしれません。個人事業主が事業に使う車は経費計上が可能です
ただし、車を仕事ではなくプライベートのみで使用する場合には、経費として計上できません。

例えば、職場への移動や商品の運搬といった車は、業務に関連する出費なので経費扱いできます。
仕事のみで使う車であれば、購入代金を経費として計上できます。
ただし、使用するのが仕事のみかプライベートでも使用することがあるかどうかで扱いが変わります。

仕事とプライベートの両方で使う車は、購入金額の一部を経費として計上可能です。走行距離や使用日数から、業務で使っただけの費用を経費に計上します。

例えば、走行距離100kmのうち、仕事で70km、プライベートで30kmを使った場合には購入費用や車関連の費用のうち7割を経費計上します。
日数で計算するのであれば、年間使用日数200日のうち、仕事が150日、プライベート50日の場合には、75%が経費計上可能です。

仕事とプライベートの両方で車を使用する予定がある時には、どのような計算で費用を按分するのか事前に考えておくことをおすすめします。

リースやローンの場合でも経費計上可能

車は現金購入以外にも取得する方法があります。カーリースは、初期費用を抑えて車を用意できる方法です。

カーリース会社と契約して、毎月リース料金を支払って車を使います。リース料金は、支払手数料の勘定科目で計上可能です。
カーリースを使えば減価償却の計算が不要で、経費計上の手間も少なくできます。

ローンで車を購入した場合には、減価償却の計算は同様に行います。ローンの利息は、経費として計上可能です。

ただし、購入金額の全額を経費にはできない

車の購入金額は、購入した年にその全額を経費にすることはできません。仕事のために購入した車は、長期的に使用するのが一般的です。

そのため、経費計上も購入した年だけでなく使う年数で割って少しずつ経費計上します。
この減価償却については、後述します。

個人事業主が車関連の費用で経費にできるものとは?

個人事業主が経費計上できる車関連の費用

仕事で使用する車に関して経費計上できるのは、購入代金だけではありません。車を保有すればガソリン代や税金、修理費用といった多くのお金がかかります。

車関連の費用で経費計上できるのは主に以下の費用です。

勘定科目
租税公課 自動車重量税、環境性能割、自動車取得税、自動車税、軽自動車税
車両運搬具 車両本体価格、オプション費用、引取運賃、購入時手数料、納車費、運送時の保険料
保険料 自賠責保険料、任意保険料
支払手数料 検査登録法定費用、車庫証明法定費用、検査登録代行費用、車庫証明手続き代行費用
預け金 リサイクル料金
車両費 ガソリン代、洗車費用、車検費、点検費用
旅費交通費 高速道路代、コインパーキングの駐車料金
支払利息 ローン購入の金利
賃借料 駐車場費
減価償却費 車購入代金を減価償却した費用

車の取得価額には、車両本体だけでなく、付属品や検査登録代行費用、車庫証明手続代行費用、納車費用も含まれます。
一般的には上記の勘定科目で車関連の費用を処理しますが、決して上記の勘定科目で処理しなければならないわけではありません。

例えば、ガソリン代は車両費としていますが、旅費交通費や雑費でも計上できます。その会社や場面に応じて適した勘定科目で計上してください。

個人事業主が経費計上できない車関連の費用

車に関係する費用であっても、経費計上できないものもあります。
リサイクル預託金は、廃車になった車をリサイクルするために必要な費用をあらかじめ支払っておくためのものです。
そのため、リサイクル預託金に関しては経費計上できません

個人事業主の車購入費用は減価償却の対象


車を購入した時の費用は減価償却が必要になります。今まで、減価償却をしたことがない個人事業主もいるかもしれません。

ここでは、減価償却の基礎知識をまとめました。

減価償却とは

減価償却は、固定資産の取得にかかった費用について、全額をその年の費用とせずに耐用年数に応じて配分するための会計処理です。
減価償却資産は、減価償却の対象になる資産、減価償却費は、減価償却した分の経費となる金額をいいます。

減価償却は業務で使用するものが、時間が経つにつれて劣化する資産に使われます。具体的には、建物や構築物、パソコンやプリンタといった機械などです。

車の耐用年数

車の耐用年数は、その車の種類や状態によって違います。新車を選ぶか中古車を選ぶかによって、毎年経費計上できる金額が変わります。
節税する場合には、経費計上できる金額も計算して車を選ぶようにしてください。

以下では、それぞれの車の耐用年数についてもまとめています。

耐用年数
【新車】普通自動車 6年
【新車】軽自動車 4年
貨物自動車 ダンプ式4年、そのほか5年
耐用年数が残っている中古車 残りの耐用年数 + (経過年数 × 20%)※1年未満の端数は切り捨て
耐用年数が過ぎた中古車 2年

減価償却の定額法と定率法

減価償却には、定額法と定率法という2つの計算方法があります。
定額法は、耐用年数に合わせた減価償却費を計上する方法で毎年一定の金額を計上します。

一方で定率法は、毎年一定の割合で減価償却費を計上する方法です。
未償却残高に定率法の償却率をかけるため、初年度の減価償却費が最も大きくなって徐々に減っていきます。
定額法の場合、特別な手続きは不要ですが、定率法を選択する場合は事前に届け出なければいけません。
定率法を選ぶ場合には、届け出を忘れないようにしてください。

車を購入した時の計算方法

車を経費に計上する場合、減価償却費を計算する必要があります。ここでは、定額法と定率法のそれぞれの場合について説明します。

まず、定額法での減価償却費の計算は以下のとおりです。
車の購入代金 × 償却率 = 減価償却費

耐用年数ごとの償却率は以下のものです。

<
耐用年数 償却率
2年 0.500
3年 0.334
4年 0.250
5年 0.200
6年 0.167

上記の償却率に購入金額を乗じた金額を毎年減価償却費として計上します。

定率法で減価償却費を計算する場合は、以下の計算式を使います。

未償却残高 × 定率法償却率 = 減価償却費

未償却残高は、購入した年は購入価額で計算します。定率法を使うには、償却保証額も計算しなければいけません。

償却額を、購入価額×保証率で計算して、減価償却費が償却保証額を下回った場合、その年度が終了するまでは改定償却率を使って計算します。

耐用年数ごとの償却率は、国税庁のホームページからも確認が可能です。定率法は、定額法と比較して計算の手間は大きくなります。
しかし、初年度に計上できる償却額が大きくなるため、購入年に多く費用を計上したい場合に適した方法です。

耐用年数が少ない中古車は節税効果も高い

車を購入する時に、新車と中古車で悩むケースもあるかもしれません。税金面でいうと、中古車のほうが節税しやすいケースがあります。

中古車はすでに数年使用されているため、新車と比較して耐用年数が短く、早く償却されます。早く償却することで購入金額を早期に経費化可能です。

中古車の耐用年数は、新車の法定耐用年数−経過した年数+経過年数×20%で計算します。
例えば、2年落ちの中古普通車の場合、新車の法定耐用年数が6年なので、経過した年数2年を差し引いて20%を乗じます。1年未満で切り捨てるので耐用年数が4年です。

中古車を購入する時には、耐用年数が何年になるのか、毎年計上できる減価償却費がいくらになるかを計算してシミュレーションしておくようにしてください。

個人事業主が車を購入した時の仕訳・勘定科目とは


車を購入した時の仕訳は支払い方によって変わります。以下では、購入方法別の仕訳を紹介します。

現金での車購入時

<例>
現金で車を購入した。
車両価格100万円自動車税25,000円、納車費用20,000円を現金で支払っている。

借方 貸方
車両運搬具 1,020,000円 現金 1,045,000円
租税公課 25,000円

ローンでの車購入時

<例>
ローンで車を購入した。
車両価格100万円自動車税25,000円、納車費用20,000円で全額カーローンを使用して支払う。
分割手数料は10万円である。

借方 貸方
車両運搬具 1,020,000円 長期未払金 1,145,000円
租税公課 25,000円
長期前払費用 100,000円

ローンを使用した場合でも、各種の費用は同じように処理します。実際には代金を支払っていないため、長期未払金として計上します。
ローン分割手数料は、取得価額に算入せずに前払費用としての計上です。

リース契約時

<例>
車をリースする契約を結んだ。
終了後に所有権が移転するファイナンス・リース取引に該当する。リース料総額の現在価値は150万円である。

借方 貸方
リース資産 1,500,000円 リース債務 1,500,000円

リース取引の場合には、リース契約を結んだ時にリース資産とリース債務を計上します。リース債務は、購入した場合と同様に減価償却が必要です。

個人事業主が車購入を経費として処理するポイント5つ


個人事業主が車を購入して経費として計上するためには、条件を満たさなければいけません。
ここでは、個人事業主が車購入を経費として処理する時のポイントについてまとめています。

①車の名義は本人、または同一生計の人

個人事業主が、車の代金を経費にする場合は原則として本人名義でなければいけません
生計が同じ親族の車であれば例外として経費に計上可能です。車を購入する時には必ず確認してください。

②私用と兼用する時には家事按分する

仕事とプライベートで同じ車を使っている場合には、それぞれの使用割合に応じて計上する金額を計算します。この計算が、家事按分です。

家事按分することなく経費計上していると、税務調査で指摘されたり、経費として認められずに追加で納税が求められたりすることがあります。
個人事業主は特に仕事とプライベートの切り分けが難しいことが多いので、必ず家事按分しなければいけません。
税務調査を受けた時に何を基準に家事按分しているのか、客観的な計算根拠を提示できるようにしておいてください。

③一括計上できるのは30万円まで

車の購入代金は一括で経費計上するのではなく減価償却が必要と説明しましたが、例外があります。
それは、車の購入代金が30万円未満であるケースです。

30万円未満の車は、少額減価償却資産の特例によって一括で経費計上できます。
少額減価償却資産の特例を利用するには、青色申告の申請書を提出して青色申告決算書の減価償却費計算欄に「措法28の2」と記載する必要があります。

また、少額減価償却資産の特例は、取得金額30万円未満で年間合計300万円が限度です。適用期限は、2024年3月31日日までとなります。
利用するには、確定申告書に必要事項を記載して最寄りの税務署に申告してください。

④青色申告を選択しておく

仕事とプライベートの両方で使うものの費用を分ける家事按分は、青色申告の場合には50%以下でも認められています。
また、上記で紹介した少額減価償却資産の特例も青色申告を選択した場合に使える制度です。
青色申告を選択すると、複式簿記での記帳が義務付けられるといった注意点もあるものの、青色申告特別控除が受けられるといったメリットもあります。

青色申告の届け出は、新規開業であれば起業して2カ月以内、白色申告からの変更の場合には、青色申告しようとする年の3月15日までです。
節税するのであれば青色申告承認申請書を提出して青色申告にしておくようにおすすめします。

⑤会社員の副業でも経費計上は可能

会社員の副業であっても、車を購入して節税できます。
副業がない場合や給与所得しか受け取っていない場合には、原則として車の購入で節税はできません。

ただし、通勤や出張などで車を使って会社からの支給がない場合には、所得控除が受けられるケースもあります。
副業をしている場合は、その事業の申告で車の費用を計上してください。

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まとめ

個人事業主は、車を購入することによって利益を圧縮して節税可能です。
しかし、節税できるという部分だけを理解して購入すると、思ったような効果が出ないかもしれません。
車を購入する時には、何年で償却するのか、どれだけの利益圧縮効果があるのかまでシミュレーションしておくようにしてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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