2023年マイナンバー対応版・会社登記に必要な個人印鑑登録証明書をコンビニで実際に取ってみた
役所に行くより時間も手間も節約、コンビニで個人印鑑登録証明書を取得する方法と注意点を解説
会社登記のほか、さまざまなビジネスシーンで必要となる印鑑登録証明書。「わざわざ役所に行って取りにいく必要がある」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし今では、マイナンバーカードを利用すればコンビニで個人の印鑑登録証明書を取得できるようになってきました。
何かと話題のマイナンバーカードではありますが、個人事業主や起業を目指す方にとっては、業務の効率化につながるアイテムのひとつとも言えます。ここでは個人の印鑑登録証明書をコンビニで取得する方法について、実際に取得する様子を交えながらわかりやすく解説します。
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この記事の目次
印鑑登録証明書が必要なケースとは
印鑑登録証明書とは?
重要な取引をする時や高額なものを購入する時、契約書に実印を押すことがよくあります。この実印が偽造ではなく、本人のものであることを証明する仕組みが印鑑登録です。
印鑑登録証明書には、実印を押した状態の画像(印影)とあわせ、登録者の氏名や生年月日、住所などの情報が記載されます。つまり印鑑登録証明書によって「この印鑑は本人のものに間違いありません」と自治体が証明してくれるというわけです。
印鑑登録証明書が必要な場面
これから起業を目指す方にとって、実は身近な印鑑登録証明書。ビジネスの場でも、印鑑登録証明書が必要となるケースが多くあります。
(1)会社登記(法人設立)をする時
新たな会社を設立する場合、法務局へ会社登記を行います。この会社登記においても、個人の印鑑登録証明書が求められます。
なお取締役会を置くケースでは、代表取締役となる人の印鑑登録証明書が必要です。取締役会を置かないケースでは、取締役全員分の印鑑登録証明書が必要です。
また会社登記では公証役場で定款を認証してもらう必要がありますが、この際にも印鑑登録証明書の提出が求められます。この時は、定款に実印を押した発起人全員分の印鑑登録証明書が必要となります。
(2)賃貸契約や売買契約をする時
会社登記以外にも、個人名義で大きな取引や契約をする際には、契約書に実印を押すケースがほとんどです。こうしたケースでは契約書に押した実印が本人の印鑑であると証明するため、印鑑登録証明書の提出を求められます。
(例)
- 個人名義で住まいや事務所の賃貸契約をする時
- 個人名義で自動車や不動産の購入契約をする時
- 個人名義でローンを組む時
コンビニで印鑑登録証明書を取得するメリット
印鑑登録証明書は、役所へ直接赴いて取得することももちろんできます。しかしコンビニで印鑑登録証明書を取得する方が圧倒的に便利です。ここでは、主な3つのメリットを紹介します。
(1)近所のコンビニで、即時取得できる
役所の窓口で証明書類を取得する場合「役所が遠く、移動に時間がかかってしまった」「窓口が混んでいる時期で、待たされた」という経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
コンビニでの証明書発行サービスを利用すれば、近所のコンビニで手軽に印鑑登録証明書を取得することが可能。移動の時間も省けますし、窓口の混雑を避けられるメリットもあります。
(2)早朝・深夜でも土日でも取得できる(※)
多くの自治体では、原則として平日・土日ともに6:30~23:00の間であれば、コンビニで印鑑登録証明書を取得できます。役所が開いていない時間帯でも印鑑登録証明書を取得できる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
(3)取得手数料が安くなる場合がある(※)
自治体によっては、役所の窓口とコンビニで取得手数料が異なる場合があります。例えば神奈川県の藤沢市では、役所の窓口で印鑑登録証明書を取得すると、手数料は1通あたり300円。一方コンビニで取得した場合の手数料は1通あたり200円となり、100円も安くなります(2023年7月時点)。
※コンビニで印鑑登録証明書が取得できる時間帯や取得手数料は、自治体によって異なります。
コンビニで印鑑登録証明書(印鑑証明)を取るときに必要な準備
コンビニで印鑑登録証明書を取得する場合、事前にやっておくべき準備がいくつかあります。いざというときに慌てないために、あらかじめ準備しておきましょう。
(1)役所で印鑑登録をしておく
当然ながら事前に自治体へ印鑑を登録しておかないと、印鑑登録証明書は発行されません。登録したい印鑑と身分証明証を持って、住所のある役所へ赴き、印鑑登録の手続きを済ませておきましょう。一般的に15歳以上の日本在住者であれば、印鑑登録をすることができます。
(2)マイナンバーカードを作成する
コンビニで印鑑登録証明書を発行するには、マイナンバーカードが必要です。ただマイナンバーカードを作成してから、コンビニで証明書を取得できるようになるまで、数日かかる場合がありますので注意しましょう。
(3)コンビニでの証明書発行サービスを実施している自治体かチェックする
多くの自治体でコンビニでの証明書発行サービスを行っていますが、中には対応していない自治体もあります。例えば2023年7月現在、愛知県の名古屋市はコンビニでの証明書発行サービスを実施していないため、コンビニで印鑑登録証明書を発行できません。
印鑑登録をした自治体がコンビニでの証明書発行サービスを行っているか、事前に確認しておくことをおすすめします。
(4)近隣の店舗が証明書発行サービスに対応しているかチェックする
証明書発行サービスに対応しているコンビニは全国で約56,000店舗もあり、大手コンビニチェーンはほとんど対応しています。さらに最近はコンビニだけではなく、スーパーやドラッグストアなど、証明書発行サービスが利用できるチェーンストアも増えてきました。
しかし店舗によっては端末が設置されていないなど、証明書発行サービスに対応していない場合もあります。あらかじめ近隣の店舗が対応しているか、チェックしておくと安心です。
コンビニで印鑑登録証明書を取得する前に知っておきたい注意点
役所の窓口で印鑑登録証明書を発行してもらう場合と、コンビニで発行してもらう場合では、いくつか違いがあるため注意が必要です。スムーズに利用するためにも、あらかじめ違いをおさえておきたいところです。
ここでは役所の窓口で発行する場合との違いや、コンビニで発行する際に知っておきたい注意点について解説します。
(1)コンビニで取得できるのは、個人の印鑑登録証明書のみ
コンビニでマイナンバーカードを使って取得できるのは、個人名義での印鑑登録証明書のみです。法人名義で登録した印鑑登録証明書は、コンビニで取得することはできません。なお法人名義の場合、法務局へ赴いて申請する方法とオンラインで申請する方法があります。
(2)コンビニで印鑑登録証明書を取得する際、印鑑登録証(カード)は不要
印鑑登録をすると、自治体からカード型の「印鑑登録証」が発行されますが、これは役所の窓口で印鑑登録証明書を取得する際に必要なものです。コンビニで印鑑登録証明書を取得する時に「印鑑登録証」は必要ありません。
コンビニで印鑑登録証明書を発行する際に持参するべきものは、マイナンバーカードのみです。
(3)コンビニで発行された印鑑登録証明書にも、改ざん・偽造防止策が施されている
役所の窓口で印鑑登録証明書を取得した場合、改ざん防止を施した専用の用紙に発行されます。一方マイナンバーカードを使ってコンビニで取得した場合は、一般のコピー用紙で印鑑登録証明書が印刷されます。この違いに不安に感じる方も多いかもしれません。
ただしコンビニで発行した印鑑登録証明書にも、特殊な印刷が施されています。例えばコピーすると、「複写」という文字が浮かび上がるようになっています。また裏面の画像(スクランブル画像)によって、記載内容が改ざんされていないかチェックすることも可能。コンビニ発行であっても、改ざんや偽造を防止する対策がとられています。
(4)印鑑登録した自治体以外のコンビニでも、印鑑登録証明書は取得できる
例えば横浜市で印鑑登録をした方が、東京都内のコンビニで印鑑登録証明書を取得したいというケースもあるでしょう。この場合、コンビニでの証明書発行サービスを行っている自治体であれば可能です。つまり、全国ほとんどのコンビニで印鑑登録証明書が取得できるというわけです。
ただし自治体によってサービスを利用できる時間帯が違ったり、一時的にサービスを停止していたりする場合がありますので注意しましょう。
コンビニで印鑑登録証明書を発行できない時の原因と対処法
コンビニの端末(マルチコピー機)で実際に印鑑登録証明書を発行しようとした時、エラーとなる場合があります。ここでは主なエラー表示と、考えられる原因・対処策について解説します。
「ご利用いただけないカードです」というエラーが表示される
マイナンバーカードではないカードを利用した場合、このエラーが表示されます。またマイナンバーカードが破損していたり、正しくデータが登録されていなかったりする可能性もあります。何度か試してもうまく行かない場合は、役所に確認しましょう。
「サービスを提供していない市区町村です」というエラーが表示される
コンビニでの証明書発行サービスを提供していない自治体の場合、このエラーが表示されます。残念ながら、この場合はコンビニでの発行手続きはできません。
「暗証番号が間違っています」「暗証番号がロックされています」というエラーが表示される
コンビニで発行手続きをする際、マイナンバーカード作成時に設定した暗証番号が必要となります。ここで言う暗証番号とは、「利用者証明用電子証明書」として設定した数字4桁のことです。
また暗証番号を3回続けて間違えて入力してしまうと、ロックがかかり手続きができなくなります。こうなると、役所に赴いてロックを解除する手続きが必要。暗証番号を忘れないよう、注意しましょう。
「正しい部数を入力してください」というエラーが表示される
コンビニの端末では、1回の手続きで発行できるのは10部までとなっています。そのため11部以上を設定するとエラーが表示されます。より多くの部数が必要な場合は、10以下の部数で発行を繰り返しましょう。
「交付可能な証明書がありません」というエラーが表示される
そもそも印鑑登録されていない場合、このようなエラーが表示されます。「印鑑登録をしたかどうか覚えていない」という方は、再度役所へ赴いて印鑑登録の手続きを行いましょう。原則として、印鑑登録されているかどうかは役所の窓口では教えてくれません。
また意外と忘れがちなのが、住所変更をしたケース。異なる市区町村へ引っ越した場合、新しい住所の自治体であらためて印鑑登録の手続きを行う必要があります。この手続きを忘れると印鑑登録がされていない状態となり、「交付可能な証明書がありません」というエラーが出てしまいます。
なお引っ越した場合、旧住所の自治体で印鑑登録の抹消手続きが必要な場合もあります。抹消については自治体によって対応が異なるため、引っ越しの際は自治体へ確認しましょう。
「メンテナンス中のため、サービスをご利用できません」というエラーが表示される
コンビニでの証明書発行サービスは、自治体ごとにメンテナンスを行うことがあります。そのため、自治体によっては、一時的にサービスを利用できない場合があります。
最近ではマイナンバーカード関連のトラブルの影響で、長期間コンビニ発行サービスを停止している自治体もあります。利用する前に、自治体のホームページなどで確認しておくことをおすすめします。
コンビニで実際に印鑑登録証明書(印鑑証明)を取ってみた
実際に創業手帳代表の大久保が、コンビニにおいて印鑑登録証明書(印鑑証明)を取得してきたので、その体験や実際に必要なポイントを説明します。
まずは対応しているコンビニにおいて、店舗に設置されているキオスク端末(マルチコピー機)の画面に表示されている「行政サービス」ボタンを押します。
※ 代表的な端末の画面イメージを示しますので、参考にしてください。
会社設立で間に合わない!というタイミングもマイナンバーがあれば簡単にその場で個人の印鑑登録証明書は取得できます。
最近はデジタル庁もでき、マイナンバーで行政サービスのデジタル化が進んでいます。役所の窓口に行かなくてもコンビニでできるようになってきたのはありがたいですね。
特に印鑑証明書は、会社を作る際に発起人や取締役全員分が必要になります。そのため誰か一人でも印鑑登録証明書が揃わないと手続きが進められません。コンビニでのマイナンバーでの取得は非常にありがたいですね。
今回は個人のマイナンバーでの印鑑登録証明の設立を解説・実験してみました。法人の印鑑登録証明はこちらの記事も参考にしてください。
まとめ
会社登記をはじめ、さまざまなビジネスシーンで必要となる個人の印鑑登録証明書。書類自体に有効期限はありませんが、契約書などに添える際「発行して3ヶ月以内の印鑑登録証明書を用意してください」と言われることもよくあります。
つまり必要なタイミングでその都度、印鑑登録証明書を取得する必要があるわけです。毎回役所へ赴くとなると時間も手間もかかってしまうため、近所のコンビニでマイナンバーカードを使って発行する方が効率的でしょう。
創業手帳の冊子版(無料)では、起業を目指す方に向けて役立つ情報やノウハウを掲載しています。これから起業を目指す方は、ぜひ創業手帳をお役立てください。
(編集:創業手帳編集部)