Wix. com Japan 積田英明|サイトを通じてビジネスが成長!世界が認めるWeb制作ツール

創業手帳
※このインタビュー内容は2023年01月に行われた取材時点のものです。

Wix日本語版エディタ提供開始から10周年。Wix日本法人の代表が語る「ホームページを通じてビジネスを成長させる方法」


2006年にイスラエルで誕生し、世界で2億人以上の登録ユーザーを保有する「Wix」(ウィックス)は、プログラミングやデザインの知識がなくても簡単にホームページを作成できるツールです。

「誰もがウェブサイトを制作、運営し、ビジネスを成長できるようにすること」をビジョンに、高度なSEO機能やマーケティングツールなど、ビジネスを成長させるための機能を多数提供しています。

今回は、2019年に設立された日本法人の代表を務める積田さんに、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

積田 英明(つみた ひであき)
Wix. com Japan株式会社 日本法人代表

16歳で単身アメリカに渡り、サンフランシスコ・ベイエリアで過ごす。サンノゼ州立大学を卒業後、2007年マイクロソフト(株)(当時)に入社。同社エンタープライズ向けクラウドサービスの大手顧客を担当。
2012年にはEvernote日本法人へ入社し、法人向けサービスの立ち上げやNTTドコモ社と世界初の代理店契約締結などを主導。その後、日本およびアジア太平洋地域の統括を担う同社日本法人代表を経て、2019年1月にWix日本法人代表に就任。
日本法人立ち上げやNTTタウンページ社との戦略的業務提携の締結をリード。日本市場のさらなる開拓に向けた事業戦略を統括している。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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スタートアップだからこその経験


大久保:まずは、これまでの経歴を教えていただけますか?

積田:16歳で単身アメリカに渡り、高校と大学を卒業した後、日本に戻り、日本マイクロソフトに入社しました。日本マイクロソフトでは、エンタープライズ部門というところで、テクニカルアカウントマネージャーとして商社やテレコミュニケーション、航空業界のお客様を担当していました。

大久保:マイクロソフトはWindowsやOfficeのイメージが強いですが、法人部門の技術担当も重要なポジションですよね。

積田:そうですね。日本でマイクロソフト製品が入っていない会社はほぼないと思います。その中で「どうすればマイクロソフトの製品を通じて、各企業のビジョンやミッションを成し遂げることができるか」というところに踏み込んでサービス支援するのが、法人部門の役割でした。

大久保:その後、Evernoteに転職されたのですよね。

積田:はい。2012年に転職しました。当時は、フリーミアムやクラウドという言葉がやっと社会で認知され始めたタイミングでしたし、日本におけるEvernoteの知名度はまだまだでした。さらに、当時は大企業からベンチャー企業に移る方があまりいなかったので、上司や同僚には「何が不満なんだ?」と驚かれましたね。

大久保:当時、Evernoteの社員数はどれぐらいだったんですか?

積田:グローバルでも3桁にいかないほどで、日本ではまだ数名でした。

大久保:Evernoteの日本支社の立ち上げといったタイミングだったのでしょうか。

積田:はい。Evernote日本支社がB to B部門を立ち上げ、その立ち上げをゼロから経験できるということで、転職しました。マイクロソフトは私の社会人としての基礎を作ってくれた会社だと思っていますし、大企業には大企業の素晴らしいところがあります。マイクロソフトでは潤沢にリソースがある一方、Evernoteでは何もないところからB to Bの製品を作り、ローンチする。そしてお客様を獲得して認知度を高めるという一連のことを経験できたのは、今の自分の強みになっています

大久保:会社員の一人という立場であっても、スタートアップであればいろいろと学べますからね。

積田:そうですね。もちろん起業家の方が背負っているリスクとは異なりますが、社内のメンバーを巻き込んでスケールさせる経験を積めたのは、とても良い経験になりました。ほかにも、一番成長しているフェーズやその後の非常に難しいタイミングなど、スタートアップならではの様々なup and downを経験させてもらい、スタートアップの華やかさだけでなく苦しさも感じることができました。

大久保:外資系でスタートアップというとキラキラしたイメージがありますが、実際はそうではないことも多いですよね。

積田:そうですね。Evernoteには6年半ほど勤め、最後の約2年は日本法人の代表を務めたのですが、ちょうどそのタイミングで日本オフィスを大幅に縮小しなければいけなくなり、難しい決断を迫られました。私が採用した方や一緒にチームを作ってきたメンバーを自ら切らなければならず、Evernoteの将来を信じてくださっていたパートナー企業や投資家の方に頭を下げて全国各地を謝罪して回ったのは、社会人経験の中でも非常に辛い出来事として印象に残っています。ですが、パートナーの方々にお詫びに行った際、誰一人としてEvernoteや社員を咎めるようなことを仰らず、むしろ「一緒に仕事ができてよかった」と言ってくださったんです。それまで自分が信じてやってきた信念や、真摯に誠実にやってきたことが間違ってなかったんだなと実感しました

大久保:自ら起業する前にスタートアップで働いてみるのも良い経験になりそうですよね。

積田:そう思います。実際、これまでの経験はWixの戦略的なところだけではなく、チーム編成などにも反映しています。これまで点と点だった経験が、振り返ってみると結果的に線となって繋がっていて、これまでの集大成をWixでできていると感じています。

大久保:大企業からスタートアップに転職されて感じた、スタートアップで活躍するコツやポイントは何かありますか?

積田:何事も自分事として捉えて動き、無いものに対して文句を言うのではなく、自分が荒野を切り開いていくマインドセットがある方だと、スタートアップでも成長できると思います。大企業で活躍されていた方がスタートアップでも活躍できるとは限らないし、その逆も然りだと思います。だからこそ、環境に応じて動き方や考え方を柔軟に変えていくマインドセットが大切なのだと思います。

ビジネスを成長させるためのオールインワンソリューションのツール「Wix」を提供


大久保:現在はWixの日本法人の代表を務められているのですよね。

積田:はい。Wixは2006年にイスラエルで生まれた会社で、2019年に日本法人が設立されたタイミングで代表に就任しました。「誰もがウェブサイトを制作、運営し、ビジネスを成長できるようにすること」をビジョンに掲げ、190カ国、2億3,800万人以上の方にご利用いただいています(2022年9月時点)。昨年、Wixエディタの日本語版公開10周年を迎え、日本国内だけで300万人以上の方々にご利用いただいています。Wixがここまで成長できたのは、製品はもちろんですが「オールインワンソリューション」が大きな要因になっていると思います。

大久保:オールインワンソリューションについて、詳しく教えていただけますか?

積田:はい。起業家や事業主、アーティスト、クリエイターなど、ご利用いただく方々が成し遂げたい夢や想いを実現させるために必要なのは、洗練された美しいサイトを作れることだけではなく、サイトを公開した後もお客様が本業に集中し、各々の目的に合わせてビジネスを成長できる豊富な機能だと考えています。そのため、Wixでは、ウェブサイトを起点としてビジネスに必要なサービスを一貫して提供しています。

例えば、「Wixストア」でネットショップを運営する場合は、商材の有形無形を問わず、全世界に向けて販売することができます。また、「Wixブッキング」では、オフライン、オンライン両方のサービス予約の受付が可能です。WixブッキングはZoomと連携しているため、オンライン予約の場合は、シームレスにサービスを提供することができます。「Wixイベント」では、チケット販売から座席の割り振り、チケット購入者へのメール配信など、一括管理ができます。ほかにも、席の予約やテイクアウト・デリバリーの注文ができる「Wixレストラン」やホテルの予約が可能な「Wixホテル」などを提供しています。

大久保:様々なサービスを展開されているのですね。

積田:はい。ちなみにすべてのサービスでオンライン決済が可能で、クレジットカード決済のほか、コンビニ決済や銀行振込、PayPayやLINE Payなどのスマホ決済などに対応しています。事業主や利用者の方に安心してご利用いただけるよう、エンタープライズレベルでのセキュリティを提供しており、PCI DSS(ペイメントカード業界データセキュリティ基準)に準拠しているのはもちろんのこと、暗号化だけではなく、24時間体制でDDoS攻撃対策やペネトレーションテスト(侵入テスト)を行い、継続してセキュリティの強度を高めています。最も高度なセキュリティを担保した形で、セキュリティ面を心配することなくご利用いただけるのも、多くの方にご評価いただいている大きな要素の一つです。

大久保:ただホームページなどのサイトを作るだけでなく、その後もそのサイトを通じてビジネスを成長させられるような仕組み作りが行われているのですね。

積田:そうなんです。お客様がサイトを通じて購入・予約をした際の見積もりや請求書、支払い状況の確認などをサイトを起点として完結できるよう、ここまで“オールインワン”で提供しているサービスはWix以外ないと自負しています。それが故に、ここまで多くの方々からご評価いただくまでに成長してきたんじゃないかと考えています。

また、ビジネスを成長させるために必要な一連の機能を提供するため、SEO対策やサイト解析ツールのほか、顧客管理機能を提供しています。サイト解析は改善点を発見しやすいような独自のアクセス解析レポートを提供しています。ほかにも、問い合わせフォームやチャット、メールマガジン、割引クーポンのほか、カゴ落ちメールなども提供しています。

大久保:モバイルアプリも提供されているんですよね。

積田:はい。「Wix Ownerアプリ」は、サイトオーナーがアクセス解析や注文履歴の確認、お客様とのやり取りなど、サイトの管理をアプリでできるものです。一方、顧客向けには「Spaces by Wix」という、商品やサービスの購入・予約、オンライン決済、オーナーとのやり取りを一元管理できるアプリを提供しているため、自社サービスのファンになっていただいた方々に対して、よりエンゲージメントを高められるサービスの提供が可能です。

さらに、「マイアプリby Wix」では、ノーコード・ローコードで独自のネイティブモバイルアプリを作成することができます。数年前までは「ネイティブアプリを作成するには、多額の開発費用が必要で、そもそもディベロッパー(開発業者)でないと作成できない」と考えられていた常識を覆すサービスです。ブランディングという観点からも、お客様から「独自のアプリを作りたい」というご要望も多数いただいていたことから、専門的な知識がない方でも、自らネイティブアプリを作れるサービスを提供するようになりました。

大久保:多額な開発費用や専門知識がなくても、自分でネイティブアプリを作れるのは画期的なサービスですね。

積田:そうなんです。また、1分以内にリクエストコールバック(平日朝9時~夜9時)を行うなど、カスタマーケアも強化しているので安心してご利用いただくことができます。電話だけでなく、チャットやメールにも対応しているのも弊社の魅力の一つだと考えております。

中小企業が日本を元気にしていくために

テンプレートの一例

大久保:ITに苦手意識がある方も一定数いますが、これからの時代はますますサイトを通じてビジネスを成長させていくことが大切になりますね。

積田:そう思います。企業の99.7%が中小企業といわれている日本で、日本が元気になるためには、どうしても全国の中小企業が元気になることが重要です。「では、どうしたら元気になるのか」というと、私はITの存在が必要不可欠だと思っています。ITはツールでもあるのですが、人間ができないようなエンパワーメントや可能性を引き出しているのがITです。Wixは、企業だけでなく、アーティストや書道家、学校のサッカー教室や野球教室など、本当に幅広いジャンルの方々にご利用いただいています。コロナ禍で対面ビジネスが下降気味になった方が、Wixを活用してオンラインショップを開設し、日本国外にもビジネスを展開するようになったといった素晴らしい事例を知れば知るほど、ITや私たちWixの存在意義を痛感しています。

大久保:私自身がWixを利用した感想として、簡単にサイトを作成できるのはもちろんのこと、テンプレートが豊富で、さらに低額から始めて拡張性があるのは魅力的だと感じました。

積田:ありがとうございます。先ほどのビジョンにも通じるのですが、ITリテラシーが高く、ご自身でコードを多用してサイトを作りたい方や、機械が苦手な方など、ご利用者のニーズや背景は様々です。例えば、機械が苦手な方はAIを使ってウェブサイトを作成することも可能ですし、テンプレートを活用したサイト作成もできます。ご自身でコードを活用して作成したい方はJavaScriptを用いてより高度な開発ができるなど、ここまで幅広いニーズに応えたサービスを提供しているのは、Wixならではだと考えています。

また、すべての方がインターネットを利用できる世界を目指すためには、アクセシビリティへの対応が求められます。アクセシビリティに対応するには、画像の中に何が含まれているかをテキストで明記したり、文字を見えやすく表示するなど、様々な工夫が必要なのですが、多くの方はどのような対策をすれば良いか分からないと思います。なので、「この画像には、このようなテキストを埋めてください」といったガイダンスを表示するなど、アクセシビリティ対応をサポートするためのツールも提供しています。これは、社会に根付いた形で多くの方にご利用いただける会社を目指しているからこそ、特に力を入れている部分でもあります。

大久保:私の気持ちとしては、日本の中小企業で働く人がもっとITに詳しくなってほしいという思いがありますが、現実問題としてなかなか難しいことではありますから、サイトの作成やその後の運営を簡単に行えるWixのようなツールを活用する会社が増えることで、ITが社会に浸透していくことも大事ですよね。

積田:そう思います。私は、ビジネスにホームランはないと思っているので、地道にコツコツとやっていけたらと考えています。当たり前のことを当たり前に淡々とやっていくのは、簡単なようで実はとても難しいことではありますが、「Wixって外資系企業だったの?日本の会社じゃないの?」と思ってもらえるぐらいまで社会に浸透し、ローカライズし、パートナー企業との協業を深めていきたいですね。それこそが、日本法人の存在意義であり、ミッションだと考えています。

大久保:それでは最後に、読者である起業家およびこれから起業される方に向けてメッセージをお願いします。

積田:私の祖父、父、兄は皆、自らの会社を経営する起業家なので、順調な時も大変な時も見てきました。起業家の方は、24時間365日会社のことを考えなければいけないポジションにいるからこそ、本当に大変だと思います。そういった方々が本業に集中できるよう、短時間で簡単にサイトを立ち上げ、公開後もセキュリティの心配をする必要なく、サイトを通じて営業活動を行えるサービスを展開することが私たちWixの存在意義だと考えているので、ぜひ起業家の方の少しでもお役に立てればと思っています。

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