注目のスタートアップ

株式会社エンペイ 森脇潤一|集金業務支援サービス「エンペイ」の企画・開発の事業展開で注目の企業


集金業務支援サービス「エンペイ」の企画・開発事業で注目されているのが、森脇潤一さんが2018年11月に創業した株式会社エンペイです。

7~8年前あたりから、人手による集金業務を取りやめ、口座振替やコンビニエンスストア支払い、クレジットカード支払い、キャッシュレス支払いに切り替える企業や団体が増え始めました。こうした動きによって、集金時の不正防止や業務の効率化、人手不足の解消、経理業務の大幅軽減といったメリットが生まれました。

しかし、こうした動きがすべての業種・業界で浸透しているわけではありません。

例えば、教育現場における集金業務はデジタル化が遅れており、10円、1円単位での細かい集金を現金と人の手で行っているのが実情です。集金のたびに、保護者は細かい小銭を集金袋に詰める負担を、担任教師は集金した小銭の勘定を目視で行う煩雑さや負担を強いられています。

また、教育機関の集金機会は不定期に多頻度で発生します。そのたびに集金の通知を行うわけですが、これもアナログな方法で行っているところが多く、日々忙しくしている保護者の元にきちんとその情報が行き届かず、集金が遅れたり、できなかったり、それによって予定していた学習機会を失ったりすることも発生し得るのです。
子どもたちの可能性を伸ばし、それがひいては未来の社会を開拓するという役割さえも担う学校機関においてこうした不具合が生じてしまうことは、何より子どもたちにとって不利益極まりない悲しいことですし、社会にとっても大きな機会損失です。

このような不具合を解消し、あらゆる子どもたちが等しく学び・教育の機会を持てる社会形成を目指し、日々奮闘しているある起業家に注目が集まっています。

株式会社エンペイの森脇潤一さんに、事業の特徴や今後の課題などについてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

「エンペイ」は、パソコンとスマホを活用し、現金や紙を一切やり取りすることなく、請求からお支払いまでが完結する、集金業務支援サービスです。リアルタイムでの支払い状況の確認や消し込み作業など全て自動管理が可能です。また、集金業務だけでなく会計データを自動作成し、会計業務管理までワンストップで行えます。集金業務から会計業務まで、教育施設の圧倒的な業務負担軽減を実現いたします。

ユーザー(保護者)においては、ご利用のLINEアカウントのメッセージに請求通知が届き、24時間365日好きな支払い手段(クレジットカード・Paypay・LINE Pay・コンビニ払い)からお支払いが可能です。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

現在の主要導入先である保育園、幼稚園、こども園に加え、小学校・中学校・高等学校や学童施設、塾、習い事などでも私たちのサービスを使っていただけるのではないかと思っています。教育現場ではまだまだ集金袋で現金を持っていく機会は多いので、キャッシュレス化を通じて施設や保護者の方の負担軽減に少しでもお役立てできればと思っています。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

キャッシュレス化を通じて、教育現場にかかる負担を減らしたいと思っています。「教育現場において、組織の生産性を上げることで世の中のお金の流れが滑らかになる。最終的にはお金に困る人を減らせる社会を作りたい」という想いを持っています。私自身、奨学金を受けて大学、大学院に行ったので、お金を借りられることのありがたさをよく知っています。お金に困る人がいない世界が実現できれば、子どもが学校や塾に行きたくてもいけない、といった問題がなくなっていくはずだと思っています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

サービスの構想を思いついたものの、本当にこの事業で続けられるのだろうかという不安が大きかったことですね。

前職のリクルートで子育て支援SaaS「キッズリー」に携わったことで「エンペイ」の構想自体はありましたし、保育現場での「集金」の課題を目の当たりにしてキャッシュレスDXという事業としての勝ち筋も見出していました。でも会社として、事業としてやっていくほどモチベーションが続くかと悩んでいたんです。

そこであらためて起業の目的を考えることにしました。
その中で「集金をキャッシュレス化し現場の負担を減らすことで、組織の生産性も上がり、それによって世の中のお金の流れがなめらかになるという好循環が生まれて、お金に困る人を減らすことにもつながるのではないか」という原点にいたりました。
そこから「エンペイ」のようなサービスを作り、少しずつ事業展開を拡げ、最終的には教育資金等に困っている人にお金をお貸しする直接金融にまで行き着きたい、と考えるにいたりました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

主要導入先である保育園、幼稚園、こども園に加え、小学校・中学校・高等学校や学童施設、塾、習い事などにもサービス導入を拡充していきたいですね。さらに先の展開で言うと、集金によって集まったデータを活用し、融資や保険などに絡めたtoC向けのサービスも検討しています。最終的には「教育関連の支払い関連は『エンペイ』で」というポジショニングを狙っていきたいです。

・今の課題はなんですか?

創業間もないスタートアップですから、課題を挙げればきりがありません。
一方で越えられない課題ではないので、誰しもが通過すべき洗礼のようなものだと考えております。
その中で事業課題とあえて申し上げれば、我々が向き合っている教育業界全般はキャッシュレス市場がまだまだ黎明期であり、啓蒙活動も含めてマーケットを創って行かなければならないことです。困難なチャレンジですが、社会の使命ととらえて全社で邁進しております。

・読者にメッセージをお願いします。

スタートアップの使命は社会に一石を投じ続けることだと信じています。あるべき未来像を打ち出し変化の種をいくつも蒔いていきたい。当然それが大きな木となり花となることを目指して事業を推進していきますが、その可能性に社会全体が気付き、加速度的に社会が変わっていくその最初の活動を担って参りたいと思います。

会社名 株式会社エンペイ
代表者名 森脇潤一(もりわき じゅんいち)
創業年 2018年11月
社員数 35名
資本金 470,106,150円(資本準備金含む)
所在地 108-6022 東京都港区港南二丁目15番1号 品川インターシティA棟 22階 SPROUND
サービス名 enpay(エンペイ)
事業内容 教育施設における集金にかかる負担を最大98%削減できる、集金業務支援「エンペイ」を開発・運営しています。教育施設側では、「エンペイ」を導入することで、施設で扱う現金を0にすることが可能かつ、完全ペーパーレスで請求書発行から会計用データ作成までを30分で行っていただくことが可能です。
代表者プロフィール 1979年生まれ、岡山県岡山市出身。
日本大学法学部新聞学科/法政大学大学院公共政策研究科修士課程。
メディックス、博報堂DYを経てリクルート入社。AdTech、SaaS、FinTech等、一貫して新規事業開発を担当。社内新規事業提案制度(NewRING)でグランプリを獲得し、子育て支援SaaS「キッズリー」の責任者として事業成長を牽引しEXIT。
2018年11月に株式会社エンペイを創業。
プライベートでは双子含め三児の父。
経済産業省「グローバル起業家等育成プログラム 2016」シリコンバレー派遣メンバー/社会福祉法人どろんこ会理事
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ IT エンペイ キャッシュレス フィンテック 教育 森脇潤一 集金DX
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