【令和6年度】働き方改革推進支援助成金とは。4つのコースの内容や支給額などを解説。
中小企業や個人事業主向けの働き方改革を支援する助成金
労働環境の変化に対応するために制定された「働き方改革関連法」は、長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現に向け、企業にさまざまな対応を義務づけるものです。
中小企業も例外ではない一方で、対応が遅れている企業も少なくありません。そんな企業におすすめするのが、働き方改革をサポートする「働き方改革推進支援助成金」です。
本記事では、2024年度の働き方改革推進支援助成金の4つのコースについて解説します。申請要件や支給額も紹介しますので、活用を検討してみましょう。
また本助成金については、国の予算額に制約されるためスケジュールよりも前に締め切られる可能性もありますので、早めにチェックをしておきましょう。
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この記事の目次
働き方改革とは
働き方改革とは、個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を選択できる職場環境を整備することです。主に次のような取り組みを行っています。
- 働き過ぎの防止(残業時間の上限規制など)
- 正社員と非正規社員の不合理な待遇格差の是正(同一労働同一賃金など)
少子高齢化によって生産年齢人口が減少し、働く人のニーズは多様化しています。働き方改革では、働く人が能力を発揮しやすい環境をつくることによって、生産性の向上や働く人のワークライフバランスの実現を目指しているのです。
働き方改革推進支援助成金とは
働き方改革の一端を担っているのが、国が提供する「働き方改革推進支援助成金」です。さまざまな形で働き方改革に取り組む企業に対し、助成金を支給することで支援しています。
長時間労働の是正や賃金の見直しといった取り組みに対し、費用の一部を助成する制度です。2024年度は4つのコースが用意されており、それぞれ必要な取り組み要件が異なります。
中小企業による働き方改革への取り組み状況
働き方改革による国内企業の取り組みは、どのように進んでいるのでしょうか。具体的なデータから、取り組み状況を紐解いてみましょう。
デジタル化×コロナ禍の影響で働き方改革が進んでいる
総務省が発表した2021年度の情報通信白書では、働き方改革とデジタル化をうまく組み合わせた取り組み状況が見てとれます。
同資料によれば、2020年度におけるテレワークの導入が67.2%にのぼり、前年の35.5%から2倍近くに伸びていました。フレキシブルタイム制の導入、オフィス以外の業務拠点の設置、業務フローの見直しや業務改善の実施などもそれぞれ増加しています。
コロナ禍が重なったことも大きく関係していますが、時代に合った労働環境への見直しが徐々に広まっているようです。働き方改革推進支援助成金の活用とデジタル化を融合することで、自社の取り組みも強化していきましょう。
出典:総務省「令和3年版 情報通信白書」
働き方改革が進んでいる企業では業績が向上している
株式会社ワーク・ライフバランスが実施した、企業の働き方改革に関する実態調査(2022年版)があります。
調査によると、働き方改革がうまくいっている企業では、その成果として「業績が向上した」と感じていることがわかりました。回答割合は64.6%を占め、次いで63.0%の「従業員満足度が向上した」、60.5%の「顧客満足度が向上した」などが挙げられています。
実施した取り組み内容として「勤務間インターバル制度の導入」が上位に入っているのもポイントでしょう。働き方改革推進支援助成金のコースにも、同制度の導入を支援するコースが設けられているのです。
調査結果を踏まえると、働き方改革には企業にプラスとなる成果が大いに期待できます。既存企業の取り組み内容から、助成金をうまく活用できることも伺えました。
出典:株式会社ワーク・ライフバランス「【企業の働き方改革に関する実態調査2022年版】」
【コース別】働き方改革推進支援助成金の概要
働き方改革推進支援助成金は、取り組み内容によって次の4つのコースが設けられています。
- 働き方改革推進支援助成金 (業種別課題対応コース)
- 働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)
- 働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース)
- 働き方改革推進支援助成金 (団体推進コース)
それぞれについて、詳しく解説します。支給要件や給付額が異なるので、個別に確認しておきましょう。
働き方改革推進支援助成金 (業種別課題対応コース)
働き方改革推進支援助成金の「業種別課題対応コース」は、旧適用猶予業種等対応コースに相当します。
目的
2024年4月1日から時間外労働の上限規制が適用された建設業、運送業、病院等、砂糖製造業について、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入などの環境整備に取り組む企業を支援するための助成金です。
対象者
助成金の対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 交付申請時点で「成果目標」の設定に向けた条件を満たしていること
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
- 労働者数が300人以下、もしくは資本金または出資額が3億円以下(病院等は5,000万円以下)の規模の中小企業事業主であり、業種が「建設業」「運送業」「病院等」「砂糖製造業」のいずれかであること
申請要件
申請要件は「支給対象となる取り組み」の実施と「成果目標」の達成です。それぞれ1つ以上の実施・達成が必要となります。成果目標については、業種によって選択できる内容が異なるので注意してください。
2:全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること(全ての業種が選択可能)
3:全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること(全ての業種が選択可能)
4:全ての対象事業場において、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入すること(全ての業種が選択可能)(※1)
5:全ての対象事業場において、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させること(建設業が選択可能)
6:医師の働き方改革推進に関する取組として以下(1)、(2)を全て実施すること(病院等が選択可能)(※2)
(1)労務管理体制の構築等
ア.労務管理責任者を設置し、責任の所在とその役割を明確にすること
イ.医師の副業・兼業先との労働時間の通算や医師の休息時間確保、長時間労働の医師に対する面接指導の実施
に係る協力体制の整備を行うこと
(副業・兼業を行う医師がいる場合に限る)
ウ.管理者層に対し、人事・労務管理のマネジメント研修を実施するなど、労働時間管理について理解を深める
取組を行うこと
(2)医師の労働時間の実態把握と管理
労働時間と労働時間でない時間の区別などを明確にした上で、医師の労働時間の実態把握を行うこと
(※1)4の実施内容については、以下に該当する場合は「10時間以上」と読み替えます
ア.運送業
イ.病院等で、対象が医療法(昭和23年法律第205号)第113条第1項に規定する特定地域医療提供
機関として指定されている病院又は診療所において当該指定に係る業務に従事する医師
(いわゆるB水準の医師)
ウ.病院等で、対象が同法第118条第1項に規定する連携型特定地域医療提供機関として指定されて
いる病院又は診療所か他の病院又は診療所に派遣される医師(いわゆる連携B水準の医師)
エ.病院等で、同法第119条第1項に規定する技能向上集中研修機関又は同法第120条第1項に規定
する特定高度技能研修機関として指定されている病院又は診療所において当該指定に係る業務に
従事する医師(いわゆるC-1、C-2水準の医師)
(※2)6の実施内容については、申請マニュアル及び「「医師の働き方改革推進に係る成果目標」に関する報告書」をご覧ください
出典:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)
-
成果目標:全業種が選択可能
- 全ての対象事業場において、令和6年度または令和7年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届出を行うこと
- 全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
- 全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること
- 全ての対象事業場において、9時間以上の勤務間インターバル制度の規定を新たに導入すること。ただし、以下に該当する場合は10時間以上となる
-
全ての対象事業場において、4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させること
- 医師の働き方改革推進に関する取組として以下を全て実施すること
・運送業
・病院等におけるB水準の医師
・病院等における連携B水準の医師
・病院等におけるC-1、C-2水準の医師
成果目標:建設業が選択可能
成果目標:病院等が選択可能
・労務管理体制の構築等(労務管理責任者の設置、管理者層への研修の実施など)
・医師の労働時間の実態把握と管理
以上の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことで、支給額の上限が加算される仕組みもあります。
支給額
支給額は、以下のうちいずれか低い方です。
- 成果目標1から6の上限額および賃金加算額の合計額
- 対象経費の合計額×補助率3/4(常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は4/5)
上限額については、成果目標の達成状況ごとに以下のとおりとなります。
- 成果目標1:150万円~250万円
- 成果目標2:25万円
- 成果目標3:25万円
- 成果目標4:50万円~170万円(業種により変動)
- 成果目標5:1日増加ごとに25万円(最大で100万円まで)
- 成果目標6:50万円
賃上げを成果目標に加えた場合、以下の金額が上限額に加算されます。加算額は、常時使用する労働者数が30人以下かそうでないかで変わるため、事前に確認してください。
労働者数30人超の場合
賃上げの実施人数 | 3%以上の賃上げ | 5%以上の賃上げ |
---|---|---|
1~3人 | 15万円 | 24万円 |
4~6人 | 30万円 | 48万円 |
7~10人 | 50万円 | 80万円 |
11人~30人 | 1人あたり5万円
(上限150万円) |
1人あたり8万円
(上限240万円) |
労働者数30人以下の場合
賃上げの実施人数 | 3%以上の賃上げ | 5%以上の賃上げ |
---|---|---|
1~3人 | 30万円 | 48万円 |
4~6人 | 60万円 | 96万円 |
7~10人 | 100万円 | 160万円 |
11人~30人 | 1人あたり10万円
(上限300万円) |
1人あたり16万円
(上限480万円) |
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)」
働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)
働き方改革推進支援助成金の「労働時間短縮・年休促進支援コース」では、働く時間や休暇の取り方を見直す施策に対して助成金が支給されます。
目的
労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ「時間外労働の削減」と「年次有給休暇・特別休暇の促進に向けた環境整備」に取り組む企業を支援するための助成金です。
対象者
助成金の対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること
- 交付申請時点で「成果目標」の設定に向けた条件を満たしていること
- 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けた就業規則等をすべての事業場で整備していること
交付申請とは取り組み計画の承認をもらうための申請で、交付決定後に実際の取り組みをスタートします。
中小企業事業主とは、資本金または労働者数が次のいずれかに該当する企業の事業主です。ただしサービス業のうち、医師が勤務する病院等については、労働者数の条件が300人以下となります。
業種 | 資本(出資額) | 常時雇用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
申請要件
申請要件は、「支給対象となる取り組み」の実施と「成果目標」の達成の実施です。いずれも指定の内容から1つ以上選択し、すべての事業場において実施・達成が必要となります。
-
支給対象となる取り組み
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取り組み
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
※研修には、勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
-
成果目標
- 36協定で時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出ること
- 年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
- 時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定を1つ以上を新たに導入すること
上記に加え、「労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行う」という目標を追加できます。
支給額
支給額は、以下のうちいずれか低い方です。
- 成果目標1から6の上限額および賃金加算額の合計額
- 対象経費の合計額×補助率3/4(常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は4/5)
ただし、成果目標によって次の上限があります。
- 成果目標1:100万円~200万円
- 成果目標2:25万円
- 成果目標3:25万円
賃金額の引き上げに関する上限額の加算は「業種別課題対応コース」と同様です。
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース)
次に、「勤務間インターバル導入コース」について説明します。
目的
勤務間インターバル導入コースは、勤務間インターバル制度の導入に取り組む企業を支援するための助成金です。
勤務間インターバル制度は、勤務終了後から次の勤務までに一定の間隔(休憩時間)を設けるものです。過重労働を防止し、労働者の健康を守るために設けられました。
対象者
助成金の対象となるのは、次の要件を満たす中小企業事業主です。2・3・4については、すべて対象事業場で条件を満たす必要があります。
- 労災保険の適用事業主であること
- 交付申請時点と支給申請時点で、36協定が締結・届出されていること
- 原則、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること
- 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること
- 以下のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること
ア 勤務間インターバルを導入していない事業場
イ 既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
ウ 既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
申請要件
申請要件は、「支給対象となる取り組み」の実施と「成果目標」の達成です。成果目標については、勤務間インターバル制度が適用される労働者の範囲を拡大したり、インターバルの時間を延長したりすることも対象になります。
支給対象となる取り組みは、労働時間短縮・年休促進支援コースなどと同様です。
-
支給対象となる取り組み
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取り組み
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
※研修には、勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
-
成果目標
- 事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着させること
支給額
勤務間インターバル導入コースにおける助成金の支給額は、以下のとおりです。
- 対象経費の合計額×補助率3/4(常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合は4/5)
ただし、休憩時間や新規導入に該当する取り組みの有無によって、次の上限があります。
休憩時間 | 取り組みが新規導入に該当する場合 | 取り組みが新規導入以外に該当する場合 |
---|---|---|
9時間以上11時間未満 | 100万円 | 50万円 |
11時間以上 | 120万円 | 60万円 |
また、業種別課題対応コース、労働時間短縮・年休促進支援コースと同様に、賃金額の引上げ目標を達成した場合には支給の上限額が上がります。
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」
働き方改革推進支援助成金 (団体推進コース)
最後に紹介するのは、「団体推進コース」です。ほかのコースと異なり、助成金の対象となるのは、個々の企業ではなく中小事業主の団体等です。
目的
団体推進コースは、傘下にある事業主の労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取り組みを行う事業主団体等を支援するための助成金です。
対象者
助成金の対象となるのは、次の要件を満たす事業主団体等です。
- 法律で規定する団体等または一定の要件を満たした事業主団体等であり、かつ3事業主以上で構成され、1年以上の活動実績があること
- 一定の要件を満たした共同事業主であり、かつ10事業主以上で構成され、1年以上の活動実績があること
法律で規定されている団体等には、事業協同組合、商工組合、企業組合などがあります。共同事業主における一定の要件については、労災保険の適用事業主であることや、各法律によるところの事業主に当てはまるどうかが問われるため、詳細を確認しておきましょう。
申請要件
団体推進コースでは、「支給対象となる取り組み」と「成果目標」の達成を目指すことが主な要件となります。
次の支給対象となる取り組みから1つ以上の実施が必要です。
-
支給対象となる取り組み
- 市場調査の事業
- 新ビジネスモデル開発、実験の事業
- 下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
- 販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
- 好事例の収集、普及啓発の事業
- セミナーの開催等の事業
- 巡回指導、相談窓口設置等の事業
- 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
- 人材確保に向けた取り組みの事業
-
成果目標
- 支給対象となる取り組みについて、事業主団体等が時間外労働の削減又は賃金引上げに向けた改善事業の取り組みを行うこと
- 構成事業主の2分の1以上に対して、改善事業の取り組みや取り組み結果を活用すること
支給額
支給額は、次のいずれか低い方の額です。
- 対象経費の合計額
- 総事業費から収入額を控除した額(収入が発生した場合)
- 上限額500万円
都道府県単位などで構成する事業主団体等(構成事業主が10以上)の場合、上限額は1,000万円です。
各出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)」
働き方改革推進支援助成金のスケジュール・申請期限
申請スケジュールは、団体推進コースとそのほかのコースで以下のように異なります。支給申請後に審査があり、支給・不支給が決定する流れです。
コース名 | 申請受付期限 | 事業実施期限 | 支給申請期限 |
---|---|---|---|
業種別課題対応コース | 2024年11月29日(金) | 交付決定の日から当該交付決定日の属する年度の1月31日
※砂糖製造業の事業主の場合は3月15日 |
以下のうち早い日
・事業実施予定期間終了日から30日後 ・2025年2月7日(金) |
労働時間短縮・年休促進支援コース | 交付決定の日から当該交付決定日の属する年度の1月31日 | ||
勤務間インターバル導入コース | |||
団体推進コース | 2024年11月29日(金) | 交付決定の日から当該交付決定の属する年度の2月14日 | 以下のうち早い日
・事業実施予定期間終了日から30日後 ・2025年2月28日(金) |
働き方改革推進支援助成金の申請の流れ
働き方改革推進支援助成金を受け取るには、以下の流れに沿って手続きや取り組みを進めていきましょう。
- 働き方改革推進支援助成金の申請の流れ
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1.交付申請書・添付書類を提出する
2.取り組み事業を実施する
3.支給申請書を提出する
交付申請書によって交付が決定したのち、取り組み事業の内容が審査され、助成金を受給できるかどうかが決まる流れです。各流れを順に解説します。
1.交付申請書・添付書類を提出する
交付申請書と必要な添付書類を提出します。提出先は管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)で、直接持ち込むか郵送しましょう。事業実施計画を変更したい場合の変更申請も、同様の場所に提出します。
助成金の申請は電子申請も可能です。「jGrants」からGビスIDを取得して利用します。
添付書類についてはコースによって異なりますが、事業実施計画書と、必要経費などがわかる見積書は全コース共通で必要です。そのほか詳細は添付書類については、各コースの申請マニュアルを参照しておきましょう。
2.取り組み事業を実施する
申請書を提出したら審査が行われ、約1カ月ほどで結果がわかります。交付が決定したら、提出した事業実施計画書に沿って取り組み事業を実施しましょう。
3.支給申請書を提出する
取り組み事業の終了後、期限内に支給申請書を提出します。要件などを満たしていることが認められれば支給決定が通知され、助成金を受け取ることが可能です。
働き方改革推進支援助成金の活用事例
働き方改革推進支援助成金を活用し、労働状況の改善に成功した企業の事例を紹介します。
労働時間の適性把握に役立てた事例
株式会社寺田鉄工建設では、タイムカードとエクセルを使って労働時間を集計していました。打刻の印字が不鮮明である場合には適切な集計ができず、労働時間の正確な把握に支障をきたしていたそうです。
この課題を解決するため、顔認証システムと労務管理ソフトを導入し、導入費用の一部に働き方改革推進支援助成金を使用しています。
顔認証システムにより、本人が確実に労働時間を記録できるようになりました。また労働時間の推移が把握可能になったことで、時間外労働の削減意識が醸成されています。
生産性の向上に役立てた事例
有限会社中本農園では、土壌分析の業務で発生する作業の停滞期間や、無理のある作業工程が課題でした。働き方改革推進支援助成金を使って土壌分析装置を導入し、作業時間の短縮や工程の無駄を省くことに成功しています。
旧来の方法では検査待ちに2週間ほどかかり、その間は作業が停滞していましたが、装置のおかげで1時間あれば作業を終えられるようになりました。これまで無駄にしていた時間を別の作業に充てられるようになり、労働生産性の向上が見込まれています。
労働者のストレス軽減に役立てた事例
生産効率を高めることで、労働者の心身の負担を減らすことに成功したのが、株式会社森こんです。食品製造業を営む同社では、梱包時の破損や歪みが生じる悩みを抱えていました。
働き方改革推進支援助成金を活用し、作業工程を一元化できる機器の導入に踏み切っています。これによりロスやコストの削減、作業時間の短縮を実現しました。箱の損傷がなくなったことで余計な手間が減り、労働者のストレス負荷が少なくなったと評価しています。
各出典:厚生労働省 石川労働局 雇用環境・均等室「石川県内の働き方改革促進企業」
まとめ・働き方改革推進支援助成金は中小企業の取り組みをサポートしてくれる
中小企業が働き方改革に取り組むことには、大きな意義があります。従業員の働く意欲を高めたり、能力を発揮できる環境を整えたりすることで、生産性の向上が期待できるのです。
働き方改革に取り組む中小企業を支援する「働き方改革推進支援助成金」には、取り組み課題に応じて4つのコースが設けられています。自分の会社に合ったコースを選択して、企業の発展に活かしましょう。
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