注目のスタートアップ

株式会社fruor 喜多村 若菜|オンラインキャリア相談の事業展開が注目の企業

オンラインキャリア相談やキャリアカウンセラー養成事業で注目なのが、喜多村若菜さんが2019年1月に創業した株式会社fruor(フルオル)です。

自分の「キャリア形成」を明確に思い描いた上で「生き方」を選択できている人はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

‶キャリア” と聞くと、多くの方が仕事上でのキャリアパスをイメージされるかと思いますが、本来 ‶キャリア” という言葉の意味は「轍」のことであり、各人が様々な状況下で果たすべき役割や行動などすべてを含みこんだ「生き方」そのものを表す言葉です。

そのキャリア形成の中にある一つが仕事です。仕事は、人間らしい生活を続けていく上でも、社会との関わりを保ち自己肯定感を養っていくためにも必要なことであり、国民の3大義務の一つでもあります。
毎日多くの時間を費やす仕事をどのように選択し、自分の生き方に反映させていくかということを真剣に考え、思い描く通りの就業環境を手に出来ることは、その人自身はもちろんのこと、社会全体を輝かせることにもつながるでしょう。

しかし実際はどうでしょうか?
世の中には万とあふれる仕事があるにもかかわらず、求職者と企業側の思惑が正しく合致しないが故に、素晴らしい出会いの機会を損失してしまったり、認識がすれ違った状態で仕事に従事することになってしまったり、場合によっては起業という社会を変える選択肢を見落としてしまい、大きな社会的損失を被る場合も考えられます。

個々人のキャリア形成について真っ向から向き合い、その実現のためにどう行動したりどのような働き方を選択するのが自分にとっても周囲にとっても幸せなことなのか、を棚卸できる機会はとても重要だと思います。

今、こうした個人のキャリア形成というポイントに改めて注目し、キャリア形成と仕事を結び付け直そうとするサポート事業に注目が集まっています。

株式会社fruorのオンラインキャリア相談事業の特徴は、第三者の立場から長期間かけてのキャリア形成支援を行い、自分に合った働き方を実現しながら、イキイキと輝くことができる社会を創る伴走をしている、という点です。

株式会社fruorの喜多村若菜さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

ミートキャリアはキャリアの悩みを気軽にオンラインでプロに相談できるサービスです。キャリアの悩みは身近な人には相談しづらく、転職エージェントでは転職を前提とした相談しかできないため、誰にも話せずにモヤモヤを1人で抱える人が多くいます。

そこでミートキャリアは第三者の立場からキャリアの悩みを整理したり、転職か現職か迷っていた方が次の一歩を踏み出せたり、自信を失っていた方が自分の強みをクリアにして前向きに働けるようになったりするサポートをしています。転職エージェントではないため、求人紹介は行いません。

サービスとしてはZOOMを使ってキャリアサポーターと1対1で会話する「オンラインキャリアカウンセリング」と、キャリアサポーターと1対1のメール形式で3ヶ月かけて自己分析を行う「大人の自己分析プログラム」を提供しています。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

育児などのライフイベントや離職期間があるなど何らかの制約があってキャリア形成が難しいと感じている方です。

転職エージェントや求人広告など既存の人材業界は、法人からお金をもらうビジネスモデルです。そのため、「週5フルタイムでバリバリ働けるスキル人材」といった企業側が求める人材には、お金もかけて獲得しようとします。しかし、逆を言えばその条件から外れたら、支援される場所がありません。私たちミートキャリアは、この既存の人材業界の構造では支援されない方たちを支援したいと考えています。

実際にミートキャリアは、働く時間に制約があってもキャリア形成をしたいと考える30代ワーキングマザー層をコアユーザーに、20-50代の男女に使っていただいています。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

「働き方の選択肢が少なすぎる」現実を変えることです。
私たちが目指すのは、現在働いている6868万人に加え、これから働くことを望む人すべての人のキャリアの選択肢を広げていくことです。

現在、正社員の求人は「週5フルタイム」が当たり前で、この働き方でないとキャリア形成できないと考えられています。
しかし、これから誰もが70歳くらいまで働き続け、様々なライフシーンと共にキャリアを形成していく世の中では、人生のフェーズごとに求める働き方やキャリアの優先順位も変わってきます。家庭の都合に合わせフルリモートで働きたい人、今は週3-4日で働きたい人、離職期間を経て再チャレンジをしたい人が、働き方に制約があるだけで自分らしいキャリアを実現できないのは明らかに負です。

また、価値観が多様化した今、そもそも「どんな働き方を実現したいか?」に悩む人はたくさんいます。キャリアとは人生そのものであり、個人の実現したいキャリアをじっくりと棚卸しすることで、誰もが自分に合った働き方を実現しながら、イキイキと働くことができる社会を築きます。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

立ち上げのきっかけは幼少期に遡ります。
私は父のようにバリバリ仕事をして、専業主婦だった母のように子どもに寄り添う家庭も築きたいと思っていました。
“キャリアと家庭を築くことは両立できる”と思っていました。

しかし新卒で就職した先ではそのようなロールモデルを見つけられず、またその後転職した教育系の事業で育児中の方の採用に関わる中で、「働く人のニーズに対し、働き方の選択肢が少なすぎないか?」と疑問を持ちました。

それがきっかけで、育児中の方のキャリア支援をしたいと起業しましたが、1人で起業した上、自分自身が当事者ではないという絶望的なスタートで、周りには聞ける人がいないという状況でした。

そこで、Twitterで見かけた育児中のキャリアについて考えている方々に、一人ひとりDMを送っていきました。今思えば、突然連絡をしてくる怪しい人だったと思うのですが、想いに共感してくださる方々のおかげで少しずつヒアリングをさせてもらうことができ、最終的には200人ほどの方とお話させていただきました。さらに、知り合いの子育て家庭に頼んで、働く母親と同じ生活を体験させてもらいました。

この時ヒアリングさせてもらった方の中には、のちにキャリアサポーター(カウンセラー)としてミートキャリアの事業に参画してくださる方が居たり、ユーザーになってくれる方が居たり。このときご協力頂いた方々がいなければ、今の事業はなかったと言っても過言ではありません。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

日本ではまだお金を払ってプロに“キャリア相談”をすること自体が、一般的な文化にはなっていません。もっと“キャリア相談”の認知を広げ、キャリアに悩んだ時に当たり前に利用されるサービスにしていきたいです。
その結果、いくつになっても自分らしい働き方が選択でき、個人が生き生きと働ける社会になってほしいと思います。

また、ミートキャリアは全国(一部海外)から参画する約100人のメンバーでフルリモート運営を行っています。
キャリアサポーター(カウンセラー)の多くは副業の方です。会社として「どんなライフステージでもキャリア形成できる社会」を目指すのだから、この働き方で実績を創り、どんな働き方でも結果の出せる会社になるということを証明したいと思っています。

・今の課題はなんですか?

ミートキャリアのメンバーは一人ひとりのユーザーに真摯に向き合い、考え、行動できる、誇れるメンバーたちです。
しかし日本を変えるにはまだまだスキルも足りなければ、価値観の多様性も足りていません。
もっともっとカオスな動物園みたいな色んな人たちが、色んな価値を発揮して、多角的に物事を見ながら強いチームを創っていきたいと考えています。
もしミートキャリアの事業やビジョンに関心を持ってくださった方がいれば、気軽にミートキャリアのドアを叩いてほしいです。

・読者にメッセージをお願いします。

私たちはキャリア相談を受けてほしくて事業をやっているのではありません。
「終身雇用も終わった」「人生100年時代になった」と言われる今、既存の人材市場の負を解消し、ビジネスモデルさえも変えて、すべての人が自分らしく働き続ける未来を創りたいと思っています。

会社名 株式会社fruor(フルオル)
代表者名 喜多村 若菜
創業年 2019年1月
資本金 5,200万円(資本準備金含む)
社員数 5名
事業内容 オンラインキャリア相談事業(個人向け・法人向け)、キャリアカウンセラー養成事業
サービス名 ミートキャリア(meetcareer)
所在地 〒107-0052  東京都港区赤坂2丁目10−2
代表者プロフィール 1993年3月 大阪生まれ
2016年3月 神戸大学経済学部卒。在学中にシンガポールやNYの企業でインターンシップを経験
2016年7月 新卒入社の大手企業にて、基幹系システム導入コンサルティングに従事
2017年8月 教育関連スタートアップに参画し、事業立ち上げを経験。採用を担当する中で、育児中の働き方のニーズに対し、選択肢が少なすぎることに疑問を持つ
2019年1月 25歳でライフステージに合わせたキャリア支援事業を行う株式会社fruorを起業
2019年11月 ミートキャリア(meetcareer)サービス開始
2021年6月 複数の個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施し、4,500万円の資金調達を実施
現在、全国からフルリモートで参画するキャリアサポーター(カウンセラー)やメンバー約100名とともにサービスを運営
日経xwoman アンバサダー、東京都女性ベンチャー成長促進事業「APT Women」第5期生
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ fruor オンラインキャリアカウンセリング キャリアコンサルタント キャリア相談 フルオル 喜多村若菜
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

個人向けオンラインキャリア相談サービス「ミートキャリア」運営の「fruor」が4,500万円調達
2021年6月2日、株式会社fruorは、総額4,500万円の資金調達を実施したことを発表しました。 個人向けのオンラインキャリア相談サービス「ミートキャリア(meetcareer)」を運営しています…
医療介護現場向けコンディションケア面談サービスを開発・運営する「きゃりこん.com」が5,000万円
2023年12月20日、株式会社きゃりこん.comは、5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 きゃりこん.comは、医療介護現場向けコンディションケア面談サービスを開発・運営しています…
キャリアコンサルタントの「フォワード」が7,600万円調達 生成AIを用いた転職サービスを提供開始
2023年7月24日、株式会社フォワードは、総額7,600万円の資金調達を実施したことを発表しました。 また、特許出願中のデータ整形技術を用いた生成AI×転職・キャリアアップのサービスである「キャリア…
社会人向けキャリアプログラム「ミートキャリア」を運営する「fruor」が1.2億円調達
2024年6月17日、株式会社fruorは、総額1億2,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 fruorは、社会人向けキャリアプログラム「ミートキャリア」を運営しています。 自分の「強み…
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」4次公募 4/10締切
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」4次公募のご案内です。 補助事業者が実施する「キャリア相談対応」、「リスキリング提供」、「転職支援」、「フォローアップ」に要する経費を支援します。 以下の…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集