会社経営を成功させるために必要なこととは

創業手帳

会社経営とは何か?会社を設立するなら知っておきたい基本情報・成功の秘訣


起業を目指す人が知っておきたいのは、会社経営を成功させるための方法です。
会社の設立は、以前と比較すると簡単で費用もかからなくなりましたが、設立した会社を経営し、成功へと導くのは容易ではありません。

会社経営とは何か、どうしたら成功と呼べるか、その本質と成功への道順を紹介します。
成功のために必要なポイント、失敗を避けるための対策など、会社を設立する前に理解しておき、より確実で安全なスタートを切りましょう。

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会社経営とは


会社経営とは、会社を継続させていくことです。もちろん、それは会社を続けるだけでなく、同時に発展し続けることも含まれます。
基本的には、黒字経営を維持し、事業の拡大を目指し、利益を増やし続けることが求められるでしょう。

ただし、会社の経営者はただ単に黒字経営を目指せばいいわけではありません。
会社の資金を上手に回してショートさせないようにし、適切なタイミングで設備投資を行うことも必要です。

黒字経営

黒字経営とは、売上から経費を引いた最終的利益がプラスになることを言います。会社経営において、黒字は最低限の成果であり必須条件。
経営者は黒字に油断せず、さらに事業の拡大、利益拡大を目指していかなければいけません。現状に満足をしてしまえば、そこで事業は停滞してしまいます。

また、会社は黒字経営でも倒産する場合もあります。黒字倒産とは、キャッシュフローの問題によって売上はあるのに支払いができずに倒産することです。
会社間の取引の多くは売上と支払いにタイムラグがありますが、支払いサイクルの長くタイムラグの大きい取引が多いと、手元の資金がショートするケースがあります。
売上はあり黒字でも、その支払いは数カ月先になるため、仕入れ代金や人件費などが支払えなくなり、倒産リスクを負うかもしれません。

赤字経営

黒字経営でも会社は倒産することがありますが、反対に赤字経営でも場合によっては存続し、再起を図る場合があります。
特に、会社経営では一過性の赤字は起こることがあり、赤字だから倒産、経営破綻とは一概にいえません。
赤字になった場合でも、重要なのは赤字の内容です。
一時的に営業外費用や特別損失が増えた場合や減価償却費や前払金の計上などによる場合は、次年度以降黒字になる、もしくは実際には現金が充実しているケースもあります。
そのような場合は倒産リスクにつながりません。

また、規模の大きい会社では赤字経営が続いても融資を受けられることもあります。
一般的には赤字は融資で不利な傾向ですが、大手企業の場合には体力が見込まれ、追加融資も受けやすくなります。
反対に、体力のない中小企業は赤字になると倒産を懸念され、融資が受けにくくなるでしょう。

経営破綻

経営破綻とは、資金が底をつき、会社経営が行き詰った状態です。
特に中小企業では経営破綻で倒産するケースが多く、会社経営においてもっとも注意すべき状況といえます。
大企業では経営破綻から再建されるケースもありますが、それでも大きな軌道修正が求められます。

設立したばかりの会社や中小企業では、経営破綻で倒産するリスクが高いため、破綻の予兆を見逃さず、適切な対応で事業を立て直すことが必要です。
しかし、一時しのぎの方法では、根本的な解決につながらず、倒産を避けられないこともあるかもしれません。

会社経営を成功するための視点


会社経営を成功させるには、経営者が正しい視点をもって行動することが大切です。また、視野は広く持ち、様々な面から会社を見ていくのも必要です。
経営者の立場で知っておきたい経営管理のポイントを、それぞれの要素別にチェックしてみましょう。

販売管理

販売管理とは、商品の仕入れから販売までの工程を管理することです。収益の要となる部分であり、会社の存続と拡大に必要不可欠な部分です。

会社では複数の部門が関わっているため、トータルで管理して流れをスムーズにする必要があります。
それぞれの部門ごとの問題を発見して改善対策を講じ、さらに部門間の連携も円滑に行えるように工夫が必要です。

財務会計管理

財務会計は、お金の管理部門です。会社経営では、お金の管理が大変重要で、黒字倒産のリスクもここが至らないと起こりやすくなります。

財務会計の管理では、手元の資金を管理し、支払いと回収を上手く回すことでお金を循環させ、事業の拡大に生かしていきます。
また、運転資金が不足しそうになったら、融資や出資などで資金を集めるのも必要になってくるかもしれません。
このような会社の資金繰りを常に把握し、資金調達や設備投資、支払いサイクルの調整などを行うのも経営者として大切な役割となります。

労務管理

労務管理は、会社で働く従業員の勤怠管理や福利厚生など、労働環境の管理、整備などを行うもの。
会社経営でよく言われる要素のひとつ、「人」を生かす重要な役割を担います。

健康的で働きやすい環境や効率的に業務を進められるシステム、やりがいある職場は、従業員のポテンシャルを高めます。
従業員が生き生きと働ける場を作れば、組織活動は円滑になり、事業の拡大も進めやすくなるかもしれません。

全体を見渡す

会社経営では、上記の視点をそれぞれに持つことも必要ですが、各部門の動きを連動して見る視点を持つのも大切でしょう。
営業が上手く行かない原因として、労務管理に目を向ける、予算を見直すなど、それぞれの部門を連結して考えることも必要です。

会社が育つにつれ、細部まで経営者が管理するのは難しくなるかもしれません。しかし、必要な情報を得るルートを整備すれば、総合的な管理と決定をスムーズにできます。
情報の遅れは決断の遅れを引き起こし、チャンスを逃すことにつながります。情報の把握と意思決定を速やかに行うためには、全体を俯瞰できるシステム作りが欠かせません。

会社経営が失敗する原因と対策


会社経営は、以下のような原因によって破綻することがあります。
自社の問題はもちろんですが、他社や社会情勢などの影響を受ける場合もあり、対策も原因に応じて柔軟に行わなければなりません。
会社経営の失敗につながる主な原因とその対策について、知っておきましょう。

販売不振

販売不振は、会社を経営していく上で欠かせない収益を大きく減らし、経営難を引き起こします。
販売不振には様々な要因が考えられ、自社の問題を解決するだけでなく、取引先の見直しもしなければいけません。
また、シェアの縮小や産業構造の変化、競合の出現と自社の敗退など、周囲の環境によって販売不振になるケースもあります。

得意先の安定確保と分散

販売不振の原因の一つには、得意先の販売不振や経営方針の転換などがあります。
得意先が自社製品やサービスを安定的に利用していた場合でも、安定がずっと続くとは限りません。
売上を安定させるには、できる限り得意先の分散を行い、販路を幅広く持つのが大切です。

自社の独自路線の確保

販売不振の原因のうち、業界シェアの縮小や競合の出現は、自社内の対策で乗り切れる可能性があるものです。
シェアが縮小してもゼロになるわけではなく、売れる商品は生き残るでしょう。そこで考えたいのは、自社独自の商品やサービスの確立です。
他社にはない魅力を打ち出し、独自の路線を確保すれば、シェア縮小や競合の出現などの外的要因に左右されにくくなるかもしれません。

連鎖倒産

連鎖倒産は、取引先の倒産によって連鎖的に経営不振になり、倒産することです。
取引先が倒産すると、それまでの売上で発生していた売掛金が回収できなくなり、自社の資金繰りの悪化につながりかねません。
特に、大口の取引先に依存している場合や、支払サイクルが長い場合などに連鎖倒産は起こりやすくなります。

ひとつの取引先に依存しない

連鎖倒産を防ぐためには、ひとつの取引先に依存しすぎないのが必要です。
特定の取引先に頼っている場合、その取引先との取引がなくなったらすぐに商売が立ち行かなくなるかもしれません。
新規の取引先を見つけるのは容易くないため、いざという時のためにも新規開拓は常に行い、備えておいてください。

倒産サインを見つける

連鎖倒産を防ぐためには、取引先企業の変化にも目を光らせておく必要があります。
倒産や経営不振のサインは、あらかじめ見つけられる可能性もあるため、注意深く取引内容などをチェックし、見逃さないようにしましょう。

倒産のサインには、支払いの遅れや売上の減少などがあります。
支払いが遅延している、分割など支払い方法の見直しを求められたなどは注意が必要です。
また、従業員の覇気がない、入れ替わりが激しいといった内部の変化にも現れるかもしれません。

倒産前に対策を

倒産のサインに気づいたら、倒産する前に被害の縮小を試みます。できるだけ資金を早く回収できるようにし、新たな売掛金の発生は抑えましょう。
売上が発生する場合には現金取引に変えるのも効果的です。

過小資本

過小資本とは、利益に対して資本が少なく会社の体力が不足している状態です。利益が上がっても、自己資本を抑えて節税しようとした際に起こります。
事業では利益を得ていても、社外に流出させてしまうため、外部環境の変化など、いざという時に持ちこたえられなくなるかもしれません。

堅実な経営

過小資本での倒産を防ぐためには、分不相応な事業拡大には手を出さないのが大切です。
ビジネスチャンスを逃さず、新規事業の開拓も大切ですが、資本力のない状態で無理な進出をすると経営不振のリスクを負いかねません。

また、会社の体力を付けていくために、利益の内部留保を優先し、手元の資金を確保することも大切です。
思い切った投資による節税よりも体力、資金力の温存の方が効果的なケースもあります。

既往のしわ寄せ

これまで紹介してきた様々なサインを見逃し、対策が遅れたために倒産リスクが高まった状態を、既往のしわ寄せといいます。
売上の減少もその兆候で、それ以外にも従業員の高齢化や設備の劣化など、倒産リスクは様々な問題点が関係して起こるものです。

リスクが多々発生した時に、経営者が手を打たずにいると取り返しのつかない状態に陥るかもしれません。
安定経営だったにもかかわらず、リスクを放置し、過去の資産を食いつぶして経営を続けていけば、おのずと経営は傾きます。

経営者が危機感を持つ

既往のしわ寄せの根本的な問題は、経営者の甘さと危機対応力の至らなさです。
倒産リスクを防ぐためには、常に経営者が危機感を持ち、兆しが見えた時にはスピーディーに対策を講じる姿勢が必要でしょう。
経営悪化の兆しを知るためには、数字や一部の幹部からの報告だけを鵜呑みにせず、現場をしっかりと自分の目で見ることも大切です。

会社設立・経営に必要な書類と手続き


会社経営を始めるには、まずは会社を設立することが必要です。
起業は個人でもできますが、法人化によって節税や信用度のアップなどのメリットもあるため、必要に応じて会社設立も検討しましょう。
ここでは、会社設立と経営をスタートさせるための基本的なステップを解説します。

各種届出

会社を設立するためには、いくつかの手続きが必要です。社名や事業目的などの定めた定款を作成して認証を受け、法務局で登記申請を行います。
また、税務署に法人設立届出書などの税金支払い関係の書類提出も必要となります。

さらに、地方自治体へも法人住民税の手続き書類を提出しなければなりません。
税務署と地方自治体への書類提出の期限は、会社設立の日(設立登記の日)から2カ月以内です。

銀行で口座開設

会社設立に必要なのは銀行での法人口座開設で、会社設立以降は会社の取引は法人の口座を使用します。

法人口座の開設には、以下の書類が必要です。

  • 会社の登記簿謄本
  • 会社の定款
  • 会社印
  • 代表者の印鑑証明書
  • 代表者の実印
  • 代表者の身分証明書
  • 事務所の建物登記簿謄本(賃貸借契約書)
  • 許認可証(許認可が必要な事業の場合)

 
これ以外にも適宜、金融機関から書類提出を求められるかもしれません。

資金調達

会社設立では、登記の前に資本金を振り込みます。
それ以降は、必要に応じて融資や補助金、助成金、ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家などから資金調達を行います。
資金調達の方法は、返済の必要の有無、審査の厳しさなど、それぞれに条件やメリットを比較して選ぶのが大切と言えるでしょう。

まとめ

会社経営を成功させるには、経営者の考え方や視点が重要です。広い視点で経営を管理し、外部環境にも目を光らせなくてはなりません。
経営者の判断によっては倒産リスクを高め、会社や従業員を危険にさらすケースもあります。

会社を設立して起業するなら、まずは経営者としての意識やリサーチ力・判断力を磨きましょう。
ポイントを押さえた情報収集と内部・外部環境を見定めた判断で、事業の安定と拡大を目指せます。

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(編集:創業手帳編集部)

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