CxOとは?CEOやCOOなど主な20種の役割一覧から導入メリットまで全解説
CxO制度の導入で、スピーディな意思決定やスムーズな会社経営を可能に
最近日本でも耳にする機会が多い、CEOやCOO、CFOといった役職名。CxOとは「Chief x Officer」の頭文字で、xの部分はそれぞれ担当する業務を表します。
なんとなく知っているようで、社長や取締役・事業部長などとの違いや、どんな種類があるかわかっていないという方も多いのでしょうか。
そこでこの記事では、CxOの意味や役割、主な種類や導入メリットなどを解説します。起業する際にどんな役職を設置しようかと検討中の方や、組織の再編成を考えている方などに参考にしていただければと思います。
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この記事の目次
CxOとは?
最近導入する日本企業も増えている「CxO」。まずはその意味や社長などとの違いを押さえておきましょう。
CxOの意味と読み方
CxO(シーエックスオー)は「Chief x Officer」の頭文字を取ったもので、xの部分にはそれぞれ担当する業務が入ります。Chiefは「長」、Officerは「役員・幹部」を表す言葉ですので、日本語で言うと「最高〇〇責任者」ということになります。
Cで始まりOで終わるさまざまな役職をまとめて「CxO」と呼びます。
CEOと社長・代表取締役の違い
最も耳にする機会の多いCxOが「CEO」ではないでしょうか。「Chief Executive Officer」の略で、最高経営責任者を表します。
CEO・社長・代表取締役は何が違うのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この中で日本の会社法に定められている肩書は「代表取締役」のみ。それ以外はあくまで会社それぞれが使っている職責上の呼び方で、どのような呼称を使うか、どのような役割を定めるかはその会社の自由です。
日本では社長が経営のトップに立つことも多いため、「社長=CEO」となる可能性も高いですが、会社によってはCOOやCFOが社長である場合もあるということです。
CxOと取締役・事業部長の違い
事業や部門の責任者である「取締役」や「事業部長」とCxOは何が違うのでしょうか。
日本の会社法で株式会社に置くよう義務付けられているのは、この中で「取締役」のみ。取締役は「取締役会」で会社経営に関わる重要事項の決定を行います。その他は特に規定がなく、各企業が自由に設置することができます。
事業部長は、各部署や部門の取りまとめ役として現場を管理する責任者というニュアンスがあります。一方、CxOはより経営者的な視点から全社に対して、自分の担当する業務についてプロフェッショナルとして責任を負うという意味合いが強くなります。
主なCxOの種類と役割一覧
では、CxO(最高〇〇責任者)としては具体的にどのような役職が存在するのでしょうか。前述のとおりCxOの呼称や役割は会社によって自由に作ることができますが、ここでは主な20種類をご紹介します。
CEO(最高経営責任者:Chief Executive Officer)
Chief Executive Officerの頭文字を取った「CEO」は、最高経営責任者を表します。経営戦略を立てるなど会社経営に関する全責任を負い、最終的な経営判断を下します。
日本では、「代表取締役社長兼CEO」「代表取締役会長兼CEO」と兼任するケースもよくあります。
COO(最高執行責任者:Chief Operating Officer)
Chief Operating Officerの頭文字を取った「COO」は、最高執行責任者を表します。CEOに次ぐNo.2として扱われることも多く、CEOの経営戦略を執行していく責任を担います。
CEOは全体戦略を描き、COOはそれを実行するための具体的な業務オペレーションを構築します。
CFO(最高財務責任者:Chief Financial Officer)
Chief Financial Officerの頭文字を取った「CFO」は、最高財務責任者を表します。財務面での戦略のトップとして、予算やコストの管理、資金調達などを担当します。
日本では、CEO・COO・CFOの3つを取り入れている会社がよく見られます。
CTO(最高技術責任者:Chief Technical Officer)
Chief Technical Officer(Chief Technology Officerと表記されることもあります)の頭文字を取った「CTO」は、最高技術責任者を表します。技術・開発部門の最高責任者であり、デジタル変革のニーズが高まる現在、重要になってきている役職の一つです。
CMO(最高マーケティング責任者:Chief Marketing Officer)
Chief Marketing Officerの頭文字を取った「CMO」は、最高マーケティング責任者を表します。企業全体のマーケティングの責任を担い、ブランド強化を進めます。アメリカでは多くの企業に置かれている役職です。
CIO(最高情報責任者:Chief Information Officer)
Chief Information Officerの頭文字を取った「CIO」は、最高情報責任者を表します。社内のシステムや情報管理など、情報部門を管轄します。
CHRO(最高人事責任者:Chief Human Resource Officer)
Chief Human Resource Officerの頭文字を取った「CHRO」は、最高人事責任者を表します。単なる人事部長と比べ、より経営幹部としての視点で企業人事にまつわる業務を統括します。
CSO(最高戦略責任者:Chief Strategy Officer)
Chief Strategy Officerの頭文字を取った「CSO」は、最高戦略責任者を表します。各事業部だけの戦略ではなく、全社横断的で中長期的な戦略立案を行います。
CSO(最高セキュリティ責任者:Chief Security Officer)
Chief Security Officerの頭文字を取った「CSO」は、最高セキュリティ責任者を表します。会社の情報セキュリティの統括を担います。
CAO(最高分析責任者:Chief Analytics Officer)
Chief Analytics Officerの頭文字を取った「CAO」は、最高分析責任者(最高アナリティクス責任者)を表します。データを活用して経営課題を解決する戦略を考える役割を担います。
CAO(最高総務責任者:Chief Administrative Officer)
Chief Administrative Officerの頭文字を取った「CAO」は、最高総務責任者を表します。経理や総務など管理部門で業務を執行するトップの役職です。
CBO(最高ブランディング責任者:Chief Branding Officer)
Chief Branding Officerの頭文字を取った「CBO」は、最高ブランディング責任者を表します。商品やサービスはもちろん、企業のブランディング戦略も担います。
CLO(最高法務責任者:Chief Legal Officer)
Chief Legal Officerの頭文字を取った「CLO」は、最高法務責任者を表します。法務部門のトップとして、法的リスクを最小限にするよう指揮を執ります。法律顧問を兼ねる場合も多くあります。
CCO(最高コミュニケーション責任者:Chief Communication Officer)
Chief Communication Officerの頭文字を取った「CCO」は、最高コミュニケーション責任者を表します。記者会見や他者とのやりとりなど対外的コミュニケーションを担当する役職です。
CCO(最高コンプライアンス責任者:Chief Compliance Officer)
Chief Compliance Officerの頭文字を取った「CCO」は、最高コンプライアンス責任者を表します。企業のコンプライアンス体制の構築や運営の責任を担います。
CPO(最高個人情報保護責任者:Chief Privacy Officer)
Chief Privacy Officerの頭文字を取った「CPO」は、最高個人情報保護責任者(最高プライバシー管理責任者)を表します。企業のもつ顧客等の個人情報について、保護管理の責任を担います。
CDO(最高デジタル責任者:Chief Digital Officer)
Chief Digital Officerの頭文字を取った「CDO」は、最高デジタル責任者を表します。ITの活用により、組織のデジタル変革推進の責任を担います。近年、日本でも設置する企業が増えつつあります。
CDO(最高デザイン責任者:Chief Design Officer)
Chief Design Officerの頭文字を取った「CDO」は、最高デザイン責任者を表します。商品やサービスのデザインを統括する役職で、日本でもスタートアップ企業などで導入する動きが出ています。
CKO(最高知識責任者:Chief Knowledge Officer)
Chief Knowledge Officerの頭文字を取った「CKO」は、最高知識責任者を表します。社内のナレッジやノウハウを保存・管理し、それらによって企業の組織力を上げることを目指します。
CHO(最高社員幸福責任者:Chief Happiness Officer)
Chief Happiness Officerの頭文字を取った「CHO」は、最高幸福責任者を表します。従業員の「幸せ」をマネジメントする責任を担い、従業員が働きやすい環境構築などを通して幸福度を向上させます。
CxOを導入するべき企業
ここまでCxOの意味と主な20種類をご紹介してきましたが、最後にCxOの役職を置くことのメリットや、どのような企業はCxOを置くべきなのかについてご説明します。
CxOの導入メリット
社長や取締役、事業部長といった昔ながらの役職・呼称もある中で、CxOという役職を導入するメリットとしては次のようなことが挙げられます。
責任範囲が明確になり、各専門家が最大限に能力を発揮できる
具体的に責任を負う役割や業務がわかりづらい「社長」「会長」といった従来型の呼称と比べ、CxOは管轄する業務の名称が肩書に入るため、責任範囲が明確になります。
CxOに任命された責任者は経営視点をもつ専門家として、能力を最大限発揮してその分野での課題解決を図ることができます。
企業全体の意思決定スピードが上がる
取締役らが行う会社経営と、CxOらが行う業務執行という役割を分けることで、会社全体での意思決定がしやすくなり、スピード感のある経営が可能になります。
注力している分野を対外的に示すことができる
CEOやCOOなどは一般的な役職となってきていますが、まだ日本で一般化していないようなやや珍しいCxOの役職を置くことで、「この会社はこれに注力しています」というメッセージを示すことができます。
たとえばCHO(最高幸福責任者)を置いている企業はまだ国内では少ないため、導入すれば従業員の働きやすさや幸福に重視した価値観をもつ企業であることが社内外に伝わるでしょう。
CxOが向いている企業
以上のようなメリットのあるCxOという役割ですが、どのような企業が特に導入をすべきなのでしょうか。
これから起業予定の会社
現在起業を考えている場合は、CxOを主軸に組織編成を考えるのも良いでしょう。CxOを置けば、戦略的に強くしたい分野に起業当初から専門家を任命したり、企業として注力したい分野を対外的にアピールすることができます。
CxOは日々さまざまなものが誕生している新しい制度なので、オリジナルのCxOを置いてマーケティングやブランディング戦略に活かすこともできるでしょう。
スピーディな意思決定のできる組織体制を目指す会社
前述のとおり、CxOの導入は取締役と執行役の役割分担によりスピード感のある意思決定を可能にします。
現在会社の意思決定に必要以上に時間がかかっていると感じられる場合には、CxOの導入をはじめとした組織改編を行っても良いかもしれません。
グローバル展開の可能性がある会社
日本企業でも導入するケースの増えているCxOですが、それ以上に海外企業や外資企業ではCxO制度を取り入れている会社も多くあります。
取引や協働の際、会社の何に関する統括者なのかということをわかりやすく示す意味でも、こうしたグローバル企業と関わっていく可能性が高い場合にはCxOを置くと良いといえます。
まとめ
CxOについて、意味や主な役職、導入のメリットなどをご紹介してきました。
業種によってはまだ国内で浸透しきっていないCxOという役職や呼称ですが、さまざまな設置メリットがあり、今後導入の流れは加速するかもしれません。起業をお考えの方は、CxO制度を取り入れることを一度検討すると良いのではないでしょうか。
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