売上方程式――3年で7割が廃業する中で生き残るための考え方
売上を可視化するために ~顧客数・購入回数・客単価の関係~
(2015/05/14更新)
突然ですが、「売上」を絵に描けますか?
売上には形がありません。なので、経営者は売上を目に見えるようにしなければなりません。
明確な形がないと従業員は何をしたらよいのかわからなくなります。そんな従業員には仕事を任せることはできません。
すると、社長だけが忙しく一生懸命働かなくてはならなくなり、社長は疲れ果て、社長のご家族はどんどん不幸になります。
そんな会社を見たくないから、ものが見えている従業員ほど、どんどん去っていく。社長はさらに忙しくなる。
これは1人で経営している場合も同じです。
実は、創業3年目で7割が廃業するといわれています。
どんなにあなたに「強い想い」があっても、寝食を忘れるほど「好きなこと」を仕事にしていても、売上が見えていなければ、3年後には7割の方に入ってしまいます。
だからこそ、今回は、売上を目に見えるようにするための考え方を紹介します。
この記事の目次
なぜ売上が上がらないのか?
売上を見えるようにするためには、売上方程式という考え方が有効です。
- 売上=顧客数×購入回数×客単価
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- 顧客数=1度でも買ったことがある人の数
- 購入回数=顧客が購入する平均回数
- 客単価=その顧客が1回のお買い上げの平均金額
あなたはこの数値を今ここで、何も見ずに答えられますか?
きちんと測定していますか?
あなたはこう言うかもしれません。
「売上に関しては大体のことはわかっている。経営者なのだから」と。
人は見たいものを見、見たくないものを見ないものです。
あなたが悲観的なら、悲観的。あなたが楽観的なら、楽観的なものしか見えていません。
だからきちんと測定するべきです。そして、自ら計算することで初めて、売上を高めるアイデアが見えてきます。
ではどうやって測定するのか、順に説明していきます。
顧客数を上げる
江戸時代、商店が火事になったとき真っ先に持ちだすのが大福帳でした。
大福帳とは顧客ごとの売掛台帳で、これさえあれば、今まで築き上げてきた信頼と、回収した代金を元手に再び次の商売が始められます。
そのため、井戸に放り込んで火から守り、鎮火したらこれを引き上げて使えるように耐水性に優れた紙でできています。
昔から商売では顧客は宝でした。そして今もそうなのです。
あなたは顧客リストを作っているでしょうか。都度更新しているでしょうか。忘れている顧客はいないでしょうか。
顧客がゼロなら、顧客リストを持っている人とパートナーを組むべきです。
顧客数が十分になったら、次はその方々に何度も買ってもらえばよいのです。
購入回数を上げる
どうすれば購入回数を高めることができるのでしょう。答えは簡単です。
- 次に買ってもらえる商品を用意する。
- 「次も買ってください」と言う。
この2つだけです。
顧客があなたの商品やサービスを気に入ってくれたなら「はい」と言ってもらえます。
「いいえ」と言われたら、理由を聞くべきです。
言われたことを集めて改善すれば、次の顧客はリピートしてくれる可能性が高くなります。
顧客がお茶を濁すようなことを言ったらあなたの会社を気に入っていない可能性があります。
もしくはお金がない可能性の、どちらかしかありません。
顧客の多くははっきりものを言いません。
全身の皮膚を敏感にして、相手の気持ちを感じてください。
はじめはよくわからなくても、真剣に顧客の幸せや満足を願っていれば、早いうちにわかるようになるはずです。
ただ一つ、気をつけてもらいたいことがあります。
顧客の好き嫌いをはっきり持つ必要があるということです。
相思相愛でない顧客に決して振り回されてはいけません。
リスクの高い創業をせっかくしたのだから、楽しく仕事しましょう。
客単価を上げる
客単価を上げる方法は2つあります。
1.関連販売
皆さんは、肉屋では焼き肉のたれ、八百屋ではドレッシングを売っているのを意識したことはありますか?
調理法の提案で、関連商品を置くことで売上額のアップを図っているのです。
皆さんの商品の関連商品、関連サービスはなんでしょう?
2.値上げ
牛丼の松屋が値上げした時のことを覚えていますか?
値上げには勇気がいります。ですが、やる価値は十分にあります。
一方、値下げに勇気はいりません。
一時的に顧客からは喜ばれ、あなたはヒーローになれます。
しかし値下げは企業の命を削るカンナです。
あなたの会社が営業利益10%の会社で売上を100万円として、他が変わらなければ、全商品を20%値引きすると、10万円の赤字になります。
一方、全商品を20%値上げすると30万円の増益になります。
値引きの恐ろしさを知って頂くために書かせて頂きました。
もちろん、値上げが簡単でないこと、数式通りにならないことは百も承知です。
多くの顧客と話して、単価アップの方法を探ってほしいと思います。
以上が売上方程式の説明です。
さて、最後に最も大切なことを言います。
売上を上げるには順序がある
売上方程式は、上げるべき順に記載しています。
1.顧客数
前回の集客方程式と同様、売上アップも確率です。
なので、少ない顧客からの意見では正確なデータは出てきません。まずはここを増やす努力をすべきです。
2.購入回数
顧客数が少ない中、購入回数を上げる努力をしても、なかなか報われません。
同じ努力をするなら、より売上がアップする状況を作ってからが望ましいです。
3.客単価
もっと注意しなければいけないのは、客単価アップのタイミングです。
客単価を上げれば、少なからず顧客が減少し、購入回数が低下するからです。
最後に、繰り返しますが、売上アップで最も大切なのはまず顧客数を上げる行動です。
顧客数を上げるためにどうすればよいか。
その解決方法は、集客方程式を理解し、実行に移しましょう。
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(監修:アウェイク事務所 代表プロデューサー 菅原 齋(かんばら さい) )
(編集:創業手帳編集部)