タブソリューション エルデネトグトフ・トゥブシンバト|外国人雇用をDXで問題解決に挑む、モンゴル人社長の発想からビジネス成功のヒントを学ぶ
外国人労働者の雇用に立ちはだかる壁?!採用管理から労務管理、不法就労問題をクリアにするマッチングアプリとは
労働力不足の日本で、外国人労働者を雇用するためには、採用管理や労務管理の問題、不法就労の心配などがあり、なかなか踏み出せない経営者も多いのではないでしょうか。
タブソリューション株式会社の代表者エルデネトグトフ・トゥブシンバト氏(以下、バト氏)は、日本における外国人労働者のマッチングプラットフォームを運営しています。
不法就労防止対策や、外国人労働者の採用管理や労務管理が一括して行えるアプリを開発したバト氏に、日本における外国人労働者起用の問題点や課題を踏まえて事業内容を語っていただきました。
モンゴル出身。来日後、一橋大学を卒業し楽天でエンジニアとして働いた経験をもとにタブソリューション株式会社を創業。日本の外国人労働者の雇用問題に着眼し、外国人求職者と求人企業のマッチングプラットフォームを提供している。
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この記事の目次
外国人雇用の高い壁を打破!雇用や管理を簡単・安心・クリアに
代表のバト氏は2010年にモンゴルから来日し、1年間の日本語学校での日本語習得を経て、一橋大学で学び、楽天での就業経験もあるエンジニアです。
起業したタブソリューションでも、システムの受託開発を行いながら、日本での成功を夢見る外国人留学生や在留外国人と、彼らの採用~雇用を不安なく行いたい日本企業双方のニーズに応えるプロダクトを、自ら開発しました。
2017年に創業したタブソリューション株式会社のミッションは、日本が大好きな外国人のJapanese Dreamの実現を応援するプラットフォームの構築と、そのコミュニティで日本と世界を元気にすること。
現在、開発・運営するプロダクトは2つあり、1つは外国人求職者と日本の求人企業のマッチングプラットフォームで、採用管理から労務管理まで一貫してサポートできる「JOB&WORK」。もう1つは、不法就労防止のために在留カードの真偽を最短10秒で判定するアプリ「ロムテン」です。
外国人登録数1万人の、労務管理機能付きマッチングアプリ「JOB&WORK」
人材のマッチング機能としては、1日だけのデイワークから短期・長期アルバイト採用、日本の大学・専門学校を卒業ないし卒業予定の優秀層をターゲットとした正社員採用まで、あらゆる雇用形態で募集が可能です。
特に、外国人のデイワークマッチングアプリは現在唯一のプロダクトであり、サービス開始から多くの日本企業に活用されてきました。登録している外国人は留学生がメインで、バト氏とおなじエンジニアの専門家も少なくありません。現在登録社数は約1万人と、幅広い国籍の留学生や在留外国人に利用されています。
日本の商習慣を知っている外国人だからこそ実装し、他のサービスとの差別化ポイントとなっているのが、外国人に特化した労務管理機能や、100カ国以上の言語に対応した自動翻訳システム付きのチャット機能です。
これらにより、導入企業は労務管理の時間とコストを削減し、ミスコミュニケーションも削減できるのです。また、デイワークにおいて給与の自動計算が可能で、セブン銀行の即時振込サービスとの連携で、すぐに給与を支払うことも可能です。
雇用主と雇用者の信頼関係を築く、在留カードの真偽判定機能「ロムテン」
現在は独立したプロダクトとなっている「ロムテン」の在留カードの真偽判定機能は、もともとは「JOB&WORK」の機能の一つでした。その間の2020年5月~9月までの利用実績だけで、4000件もの在留カード確認を行っており、10秒以内に信頼できる情報を提示するエビデンスが得られています。
この機能を独立させたのは、利用企業より「JOB&WORK」以外のルートで採用した外国人に関しても、同様に不安なく採用につなげたいという声が多数聞かれたからでした。
在留カードによる本人確認および在留資格の種類・期限、就労許可の確認というのは、出入国在留管理庁のサイトで番号から失効照会を行う方法がとられますが、実存する番号で偽造されていた場合は、この方法では見抜けません。
また、偽造カードの精度が高まり、目視では判別が難しくもなっています。さらに、在留カードとともに本人確認書類として添付される教育機関の学生証や保険証、住民票といったものまで合わせて偽造するというケースも出てきており、外国人を積極的に採用したい企業にとって大きな課題となっていました。
不法就労を助けたとされる雇用主は、不法就労助長罪に問われると3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が課せられるリスクもあり、採用企業としては、この在留カードの真偽判定には大いにニーズがあったわけです。
「ロムテン」は、在留カードのICチップ情報をその場で読み取り、出入国在留管理庁に登録されている情報と比較することで、真偽を判定する仕組みです。カード自体の精度が高くても、これなら、より適正な真偽判定が可能。
これにより、企業側は安心して外国人を雇用でき、提示した外国人自身も疑われることなく、自信を持ってその職場で働くことができます。
そうして、日本の雇用主と外国人スタッフの健全な雇用関係が実現できるというわけで、まさに日本が大好きな外国人のJapanese Dreamの実現を応援するプラットフォームとなっています。
労働力不足解消!外国人の雇用管理が完全リモートに?!
「JOB&WORK」はこれまで日本在住の外国人をユーザーとしてきましたが、コロナ禍で日本でも大企業を中心に一気にリモートワークの普及・浸透が進んだこともあり、リモートワークという就業形態にまでターゲットを広げることを検討中です。
そうすれば、日本で留学や就業経験があり、今は帰国していたり、第三国に在住している外国人人材が、システム開発などの日本の仕事に従事するケースにも対応することができます。
そうした潜在ニーズもあると見込んでおり、アクセスしやすいプラットフォームが整備されることで、潜在層の掘り起こしにつながればと期待しています。法的問題の有無を検討の後、そのあたりのサービス拡充にも今後注力していきたいと考えています。
さらに「JOB&WORK」は、2020年10月には大手コンビニエンスストアで実証実験をスタートさせ、外国人人材に期待する日本企業のニーズに応え、事例を集めていきたいと考えています。
また、外国人の本人確認サービス部分をAPI化して、オンラインでの本人確認(eKYC)ツールとして展開するプロジェクトも進行中です。
多くの外国人のJapanese Dreamを後押しするバト氏の取り組みや今後の事業展開は、人材不足に苦しむ日本の起業家にとって切り離せないものになるでしょう。
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(編集:創業手帳編集部)