日南市で﨑田市長にインタビューしてきました! -九州縦断 起業を学ぶ自転車旅②-

創業手帳

創業手帳インターン青野による、自転車での九州縦断レポート<日南市編>

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(2015/05/14更新)

皆さんこんにちは!創業手帳インターンの青野です。記事『都道府県別の起業家数を調べてみた』を読み、九州が起業のアツいエリアだと知った私は、居ても立っても居られず、相棒のロードバイク「ADDICT30」を従え九州取材の旅に出ました。1日目、夏日の宮崎市内を周り、そのアツい起業支援を取材した私は、次にプロ野球のキャンプ地でお馴染み・日南市の起業支援を余すことなく取材すべく、海岸線を自転車でひた走ります!

バックナンバー:注目の起業エリア・宮崎市を取材してきました!<宮崎市編>

見渡せば海! 観光や気分転換に最適な日南市

宮崎市から日南市までは、海に面した「日南海岸ロードパーク」を通ります。この道が良くて、右手にヤシの葉がそよぐ音、左手に海の香りを感じながら、南国リゾートさながらの美しい景色を楽しめます。傾斜も緩やかで、自転車でのサイクリングから車でのツーリングまで、誰もが気持ちよく走れます。

日南海岸ロードパーク

日南海岸ロードパーク

海岸線のように適度な起伏のある道を自転車で走ると、自然と頭の中のモヤモヤが整理されて、驚くほどいろいろな考えが浮かんできます。観光はもちろん、「日常の雑念を取り払い、ピュアな気持ちで物事に取り組みたい」「頭をリセットして、インプットの質を高めたい」そんなプロのニーズにも応えてくれる日南市。プロ野球球団がキャンプをはるのもうなずけますね。

若き実力派市長:﨑田恭平氏

﨑田恭平市長は2013年、当時全国で2番目に若い市長として、33歳で日南市政のトップを任されました。﨑田市長は、日南市の起業支援をどのようにお考えなのか、お話を伺いました。

日南市長 﨑田恭平氏

日南市長 﨑田恭平氏

「地方では一般的に、大企業の工場を積極的に誘致していて、それが地域雇用の創出につながっています。それは日南市も同じですが、それだけでは、工場が海外や他県に移った際、多くの雇用が失われてしまいます。そうではなくて、『日南市の豊かな資源を生かした起業や創業』という切り口を加味することで、より大きな地域の活力を生み出していく。それが日南市のコンセプトです。

日南市で新たなチャレンジをしたい!そんな人たちを応援すべく、日南市では『マーケティング推進室』主導の様々な起業支援がなされています。先日は、公設としては日本初の、国登録有形文化財で仕事ができる『油津赤レンガ館コワーキングスペース』がオープンしたばかりです。詳しい説明は後ほど行いますが、いずれも今までの市の創業支援にはなかった取り組みです。」

﨑田市長と市長室にて

﨑田市長と市長室にて

﨑田市長によると、地域での起業を語る上では、「人材育成」というポイントを忘れてはいけないそうです。地方では、働きたくても働けない、パートで働いても十分な収入が得られない人々がたくさんいます。例えば、子育てママなど。そんな人々に、新しい働き方を見つけられるだけのキャリアを身に着けてもらう、その上で、独立や起業を志すのであれば、それを全力でサポートする。そんな未来図のもと、日南市の起業支援は行われているそうです。

日南市はまた、外部のベンチャー企業と地域の魅力のコラボレーションによって新しい活力を生むために、インキュベーション施設も運営しているそうです。それが実を結んだ例が、日南市の日南市漁協婦人部と、入居企業のWEB制作会社「ティーネットプロ」とのコラボレーションによって実現した、漁協女性部が作ったカツオの加工品のリブランディング。地域の特産品の魅力と、企業の「魅せる」ノウハウが組み合わさることで、用意した商品がすぐに完売するなど、目に見えた効果が出ているそうです。内部の起業家育成だけでなく、外部の起業家を上手く活用するというコンセプトがいいですね。

今年度で3年目を迎える﨑田市長。今後日南市でどんな素晴らしい取り組みがなされるのか、楽しみです。

ベンチャー企業並みの行動力!:日南市マーケティング推進室

「お役所仕事」という言葉があるように、行政には「不親切」「非行動的」といったレッテルが貼られがちだと思います。しかし、日南市はそんなことはありません!地域にとって良いと思ったことはとにかくやってみる。そんなベンチャースピリットあふれる行政、その名も「ベンチャー行政」の代表格が、日南市役所マーケティング推進室の皆さんです。今回は、マーケティング推進室の重永さんにお話を伺いました。

マーケティング推進室の重永さん

マーケティング推進室の重永さん

 

マーケティング推進室のモットーは、「日南市だけでできないことはできる誰かと組む」だそうです。事実、NPO法人「まちづくりGIFT」やクラウドファンディングサイト「FAAVO宮崎」とコラボし、日南市の名産「飫肥杉」を世界中に広めるプロジェクトを行ったり、雇用を生み出す仕掛けとして、クラウドソーシングサービスを運営する「クラウドワークス」とコラボしてクラウドソーシングの普及活動を行ったりと、これまでにたくさんの企業とコラボレーション企画を行われています。民間の良いところと、行政の良いところの両方を組み合わせて、よりよいプランを生み出しているのですね。しかも、それらが行政とは思えない驚きのスピード感で行われています。

マーケティング推進室の皆さんと

マーケティング推進室の皆さんと

マーケティング推進室の驚きの意思決定力を物語るエピソードが、取材中にもありました。日南市の起業のシンボル「油津赤レンガ館コワーキングスペース」の説明を受ける中で、私はあるアイデアを思いつきました。「あのー、創業手帳と赤レンガ館コワーキングがコラボしたら、〇〇が出来るとおもうんですけど…。」マーケティング推進室の高橋さんは、「いいですねー!やってみましょう!」と即答。さらに重永さん、「手ならいくらでも貸しますよ!」。市にとって良いと思えば、すぐにOKサインがでる。そんなベンチャー企業顔負けの行動力に度肝を抜かれました。

「行政はお堅いところ」というステレオタイプをお持ちの皆さん、全国には日南市のようなすごい行政もあるんですよ!

起業ができる文化財:油津赤レンガ館コワーキングスペース

油津赤レンガ館コワーキング

油津赤レンガ館コワーキング

﨑田市長のお話にもありましたが、企業の生産活動が海外に移ったり、機械化が進んだりするなか、企業誘致による雇用創出が難しくなってきています。「ならば、「会社を興す」ことで地域に新しい雇用を生み出そう。」そんな市政のもと、「企業誘致」ならぬ「起業誘致」の拠点として平成26年11月に設立されたのが、日本初の公設コワーキングスペース「油津赤レンガ館コワーキングスペース」です。

日南市はその昔、海運業の一大拠点として賑わっていて、特に油津港には物資の保管のための赤レンガ倉庫が広がっていたそうです。そんな歴史の代弁者として、この施設は国登録の有形文化財にも指定されています。つまり、「有形文化財をオフィスにできる」ということです。東京では、「丸の内」や「青山」「銀座」といったエリアブランドを活用した起業が多いですが、「文化財オフィス」というブランドも魅力的ですよね。

国の登録有形文化財です!

国の登録有形文化財です!

起業家だけでなく、地域の事情によって様々な人々に門戸が開かれているのも、油津赤レンガコワーキングスペースの特徴です。その代表例が、子育て中の女性など「働きたいのに働けない」人々を対象にしたウェブライタープロジェクトです。これは宮崎市のIT企業「株式会社アラタナ」とのコラボで行われています。ウェブライターとしての活動を契機に、最終的には子育てママが自立したキャリアを歩めるような支援体制を整えていくそうです。日南市の歴史を支えてきた赤レンガ倉庫から、日南市の未来を担う新しい人々が輩出されたら、こんなに素敵なことはありませんよね。

横浜でも函館でもなく、日南市の赤レンガ。今後とも大注目です。

おまけ:日南市の美味しい話

日南市では、チョウザメの養殖も行なわれています。もちろん、世界三大珍味の一つ「キャビア」を取るためですが、日南市内のレストランではチョウザメそのものを食べることもできます。キャビアはともかく、チョウザメとはいかなるお味なのか、レポートしたいと思います。

お昼時、日南市の重永さんに連れられ向かったのは、油津商店街の一角にある「ABURATSU COFFEE」。ここの人気メニューが、チョウザメのフライを使った『チョウザメフライカレー』です。独自ブレンドのカレールーとチョウザメの相性がバツグンとのことですが、そもそもチョウザメって美味しいのだろうか?

オススメのチョウザメフライカレー

オススメのチョウザメフライカレー

半信半疑で一口。「美味い-!」最初はエイのような独特のクセを想像していたのですが、全然そんなことありません。味は白身魚のように淡泊で、魚とは違う独特の弾力があります。味にクセがない分、スパイシーなカレーにめちゃくちゃよく合います!また、日南市にはチョウザメを使った「ロイヤルホットドッグ」なる食べ物もあるそうです。どこがどうロイヤルなのか、ものすごく気になりますね。

市民の憩いの場:ABURATSU COFFEE

市民の憩いの場:ABURATSU COFFEE

「ABURATSU COFFEE」は、市の商店街活性化計画の一環として、かつてあった喫茶店を復活させた店舗だそうです。日南市の人々の愛で生まれ変わった喫茶店、日南市に行ったら立ち寄ってほしいお店です。

(創業手帳編集部:青野)

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