スタートアップの初めてのピッチコンテスト 魅力的なスピーチの作り方
短い時間で効果的なスピーチをするためのポイントとは
(2020/04/03更新)
ピッチコンテストを見たことはあっても、自分が登壇することを考えたことはありますか。
スタートアップやベンチャーにとって、ピッチコンテストは会社の知名度を上げ資金調達につなげる非常に有効な手段です。聴衆でいるだけではもったいないです。今年はぜひ自分が登壇することを考えてみてはいかがでしょうか。
今回は、印象に残るスピーチのためのコツをお伝えします。
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この記事の目次
ピッチコンテストとは? プレゼンテーションとはどう違う
ピッチコンテストとは「ピッチイベント」と呼ばれる催し物の1つです。
ピッチイベントは、短い時間の中で自社の経営理念や商品サービスを紹介するもので、登壇する人はスタートアップやベンチャー企業所属であることがほとんどです。
自社の魅力や将来性についてアピールすることにより、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの資金提供を募る意味合いが強く、成功すれば起業や新規事業立ち上げの際の大きな助けとなります。
ピッチコンテストは、こうしたピッチイベントに賞レースとしての側面を加えたものです。
複数の企業が登壇してアピール合戦を行い、入賞すると多額の資金提供が行われるというシステムのイベントことを一般的にピッチコンテストと呼んでいます。
プレゼンテーションと異なるのは、登壇者がスタートアップやベンチャー企業メインであるということと、経営資金獲得や広報のために行うものという点にあるでしょう。
「相手に伝え、理解を得て、行動してもらう」という点においてはプレゼンテーションもピッチコンテストも同様ですが、あくまでも「会社の経営資金を得るために競い合うもの」という意味合いが強いピッチコンテストは、プレゼンテーションとは目的が違うことが分かりますね。
また、同じテーマや題材を決めた上で最も優れた案を選ぶコンペとも異なり、登壇者それぞれが自分たちについての魅力を語るのも特徴です。
初めてピッチコンテストに登壇! 何を話す?
初めてピッチコンテストに登壇することになった際、最も迷うのは「何を話すか」ということではないでしょうか。
内容を決める上で考えておかなくてはならないのは、内容の根幹となるテーマやピッチコンテストに出る目的、誰に向けて話をしたいか、ということについてです。
テーマの決め方
まず、それぞれのピッチイベントやピッチコンテストごとにテーマが決まっているものがあるということを知っておきましょう。医療や福祉、地域経済からグローバル経済、テクノロジーやITなど、イベントによって特色があるのです。
中にはテーマが決まっておらず自由に設定できるイベントもあります。しかし、イベントのテーマがあることで、観客もそのテーマに関連した人が必然的に多くなります。自社に沿ったイベントテーマがあれば、それを選ぶほうが高い効果が期待できます。
実際に話す内容は、自分が何を一番アピールしたいかによって決めましょう。経営マインドを推してもいいし、商品の紹介のみに徹しても構いません。短い時間で印象に残るためには情報を絞るのが大切です。
もしスピーチ時間が1分だけしかなかったら何を言いたいか、という極論で考えてみましょう。自分たちの強みやテーマが浮かびやすくなるかもしれません。
目的は何か(広報、資金調達など)
自分が何を目的としてピッチコンテストに出場するかを明確にしておくことは、ぶれないスピーチのために欠かせません。
最も多いのは、資金調達を目的とした出場です。最終的にいくら欲しいのかという明確な金額や、何に使用するのかということを考えておきましょう。
どんな資源を得るのか、どんな成果を生み出すのかという具体的なゴールまで明らかにしておくと、聞き手のイメージもつきやすいでしょう。
また、営業や広報を目的としている人も多くいます。自社の商品サービスを魅力的にアピールすることによって、ピッチコンテストの場で顧客が増えるということもあるのです。
提供会社と顧客という関係性になることもあれば、ビジネスパートナーとして同じ商品サービスを作る関係性に発展することもあります。人脈を広げるという点でも、有効です。
他にも、ピッチコンテストにより新しく優秀な人材を確保するケースもあります。
ピッチコンテストで優勝すれば自ずと露出が増え、業界内外で話題になる機会が増えます。経営理念に共感してくれた人材から面接の希望が来たり、逆にヘッドハンティングしやすくなるといった作用が生まれるかもしれません。
誰に向けて話す?→観客はどんな層か
ピッチイベントに登壇する際に、「誰に向けて話すか」というのも非常に重要なポイントです。ピッチイベントの聞き手である観客はどんな層の人たちが多いのかということを常に意識しておきましょう。
そのイベントごとに観客層は分かれますが、主に経営者・会社役員・ベンチャーキャピタル、個人投資家といった面々が多いです。当然それぞれのバックグラウンドは異なりますし、資金力や得意分野もバラバラです。
中には企業の新規事業立案の担当者やシステムエンジニア、広告代理店、マスコミなどのメディアが来ていることもあるので、自分が特に訴えたい層の多いピッチコンテストにエントリーするのも手でしょう。
すべての人を納得、共感させようとするのは現実的ではありません。大きなイベントであれば1,500人くらいの観客がいるからこそ、どの層に訴えかけたいかという点について考えておくことが重要なのです。
魅力的なスピーチの仕方
魅力的なスピーチに欠かせないのは、投影スライドをはじめとした前段階での準備でしょう。自社の商品サービスがなぜ良いのかというポイントを、できれば数値などわかりやすい指標を交えて作ります。
市場全体が延びている、自社が特許を持っている、競合に負けない要素がある、この分野で何年継続して利益率を上げているなど、観客を納得させるに足る理由が必要です。
また、1スライド1ポイント程度のメッセージ性におさまるような、完結で分かりやすい資料にします。アピールをしたいという気持ちが先走るあまりごちゃごちゃした内容にならないよう整理し、スピーチを聞き終わった時に観客の記憶に残るポイントが5~7点程度にするのが理想です。
観客は1回のピッチコンテストで複数の会社の話を聞くことが多いので、情報を詰め込みすぎるのは逆効果になってしまいます。
また、設定された時間の中で盛り上がりを作れるよう、時間配分やアニメーションの作成にも気を配りましょう。人前で話すのに自信がない人は原稿メモを基に、何度か練習をしましょう。
まとめ
ここまで読んで、やはりピッチコンテストに登壇するのは大変そうだと思ったかもしれません。
確かに、ピッチコンテストは、順位付けが行われるということもあり、出場者の全員がピッチイベント以上に徹底的な対策を打ってきます。
会社の知名度を上げ、商品サービスや理念に共感してもらい、資金調達や広報のために有効な結果が得られるよう、前準備にある程度の時間がかかるのは仕方ありません。
しかしその時間を費やすだけの価値があるのがピッチコンテストと言えます。社内外含め多方面からの注目を浴びる絶好の機会ですから、検討してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)