YouTube広告の出し方とは?初心者が知っておきたい広告の種類や予算、注意点
YouTube広告を始めたいけれど手間やコストが心配な方へ、広告の種類や予算の目安、必要な準備を解説
ネット広告の中でも、今大きく伸びているのが動画広告。「2022年から2025年の3年間で市場規模が2倍に伸び1兆円を超える」という予測もあり、今後も成長が期待されています。こうした中、世界最大の動画プラットフォームであるYouTubeへ広告を載せる「YouTube広告」に注力する企業も増えてきました。
とはいえ、これからYouTube広告を始めるとなると「YouTube広告を出すためにどんな準備をすればいいか、費用はいくらかかるのか」という心配もあるのではないでしょうか。
そこでこれからYouTube広告を検討する方に向けて、YouTube広告の種類や出し方、費用の目安についてお伝えします。
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この記事の目次
YouTube広告の種類
YouTube広告とは、YouTubeサイト(またはGoogleの提携しているサイト)に掲載できる動画広告のこと。TVCMのように、ユーザーがYouTube動画を視聴する間に表示される動画広告が一般的ですが、それ以外にもさまざまな種類があります。
これからYouTube広告を始めたいという場合は、まずYouTube広告の基本と言える3種類で検討することをおすすめします。
YouTube広告の基本となる3種類
スキップできるインストリーム広告
インストリーム広告は最もベーシックなYouTube広告で、YouTube動画の再生前や再生中に表示されます。
「スキップできる」というのは、興味がなければユーザーが広告を飛ばせる(スキップできる)という意味で、動画内にスキップボタンが表示されます。ユーザーがスキップした後は広告は表示されませんが、その分は課金されません。
ただしスキップ可能とはいえ、広告開始から5秒間はユーザー側でのスキップができません。つまり最低5秒はユーザーに広告を見せることができるというわけです。そのため、まず多くのユーザーへ広告を露出して認知を広げたい場合に適しています。
スキップできないインストリーム広告
動画の再生前・再生中に表示されるインストリーム広告には、ユーザー側でスキップできないタイプもあります。
このタイプは最大15秒の動画広告を、最後までユーザーに見せることができます。そのため、伝えたいメッセージをユーザーにしっかり伝えられる点がメリット。そのため具体的な商品紹介やストーリー仕立ての広告に適しています。
一方でスキップできないため、内容に関心のないユーザーにとってはストレスを感じやすい特徴もあります。これによって、ユーザーにマイナスイメージを持たれてしまうリスクもあります。
なおYouTubeでは、2023年5月に最大30秒のスキップできないインストリーム広告を始めることを表明しました(※2023年7月時点で、日本での開始時期は未定)。大型テレビでYouTubeを視聴するユーザーが増えていることから、TVCMに近い長時間の動画広告を増やす方針なのかもしれません。
バンパー広告
バンパー広告はスキップボタンが表示されず、YouTube動画の再生前・再生中に表示されるタイプのYouTube広告。「スキップできないインストリーム広告」と同じに見えますが、バンパー広告は、広告の長さが6秒までという点が大きな違いです。
最近の動画広告は、短い時間のものがトレンドと言われています。長時間の動画広告はどうしてもユーザーがストレスを感じやすく、短時間でコンパクトにまとめた動画広告のほうがむしろ効果的という説もあります。
基本以外のYouTube広告の種類
YouTube広告には基本の3種類以外にも、さまざまな形式があります。バリエーションが豊富なのも、YouTube広告の特徴です。
インフィード広告
YouTube動画内に表示されるのではなく、関連動画や検索結果のエリアに掲載できる広告がインフィード広告です。ユーザーがクリックしなければ、動画広告は再生されません。Googleの検索結果に表示されるリスティング広告に近いタイプと言えるでしょう。
マストヘッド広告
YouTubeサイトのトップページに掲載できる広告。トップページに表示されるためより広範囲のユーザーへ露出できます。ただし、ターゲティングができないというデメリットもあります。
YouTube広告を出すメリット
YouTube広告を中心とした動画広告の市場規模が拡大しているのは、さまざまなメリットがあるからです。YouTube広告を始めるにあたって、まずは4つのメリットを知っておきましょう。
リーチできるユーザー数が圧倒的に多い
YouTubeによれば、国内のYouTube利用者数は月間6.500万人以上。この数字はTwitterやFacebookといったSNSよりも多く、YouTube広告なら幅広いユーザーにリーチできるというメリットがあります。
またYouTube広告では、スキップ可能なインストリーム広告であっても最低5秒間はユーザー側でスキップできません。数秒という短時間ではありますが、多くのユーザーに広告を露出できるというメリットもあります。
より多くのメッセージを伝えられる
動画は文字や画像よりも多くの情報量があると言われています。つまり通常のテキスト広告やバナー広告と比べて、YouTube広告なら数秒という短い動画でも伝えたいメッセージをより多く含めることができます。
ユーザーの属性を絞り込んで広告配信ができる
YouTube広告では、年代や性別、地域といったユーザー属性のほか、ユーザーの興味・関心事などで絞り込んで配信することが可能です。求めるターゲットに絞って広告配信できるため、無駄な広告費がかからないというメリットがあります。
例えば「男性向け動画広告」「女性向け動画広告」というように、ターゲットの属性ごとに広告内容を変えて配信することもできます。実際にある結婚相談所のケースでは、性別や年代ごとに異なる動画広告を制作して配信するという取り組みを行っています。
リマーケティングができる
リマーケティングとは、自社や自社プロダクトのことを知っていたり関心があったりするユーザーへ、再度広告を配信してアプローチする手法です。リマーケティングのメリットは、いわゆる「見込み客」へ再アプローチできるため、購入率の高いユーザーにアプローチできる点。ECサイトなどで、よく利用される広告手法です。
YouTube広告のリマーケティングでは、自社のYouTubeチャンネルと連携できる点が大きな特徴です。例えば、「自社の動画を見たことのあるユーザー」「自社のチャンネルを登録しているユーザー」といった見込み客へYouTube広告を配信できるというわけです。
ただし広告の種類によっては、リマーケティングできない場合があります。基本的なYouTube広告3種類のうち、リマーケティングができるのは「インストリーム広告(スキップ可能)」のみとなっています。
YouTube広告をはじめるには、どのくらい費用が必要?
YouTube広告を検討する上で、最も気になるのが費用ではないでしょうか。YouTube広告を始める場合、以下の3つのコストが想定されます。
YouTube広告の掲載費用
YouTubeでは、広告の種類や動画の内容などによって費用が変わります。主な広告の課金単位と、単位あたりの費用(目安)は以下の表を参考にしてみてください。
広告の種類ごとの課金単位と費用(目安)
課金の単位 | 単位あたりの費用(目安) | |
---|---|---|
スキップできるインストリーム広告 | 30秒以上表示またはクリック数 | 2円~25円 |
スキップできないインストリーム広告 | 表示数(表示1,000回あたり課金) | 500円前後 |
バンパー広告 | 表示数(表示1,000回あたり課金) | 500円前後 |
インフィード広告 | クリック数 | 3円~20円 |
マストヘッド広告 | 表示数(表示1,000回あたり課金) | 1日で数百万円になることも |
YouTube広告はリスティング広告と同じく、1日あたり・1か月あたりの予算上限を設定できます。そのため、事前に決めた予算内で広告費を運用することが可能。例えば1日の予算を1,000円にした場合、月間約3万円の予算で運用することになります。
YouTube広告を始める場合、「まずは少ない予算で様子を見たい」という方も多いかもしれません。ただし予算が少なすぎると広告視聴数も少なくなり、分析できるだけのデータが集まらないという問題が起こります。
まずはある程度の視聴数が稼げるような予算を組みましょう。目安として月間5~10万円程度は、YouTube広告の掲載費として見込んでおきたいところです。
YouTube広告に載せる動画の制作費用
動画広告を制作する場合、通常の動画と違って「最初の5秒間でいかに訴求するか」「音声オン・オフのどちらでも伝わるようになっているか」というようにいくつか広告ならではのポイントがあります。こうしたノウハウが必要なため、動画広告の制作は外部へ委託するケースが一般的です。
外部へ動画広告の制作を委託するとなると、当然ながら制作費を予算として見ておく必要があります。動画の内容や長さ、どこまで依頼するかによって製作費は変わりますが、安くて10~20万円程度、高ければ100~150万円程度かかります。
YouTube広告の運用代行を委託する費用
YouTube広告を効率よく運用して効果を上げるため、外部の代理店などに運用代行を依頼するケースもあります。代理店に依頼すれば、YouTube広告に関わる作業を代行してもらえる他、効果測定や予算管理、レポート作成、改善提案なども行ってくれるところもあります。
「手間がかからない」「プロにアドバイスがもらえる」といったメリットはありますが、やはり費用がかかります。運用代行にかかる費用は代理店によって異なり、月額5~10万円という固定制のケースもあれば、掲載費用の20%という変動制のケースもあります。
「社内でリソースが足りずYouTube広告の運用が難しい」「まずは専門家に委託して短期間で効果を上げたい」という場合は、運用代行費用も予算として見ておく必要があります。
YouTube広告を出すために準備すべきこと
YouTube広告を出すにあたって、まず準備を行いましょう。ここではYouTube広告を出す上で欠かせない3つの準備を紹介します。
Google広告アカウントを用意する
YouTube広告はGoogle広告の一種のため、YouTube広告の出稿手続きをするには、Google広告アカウントが必要となります。まだ持っていない場合は、あらかじめGoogle広告のアカウントを取得しておきましょう。
広告として使いたい動画を用意して、YouTube内にアップロードしておく
広告用に制作した動画は、一旦自社チャンネルのYouTube内にアップロードしておく必要があります。なおこの時点で、チャンネル上で動画広告を公開しても問題ありません。
YouTube広告の設定内容を決めておく
YouTube広告には様々な設定項目があります。あらかじめどのような設定内容にするか決めておくとスムーズに出稿できます。
YouTube広告をクリックしたときのリンク先
動画や説明をユーザーがクリックしたときのリンク先を決めておきましょう。リンク先は、動画の内容とリンクしている必要があります。
YouTube広告の種類
どの種類のYouTube広告で載せるのか、事前に決めておきます。種類によって必要な動画の長さは変わってきますので、できるだけ早い段階で決めておきたいところです。
YouTube広告を表示したいターゲット(地域、属性など)
細かくターゲティングできるのが、YouTube広告のメリット。どんなユーザーにリーチしたいのか目的とあわせてターゲットも明確にしておくと、効果が出やすくなります。
YouTube広告の予算と掲載期間
1日当たりの予算と掲載期間を決めておきます。なおYouTube広告では設定してから実際に掲載されるまで数日かかる場合があります。そのため余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
こうした準備が整っていれば、あとは「Google広告」の画面に沿って設定するだけです。設定完了後YouTube側で動画内容や設定の審査が行われ、審査通過後にYouTube広告がスタートします。
YouTube広告を始める上での注意点
YouTube広告を始めるにあたって気をつけるポイントはいろいろとありますが、まず準備する上で、2つのポイントはおさえておきたいところです。
目的に合わせた広告の種類を選ぶ
さまざまな種類のあるYouTube広告。種類によってメリット・デメリットは異なります。そのため、目的に合わせてYouTube広告の種類を選択することが重要です。
動画のリンク先となるランディングページをチェックする
YouTube広告を始めるとなると、どうしても動画制作に意識が向きがちです。しかし実は広告のリンク先となる、ランディングページも重要な要素。ランディングページに問題があるとせっかく動画広告でユーザーを誘導しても効果が出にくくなってしまいます。「ページが動画内容とマッチしているか」「ユーザーにとってわかりやすいページか」「本来の目的に即したページになっているか」と言った点をチェックしましょう。
またランディングページは、YouTube広告を始める時点で公開されている必要があります。製作途中だったり一部ユーザーのみアクセスできるページだったりすると、YouTube側の審査に引っかかってしまい広告は開始されません。必ず審査前にランディングページを設け、公開されている状態にしておきましょう。
なお、動画広告をきっかけにユーザーが自社のYouTubeチャンネルにアクセスする可能性もあります。できれば自社のYouTubeチャンネルも充実させておきたいところです。
まとめ
トレンドの移り変わりが早いネット広告の世界でも、着実に成長を続けている動画広告。中でもリーチできるユーザーが圧倒的に多いYouTube広告を使えば、さまざまな効果が期待できます。
動画広告を行ったことがない方にとって、YouTube広告は潜在的なユーザーに出会える大きなチャンスとも言えます。広告動画を制作する手間とコストはかかるものの、ぜひこの機会にYouTube広告を検討してみてはいかがでしょうか。
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(※本記事で紹介している機能や料金などは2023年7月時点のものです)
(編集:創業手帳編集部)