これからSNSの運用を始めるためのステップ1「自分の価値を見極めよう」【頼藤氏連載その3】

創業手帳

いまからでも遅くない!個人事業主・SEO対策の広報に詳しい頼藤氏に聞く、起業家のためのSNS入門

SNSによるマーケティングがビジネスにおいて重要であることは、周知の事実です。起業家から大企業まで、SNSによる広報活動が盛んになりつつあります。予算や人的リソースのある会社組織であれば、専任の担当者による運用ができるので、継続することは難しくないでしょう。

一方で、起業家や個人事業主の場合は本業もしながらでの対応となるため、できるだけ効率的に対応しなければなりません。また、本シリーズの初回でも触れたとおり、結果や成果がでるまで一定の時間が必要となるので、根気よく改善を加えていかなくてはいけません。

時間があまりない中、起業家がSNSでのマーケティングを効果的に行うためには、やみくもに思ったことや告知したいことを「投稿」すれば良いというわけでありません。

SNS投稿での内容に対し、多くのフォロワーを獲得し共感を得るためには、まず発信者の「価値」が高いことが重要となります。まずは、ステップ1として、どのようにして自分の価値を見極めるかについてご紹介します。

今回は、SNSマーケティングの実践に必要なステップについて、自らも起業したてのころにマーケティングでSNSをうまく活用し知名度を高めた株式会社Money&Youの頼藤太希氏に解説していただきます。

頼藤太希(よりふじ たいき)
Money&You代表取締役、マネーコンサルタント

中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)にて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア「FP Cafe」や「Mocha(モカ)」を運営。『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』(河出書房新社)、『入門 仮想通貨のしくみ』(日本実業出版社)、『投資信託 勝ちたいならこの7本!』(河出書房新社)ほか著作・共著・監修書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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自分の価値へつながる強み「才能×知識×技術」を見つけよう

改めて「自分の価値とは何か」を考えることは、壮大なテーマになってしまうので、よくわからなくなってしまう人もいるかもしれません。まずは、自分の強みが何かを見極めてみましょう。自分の強みを伸ばすことこそが、個人の価値を高めることにつながるのです。

自分の強みなら、きっと今までに考えたことがあるのではないでしょうか。『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』(マーカス・バッキンガム&ドナルド・O・クリフトン著)によれば、自分の強みとは「才能・知識・技術の3つが組み合わさってできたもの」だと説明されています。

才能といっても自分にはあてはまるものがない、と思う人もいるかもしれません。しかし、ビジネスにおける才能とは、芸術や運動と違って、誰にでもあるといってもいいものです。誰にでも好きな仕事や天職があるように、必ず何らかのビジネスにつながる「才能」を持っているはずです。

人によっては、趣味のようなことが強みになったり、好きで続けていたら他にやっている人がいなかったりと、自然と自分の価値を見出す人もいるでしょう。ただ、そうしたケースはあまり多くはないので、まずは自分の好きなこと、続けたいこと、得意なことなどを棚卸しながら分析するとよいでしょう。

分からないときは周りに自分の価値や強みを聞こう

今の仕事や、やりたいと思っていることに向き合っても、強みと言えるのかどうか、自信がないという人がいるかもしれません。その場合は、第三者に聞くのが良いでしょう。自分では気がつかない強みが見いだせるかもしれません。

例えば、リーダーシップという才能。自分ではそう思っていなくても、周りからはリーダーシップがある人と思われているかもしれません。第三者に強みを聞くときは、率直に構えずに聞くことをおすすめします。素直な感想がもっとも的を射ていることが往々にしてあるものです。

他にも、第三者の評価を利用した自己分析の手法「ジョハリの窓」を利用してみることもできます。ジョハリの窓は、自分が知っている/いない、他人が知っている/いないを組み合わせた4象限に分けて、それぞれの象限ごとにあてはまる性格や資質を交換することで、他人が知っていて、自分が知らない部分を発見するためのものです。

この手法は、より多くの人から自分にはどのような強みがあるか聞くときに利用すると良いでしょう。

人に意見を求めるということは、自分がどのように見られているかを理解するのに最も有用な手段です。一方で、思いもよらぬ発言に反論したくなることを言われるかもしれません。そのようなときは、あまりむきにならずに素直に聞き入れながら、どうすれば成長できるかを考えるとよいでしょう。こうすることで、ネガティブな意見であっても、自分の強みへと転換できる可能性が高くなります。

自分の強みを磨いてこそ価値は最大化する

自分の強みが見極められたら、次は徹底的にたゆまぬ努力をして進化や変化を恐れずに進むことが、自分の価値を高めるためにも重要です。

例えば、FPでありライターの高橋洋子さんは、もともと文章を書くことが好きで大学も文学部を卒業しており「書く」ことへの才能を自覚していました。ただ、想いだけでは、仕事として成り立たないので、入社した厳しい職場で繰り返しレビューをもらい、知識や技術を磨いていったそうです。

また、マーケティング専門家として有名な永井孝尚さん(著書に『100円のコーラを1000円で売る方法』)も、20代のメーカー勤務や社内異動を繰り返しながら、30代でマーケティングに出会い、試行錯誤ののち、50代で独立して今のポジションを得ています。

両者とも、自分の「やりたい」もしくは長く続けられそうな分野を特定し、そこから逃げずに立ち向かっていったことで強みをさらに磨きました。

学生のころから「やりたい」ことをしていたり、あらゆる経験をしながら「やりたい」ことを見つけたりとプロセスは異なりますが、自身の才能(=やり続けたいこと)を見極め、研鑽し努力を重ねることにより、「強み」として他者との差別化をはかったのです。

起業家のみなさんは「やりたい」と思ったことがはっきりしているはずなので、目の前の仕事に全力で取り組むことで、おのずとその強みが磨かれると思います。新しい事業内容(例:マーケティングやコンサルなど)そのものが、みなさんの才能なのです。

ですから、自分の仕事にじっくりと向き合い、「顧客満足をあげるには」「もっと質の高い仕事をするには」どのような知識や経験が必要なのかという視点を常に持ち続けましょう。そうすることで、強みが磨かれて個人の価値が高くなっていきます。

なお、起業前に会社などでの就労経験がある場合、そこで得たビジネススキルや知識は自己の価値を高めるにあたり貴重です。私も、生命保険会社での資産運用や、リスク管理業務を通じて、基本的なビジネススキルに加えてファイナンスの専門知識やFPという資格などを得ることができたので、起業後のFP×資産運用としての情報発信というビジネスの付加価値が高まったと思います。

本当の価値を理解してもらえる「真のフォロワー」を獲得

SNSフォロワー数、いいね数やコメント数などは、ある意味その人の「価値」を数値化したものと言えるかもしれません。発信内容に対してどれだけフォロワーの人たちが、興味関心を抱いたかを表すものとしてはわかりやすいかもしれません。

しかし、フォロワーの数はお金で買うこともできますし、わざと注目をあびるような表現をしているだけなど、実態が伴わないケースもあるので注意が必要です。SNS上で、単純に数だけにとらわれてしまい、数合わせだけのテクニックに溺れると、せっかくの自分の価値をかえって下げることにつながりかねません。例えば、インスタグラムであればフォロワー数と1投稿における「いいね」の占める割合が10%未満であると、フォロワー数を購買しているとみなすことができるそうです。

たしかに、飲食などはインスタ映えのように拡散することで、すぐに「収益」につながることもあるかもしれませんが、全てにあてはまるとかぎりません。単純にフォロワーの数や「いいね」の数を増やすというよりも、自分の価値をきちんと理解している「真のフォロワー」を獲得することが大切です。フォロワーの質を高めていくためには、中身のない発信では、フォロワーから価値があるとは思われなくなります。

起業家のみなさんとっては、真のフォロワーというものは、自分の「ファン」でもあるのです。初期から長くサービスを利用してくれている人でもありますし、もしかしたら困ったときに助けてもらえることもあるかもしれません。大事にするのは、数ではなく質であることは一目瞭然ですよね。

メッセージ

自分の価値を見極めるというのは簡単ではありません。先に紹介した永井さんの事例のように、これといった強みや才能を見つけることができないという人もいるかもしれません。しかし、「自分ができること」をコツコツと積み上げることで「信用力」という価値を高めることができるのを忘れないでください。

実際、私も起業したての頃は、案件の大きさに関わらず粛々と業務をこなしていくことで「任せられる」という評判を得ることができました。評判が評判を生み、信頼へとつながります。こうした周りからの評判を大切に、その期待に応えていくことも自分の価値のひとつになります。

SNS上のマーケティングでは、とかく経歴や発信内容を「盛る」傾向にあります。しかし、本当これがあなたの「価値」を表すものなのかは疑問です。発信内容で、お客様を「釣る」のではなく、実力を高めたうえでの発信を心掛けることで、真のフォロワーからの硬い信頼を得ることができます。

次回は、自己の価値をどうやって磨き上げていくかという自己研鑽に必要なステップを解説します。

(次回に続きます)

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『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』頼藤太希 河出書房新社
自分の魅力が数値化される現代ネット社会において、自分の価値を高めてSNSで発信していく方法が分かりやすく解説されています。キャリアアップ・転職・起業・就職に成功するための「私の力」の見つけ方、磨き方のスキルを知りたい方に。

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(取材協力: 株式会社Money&You代表取締役 頼藤太希
(編集: 創業手帳編集部)

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