超キャッシュレスなフィンテック先進国!スウェーデンの今

創業手帳

見えてきたキャッシュレス導入の課題

sweden-cashless Photo: Ola Ericson/imagebank.sweden.se

(2018/09/10更新)

(この記事は5分で読み終わります)

ご存知の方も多いかと思いますが、スウェーデンはキャッシュレスの国として有名です。
実は、筆者は7月に2週間半の夏休みをとってスウェーデンに行ってきました。通常であればストックホルムに滞在するのですが、今回は少し趣向を変えて「スウェーデン3,000キロのドライブ旅行」に挑戦!

以前スウェーデンで暮らしていた時にも感じてはいましたが、今回の旅でいかにこの国のキャッシュレス化が普及しているかを改めて目の当たりにしました。
というのも、今回の旅行中に現金を使ったのはなんと1回だけ(20クローネ 約250円)。この支払いも、たまたま小銭を持っていたので使用しただけです。この時のエピソードはこの記事の中ほどでふれますね。

では日本はどうでしょうか?
日本でも、LinePayをはじめとし、キャッシュレス普及に向けた動きが出てきましたよね。
とはいっても、現在のキャッシュレス決済比率は約20%(2016年)、政府はこの比率を大阪・関西万博開催の2025年までに、40%まで引き上げようとしています。

これからどのように変わっていくかとても楽しみですが、現金志向がまだまだ根強く残っている日本では、課題が多いのも事実です。そこで、スウェーデンでは現金を使わずにどのように生活をしているのか、今回の旅で見た最新情報も含めてお伝えしていきますね!

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現金が使えない!


冒頭に、今回の旅で「キャッシュレス可がさらに進んでいたのを感じた」とお伝えしましたが、“キャッシュレス半端ない!!”とはこのことです。現在日本に住んでいるから余計にそのように感じたのかもしれませんが、それにしてもその普及に磨きがかかっていました。

何しろ「現金を受け付けてくれない」お店がたくさんあるのですから!

一番初めに目にしたのは、ストックホルムの中央駅にある、テイクアウトができるお店です。パン屋さんをはじめ、様々なレストランが出店(でみせ)のように小さなブースを構えているのですが、そのほとんどの店のカウンターには「CASH FREE (現金不可)」の文字が・・・
つまりクレジットカードでの決済でしか、購入できないということです。
そしてこれは駅の中の店だけではありませんでした。なんと「トイレ」を利用するのもクレジットカードを求められました。

海外に行くと日本に比べてとても不便だと感じるのが「トイレ」です。日本はどこに行っても無料で清潔なトイレを利用することができますが、海外に行くと有料であることがほとんどです。
しかも、その場所を探すのが結構大変!
近くに有料のトイレがないと思ったらカフェを探してそこに入るか、ショッピングセンター併設の有料トイレを使うかです。

それで今回はショッピングセンターのトイレを利用してみたのですが・・・
行ってみて驚きました、各トイレのドアにクレジットカード読み取り機が設置してあったのです。
1回 5SEK(約65円)でしたが、この金額でもクレジットカードの利用が必要で、現金を投入する場所はありませんでした。つまりカードで支払いをすると、ドアが開くという仕組みになっているのです。

私たち日本人は、100円や200円を支払うためにクレジットカードを使用するのは、少しためらってしまいますよね。クレジットカードは、なぜか少なくとも1,000円以上の買い物をするときに使うもの、というイメージがあるような気がします。
それがスウェーデンでは、金額の大小にかかわらず、クレジットカード利用を導入しています。

他にもキャッシュレス化の事例はあります。代表的な例でいうと「ビジネスホテル」。
私たちが今回宿泊したホテルのほとんどは「キャッシュフリー」の看板を掲げていました。これにより、ホテル従業員の事務作業軽減、そして現金を扱うことでの精神的負担の軽減にもつながっているようです。

確かに、その場に現金がないというのが分れば盗難の心配もありませんし、お金が合わない~とその管理に時間や頭を使う必要もなくなります。その分、他の仕事をすることができ、効率化につながりますよね。こうした徹底した効率化が、生産性の高さにつながっている一つの要素かもしれません。

このようにクレジットカードで支払うことが主流となっていますので、あなたがもしスウェーデンに旅行に行くことがあれば、事前にクレジットカードの限度額を少し引き上げておくことをおすすめしますよ!

そうはいっても、地方のものすごく小さな村や、個人のお店ではクレジットカードを導入していない場合も“ちらほら”あります。今回の旅行では、1件だけそのようなお店に遭遇しました。

通常、上記の様な状況から、スウェーデンの人たちは現金をあまり持ち歩きません。お財布を持っている人も少なく、カード入れにクレジットカードをいれて持ち歩いている方が多い気がします。

では、そのように現金を持ち歩かない人たちに向けて、それらのお店はどのように対処しているのでしょうか?それを次に見ていきましょう!

これがあれば大丈夫、秘密兵器「SWISH」

これだけクレジットカードが普及していますが、普及率は100%ではなくクレジットカードがつかえない個人商店も多少はあります。

そんな小さなお店にとって強い味方となっているのが「SWISH(スウィッシュ)」と呼ばれるアプリです。スマートフォンから手軽に使え、個人で使用する分には手数料が無料というもの。
LinePayと少し似ていて、登録先の自分の銀行口座からお金が転送されるというものです。

違いは、個人での送金は相手の電話番号を使うということ、そして銀行からの送金にはMobile BankIDというパーソナル番号(日本のマイナンバーのようなもの)と紐づいたインターネットバンキングの仕組みを使っていることです。

こう聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、使い方は至って簡単!
アプリを開いて相手の電話番号を入力、そして指定の金額を入力、インターネットバンキングと同じように暗証番号を入れて認証すれば、その場で送金完了です。

ですから、スウェーデンでこんな光景を見かけたことがあります。
スーパーマーケットで買い物をしていた時のこと、ある男性のクレジットカートが磁気の問題か何かで使えないことがありました。その時彼はどうしたかというと、後ろに並んでいた知らない方に助けを求めたのです。

「僕の分の支払いを一緒にしてもらえませんか? その金額はSWISHですぐに送るので」と。
つまり、後ろの人にカードで自分の支払い分を払ってもらい、その金額をSWISHというアプリを使ってその場で相手に送金するというもの。で、無事にこの方は買い物を終えました。

もちろん、買い物の金額がそれほど大きくなかったというのもあるでしょうが、それにしても知らない人にお金を借りるという行為にはビックリ。それと同時にこの「臨機応変な対応」にも驚かされました。

そしてこのSWISHは個人的なやりとりだけではなく、お店やイベントなどでも大活躍しています。先に少し話した、クレジットカードが使えなかった個人商店はこのSWISHを取り入れていました。お店にはSWISHの支払先の番号が書いた紙が置かれていて、それに基づいて支払いができるようになっています。

お店や法人の場合は電話番号ではなく、その会社に割り振られた番号があり、それを入力することで送金することができます。ですから、銀行口座にお金が入っていれば手持ちの現金が足りないかもしれないという不安を持たずに買い物をすることができます。

また法人の場合、個人と違って手数料が必要となりますが、1回につき約1.5~2 SEK= 約25円(ただし取引銀行により違う)と使いやすい設定となっています。

またかなり田舎で自然がいっぱいの場所に行った折り、こんな駐車場を見かけました。
駐車場の入り口に小さな木箱がおいてあり、そこにはSWISHの番号が書かれた紙が貼られていたのです。駐車台 1時間 10 SEK(約125円)と書かれており、これを現金で小箱に入れるか、またはSWISHで支払うかどちらでも良いとのこと。

駐車場の入り口には誰がいるわけでもなく、支払いはそこに駐車した人の「良心」に任せているようでした。そこで、私たちは、もっていた小銭で2時間分の20 SEKを小箱に入れてきたのですが、私たちの前に来た方はSWISHで支払いをしているようでした。

かなり田舎で誰も見ている人がいない場合、日本であれば「面倒だから払わないでおこう・・」と、知らないふりをする人も多いのではないかと思いましたが、スウェーデンの多くの方はスマホを取り出し、正直に代金を払っていたのには感心させられました!

それで、このSWISHですが個人商店のような小さなお店のほかにも用途がありました!

イベントでも大活躍!

SWISHを使ってイヤフォンを購入するファン

スウェーデン旅行の最終日、ガンズ アンド ローゼズというロックバンドのコンサートに行ってきました。
もとはというと、今回の旅行はこのコンサートのチケットを義兄がスウェーデンで購入してくれたことに始まります。スウェーデンでは、発売から約10分で完売という大人気のコンサートで、それならと旅行を計画したのです。

このコンサートはスウェーデン第二の都市、ヨーテボリのサッカースタジアムで開催されたのですが、当日の入場者数は約63,000人とスウェーデンにしては大規模なモノでした。(因みに、ヨーテボリの人口は約50万人)

町中の人が、そのコンサートに行くのではないかと思うほどファンが大集結、なかなか面白かったです。
それで、このサッカースタジアムでも面白い光景がありました。

それは、飲み物やイヤフォンの売り方です。
これだけ大きな会場なので、スタジアムの後方端の方には出店が出されており、そこで飲み物やスナック菓子などを購入することができます。

それと同時に、首から四角いトレーのような箱をぶら下げて、飲み物やロックコンサートに欠かせないイヤフォンを売り歩いている方々がいました。東京ドームに野球を見に行ったり、コンサートに行ったりすると、通路でビールなどを売り歩いている方々がいますよね。あれに少し似ています。

ですが、ここには決定的な違いがありました。
それは何かというと、その売り歩いているスタッフの方とは「現金のやりとり不可」そして「クレジットカードのやりとりも不可」だったのです。

えっ、現金もクレジットカードも使えないならどうやって飲み物を買うの?と思われるかもしれませんが、そこで登場するのがこの「SWISH」です。ここでは、売り歩いている方からモノを買う場合は、SWISHの支払いのみOKとされているのです。(もちろん、出店にいけばクレジットカードが使用できます。)

これにより、このスタッフの方は現金を持ち歩く必要もなく、クレジットカードの読み取り機を持ち歩く必要もないので「商品を売る」という行為にのみ専念できるというわけです。

この場合は、QRコードが用意されていたので、スマートフォンでそれを読み取ればOKです。ということで、購入者側もお財布から小銭を出して数えたり、または売り手側がお釣りの金額を計算する必要もなく、正確にしかもスピーディーに売買が行えます。

日本では現金が使えないとなると、ものすごいブーイングがおきそうですが、一度これは「そういうもの」というように決めてしまうと、2回目からはそれほど抵抗がなくなるかもしれませんね。そしてその便利さに慣れると、その普及に加速がかかるような気がするのは私だけでしょうか?

まとめと課題

SWISHを使って寄付をしている女性

ここまでで、スウェーデンがどれほどキャッシュレスな国であるかを感じて頂けたことと思います。
ですが、彼らが所持している支払いカードの枚数は一人平均2枚(電子マネー含む)ほどです。日本はそれに比べて平均7~8枚(電子マネー含む)保有しているとのこと。

つまり電子マネーという観点から見ると、日本も決して負けてはいません。ですが、あまりにもいろいろなモノがありすぎて、逆にカードの数が増えたり、使いやすさが追い付いていないのかもしれませんね。

またインターネットの普及率においては、日本は他のIT先進国に引けを取っていません。因みにITCの統計データ(2016年)によると、日本は世界193か国中12位で92%の普及率です。スウェーデンは91.5%で13位ですから、スウェーデンより0.5%ではありますが上にきています。

これを見ても技術的に劣っているわけでは決してないと言えます。
ですが、現在の日本では「現金の方が信用できる」、「クレジットカードの手数料が高い」、「比較的治安が安全」ということから、現金志向が続いているのではないかと思います。

スウェーデンでキャッシュレスが進んだ理由に、1990年代初めに金融危機に陥ったことがあげられます。それにより国をあげて生産性向上を目指したこと、そして犯罪対策としてキャッシュレスが推進されたことも、背景の一つと言えるでしょう。

そう考えると、日本は目先の利便性や安全性という点では、それほど困っておらず必然性が見えづらいですよね。ですが、そうはいっても2020年のオリンピックを目前に、日本でもこれから更なる国際化を目指して、キャッシュレス化が進んでいくことでしょう。

そしてその時に考えなければいけない事の筆頭に「システムのセキュリティー」があげられるのではないでしょうか?

外国の方々から見ると、日本のインターネットバンキングのシステムやオンラインのシステムにはかなり甘さが目立つようです。スウェーデンで、SWISHのようなアプリが普及した背景に、強固なセキュリティーシステムがあります。キャッシュレス化を進めるときに、そのベースとなる安全なシステムを作ることが普及の促進につながるはず、ぜひみんなが安心して使えるようなシステムができる事を望みます。

そして、その上で時代の変化に伴って私たちも変化していくことが必要です。韓国や中国をはじめとし、世界各国ではすでにキャッシュレス化をかなり促進させています。私たちも時代に即したイノベーションを起こし、少しずつでも変化に対応する力をつけることが国際競争力をつけることにつながるかもしれませんね。日本、ガンバレ!

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(編集:創業手帳編集部)

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