Excel活用のプロ、吉田拳氏登壇。手作業を徹底的に排除して自動化(マクロ)する!

創業手帳

極めて日常的なツールExcelの自動化の重要性やSaaS・アプリとの使い分け、AIとの関係性を解説!


6月2日に、Excel活用のプロである「株式会社すごい改善」代表取締役の吉田拳氏が登壇し、第9回創業手帳EXPO「DX・業務改善」を開催しました。

すごい改善は「Excelによる苦しみからの解放と、生産性と充実感の向上による喜びの創造」「Excelの教育と効率的活用を通じて人と企業の成長に関わり国益に資する」の2つの使命のもと、政府機関や大手から中小企業まで幅広くExcelの研修・効率化支援を行い、業務効率向上を数多く実現させてきました。

今回の基調講演では、吉田氏がExcelの活用術等を具体例を紹介しながら解説し、続いて創業手帳代表の大久保がChatGPTをビジネスに活かす方法について紹介しました。

また、吉田氏と大久保によるトークセッションや、セミナー後半の「ピッチセッション」では、参加者から選出された2名の方々による事業プレゼンが行われました。

今回のイベントも参加は完全無料。Zoomにてオンライン配信され、視聴者の方々からはチャットでコメントやご質問をたくさんいただき、大盛況のうちに終わりました。

本記事では、当日のイベントの内容を要約してお届けします。

吉田 拳(よしだ けん)
株式会社すごい改善 代表取締役
1975年、愛知県出身。東京外国語大学外国語学部英米語学科卒業。Excel専門の業務改善支援を行う株式会社すごい改善を2010年に設立、代表取締役に就任。企業向けのExcel作業代行サービス、Excel研修、Excel作業自動化支援を行うほか、2011年から開催する自社主催のExcelセミナーを毎週末に全国で開催。著書に累計40万部を突破した『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』『たった1秒で仕事が片づくExcel自動化の教科書』等。

モデレーター 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

吉田拳氏講演「Excelで自動化(マクロ)する理由とは」


まずセミナー冒頭で、吉田氏は「社内のExcel作業にどれくらいの時間がかかっていますか?」と参加者の方々に問いかけられました。株式会社すごい改善は、創業して13年間さまざまな企業を見てこられ、1秒で終わるExcel作業を3時間や5時間、場合によっては2週間かけていたケースなどが数多くあったそうです。

そして、吉田氏は「かける必要のない時間をExcelの作業に費やしていないでしょうか。今一度、確認することをおすすめします」と言われました。Excelは非常に簡単で難しくないツールであることを理解して、無駄な時間を使わないようにしていただきたいとのこと。そこで、Excelの作業で代表的な活用術について、実際にExcelを操作しながら解説していただきました。

必要のない作業に毎日時間をかけていた企業の事例では、Excelの関数を使えば一瞬で終わらせられる作業を、1つずつ手打ちで何日もかけて入力していたそうです。そのような場合は一瞬で終わらせる方法がないかと模索して、実践しようとする意識を持つことが大事とのこと。このように面倒な作業をラクして済ませられないかと考えること、これを「前向きな怠惰」と表現されました。


吉田氏は、Excelの作業に時間を割くことが一切あってはならず、Excelの作業そのものが仕事の目的ではないと強調されました。そして、Excelでつくられる資料データは大事であるが、それをつくる作業に時間をかける価値はまったくない、なぜなら、それは一瞬で終わるものだからと言われました。

Excelの関数については、すべてを知る必要はないとのこと。Excelの機能を使いこなせないことが悩みという相談が多いことに触れ、Excel作業の代行ではこれだけでほぼ賄っているという関数をいくつかご紹介されました。

他にも、自動化(マクロ)することにより2週間かかっていたExcelの作業を10分に短縮できた企業の事例や、ExcelとSaaS・会計ソフト等のアプリの使い分けが大事である理由などを解説されました。また、ChatGPTはExcelで使えるのかどうかについても、実際に試しながらお話いただきました。

今回のセミナー内容について、より詳しく知りたい方は、吉田氏のご著書「たった1日で即戦力になるExcelの教科書(増強完全版)」をおすすめします。

創業手帳代表の大久保によるChatGPTの紹介とトークセッション


今話題のChatGPTの機能は、すでにExcelやスプレッドシートでも可能であったり、むしろ簡単だったりすることも多いとのこと。大久保は、吉田氏と同様に使い分けが大事と言います。そして、人がやることを減らし、いちばん重要なことに集中するために考えるべきことを挙げ、解説しました。

次に、創業手帳で無料で発行している「ChatGPTガイド」の製作理由についての話や、ChatGPTなど新しいことには遊び感覚でチャレンジして使い慣れていって欲しいと言います。また、従来のチャットボットとChatGPT、ChatGPTとGoogle Bardを比較し、機能の特徴やメリット・デメリットなどをそれぞれ解説。他にもChatGPTと国税庁AIと東大卒税理士が5番勝負で対決した話や補助金についての話などがありました。

続いて、吉田氏と大久保によるトークセッションです。

大久保からの創業期におけるChatGPTの活用方法についての質問に、吉田氏は、自社データの分析に活用できると答えられていました。創業期に自社でデータを持っていても、何からどう分析すれば良いのか分からないときに、ChatGPTの結果をたたき台にできるそう。

しかし、創業期を過ぎて主体的にデータ分析の仮説を持つようになると、ChatGPTでは満足できる分析結果は得られなくなるのではとのこと。吉田氏は、データ分析が必要な理由について「自分の事業を守るため」と言います。そして、事業が上手くいかない人の原因のほとんどは、数字を見ていないからと断言。Excelのランキング機能でも十分な分析が可能なので、ぜひExcelを活用していただきたいとのことです。

参加者2名によるピッチセッション


セミナー後半の「5分間事業PRタイム」では、参加者の中から選ばれた2名の方々によるピッチセッションが行われ、吉田氏からそれぞれフィードバックをいただきました。

以下、それぞれの方のピッチ内容についてご紹介します。

片田櫻子 氏 株式会社ハハカラ

株式会社ハハカラは「Wedoo」というサービスを通じて、これから出産を迎えるすべてのご家庭のあり方を変えることを目的に、2021年3月に創業されました。

片田氏は、共働きや核家族の増加など、日本の家庭を取り巻く環境は大きく変化しているにも関わらず、妊娠から始まり子育ての役割は女性メインであることが多いと言います。実際に、方田氏自身も経験があるとのこと。そこで、その形態を令和の世代には受け継いではいけないとの思いから、サービスの開発や提供をしています。

【3つの事業ポイント】

1.妊娠期の夫婦のコミュニケーションをサポート
2.出産準備に特化したリスト管理サービス
3.パートナー(男性)が動きやすいサービス設計

分娩以外であれば周囲の人もパートナーも、もっと積極的に妊娠から子育てに関与できるはずとのこと。そして、関与することによって女性の負担を軽減し、男女共同参画も目指しているそうです。

「Wedoo」は、夫婦で共有できる産前産後の準備管理ツールです。無料会員登録をすると「要るものリスト」と「やることリスト」の一覧を見ることができ、妊娠初期からパートナーを巻き込みながら赤ちゃんを迎える準備ができます。

「要るものリスト」は、出産予定日から逆算して自動的にその時期に必要なアイテムを、「やることリスト」は妊娠中の会社への申請手続きや役所の手続き、戌の日のお宮参りなどのイベントを知らせてくれます。役所関連のタスクでは、ユーザー登録の居住地に応じてMAPが表示され、産後最初のパートナーの役割になる出生届の提出も簡単とのこと。

また、昨今のマタニティーの方たちはSNSで情報収集するだけでなく、励まし合う仲間を見つけて妊娠週数ごとに進捗を確認し合う風潮があるため、そのような状況のシェアにも対応可能なサービスを提供。

現在は多くの方に「Wedoo」を知って使っていただくため、自治体に子育て応援企業の登録をしている事業会社さんや、母子手帳の交付時にご案内をして、基本機能は無料で提供しているそうです。

最後に「Wedoo」を社員に勧めたいという事業者さんや、お住まいの自治体で市民向けに検討したいという方は、お気軽にお声がけくださいと話されました。

小川侑紀 氏 PLEN Robotics株式会社

PLEN Robotics株式会社は、2017年に創業しAIの技術を使って業務の自動化を行う企業です。人口が減少し続ける一方で、どんどん増える仕事量をコンピューターを使って自動化しています。

今回は、数あるサービスの中から倦怠管理の自動化について紹介されました。

【3つの事業ポイント】

1.労働時間管理を自動化!
2.エッジコンピューティングにより定額使い放題!
3.5秒で音声からメンタルヘルスをチェック!

顔認証デバイス「PLEN Cube」と給与計算プログラムを使うことにより、バックオフィスの業務負担の軽減が可能になりました。従来の勤怠管理はカードで行うものがほとんどですが、PLEN Roboticsのサービスは顔を見せるだけで出退勤の打刻ができるとのこと。すでに、コワーキング施設、クリニック、旅館、学校などで導入されています。

顔認証にすることのメリットは、究極的にはコストに集約されるそう。カードにかかっていたコストが一切必要なく、カードを忘れた場合の仮カードをつくる手間やコストも省くことができます。他人にカードを無断で使用されるなどのリスクもありません。

さらに、PLEN Roboticsの顔認証サービスは、定額5,000円で使い放題。これはエッジコンピューティング(※1)を使って顔認証できる技術によって可能になったそうです。

世の中にあるほとんどの顔認証はクラウド版を使っており、クラウド上にデーターを行き来させる過程で通信が発生するため課金制です。そのうえ、認証に失敗した場合はその都度課金が発生してしまい、コストの上限がいくらになるのか分かりません。

また、クラウドの場合では、比較的安定した通信環境が必要になるため、ネットインフラを整備するコストがかかりますが、PLEN Roboticsの顔認証サービスは、エッジで処理するため通信が発生せず、いくら顔を見せても金額は変わらないとのこと。また、家庭用のWi-Fiで使用できます。

続いて、新しいサービスの紹介です。業務自動化をすすめていくと、人に残された仕事はストレスフルのものが多くなるため、働くスタッフのメンタルヘルスケアが重要だと言います。そこで、顔認証の出退勤機能にプラスして、声のデータから心の健康状態を可視化できるメンタルヘルスチェック機能をプラスした新サービスを開始。詳細については、PLEN RoboticsのYouTubeチャンネルでご紹介されています。

※1:エッジコンピューティング・・・・・「端末近くにサーバーを分配配置する」ネットワーク技法のこと。インターネットを通じて遠隔地に集中されているサーバーにアクセスするクラウドコンピューティングとは対局にある概念。

「創業手帳EXPO」とは?

「創業手帳EXPO」は、毎回著名な起業家や専門家が講演する、トークイベントです。参加は完全無料。オンライン実施なので、全国どこからでもご参加いただけます。

参加者によるピッチコンテストでは、事業内容や起業の思いなどのプレゼンをしていただきます。参加者の方々もチャットでコメントができるので、起業家同士のネットワーキングにも最適なイベントです。ぜひ、お気軽にご参加ください。

今後の創業手帳EXPO開催予定

誰でも参加無料、オンライン参加(Zoom)可能の創業手帳EXPO。

今後の開催予定は以下のようになっています。

創業手帳EXPO vol.10
【開催日時予定】
 2023年6月21日(水) 17:00-19:00(※受付開始 16:45〜)

【参加費】
 無料/追加費用無し

【参加対象】
 起業家、経営者、士業、大企業の経営支援・企画・イノベーション関係者
 起業に興味がある方、起業準備中の方

【開催場所】
 オンライン/Zoom

【定員】
 1,000名

【内容】
 ●セミナーセッション
  石川明さん×創業手帳大久保 によるトークセッション
  
 ●ピッチセッション
  セミナー参加者によるピッチ登壇セッション

創業手帳EXPO vol.11
【開催日時予定】
 2023年7月12日(水) 15:00-17:00(※受付開始 14:45〜)

【参加費】
 無料/追加費用無し

【参加対象】
 起業家、経営者、士業、大企業の経営支援・企画・イノベーション関係者
 起業に興味がある方、起業準備中の方

【開催場所】
 オンライン/Zoom

【定員】
 1,000名

【内容】
 ●セミナーセッション
  今瀧健登さん×創業手帳大久保 によるトークセッション
  
 ●ピッチセッション
  セミナー参加者によるピッチ登壇セッション

ご興味のある方はぜひ、お申し込みください。

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