副業から起業することでリスクを回避しよう
起業の準備段階として副業を活用するメリット
(2018/05/18更新)
働き方改革が進められている中、注目されているのが「副業」の存在。副業が解禁された企業で働いている人の中には、起業を視野に入れている人も多いのではないでしょうか。
副業は小金稼ぎやバイトなどの”軽いダブルワーク”というイメージがありますが、起業の準備段階としても最適なステップだと言えます。リスクをおさえて起業するためにも、副業を活用していろいろ試してみるといいでしょう。
ここでは、副業から起業する際のポイントについて考えてみます。
この記事の目次
副業から起業することのメリット
会社員として働きながら、いつかは起業して自分のビジネスを成功させたいと考えている人にオススメなのが、副業の活用です。副業で試行段階を積み、ある程度実績を重ねてから起業することには、次のようなメリットがあります。
会社員として収入をもらいながら起業をすることができる
起業には、金銭的なリスクが付きまといます。自分のビジネスだけで勝負するとなると、もし上手くいかなければ生活が成り行かなくなります。その点、会社員として働きながらの起業であれば、一定の給料を受け取りながらになるので、収入ゼロにはなりません。
開業資金を貯めながら、起業することもできる
収入があるということは、生活費のやりくり次第で開業資金も貯められるということです。例えば、副業で出た利益を貯めていき、それを元手にして独立することも夢ではありません。自己資金だけで独立できれば、経営する際の負担も少なくなります。
会社員としての知見が蓄積され、それを起業に活かすことができる
会社員として、経営者では得られない経験を重ねることは、経営者としての感覚を研ぎ澄ませることに繋がります。例えば、会社から案内される研修や、セミナーなどに参加することで、自身のスキルアップや将来の人脈を広げることもできます。
また、会社員の立場で会社を見ることで、経営者とは違った角度から会社を見ることができます。将来従業員を雇う際に注意したい点も見えてくるでしょう。こう考えると、会社での本業の時間もすべて起業のための勉強時間と捉えることができます。
副業で経験・実績を積めば、自信を持って本格的な起業へ移行できる
一定の実績がある副業からの起業なので、自信を持って進めることができるでしょう。副業のうちにいろいろなことを試したり、経験を積むことで、本格的な起業へのイメージもある程度湧きやすいといえます。また、起業をするうえで、経験があるということは失敗のリスクを減らすことになると言えます。
副業なら事業失敗のリスクも小さく済み、リセットしやすい
万が一、事業が上手くいかなかった場合にも、新たなチャレンジに踏み出しやすいと言えます。また、副業は自己資金の範囲内で起業するケースがほとんどなので、事業失敗時のリスクも小さく済むことが多いです。
「あくまでも副業は副業。本業をメインにしたい」という方もいるかもしれませんが、そんな方にも起業はオススメです。自分で企画し、実行していくのは、小さな会社を経営するのと同じ。一介の会社員としては経験できないことを学べます。副業で経営者感覚を身に着け、それを本業に活かすことができると言えます。
副業でも必要な手続き
副業は、事業の大きさによっては「個人事業」と捉えられるケースがあります。具体的には、副業所得(経費などを引いた儲け)の合計が年間20万円を超える場合には、会社で行われる年末調整に加え、自分で確定申告を行わなくてはなりません。
副業が軌道に乗り、ある程度の収入が見込めるようになったら、個人事業主としての手続きを忘れずに行いましょう。以下に詳しく説明します。
開業届・青色申告承認申請書を提出する
副業として起業し、継続してビジネスを行うことを決意したら、税務署に書類を提出しましょう。具体的には、「開業届」「青色申告承認申請書」の2つを管轄の税務署に提出します。
税務署に個人事業主として届け出ることで、毎年しっかり確定申告を行い、税金を収めることになります。年間20万円の所得を超えるときには、サラリーマンであっても副業の確定申告が必要ですが、先ほどご紹介した2つのの書類を提出することで「青色申告」が可能になり、節税につながります。
さらに、損益通算ができる、赤字を3年間繰り越すことができる、専従者給与を経費にできる、事業用部分の費用を経費として計上できる、屋号で口座が作れる、小規模企業共済に入れる、といったメリットがあります。
特に、副業の場合は「損益通算できること」が大きなメリットになります。これは、本業と副業の儲けを合算できるという仕組みで、副業が赤字であれば、本業の所得から差し引けるので、その分の税金還付が受けられます。
確定申告について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
副業を開始したからと言って、すぐに開業届を提出する必要はありませんが、年間所得20万円をひとつの基準として考え、準備をするといいでしょう。月収で考えると、2~5万円程度。このくらいの見込みが出たら、早めに手続を検討してもいいかもしれません。
確定申告をする
確定申告は、1月~12月までの所得について、翌年2月15日~3月15日の間に所定の書式で行う手続きです。今はパソコンで作成し、郵送でも提出可能なので、働きながらでも問題なく対応できます。
副業として確定申告を行う時のポイントは、本業の「源泉徴収票」もあわせて提出するということ。「副業だけの申告でいいのでは?」と思われるかもしれませんが、個人の1年間の所得をすべて申告しなくてはいけないので、確定申告書に源泉徴収票の内容を転記する形で活用します。
通常、個人事業主が確定申告を行う際には、社会保険料・生命保険料・扶養等の各種控除を計算しなくてはなりません。ただ、サラリーマンとしての本業があれば、基本的な計算は会社でしてもらえます。自分では、副業部分の収入と経費を算出して記載すればいいのです。
青色申告を行う際には、帳簿をつける必要がありますが、今は便利な会計ソフトもあるので、経理の知識がなくても簡単に書類を作成できます。確定申告の時期に焦らなくてもいいように、早めに準備を進めましょう。
副業をするときに会社に報告は必要?
副業を始める際には、会社の就業規則を確認しましょう。その内容に応じて、会社への申告や報告を行います。今は、大手企業を中心に副業を解禁する流れになっていますが、規則によっては副業が禁止されている場合があります。その場合は、罰則や解雇のリスクがあるので、安易に副業を開始することはおすすめできません。
「バレなければ、会社に黙って副業してもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、副業での収入が多くなると、自ずと税務申告が必要になり、その過程で会社に気づかれてしまいます(住民税の額が増えた場合など)。また、確定申告をしないと、脱税の罪を問われる可能性も。会社にバレない方法などがまとめられているホームページもありますが、実際は会社バレない確実な方法はないと言っていいでしょう。
副業で起業したいと考えているのであれば、就業規則に照らして、問題ないような状況を整えた上で行いましょう。もし、副業禁止の規定がある場合には、あきらめずに会社と交渉し、許可を得てから始めてください。
まとめ
「副業からの起業」は、サラリーマンだからこそできる特別な起業方法です。会社員の立場を生かして知識と人脈を広げ、リスクを減らしながらさまざまなビジネスにチャレンジできる良い機会です。副業から学び、それを本業に活かすこともできるでしょう。
働き方改革が進む中で、ひとつの会社にとらわれず、柔軟な稼ぎ方が重要になってきます。自分のスキルを磨き、社会に貢献していくために、副業としての起業を考えるのも良いかもしれません。
(編集:創業手帳編集部)