ダブルワークの始め方や注意するべきポイントとは?プロの中小企業診断士が大解説!
ダブルワークを始める方は必見!ダブルワークの基礎知識をプロの中小企業診断士が解説します
(2020/06/06更新)
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの導入など、政府あげての「働き方改革」が進んでいます。
ダブルワークのネックとなっていた、事業者の兼業禁止も緩やかになっていくことが予想されます。
また、最近の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナとする。)の猛威もあり、正社員の立場でも収入減になるのではないかと不安ですよね。
将来の独立を視野に、ダブルワークを小さく始めることも有力な選択肢の1つです。
この記事では、ダブルワークの基礎知識や注意するべきポイントについて紹介します。
創業手帳の冊子版では、ダブルワークをする方に有用な確定申告や会計ソフトなどについての情報を掲載しています。ぜひ、ご活用ください。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
ダブルワーク解禁の時代が近づいている?
家計収入の伸び悩みや働き方環境の変化によって、最近はダブルワークに取り組む人が増えています。
新型コロナの影響による収入減やテレワークの環境整備などによって、ダブルワークに挑戦する人は、今後ますます増えていくのではないでしょうか。
副業を希望する人は増加傾向にある
厚生労働省の調査では、ダブルワークを希望している人や実際にダブルワークをしている人は年々増えています。
副業を希望する人は、1997年の4.5%から2017年の6.5%に伸びています。副業を希望する人のうち、本業の所得が299万円以下の人が全体の約3分の2を占めており、収入面の不安を抱えている人がダブルワークを考えている傾向にあります。
一方で、就業規則などで兼業を認めない事業者が85%を超えているといった現実があります。
この兼業禁止規定が、ダブルワークを阻む大きな壁となっています。
しかし、平成30年1月に厚生労働省のモデル就業規則が改正されました。「許可なく他の事業者などの業務に従事しないこと」という規定が削除され、ダブルワーク・兼業の規定が新設されたのです。
「年次休暇5日以上の取得」など、政府主導の「働き方の改革」の取り組みも推進されていることから、本業で収入を確保しつつ、ダブルワークによってリスクの少ない「小さな起業」を目指す機会が増えているのです。
ダブルワークする人が増えている3つの背景
働き方改革やIT技術の進展によって、労働時間が減少する一方で、家計所得も伸び悩むことが予想されています。
昨今では、新型コロナの影響もあることから、将来に大きな不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
ダブルワークする方が増えている理由として、主に3つの背景があります。
(1)働き方環境の変化
政府が推進している働き方改革の柱の一つとして「多様な働き方の実現」があります。そのため、兼業規定の廃止やテレワークに取り組む事業者が増えているのです。
ダブルワークは、労働時間を自分で自由に決めることができるという特徴があります。近年では、自分の空いた時間にやりたい仕事を選んで働くことができる環境が整いつつあります。
(2)IT技術の急速な進展
最近では、IT技術の急速な進展により、ダブルワークを行う上で役立つクラウド系サービスやアプリが充実しつつあります。
不特定多数の個人に仕事を発注できるクラウドソーシングやテストマーケティングができるクラウドファンディングなど、こういったサービスが普及することで、ダブルワークがしやすい環境になったといえます。
(3)環境の変化によって雇用不安や収入減のリスクがある
少子高齢化が進んでいることによって、今後、日本は急激な人口減少が予想されています。さらに、昨今では新型コロナの影響もあり、社会や経済環境がどのように変化していくのかを見通せない状況となっています。
事業者の業績悪化が懸念される中では、正社員であっても雇用不安や収入減少のリスクがあります。
ダブルワークによって収入源を複数確保しておくことで、リスクヘッジにつながるのです。
ダブルワークを始めるメリット・デメリットとは?
ダブルワークが当たり前の社会となっていくためには、社員と事業者それぞれがメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。
それぞれのメリット・デメリットをご紹介していきます。
ダブルワークを始めるメリット
- 本業以外の収入が増える
- 本業から得られないスキルや知識や経験が得られ、キャリア形成につながる
- 起業や転職などの選択肢が増える
- ダブルワークで得た知識、経験で社員の質が高まる。
- 優秀な人材の確保や流出防止ができる
- 社員の知識や人脈を活用することで、事業機会が増える可能性がある。
ダブルワークを始めるデメリット
- 就業規則に違反し、処罰を受ける可能性がある
- 労働時間が長くなるので体調を崩しやすくなる
- 家族などの関係悪化や健康管理が難しくなる
- 本業がおろそかになり、本来の職務専念義務が果たされない可能性がある
- 機密情報が外部に流出するリスクがある
- 社員が副業で犯した不祥事の責任を問われる可能性がある
自分に合ったダブルワークの選び方
副業を選ぶとしても、人によって事情が異なります。ダブルワークは、自分の時間を消費することになるので、自分に合った納得感のある副業を選ぶことが大切です。
目的をはっきりさせる
副業を選ぶ際に重要なのは、目的をはっきりさせることです。収入を得たいのか、自分のスキルアップのためなのか、それとも起業につながる副業を見つけたいのか、その目的によって選択肢が変わってきます。
目的に合わせて仕事を探す
目的が明確になったら、その目的に合わせた副業を探していきます。たとえば、収入重視であれば、高額の収入が期待できる副業、起業目的であれば起業する業種につながる副業を中心に探すことになります。
色々な情報を取捨選択する
目的を明確にした段階で、できるだけ多くの情報を得て、絞りこむことが大切です。
いまは、インターネット検索で多くの情報が、簡単に手に入る時代です。インターネットを活用しながら、情報の取捨選択をしていきましょう。
また、求職者と求人をつなぐクラウドソーシングなどのツールも充実していますので、希望に添った求人情報を取得することができます。
ダブルワークを行うために必要な3つの準備
自分の希望に合った副業が見つかったとしても、すぐに始めるのではなく、前もって準備しておくようにしましょう。
(1)勤務先の就業規則を確認する
ダブルワークをする場合には、勤務先の就業規則の確認が欠かせません。兼業禁止規定があると、最悪クビにもなりかねません。
事業者にはばれないだろう、と思う方も多いのですが、所得税や住民税の申告、普段の言動やSNS・ネットでの情報でばれてしまうことが多々あります。
勤務先の兼業禁止規定を確認しておくようにしましょう。
(2)パートナーや家族の理解を得る
ダブルワークをする場合には、多くの時間を消費することになります。
これまで余裕のあった時間をダブルワークに充てることとなるため、ときにはパートナーや家族との時間を犠牲にすることもあるでしょう。
実際に退社して独立する際に、一番のネックとなるのがパートナーや家族の理解です。将来的に独立を考えているのであれば、ダブルワークの段階から理解を得ておくことが大切です。
(3)所得税の申告など事業主の責任を理解する
勤務先の兼業禁止規定が無い場合は、個人事業主として活動することができるようになります。
注意しなければいけないことは、事業主としてコンプライアンスを守ることです。
たとえば、年間20万円以上の所得があれば確定申告を行う必要があります。また、取引先などとの契約を遵守することが求められます。
兼業が許されている会社であっても、税務調査を受けたり、法律問題が発生すると就業規則違反に問われる可能性があるため、注意しましょう。
まとめ
ダブルワークは、自分の好きなことや得意なことを中心に選ぶことが一番です。長続きしますし、辛さも感じません。
また、健康問題やパートナーなどとの関係性から、無理のない時間の使い方をすることも大事なポイントです。
社会環境の変化で、今後はダブルワークや起業を志す人はがますます増えていくでしょう。ダブルワークで小さく起業することを、1つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
冊子版の創業手帳では、ダブルワークの確定申告の際に役立つ情報などもご紹介しています。この機会に、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか。
(編集:創業手帳編集部)