シニア起業はメリットが豊富?!起業の注意点や押さえておくべきポイント
シニア起業の実態とメリットや注意点~活用できる助成金も紹介~
「生涯現役」時代が到来し、定年後でも何らかの形で働き続けたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで注目を浴びているのが、定年後などのシニア世代に起業する「シニア起業」です。
お金のためだけでなく、自己充実や自己実現といったやりがいを求めて起業するケースも多いシニア起業。とはいえ、長く充実した企業ライフを過ごすためには経営の知識や起業にまつわる情報を知っておく必要があります。
シニア起業家が知っておくべき注意点や助成金などの活用したい情報といった、シニア起業のポイントをご紹介します。
起業をお考えの方だけではなく、セカンドライフについて模索中のシニア世代にも役立つ情報をお伝えします。
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この記事の目次
シニア起業を後押しする環境の変化
シニアの定義は曖昧で、公的年金の受給開始年齢や老人福祉保健法における定義では「高齢者」は65歳以上、所得税法や道路交通法では70歳以上です。
シニア世代の定義はバラバラですが、世界保健機構(WHO)が定めている「65歳以上の方」をシニア・高齢者と定義するのが一般的です。
定年を迎え、現役を引退したらシニアのイメージが強いのですが、法改正や国の取り組みによって定年の時期が延長されるなど、シニア世代を取り巻く環境は大きく変わってきています。
シニア起業の実情はこちらの記事で詳しく解説しているので、目を通してみてください。
シニア起業でセカンドライフを満喫する起業家が増加中?!人生100年時代にできること
増加するシニア世代の起業
中小企業庁が発表している「2017年版中小企業白書」によると、男女共に60歳以上で起業する人の割合が年々増えています。
2012年のデータでは、男性の場合、40歳未満の現役世代の起業家が30.7%なのに対し、60歳以上のシニア世代は35%と、現役世代よりも多くなっています。
セカンドライフを充実させたいシニア世代が増えているだけでなく、シニア起業には様々な助成があり、国が全面的にバックアップしていることもシニア起業家が増えている要因の一つでしょう。
少子高齢化ということもありますが、公的年金の開始年齢の引き上げもシニア世代の起業の増加に関係があります。
年金に頼らず働いて暮らすなら、同じ会社で引き続き働くよりも以前からやりたかったことで起業するシニア世代が増えており、起業目的で早期退職する人もいます。
政府が提唱する「生涯現役社会」への取り組みをもとに、アクティブシニアの活躍の幅が広がってきていると言えます。
シニア世代が起業して活躍する場とは?
インターネットやSNSの発達で、いつでも好きな時に情報に触れられ、気軽に配信できるようになりました。シニア世代も、SNSを活用した情報配信に積極的に取り組んでいる方が多く、経験や知識とSNSを融合させて活躍しています。
例えば、Instagramで活躍するシニア世代は「インスタグランマ」と呼ばれており、素人にもかかわらず多くのフォロワー数を誇ります。70代・80代である彼女たちのライフスタイルやファッションそして料理等が、日本だけではなく世界中から注目を集めているのです。
SNSを通して多くの方とコミュニケーションを楽しむことは、起業だけではなく、社会問題になっている「シニア世代の孤独や孤立を防ぐ」うえでも大切な取り組みです。
全ての方がマネタイズをしているわけではありませんが、シニア世代ならではの経験と豊富な知識を活かし、様々な業界で活躍するシニアが増えています。
シニアで起業する5つのメリット
シニアで起業するメリットは、主に以下の5点です。
やりたいことを仕事にできる
定年を機に、現役時代とは全く新しい挑戦を志すシニアも多々います。
やりがいを感じられることや社会的に貢献できる仕事に取り組むことで、モチベーションを保ったまま仕事に取り組むことができます。
知見や経験をいかせる
現役時代に培った、知識や経験をいかして働くことができるのもメリットのひとつです。
シニア世代は、トライ&エラーによる豊富な経験と多岐にわたるスキルを持っています。シニア世代が自分では何気なく行ってきたことでも、若い人にとっては学ぶべきノウハウが詰まっているのです。これらの知見や経験をいかして起業することで、競合にない魅力を持つ製品やサービスを提供している企業も多くあります。
定年がない
70歳までの定年延長が2021年4月から努力義務化されます。
とはいえ、70歳以降に就業機会を確保するのはやはり難しいものです。シニア起業なら、年齢に捉われることなく仕事に打ち込むことができます。
また、青年期とは違いフルタイムの勤務が体力的に厳しくなり、できることが限られてしまうケースも多いため、自分のペースで仕事に取り組むことができるのも大きなメリットです。
資金的な余裕がある
起業には店舗の契約など開業資金がかかります。
若年層の場合、住宅費や教育費などにお金がかかって貯金が難しく、まとまった開業資金がないため借入をして開業することがあります。
すると、起業後は借入金の返済と利息の支払いの負担がかかってしまうでしょう。
一方、シニア世代は退職金などがあり、自己資金で賄えます。
借入をしない分利息の支払いがなく、負担を軽減した経営が可能です。
活用できる助成金が多い
起業に対してはもともと様々な助成金や支援金などがありますが、シニア起業向けの資金支援が増えてきています。
起業家にとって重要な資金調達。助成金や支援金などの受けられる資金援助が多いのはメリットといえます。
政策金融公庫や厚生労働省、中小企業庁などが提供するシニア起業向けの助成金や支援金については後の章で詳しく紹介します。
シニアで起業する際の注意点
シニア起業では、以下の5つのポイントに注意が必要です。
第三者目線を持つ
見通しの甘さがないよう第三者目線を持ち、過去の成功体験に固執しすぎず判断することが重要です。
どんなに好きなことや得意なことであったとしても、市場規模が小さければ収益をあげるためのハードルは高くなります。
また、見通しの甘さが致命的な判断ミスに繋がることも珍しくありません。
現役時代に近しい業種や職種であったとしても、サラリーマンとしての携わり方と起業家としての携わり方では、やるべきことの優先順位も視点も違います。
起業家の多くが起業に関してのノウハウを備えていないのが現状です。
第三者目線を意識して確認を行うだけではなく、必要に応じてプロのアドバイスを受けることも大切なポイントです。
これまでの肩書きはゼロになる
定年退職後はそれまでの肩書きはなくなり、上の立場にあった人も過去の職場と同じ上下関係は通用しなくなります。
起業はイチから仕事に取り組んで実績を積み、評価される世界です。
人生経験やプライドから起業を軽んじると失敗する恐れがあるため、豊富な人生経験とプライドを心の支えにしながら、柔軟に考え謙虚な姿勢で取り組みましょう。
今後の取り組み次第で、これまで以上の評価・実績を得られる可能性があります。
十分な準備と考え方の切り替えをして、スタートすることが大切です。
スモールスタートする
資金繰りの問題があるので、初期はなるべくスモールスタートが望ましいでしょう。
シニア起業の際に、退職金を事業資金に充てるケースが多々あります。
ある程度まとまった金額があると安心感がありますが、創業時や経営が安定するまでは何かとお金がかかるものです。
必要に応じてバーチャルオフィスやフリーランスを活用して固定費を削減しましょう。
特に注意したいのが業績予測です。見通しが甘いと資金難に陥ってしまいます。
日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業白書」(19年版)によると、シニア起業家の採算状況は、「約55%が赤字基調」というデータもあります。
創業計画をしっかりと立て、固定費の削減に努めるだけでなく、創業時に使える助成金等も活用していきましょう。
老後資金を計算する
退職金を開業資金にあてられることはメリットですが、その後に必要な生活資金を全て費やすと、うまくいかなかった時に厳しい状況に直面します。
起業に成功する可能性が高くても、何が起こるかわかりません。
老後資金を計算して確保したあと、起業に使っても問題のない額を開業資金に充てましょう。
怪しいセミナーの勧誘などに注意
起業を考えた際、まずはじめるのは情報収集です。
知人に相談したり、ネットで検索したり、セミナーに参加してみたりなど、方法はたくさんありますが、起業を志すシニアを対象にした、詐欺や商材の売り付けなどがあるで注意が必要です。
怪しいセミナーの勧誘などに引っかかることがないように、情報収集は自治体が主体となった取り組みで行うのがおすすめです。
各自治体に設置されている「創業支援施設」では、創業支援を無料で受けることができます。
東京都の場合には、「TOKYO創業ステーション」という施設があります。
定期的にイベントやセミナーを開催しており、相談対応だけではなくラウンジの利用も可能です。また、既に起業に向けて動き出している方だけではなく、興味を持った方も支援の対象としており、多彩なメニューを無料で利用できます。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、オンラインで開催されるセミナーも増えています。
各自治体によって取り組みは様々なので、お近くの支援課や商工会議所などにお問い合わせください。
創業手帳では、常に新しい情報を発信するために、小さなスキルアップが目的のセミナーから、著名人による大規模セミナーまで幅広く開催しています。
シニアで起業する際に役立つ資金制度
起業すると、サラリーマン時代には考えたことのなかった「資金繰り」を自らが行わなければいけません。その際に利用したいのが支援金や助成金といった資金制度です。
シニア起業にはシニア向けの補助金・助成金だけでなく、起業家向けのものを利用する方法があります。
起業する事業の内容に合う補助金や助成金を見つけ、早めに手続きをしましょう。
日本政策金融公庫や厚生労働省、中小企業庁などが行っている、シニアで起業する際に役立つ資金制度を見ていきます。
一般起業家向けの補助金や助成金の知識を深めたいときは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
補助金/助成金を活用しよう。起業・創業・開業時に選べる4種類をご紹介!
日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金」
女性もしくは35歳未満の方、55歳以上の方を対象とした新企業育成貸付です。
事業開始後おおむね7年以内に融資を受けることができます。
融資限度額は7,200万円ですが、運転資金は4,800万円までです。
一定の要件に当てはまると特別利率で借り入れを行うことができる他、「創業後目標達成型金利」が設定されており目標を達成した場合には利率が0.2%引き下げられます。
雇用創出措置助成分
雇用創出措置助成分は、中高年齢者(40歳以上)を対象としています。
事業運営のために必要となる従業員の雇用に必要な募集や採用そして教育訓練にかかる費用の一部を助成する制度です。
起業時の年齢区分が高年齢者(60歳以上)の場合、助成率は2/3で上限は200万円です。
起業時の年齢区分が40歳~59歳の場合には、助成率は1/2で上限は150万円です。
生産性向上助成分
生産性向上助成分は、雇用創出措置助成分の助成金の支給を受けた方が対象です。
一定期間経過後生産性が向上した場合、生産工場に掛かる助成金を支給する制度です。
雇用創出措置助成分によって支給された額の1/4を別途支給します。
経済産業省中小企業庁「創業支援等事業者補助金」
経済産業省中小企業庁の「創業支援等事業者補助金」は、地域の創業を促進させさせるための事業です。
「特定創業支援事業」と呼ばれる、市区町村と連携した民間事業者等が行う創業支援の取り組みと、「創業機運醸成事業」と呼ばれる創業に関する普及啓発を行う取り組みに必要な経費の一部を助成します。
経費の区分は人件費・事業費・委託費の3つで、各区分ごとに経費の2/3以内を交付決定下限額50万円~補助上限額1,000万円の範囲内で支給します。
自治体独自の施策もありますので、起業創業の際にお住いの自治体や軸を置く予定の自治体の支援制度を調べてみましょう。
シニア起業の「成功のカギ」とは
シニア起業に成功し充実した第二の人生を送るためには、3つの成功のカギがあります。
ひとつひとつていねいに取り組み、確実に起業を成功させましょう。
事業準備を入念におこなう
起業したあと事業を経営し続ける準備が足りないと、失敗のリスクが高いため、十分な事前準備が必要です。
事業計画を作成し、無理なく経営できる内容か入念に確認しましょう。
事業計画書に、事業の目的と理念・事業内容・扱う商品やサービスの強み・売上の見込み・経費・想定収益・資金調達計画などを書いてまとめます。
開業資金を自己資金でまかないきれない場合は融資を申し込むことになりますが、その時に事業計画書が必要です。
自身の強み・経験を活かせるジャンルを選ぶ
会社員として培った経験やスキル、取得した資格、趣味や特技などを生かせるジャンルで起業しましょう。
経験がある分、準備や基本的な内容を学ぶ時間がかからず、仕事でのやりがいを感じるまでが短くなる可能性があります。
シニア起業は、商品やサービスを販売する仕事だけではありません。過去の経験をもとにスクール講師となり、実際の体験談をまじえた講義をするやり方もあります。
現役会社員にとって、同じ立場の経験者から話を聞ける機会は貴重です。
家族や周囲の人から理解を得る
シニア起業には資金の準備が不可欠で、退職金や貯金を充てる必要があります。
資金面以外にも、人手が必要な仕事では家族も一緒に働いてもらうことになるかもしれません。
家族がいてシニア企業を考えるときは、必ず事前に家族へ話して理解してもらい、協力を得てから動き始めましょう。
手伝いを頼むつもりではなくても、配偶者に理解を得ることは特に重要です。
シニア起業の場合、配偶者の考える第二の人生があるかもしれません。
事業が軌道に乗るまではある程度時間がかかり、金銭面の負担から生活に影響を及ぼす可能性もあります。
シニア起業で充実したセカンドライフを
シニア起業のイメージは湧いてきたでしょうか。
増加し続けるシニア起業の実態やシニア起業により得られるメリットなどを紹介してきました。
シニア起業で成功するためには、単に業種や業務に関する知識だけではなく、経営に関するノウハウも重要になります。
無料で利用できる各自治体の創業支援施設を活用し、経営計画や資金計画をしっかりと立てるだけではなく、助成金なども活用しましょう。
創業手帳(冊子版)には、起業のノウハウに関する記事や、事業計画を書き込めるシートなど、創業に関する情報が詰まっています。
シニア起業を志す方のパートナーとして多くの方に愛読されていますので、皆さんもぜひWEB版とあわせて冊子版にも目を通してみてください。
また、補助金ガイドでは、補助金・助成金の基本情報をご説明しています。加えて、補助金AIは、膨大な補助金・助成金情報から自分にあったものだけがメール配信されるサービスです。どちらも無料でご利用できますので、ご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)