リピート率って何?計算方法やアップする施策まとめ
リピート率を計算すると企業の課題が見えてくる
リピーターの育成は企業の成長に欠かせません。
リピート率は、顧客が商品に満足しているかどうか、提供している商品やサービスの質が十分であるかの判断基準になります。
リピート率を計算して、企業の施策や商品、サービスにどういった課題があるのか、どのようにして解決すればいいのかを考えてみてください。
今回の記事では、リピート率の計算方法やその重要性、リピート率が低い場合の対処法などを紹介します。
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この記事の目次
リピート率の意味と計算の方法
ビジネスを成功させるために、新しい顧客をどのように獲得するかが肝要ですが、新しい顧客を得るには集客施策や広告費が大きくなります。
売上げを効率良く増やすためには、新しく獲得した顧客が再度商品やサービスを購入する、つまりリピーターの創造が欠かせません。
ここでは、どれだけリピーターを創造できているかを計るために必要なリピート率の計算を紹介します。
リピート率の意味とは?
リピート率とは、初めて商品やサービスを購入した顧客のうち、再び購入してくれた顧客の割合のことを指す言葉です。
既存顧客のうちで、これからの1カ月・四半期・半期・1年間で、どれだけの顧客がもう一度購入するかわかれば売上げの予測も立てやすくなります。
企業と顧客の関係性は、顧客が口コミや宣伝媒体を通じて企業の商品やサービスと出会うところがスタートです。
顧客が商品やサービスについて知り、購入に至れば新規顧客となります。
顧客が商品やサービスを利用した経験を経て再度購入すればリピート顧客になります。
顧客のライフサイクルに応じて効果的な施策を行うためにも、リピート率が重要です。
リピート率の計算方法
リピート率を計算するには、一定期間に訪れた新規全顧客数でリピーターになった顧客数の割合を計算します。
つまり、「当月リピート顧客数÷累計新規顧客数×100」で月のリピート率が求められます。
例えば、累計の新規顧客が1,000人で、当月に再度購入した人が100人の場合の月間リピート率は100人÷1,000人×100=10%です。
リピート率を計算することで、顧客の中にどれだけのリピーターがいるか確認できます。
リピーター率との違いは?
リピート率と似た言葉に、リピーター率があります。
リピーター率は、一定期間中に商品を購入してくれた顧客のうち、リピーターがどれだけいたのかを表す数字です。
当月のリピーター率を計算するには、当月のリピート購入者数÷(当月の新規購入者+当月のリピート購入者)×100%という式を用います。
リピート率との違いは、割る数が累計新規顧客数ではなく当月の購入者になっている点です。
リピート率が顧客におけるリピーターの割合を計算しているのに対して、リピーター率は一定期間で増えたリピーターを知るために用いられます。
リピート率とリピーター率は似た言葉ですが、計算方法も意味も異なるものです。
どちらも重要な指標ではありますが、リピーター率は当月の新規顧客が減った場合にも上昇します。
新規顧客が少なくて常連客しか購入していない場合にもリピーター率が向上するので、リピーター率が上昇していることが良いこととは限りません。
一方で、リピート率が高くなっている時には顧客が商品やサービスをリピートしていることがわかります。
そのため、施策の効果を計る目的や目標とするにはリピート率が用いられる場面が多くあります。
リピート率が重要な理由
リピート率は、マーケティング分野や顧客分析にも使われているものです。
どうしてリピート率が着目されているのか、その理由を紹介します。
収益に貢献する
リピート率が上昇していることがわかると、これからの売上げも順調に上昇すると見込みが立ちやすくなります。
2回目の購入があった顧客はリピーターとなる可能性が高く、これからも収益に貢献してくれると期待できます。優良顧客の創造は企業の安定収益の要です。
企業では、一般にパレートの法則、80:20の法則が使われてきました。
これは全体の数値の8割は全体の2割の要素が生み出すというものです。
新規顧客の創造も大切ではありますが、リピーターとなってくれる優良顧客が育っていなければ全体の売上げは伸びていきません。
さらに、新規顧客を掴むにはリサーチやマーケティングにも時間がかかります。
コスト面から考えても新規顧客に購入してもらうよりも、すでに購入してくれた顧客に売るほうが容易です。
リピート率を見ることで、初めて購入した顧客のうち何割が2回以上購入しているかがわかります。
長期的にリピート率をチェックすれば、どれだけ収益を上げるための優良顧客を育てられているかもわかります。
顧客満足度がわかる
繰り返し購入してくれるような優良顧客を生み出すためには、顧客満足度を向上させる必要があります。
リピート率が高ければ、顧客は商品に満足している可能性が高いと考えられます。
反対に長期的に見てリピート率が下がってきている場合には、商品やサービスの質、アフターフォローに課題があるのかもしれません。
リピート率を定期的にモニタリングすることで、商品やサービスが抱えている課題も見えるようになります。
広告費を効率的に活用しているかがわかる
リピート率は、広告の効果を把握する指標として使うことができます。
例えば、複数の広告でABテストを行うことで、リピート率が高いパターンを選択する方法があります。
また、リピート率が低い広告媒体やターゲット層があれば広告の改善や掲載の停止を検討しても良いかもしれません。
マーケティングの世界で使われている「1:5の法則」は、新規顧客を得るためのコストは、リピーター獲得の5倍であるというものです。
リピーター獲得に向けた広告アプローチは、効率的なプロモーションを行うためにも重要です。
リピート率が低い場合の原因は?
自社の商品やサービスのリピート率が低かった場合、それはなぜなのか原因を考えてみることが大切です。サービスやアフターフォローなどの改善の余地があるかもしれません。
以下に、リピート率が低い原因について紹介します。
商品やサービスのクオリティに問題がある
初めて購入して商品やサービスに不満があれば、再度購入したいとは思われません。
また、商品自体だけでなく問い合わせへの対応や接客態度、梱包などに問題があるケースも考えられます。
お客様アンケートをとったりモニターを募集したり、自社商品のどの部分が満足されていて、どこに不満をもたれているのかを探してください。
リピート率をきっかけに商品やサービスの質の向上が期待できます。
他社に乗り換えられた
リピート率が低い場合、他社に乗り換えられてしまっていることがあります。
他社への離脱を防ぐためには、競合他社との差別化が重要です。
競合を調査して、機能や価格、サービスで有意差をつけてアピールしてください。
リピートする動機がない
対応が難しいのは、顧客にとってリピートする動機がないためにリピート率が低いケースです。
こういったケースでは、顧客は商品やサービスに不満を抱いているわけではありません。
これは、すでに購入した顧客がもう一度購入してみようと感じる決め手に欠けている状態です。
購入意欲をアップさせるには、リピーター向けのPRやキャンペーンが効果的です。
リピート率を上げるためには?
リピート率を改善するには、やみくもに広告や宣伝をするよりも効率的な方法があります。リピート率を上げるためにできる施策をまとめました。
既存のデータを分析する
リピート率をアップさせるためにまず行ってほしいのが、顧客の分析です。
既存顧客のデータをもとにして、リピーターになりやすい層を調べて顧客属性を定めます。
商品を開発している時点でのターゲット層と、実際に購入している層が食い違うことは度々あります。
若い女性向けにと思って販売していても、実際にはそうでないかもしれません。
客観的なデータを活用して、顧客属性と離脱しやすい顧客の属性も把握します。
データ分析から、ターゲット層により訴求できる施策がイメージできた時には実践して再度データを取ってみてください。
実行とチェックを繰り返すPDCAサイクルを回すことで、分析の精度も向上します。
アフターフォロー体制を作る
初回購入してから再度の購入に至っていない顧客の中には、商品やサービスを使いこなせていない、魅力に気付いていないケースもあります。
商品やサービスを快適に使ってもらうためのアフターフォローが改善策として有効です。
トラブルなどのサポートのほかにも、メルマガを使った情報発信といった施策があります。
メンテナンスが必要なものであれば、交換時期やメンテナンス時期のお知らせをする方法も検討してください。
リピーターになるとお得なシステムを作る
リピーターにターゲットを絞った施策としては、リピートすることでお得になるようなシステムがあります。
以下では、どのようなシステムが考えられるかをまとめました。
ポイント制
通販やECサイトでよく使われている手法がポイント制で、金額を設定して条件をクリアすると、ポイントが付与される仕組みです。
ポイントを貯めると次回の買い物で割引になったり、ポイントに応じてプレゼントを受け取れたりするものがあります。
ポイントが貯まれば利用しないともったいないと感じて次に購入するきっかけになります。
ただし、あまりに厳しい条件でのポイント制は貯まりにくく、再購入への意欲につながりません。
ポイントを貯めることも楽しめるように、厳しすぎない条件を設定してください。
ポイントキャンペーンのようなイベントや、ポイントを増やすための遊びの要素も取り入れると有効です。
会員ランク制
会員ランク制度は、定期購入の商品やサービスで用いられる手法です。
購入金額や利用頻度に応じてランク付けされて、ランクに応じて優待や特典が受けられる仕組みです。
会員ランク制を導入することで、よりお得に利用するためのリピートにつながります。
会員ランクを上げるため、積極的に利用しようと考える人も増える可能性があります。
定期的なセール
定期的なキャンペーンを行っているスーパーや小売店を目にする機会も多いのではないでしょうか。
例えば、「月末セール」や「火曜市」、「ポイント2倍デー」などの定期的なキャンペーンがあると、欲しいものがなくてもついついチェックしてしまいます。
明確な目的がなくてもお得だからチェックしておこうと考える人が多いため、顧客との接点を生むために適した手法です。
顧客との接点を増やす
リピーターを獲得する基本は、顧客との接点を増やすことです。
商品やサイト、店舗に愛着を持ってくれる優良顧客は、他社への乗り換えはなかなかしません。また、企業が発信する情報も必ず受け取ってくれます。
自社のファンになってくれる顧客は、友人に商品を紹介してくれたり、自主的に情報を拡散してくれたりする心強い存在です。
商品やサービスの提供以外にも、情報誌を定期的に送付したり、スタッフが訪問したりリピーターと接点を持てる機会を作れないか検討してみてください。
SNSで情報を発信する
顧客との接点を増やすために効果的なのがSNSを通じた情報発信です。
例えば、Facebook・Twitter・InstagramなどのSNSで情報を発信している企業はたくさんあります。
注目を集めればリピーターを増やすだけでなく、新規顧客の増加や休眠顧客の稼働にもつながります。
SNSはそれぞれの特徴を理解した上で活用することが大切です。
Facebookは画像も情報も投稿しやすいものの、頻度高く投稿するには向いていません。
Twitterは、手軽に更新できるものの文字数が限られています。
Instagramは若年層に強いといったように、各SNSによって異なる特徴があるため、自社に合うSNSを選択して運用することが大切です。
SNSでの発信内容は、商品情報やイベントの紹介などがメインです。
より質が高い発信を積み重ねることで読者を増やせば、リピート率向上にも寄与します。
自社のオウンドメディアへの動線としてもSNSが優秀なので、使い分けるようにしてください。
アプリを使ってアプローチする
通販やECサイトを展開する事業に効果的なのが、自社アプリを使った施策です。
自社アプリであれば、自社の商品やサービスをより魅力的に発信できます。
また、アプリはポイント制やクーポン付与で顧客を優良顧客へと育成するにも効果的です。
プッシュ通知での発信はメールマガジンと比較しても開封率が高いため、キャンペーンなどの情報もより届けやすくなります。
スマートフォンを利用する人口が増えている中で、リピーター率の向上、優良顧客育成のためにはアプリを使ったアプローチも有効です。
まとめ
リピート率は計測して現状を把握するだけでは不十分です。リピート率を把握して、向上のための施策を実行することをおすすめします。
定期的にリピート率を計測することによって、講じた施策が有効であるか否かもわかります。
企業の収益を高めるのであれば、新規顧客獲得だけでなくリピーターの育成が欠かせません。データ分析や施策を使ってリピーター獲得を目指してください。